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432 護りの塔へ
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「私が昨日、王妃から聞いた事ですが、北西には黒魔法使い、シャクール・バルデス。北東には青魔法使い、ライース・フィゲロア。南西には白魔法使い、エステバン・クアルト。そして南東には体力型のレオ・アフマダリエフ。彼らが四つの塔を護っております」
偽国王が姿を消すと、俺達は城を覆う結界の前で輪になり、これからの行動を話し合った。
王妃様が城内で追われていると聞き、一刻を争う事態に焦りを感じたが、レイチェルはこういう時こそ落ち着くべきだと声を上げ、一瞬でみんなをまとめ上げた。
そして今エリザ様は、この結界を作り出している護りの塔の四勇士について、俺達に話して聞かせてくれた。
誰がどの塔にいるかまでは、俺達も王妃様から聞いていなかったので、場所が分かった事は大きい。
「申し訳ありません。彼らの魔道具や能力については王妃も知りえていないようで、私が皆さんにお話しできるのはこのくらいです」
「いや、十分ですよ。場所が分かれば事前に決めていた通りに動く事ができる。なぁ、みんな」
みんなの気持ちを確認するように、ジャレットさんが俺達を見回す。
全員が頷いた事を見てとると、ジャレットさんはレイチェルと俺を交互に見て、指を差した。
「言うまでもないが、お前達はここで待機だ。間違ってもどこかに助けに入ろうとするなよ」
「あぁ、その通りだ。分かっている」
レイチェルは即答だった。そして俺に目を向ける。何も言わないが、レイチェルのその目を見て俺もジャレットさんに言葉を返した。
「はい、俺は偽国王を倒すために全力を尽くします。四勇士はお願いします」
「よし、それでいい。俺達は四勇士を倒す。結界が消えたらお前達の出番だ。そこから先は任せたぞ」
そうだ。みんなは絶対に勝って帰って来る。協会との一件では、みんなは俺が帰って来ると信じて送り出してくれた。
今度は俺がみんなを信じて待つんだ。
「ヴァン、フェンテス、お前達もだ。城へ入ったらアラタを偽国王の元まで頼んだぞ」
「あぁ、任せろ。城内の敵は俺達が全て引き受ける」
ヴァンの言葉に、フェンテスも頷いて意思を表す。
「エリザ様、こいつらが怪我したら、回復はお願いしますね」
ジャレットさんが俺達を指差して、やたらと白い歯を見せながらエリザ様に笑いかける。
「はい、お任せください!私が皆さんをお守りいたします!」
胸に手を当て、エリザ様はジャレットさんに向かって宣言するように言葉を発する。
責任感の強さが見て取れる。
事前に決めていた二人一組に分かれると、それぞれ決めていた相手のいる塔へと向かい走り出した。
俺とレイチェル、ヴァンとフェンテス、そしてエリザ様の五人は、みんなが四勇士を倒し結界を解いてくれる事を、ここで待っているしかできない。
正直な気持ちを言えば、もどかしさでいっぱいだ。
シルヴィアさんは、俺の順番が一番最後なだけだからと言ってくれた。理屈ではそうなのだが、それでもみんなが戦う時に、なにもせずに待っているだけというのは、気持ちがはやってしまう。
気持ちを落ち着けようと、しゃがんであぐらをかき座禅をしてみる。
あまり座禅はした事がないが、日本にいた時に見たテレビを思い出した。
精神集中する時には、こういう方法が効果的らしい。
そうして目を閉じていると、ふいに誰かが俺の袖を掴み、遠慮がちに引っ張ってきた。
「アラタ君・・・」
「カチュア・・・」
「・・・その、えっと、ごめんね、集中してる時に。でも、行く前にアラタ君の顔を見たかったの」
目を開けて声の主を見る。
声を聞いただけで分かってはいたがカチュアだった。不安そうな顔をしている。
