異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
426 / 1,560

425 敵の戦力

しおりを挟む
「アンリエール様、四勇士についてお聞かせください」

レイチェルがその名前を口にすると、ざわめきが起こった。
やはりみんなその存在はしっていたようだけど、この場で四勇士の話しになるとは思っていなかったようだ。

『・・・はい、クインズベリー城での決戦です。おそらく四勇士と戦う事になるでしょう。私も全てを知っているわけではありませんが、知りうる限りをお話しいたします』

口振りから考えて、やはり王妃様はエリザ様よりも深いところまで知っているようだ。
実際、国に仕えている以上、国王と王妃様の二人はさすがに知っていなければおかしいと思う。
しかし、それでも王妃様は、全てを知っているわけではないという言葉を使った。
それほどまでに謎に包まれた存在という事なのだろうか?


『四勇士はクインズベリー城を護る事だけを使命として生き続けた一族です。親から子へ、その役目を代々受け継いで今日まできたのです。原則として不慮の死でもない限り、代替わりは四人一斉に行われます。今代の四人はお役目を継承して今年で十年、年齢には多少のバラツキはありますが全員が二十代です。私は四勇士が戦っているところを見た事はありません。ですが魔力を扱う者として、四勇士の魔力の一端に触れた経験から申しますと、王宮の魔法使いでは相手にならないでしょう。非情に手ごわいと言えます』

「王妃様、四勇士とは全員が魔法使いなのですか?」

レイチェルの問いに王妃様は首を横に振った。

『いいえ、体力型が一人と魔法使いが三人です。私が四勇士と顔を会わせた時の印象から申し上げますと、体力型の力量は魔法使いの私には計りかねますが、それでも感じるものはありました。彼は強いです。それこそマルコス・ゴンサレスに匹敵するかもしれません。そして他の三人、白、黒、青の魔法使い達も、非常に強い魔力を持つ上にどのような魔道具を持っているか分かりません。覚悟を持って挑んでください』


「・・・王妃様、その体力型はマルゴンと同レベルなんですか?」

『・・・私はそう感じました。この国最強と言われたマルコス・ゴンサレス・・・彼は、四勇士レオ・アフマダリエフは・・・マルコスに決して引けを取らないでしょう』

王妃様ははっきりと俺の目を見て頷いた。

あれほど苦戦してかろうじて勝つことができたマルゴンと、同等の力を持つ男がいる。
そして他三人の魔法使いも、並みはずれた魔力の持ち主という事を聞かされ、誰もが息を飲んだ。

『・・・このような危険な戦いに巻き込んでしまい、みなさんには大変申し訳なく思っております。ですが、すでに城内は偽国王に掌握されており、誰が味方かも分からない状態なのです。私が頼る事ができるのは、みなさんだけなのです。どうかお力をお貸しください』

王妃様はこれまでにないくらい真剣な面持ちで、俺達に頭を下げた。
一国の王妃様が、所謂平民の俺達に頭を下げるなんて普通は考えられない。
しかし、それがあらためて事態の深刻さを教えてくる。

城内は偽国王に掌握されていると言うし、これ以上野放しにできないほどになっているのだろう。

『公爵家のトレバー・ベナビデスも、実質的には治安部隊を騎士団の傘下に納めた事で、やや強引ではありますがエリザベートとの婚姻を迫ってきております。それに対し偽国王は承諾する意向、私では止められそうにありません。これは母としての気持ちだけではありません。貴族が絶対と考えるトレバーが今以上に権力を持てば、国民の生活は苦しいものになっていくでしょう。なんとしてここで止めねばならないのです』


