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467 ヴァン 対 フェリックス
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フェリックスは手すりを飛び越えて、ふわりと一階に着地した。
顔を上げてヴァンを見据えるその紫色の目には、静かな殺意が宿っている。
「・・・僕さぁ、弱い者いじめって嫌いなんだよね。でも、国賊のキミ達とは戦わなきゃならない。だからせめて、できるだけ苦しまないように殺してあげようと思ってたんだ・・・」
フェリックスは一歩だけヴァンに近づいた。
口元には笑みを携えているが、体中からヴァンを威圧する強烈な闘気を発している。
「・・・つぅ、こいつは・・・」
フェリックスの闘気を全身にぶつけられたヴァンは、たったそれだけで理解した。
目の前にいるのは女性のように、細く小柄な男だ。
だが、その細く小柄な男は、自分よりはるかに強いと・・・
「でも、あそこまで僕に大口をたたいたんだから、痛くても恨まないでよね?」
フェリックはヴァンに向けるように右手の平を前に出すと、その形の良い口を開いて呟くように言葉を発した。
「いくよ・・・幻想の剣」
突如フェリックスの手元に、まるで虹のように色とりどりで、淡く光る剣が現れた。
「なに!?」
あれがフェリックスの武器か!?
ヴァンがそれを目にした次の瞬間、フェリックスの一振りがヴァンの眼前に迫っていた。
「ッツ!」
ギリギリだった。
ヴァンの反射神経がかろうじて追いつき、頭から斬られるよりほんの一瞬・・・瞬(まばた)きほどの一瞬だけ早く、後ろへ飛ぶ事が間に合った。
「・・・ふ~ん、このくらいは躱せるんだ・・・」
フェリックスは意外そうに呟くと、ヴァンへの認識を改めたのか、口元の笑みが消えて目の色が変わった。
ヴァンは右手に持つナイフを順手に持ち、右半身を前にして構えていた。
その視線はフェリックスだけを真っ直ぐに捉えている。
いや、フェリックスから目を離す事ができないと言った方が正しいだろう。
一瞬でも隙を見せれば首を刎ねられる。その緊張感から、ヴァンの目はフェリックスに釘付けになっていた。
今の一撃は、かろうじて躱す事ができた。
だが、次もその次も、続けて躱しきれるか?
躱せると言い切れるほどあまい攻撃ではなかった。
そして、ヴァンはすでに気付いている。今の一撃もフェリックスは全く本気をだしていない。
様子見程度の一撃だったと・・・
・・・心臓の鼓動が早い。
それはたった今、フェリックスの一撃を躱した事による緊張からくるものだった。
そして、完全に躱しきれたわけではなかった。
額から流れて来る赤い流動体、そう血液である・・・フェリックスの剣は僅かにヴァンの額をかすめていた。
左目に入りそうになった血を左手の甲で拭うが、視線は決してフェリックスからは外さない。
しかしヴァンは、自分から攻撃をしかけても成すすべもなく倒されるジメージしか見えず、ただ待ちで構えている事しかできなかった。
フェリックスはそんなヴァンの様子を黙って眺めていたが、やがて残念そうに、溜息交じり言葉を発した。
「・・・なにかあると思ったんだけどなぁ、がっかりさせてくれるね。あの一撃でもう戦意喪失かい?じゃあ、もう終わらせていいよね?」
ひどくつまらなそうにそう話すフェリックスの目には、落胆の色が浮かび、さっきまでヴァンに対して少なからず見えた興味もすっかり消え失せていた。
フェリックが僅かに重心を下げて攻撃に移ろうとしたその時、ヴァンの横を駆け抜け、フェリックスに襲い掛かる影があった。
「ん!?」
フェリックスがヴァンから視線を移す。
そしてその視線は自分の腰の辺りにまで落とす事になる。
なぜならば、自分に向かってくるその男は、160cm足らずのフェリックスよりも、更に低く腰を落としていたからだ。
「フェンテス!なんのマネだ!?」
フェリックスは驚きに声を上げた。
なぜならば、フェンテスの狙いがまるで読めなかったからだ。
フェンテスがヴァンを助けに入る事は当然だろう。
だが、斬りかかって来るにしろ、どのような攻撃手段であっても、180cmはある長身のフェンテスが、160cmにも満たないフェリックスの腰にまで姿勢を落とし、向かってくるという事が理解できなかった。
まず、ここまで低い姿勢では頭の上を見る事ができない。
つまり、フェリックスがフェンテスの背中に向けて剣を振り下ろしても、それを見る事ができないという事だ。見る事が出来なければ避ける事は不可能。つまり死ぬしかない。
フェリックスが、なんのマネだ!?と声を出す事も、無理のない事だった。