それは当然だと思う。カチュアは争いごとは苦手なのだ。それが、リカルドと二人で四勇士などという未知の強敵と戦わなければならない。
「カチュア・・・俺も、同じ気持ちだよ」
俺もカチュアの顔をもう一度見ておきたかった。
立ち上がってカチュアを抱き締めると、カチュアも俺の背中に手を回してきた。
「カチュア・・・無事に帰ってきてくれ。危ないと思ったら・・・」
危ないと思ったら逃げてくれ。そう言いかけて、最後まで言葉を続けられなかった。
「アラタ君・・・ありがとう。でも、そこから先はここで言葉に出しちゃいけないよ」
カチュアが俺の口に人差し指を当てていたからだ。
「・・・そう、だな・・・」
俺達だけじゃない。みんな命を懸けているんだ。カチュアにだけ、危なくなったら逃げろなんて言えるはずがない。
優しく微笑むカチュアと目が合い、それ以上何も言えなくなってしまった。
「大丈夫だよ・・・私、絶対に帰って来るからね。アラタ君もちゃんと帰ってくるんだよ?」
「うん・・・ちゃんと帰って来るよ」
それ以上は、言葉は使わなかった。
お互いの気持ちを確認するように目を見つめ合い、そして手の力を緩めゆっくりと体を離した。
「・・・アラタ君、行ってくるね」
「・・・あぁ、気を付けて」
白魔法使いのローブをはためかせ、カチュアは俺に背を向け走って行った。
中庭を北東に抜け、四勇士の青魔法使い、ライース・フィゲロアが待つ護りの塔へ。
少し先でカチュアを待っていたリカルドが、カチュアと合流し走り出す。
「兄ちゃーん!心配すんな!俺にまかせとけ!」
リカルドとカチュアの背中を見送っていると、急にリカルドがくるりと振り返り、手を振りながら声を上げた。
「・・・あいつ・・・・・おう!任せたぞ!」
俺も手を振って大きく言葉を返した。
リカルドは歯を見せてニカっと笑うと、今度こそ振り返らずにカチュアと並んで走って行った。
「・・・ありがとう。リカルド、頼んだぞ」
いつも自分に正直で、感情のままに行動するリカルド。
だけど、本当は誰よりも仲間を大切に想っている優しいヤツだ。
遠ざかっていく二人の後ろ姿を見つめ、俺はどうかみんなが無事に帰って来てくれよう祈った。
偽国王が姿を消すと、俺達は城を覆う結界の前で輪になり、これからの行動を話し合った。
王妃様が城内で追われていると聞き、一刻を争う事態に焦りを感じたが、レイチェルはこういう時こそ落ち着くべきだと声を上げ、一瞬でみんなをまとめ上げた。
そして今エリザ様は、この結界を作り出している護りの塔の四勇士について、俺達に話して聞かせてくれた。
誰がどの塔にいるかまでは、俺達も王妃様から聞いていなかったので、場所が分かった事は大きい。
「申し訳ありません。彼らの魔道具や能力については王妃も知りえていないようで、私が皆さんにお話しできるのはこのくらいです」
「いや、十分ですよ。場所が分かれば事前に決めていた通りに動く事ができる。なぁ、みんな」
みんなの気持ちを確認するように、ジャレットさんが俺達を見回す。
全員が頷いた事を見てとると、ジャレットさんはレイチェルと俺を交互に見て、指を差した。
「言うまでもないが、お前達はここで待機だ。間違ってもどこかに助けに入ろうとするなよ」
「あぁ、その通りだ。分かっている」
レイチェルは即答だった。そして俺に目を向ける。何も言わないが、レイチェルのその目を見て俺もジャレットさんに言葉を返した。
「はい、俺は偽国王を倒すために全力を尽くします。四勇士はお願いします」
「よし、それでいい。俺達は四勇士を倒す。結界が消えたらお前達の出番だ。そこから先は任せたぞ」
そうだ。みんなは絶対に勝って帰って来る。協会との一件では、みんなは俺が帰って来ると信じて送り出してくれた。
今度は俺がみんなを信じて待つんだ。