「アンリエール様、どうか頭をお上げください。私達の気持ちはすでに固まっております。レイジェスはアンリエール様と共にあります」

レイチェルが腰を落とし、頭を下げる王妃様と同じ目線になり言葉をかける。

「その通りです。我々治安部隊も同じ気持ちです。この国のために戦わせてください」

ヴァンもレイチェルの隣に片膝をつき、頭を下げる。

『レイチェル、ヴァン・・・ありがとうございます』

僅かにその瞳を潤ませて、王妃様は感謝の言葉を口にした。

『アンリエール様、一つだけ・・・まだ店長は戻って来ておりません。なぜ、30日を決行日にされたのですか?』

レイチェルは膝を着いたまま、顔を上げて王妃様に問いかけた。

『ここ数日で、私達に対する監視の目が一気に強まりました。先日エリザをそちらに行かせた事は何も問われませんでしたので、上手くいったと思ったのですが、あの後からなのです。はっきりとした事は掴めていなくとも、何かをしようとしている。そう感じとっているのかもしれません。本当はバリオス様が戻られてからが望ましいのですが、もうあまり猶予はないように思うのです』


「そうでしたか・・・分かりました。ご安心ください。私達だけでも必ずや成し遂げて見せます」

『レイチェル・・・あなたは本当に強い女性ですね。ありがとうございます。頼りにしております』


きっと王妃様は本当にギリギリまで待っていたのだろう。
監視の目が厳しくなったと言うが、それでも決行日を30日にしたのは、当日でも店長が戻って来てくれたらという願いからだ。
店長は約束は必ず守る人だと、みんなが口を揃えて言うのだからどんなに遅くとも30日の日没までには帰って来るのだろう。

王妃様の間に合ってほしいという願いが伝わってくる。

「王妃様、当日の騎士団の動きはどのようになりそうですか?」

レイチェルとの話しが終わったところで、ヴァンが騎士団の動向を尋ねる。
そうだ、相手は四勇士だけではない。

『いつもと変わらないと思います。城内には数百人の騎士が常時待機しておりますが、それは変わらないでしょう』

「フェリックスとジョシュアの二人はどうでしょうか?」


『・・・あの二人はいつも騎士団の本部にいる事が多いのですが、今回は読めません。ですが私達の監視の目を考えますと、これからは城内に入って来るということは考えられます』

緊迫感のある声を出す王妃様に、ヴァンも眉間にシワを寄せ、顎を押さえるように手をやり唸った。

「ヴァン、誰なんだ?その二人は?」

俺の問いかけに、ヴァンは前を向いたまま答えた。

「・・・騎士の頂点、ゴールドの位を持つ男達だ」


以前、聞いた事を思い出した。
騎士団には三つの階級があり、ブロンズ、シルバー、ゴールドに分かれている。
そして頂点のゴールドはたった五人しかいないと言うのだが・・・・・

「ヴァン、その二人はもしかして・・・」

「そうだ・・・実力でゴールドを掴んだ本物の二人だ」

五人の内、三人は家柄で地位を得ただけの実力が伴わない者だと聞いている。
そしてその三人の内の一人が、今回エリザ様との婚姻を進めようとしているトレバー・ベナビデスだ。

しかし、残りの二人は今ヴァンが言葉にしたように、実力でゴールドの位を勝ち取った本物なのだ。


「全く、ゴールド騎士が二人と四勇士か。・・・これは骨が折れるな?アラタ」

そう言ってヴァンは俺に顔をむけると、なぜか楽しそうにいつもの、クックック、という含み笑いをして見せた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界でカイゼン

soue kitakaze
ファンタジー
作者:北風 荘右衛(きたかぜ そうえ)  この物語は、よくある「異世界転生」ものです。  ただ ・転生時にチート能力はもらえません ・魔物退治用アイテムももらえません ・そもそも魔物退治はしません ・農業もしません ・でも魔法が当たり前にある世界で、魔物も魔王もいます  そこで主人公はなにをするのか。  改善手法を使った問題解決です。  主人公は現世にて「問題解決のエキスパート」であり、QC手法、IE手法、品質工学、ワークデザイン法、発想法など、問題解決技術に習熟しており、また優れた発想力を持つ人間です。ただそれを正統に評価されていないという鬱屈が溜まっていました。  そんな彼が飛ばされた異世界で、己の才覚ひとつで異世界を渡って行く。そういうお話をギャグを中心に描きます。簡単に言えば。 「人の死なない邪道ファンタジーな、異世界でカイゼンをするギャグ物語」 ということになります。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

処理中です...