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【362 ブレンダンとクラレッサ ③】
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魔空の枝に魔力を込める。
霊力と合わさったその力は空気中に散布する事で、一つ一つが目に見えない程の小さなエネルギーの塊となる。
黒魔法の爆裂弾を空中に留め置き、全方位から一斉に撃ち込む応用技があるがそれと原理は似ている。
だが、似て非なるものである。
霊力と魔力を合わせた霊魔力。
空気中に撒かれ漂う目に見えない程に細かいその力は、発動に気付いてから全てを防ぎきるのは不可能である。
「いかなる結界でも、空気を全て締め出す事はできない。霊魔力の霧も体に触れておったら防げんからな」
ダメージは与えただろう。
だが、ブレンダンはこれで終わらない事を知っている。終わるはずがない。
魔法使いとしての魔力は自分が上だろう。
クラレッサの魔力も高い。白魔法兵団団長になるだけの魔力はある。
だが、70歳になっても研鑽を続けるブレンダンには、まだ及ばない。
しかし霊力はどうか?
これは才能、生まれ持った資質によるものが大きいのかもしれない。
クラレッサの霊力はブレンダンを大きく上回っている。
それこそクラレッサの霊力による一撃一撃に、全力で防御しなければならない程に。
しかもクラレッサの霊力の底はまだ見えないのだ。
今の攻撃で倒せるはずがない。
それがブレンダンの評価だった。
そしてその通りであった。
白い爆煙が吹き飛ばされる。クラレッサの霊力放出によるものだった。
「・・・おじいさん」
煙を吹き飛ばし姿を見せるクラレッサ。
俯いているため表情は見えないが、小さな声でブレンダンを呼んだ。
ふらつきもせず、二本の脚でしっかり立っているが、ブレンダンの予想通りダメージは与えられていた。
深紅のローブは所々破れ、中から覗く細い腕からは赤い血が流れ、指先をつたい地面にしたたり落ちている。
白く長いの一部が赤く染まっているところをみると、頭も切っているようだ。
「・・・クラレッサ、どうじゃ?ここまでにせんか?お主の霊力はワシより上じゃ。じゃが、何十年も戦いに身を置いたワシとは経験値が違う。戦いの引き出しはワシが上じゃ。霊力だけではワシには勝てんぞ・・・怪我の手当をしよう。ワシと一緒に来るんじゃ」
戦闘意欲は無いと教えるために口調を戻し、いつもの優しくのんびりとした声色で話しかける。
「・・・おじいさん、痛い・・・痛い・・・痛い・・痛い・・・痛い・・・」
ブレンダンの言葉が聞こえているのか、いや、耳で聞こえていても頭には入っていない。
クラレッサは俯いたまま、痛い、と言う一つの言葉だけを口にし続ける。
「くっ・・・これは!?」
ダメージを受けても、衰えるどころか益々霊力を高めるクラレッサに、ブレンダも体に突き刺さってくるようなプレッシャー浴びせられ、一歩後ろに足を引いた。
「痛い・・・痛い・・・痛い・・痛い・・・痛い・・・痛い・・・痛い・・・痛い・・痛い・・・痛い・・・痛い・・・痛い・・・痛い・・痛い・・・痛い・・・痛い・・・痛い・・・痛い・・痛い・・・痛い・・・・・どうしてパパもママも私をいじめるのよーーーッツ!」
絶叫。
喉の奥から張り裂けんばかりの声を上げ、クラレッサは血まみれの顔を上げた。
クラレッサの右目にはめてある魔道具、御霊の目が額から流れる血に染まり、赤黒く鈍い光を放った。
なんじゃあれは!?
あれが悪霊の正体か!?とんでもない禍々しさじゃ・・・
王宮でクラレッサはワシに、御霊の目という魔道具を見せてきた。
その時に聞いた御霊の目の歴史は、どれも怨念のこもった恐ろしいものじゃったが、つまりこれがそれということなのか?
今、ワシの目に映る、クラレッサの体から蒸気のように放出されている、この赤黒い狂気と恐怖の波動・・・・・これが、御霊の目にこれまで込められた怨念の集合体なのか?
霊力を持たん者がこれの前に立ったならば、一瞬で死に至るじゃろう。
この娘・・・なぜ、これほどの力を持ちながら、皇帝に従っておる?
いや・・・逆じゃな。
なぜ皇帝は、このクラレッサを従える事ができる?
これまでの話しで、クラレッサが霊力に執着している事は分かった。
じゃが、皇帝は強大な魔力を持っておるが、あくまで黒魔法使い。霊力は無いはずじゃ。
それとも、ワシらが知らんだけで、霊力も使えるのか?