「ヴァン、フェンテス、お前達もだ。城へ入ったらアラタを偽国王の元まで頼んだぞ」
「あぁ、任せろ。城内の敵は俺達が全て引き受ける」
ヴァンの言葉に、フェンテスも頷いて意思を表す。
「エリザ様、こいつらが怪我したら、回復はお願いしますね」
ジャレットさんが俺達を指差して、やたらと白い歯を見せながらエリザ様に笑いかける。
「はい、お任せください!私が皆さんをお守りいたします!」
胸に手を当て、エリザ様はジャレットさんに向かって宣言するように言葉を発する。
責任感の強さが見て取れる。
事前に決めていた二人一組に分かれると、それぞれ決めていた相手のいる塔へと向かい走り出した。
俺とレイチェル、ヴァンとフェンテス、そしてエリザ様の五人は、みんなが四勇士を倒し結界を解いてくれる事を、ここで待っているしかできない。
正直な気持ちを言えば、もどかしさでいっぱいだ。
シルヴィアさんは、俺の順番が一番最後なだけだからと言ってくれた。理屈ではそうなのだが、それでもみんなが戦う時に、なにもせずに待っているだけというのは、気持ちがはやってしまう。
気持ちを落ち着けようと、しゃがんであぐらをかき座禅をしてみる。
あまり座禅はした事がないが、日本にいた時に見たテレビを思い出した。
精神集中する時には、こういう方法が効果的らしい。
そうして目を閉じていると、ふいに誰かが俺の袖を掴み、遠慮がちに引っ張ってきた。
「アラタ君・・・」
「カチュア・・・」
「・・・その、えっと、ごめんね、集中してる時に。でも、行く前にアラタ君の顔を見たかったの」
目を開けて声の主を見る。
声を聞いただけで分かってはいたがカチュアだった。不安そうな顔をしている。
それは当然だと思う。カチュアは争いごとは苦手なのだ。それが、リカルドと二人で四勇士などという未知の強敵と戦わなければならない。
「カチュア・・・俺も、同じ気持ちだよ」
俺もカチュアの顔をもう一度見ておきたかった。
立ち上がってカチュアを抱き締めると、カチュアも俺の背中に手を回してきた。
「カチュア・・・無事に帰ってきてくれ。危ないと思ったら・・・」
危ないと思ったら逃げてくれ。そう言いかけて、最後まで言葉を続けられなかった。
「アラタ君・・・ありがとう。でも、そこから先はここで言葉に出しちゃいけないよ」
カチュアが俺の口に人差し指を当てていたからだ。
「・・・そう、だな・・・」
俺達だけじゃない。みんな命を懸けているんだ。カチュアにだけ、危なくなったら逃げろなんて言えるはずがない。
優しく微笑むカチュアと目が合い、それ以上何も言えなくなってしまった。
「大丈夫だよ・・・私、絶対に帰って来るからね。アラタ君もちゃんと帰ってくるんだよ?」
「うん・・・ちゃんと帰って来るよ」
それ以上は、言葉は使わなかった。
お互いの気持ちを確認するように目を見つめ合い、そして手の力を緩めゆっくりと体を離した。
「・・・アラタ君、行ってくるね」
「・・・あぁ、気を付けて」
白魔法使いのローブをはためかせ、カチュアは俺に背を向け走って行った。
中庭を北東に抜け、四勇士の青魔法使い、ライース・フィゲロアが待つ護りの塔へ。
少し先でカチュアを待っていたリカルドが、カチュアと合流し走り出す。
「兄ちゃーん!心配すんな!俺にまかせとけ!」
リカルドとカチュアの背中を見送っていると、急にリカルドがくるりと振り返り、手を振りながら声を上げた。
「・・・あいつ・・・・・おう!任せたぞ!」
俺も手を振って大きく言葉を返した。
リカルドは歯を見せてニカっと笑うと、今度こそ振り返らずにカチュアと並んで走って行った。
「・・・ありがとう。リカルド、頼んだぞ」
いつも自分に正直で、感情のままに行動するリカルド。
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