いや・・・その可能性は低い。
ここまで霊力の話しばかりするクラレッサの口から、皇帝の名が出てこん。
皇帝も霊力を使えるならば、一言くらい名前が出てもおかしくない。
・・・いずれにしても皇帝は、このクラレッサを動かす事ができる。
皇帝とクラレッサには何かあるんじゃ・・・・・
クラレッサの悪霊、その本性を目にし、ブレンダンの思考が奪われたのはほんの一瞬だった。
だが、その一瞬の間にクラレッサの悪霊はブレンダンに眼前に迫っていた。
「むっ!?」
クラレッサの身体から放たれる赤黒い波動、それがブレンダンに覆いかぶさるように頭上から襲い掛かる。
瞬時に魔空の枝で霊力の結界を張り防御するが、本性を現した悪霊はブレンダンの想像をはるかに超えた力を持っていた。
「な、んじゃとぉッ!?」
一瞬だった。
迫りくる悪霊を防ぐために張った結界は、ほんの一瞬だけ受け止めたかと思った次の瞬間、粉々に破壊されブレンダンを叩き潰した。
霊力と合わさったその力は空気中に散布する事で、一つ一つが目に見えない程の小さなエネルギーの塊となる。
黒魔法の爆裂弾を空中に留め置き、全方位から一斉に撃ち込む応用技があるがそれと原理は似ている。
だが、似て非なるものである。
霊力と魔力を合わせた霊魔力。
空気中に撒かれ漂う目に見えない程に細かいその力は、発動に気付いてから全てを防ぎきるのは不可能である。
「いかなる結界でも、空気を全て締め出す事はできない。霊魔力の霧も体に触れておったら防げんからな」
ダメージは与えただろう。
だが、ブレンダンはこれで終わらない事を知っている。終わるはずがない。
魔法使いとしての魔力は自分が上だろう。
クラレッサの魔力も高い。白魔法兵団団長になるだけの魔力はある。
だが、70歳になっても研鑽を続けるブレンダンには、まだ及ばない。
しかし霊力はどうか?
これは才能、生まれ持った資質によるものが大きいのかもしれない。
クラレッサの霊力はブレンダンを大きく上回っている。
それこそクラレッサの霊力による一撃一撃に、全力で防御しなければならない程に。
しかもクラレッサの霊力の底はまだ見えないのだ。
今の攻撃で倒せるはずがない。
それがブレンダンの評価だった。
そしてその通りであった。
白い爆煙が吹き飛ばされる。クラレッサの霊力放出によるものだった。
「・・・おじいさん」
煙を吹き飛ばし姿を見せるクラレッサ。
俯いているため表情は見えないが、小さな声でブレンダンを呼んだ。
ふらつきもせず、二本の脚でしっかり立っているが、ブレンダンの予想通りダメージは与えられていた。
深紅のローブは所々破れ、中から覗く細い腕からは赤い血が流れ、指先をつたい地面にしたたり落ちている。
白く長いの一部が赤く染まっているところをみると、頭も切っているようだ。
「・・・クラレッサ、どうじゃ?ここまでにせんか?お主の霊力はワシより上じゃ。じゃが、何十年も戦いに身を置いたワシとは経験値が違う。戦いの引き出しはワシが上じゃ。霊力だけではワシには勝てんぞ・・・怪我の手当をしよう。ワシと一緒に来るんじゃ」
戦闘意欲は無いと教えるために口調を戻し、いつもの優しくのんびりとした声色で話しかける。
「・・・おじいさん、痛い・・・痛い・・・痛い・・痛い・・・痛い・・・」
ブレンダンの言葉が聞こえているのか、いや、耳で聞こえていても頭には入っていない。
クラレッサは俯いたまま、痛い、と言う一つの言葉だけを口にし続ける。
「くっ・・・これは!?」
ダメージを受けても、衰えるどころか益々霊力を高めるクラレッサに、ブレンダも体に突き刺さってくるようなプレッシャー浴びせられ、一歩後ろに足を引いた。
「痛い・・・痛い・・・痛い・・痛い・・・痛い・・・痛い・・・痛い・・・痛い・・痛い・・・痛い・・・痛い・・・痛い・・・痛い・・痛い・・・痛い・・・痛い・・・痛い・・・痛い・・痛い・・・痛い・・・・・どうしてパパもママも私をいじめるのよーーーッツ!」
絶叫。
喉の奥から張り裂けんばかりの声を上げ、クラレッサは血まみれの顔を上げた。
クラレッサの右目にはめてある魔道具、御霊の目が額から流れる血に染まり、赤黒く鈍い光を放った。
なんじゃあれは!?
あれが悪霊の正体か!?とんでもない禍々しさじゃ・・・
王宮でクラレッサはワシに、御霊の目という魔道具を見せてきた。
その時に聞いた御霊の目の歴史は、どれも怨念のこもった恐ろしいものじゃったが、つまりこれがそれということなのか?
今、ワシの目に映る、クラレッサの体から蒸気のように放出されている、この赤黒い狂気と恐怖の波動・・・・・これが、御霊の目にこれまで込められた怨念の集合体なのか?
霊力を持たん者がこれの前に立ったならば、一瞬で死に至るじゃろう。
この娘・・・なぜ、これほどの力を持ちながら、皇帝に従っておる?
いや・・・逆じゃな。
なぜ皇帝は、このクラレッサを従える事ができる?
これまでの話しで、クラレッサが霊力に執着している事は分かった。
じゃが、皇帝は強大な魔力を持っておるが、あくまで黒魔法使い。霊力は無いはずじゃ。
それとも、ワシらが知らんだけで、霊力も使えるのか?
いや・・・その可能性は低い。
ここまで霊力の話しばかりするクラレッサの口から、皇帝の名が出てこん。
皇帝も霊力を使えるならば、一言くらい名前が出てもおかしくない。
・・・いずれにしても皇帝は、このクラレッサを動かす事ができる。
皇帝とクラレッサには何かあるんじゃ・・・・・
クラレッサの悪霊、その本性を目にし、ブレンダンの思考が奪われたのはほんの一瞬だった。
だが、その一瞬の間にクラレッサの悪霊はブレンダンに眼前に迫っていた。
「むっ!?」
クラレッサの身体から放たれる赤黒い波動、それがブレンダンに覆いかぶさるように頭上から襲い掛かる。
瞬時に魔空の枝で霊力の結界を張り防御するが、本性を現した悪霊はブレンダンの想像をはるかに超えた力を持っていた。
「な、んじゃとぉッ!?」
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