しかし圧倒的に実力差のある、フェリックスに向かうフェンテスの心には、一切の迷いが無かった。
なぜならば、フェンテスは信じていた。
これだけ低い姿勢で突っ込めば、それだけでヴァンに伝わるはずだと信じていたからだ。
そう、それはフェンテスとヴァンの二人があみ出した技・・・・・
「無謀だね!ただの特攻かい!?だったら死ぬしかないよ!」
ナイフの射程に入り、フェンテスが右のナイフを逆手に持ち、フェリックスの右太腿に狙いを付ける。
剣より短いナイフの射程内という事は、当然フェリックスの剣の射程内という事でもある。
無防備にさらけ出しているフェンテスの背中に、虹色に淡く光るフェリックスの幻想の剣が振り下ろされた。
「・・・なっ!?」
幻想の剣がフェンテスの背中を斬るより早く、ヴァンの飛び蹴りがフェリックスの顔に迫り、フェリックスは咄嗟に一歩後ろに飛び退いた。
「ッツ!」
だが、飛び退いたと同時に、フェリックスは右腿に走った鋭い痛みに顔をしかめた。
目を向けて痛みの正体を確認する。
右腿は一の字に斬られ、そこから流れる血がフェリックスの足を赤く染めている。
「・・・僕が、斬られた・・・だと」
信じられないものを見る様に、フェリックスは目を大きく開いて、自分の右脚をじっと見つめた。
「さすがです、隊長」
「へっ、待ってたぜフェンテス。俺は上をやる、お前は下だ」
ヴァンはフェンテスの一歩後ろに立つと、右手のナイフを順手持ち構えた。
「了解しました。見せてやりましょう、俺達の二人掛けを!」
フェンテスは腰を落とすと、フェリックスの足に焦点を定めた。
それはフェンテスとカリウスの二人が、協会でマルコス・ゴンサレスに使った二人技だった。
顔を上げてヴァンを見据えるその紫色の目には、静かな殺意が宿っている。
「・・・僕さぁ、弱い者いじめって嫌いなんだよね。でも、国賊のキミ達とは戦わなきゃならない。だからせめて、できるだけ苦しまないように殺してあげようと思ってたんだ・・・」
フェリックスは一歩だけヴァンに近づいた。
口元には笑みを携えているが、体中からヴァンを威圧する強烈な闘気を発している。
「・・・つぅ、こいつは・・・」
フェリックスの闘気を全身にぶつけられたヴァンは、たったそれだけで理解した。
目の前にいるのは女性のように、細く小柄な男だ。
だが、その細く小柄な男は、自分よりはるかに強いと・・・
「でも、あそこまで僕に大口をたたいたんだから、痛くても恨まないでよね?」
フェリックはヴァンに向けるように右手の平を前に出すと、その形の良い口を開いて呟くように言葉を発した。
「いくよ・・・幻想の剣」
突如フェリックスの手元に、まるで虹のように色とりどりで、淡く光る剣が現れた。
「なに!?」
あれがフェリックスの武器か!?
ヴァンがそれを目にした次の瞬間、フェリックスの一振りがヴァンの眼前に迫っていた。
「ッツ!」
ギリギリだった。
ヴァンの反射神経がかろうじて追いつき、頭から斬られるよりほんの一瞬・・・瞬(まばた)きほどの一瞬だけ早く、後ろへ飛ぶ事が間に合った。
「・・・ふ~ん、このくらいは躱せるんだ・・・」
フェリックスは意外そうに呟くと、ヴァンへの認識を改めたのか、口元の笑みが消えて目の色が変わった。
ヴァンは右手に持つナイフを順手に持ち、右半身を前にして構えていた。
その視線はフェリックスだけを真っ直ぐに捉えている。
いや、フェリックスから目を離す事ができないと言った方が正しいだろう。
一瞬でも隙を見せれば首を刎ねられる。その緊張感から、ヴァンの目はフェリックスに釘付けになっていた。
今の一撃は、かろうじて躱す事ができた。
だが、次もその次も、続けて躱しきれるか?
躱せると言い切れるほどあまい攻撃ではなかった。
そして、ヴァンはすでに気付いている。今の一撃もフェリックスは全く本気をだしていない。
様子見程度の一撃だったと・・・
・・・心臓の鼓動が早い。
それはたった今、フェリックスの一撃を躱した事による緊張からくるものだった。
そして、完全に躱しきれたわけではなかった。
額から流れて来る赤い流動体、そう血液である・・・フェリックスの剣は僅かにヴァンの額をかすめていた。
左目に入りそうになった血を左手の甲で拭うが、視線は決してフェリックスからは外さない。
しかしヴァンは、自分から攻撃をしかけても成すすべもなく倒されるジメージしか見えず、ただ待ちで構えている事しかできなかった。
フェリックスはそんなヴァンの様子を黙って眺めていたが、やがて残念そうに、溜息交じり言葉を発した。
「・・・なにかあると思ったんだけどなぁ、がっかりさせてくれるね。あの一撃でもう戦意喪失かい?じゃあ、もう終わらせていいよね?」
ひどくつまらなそうにそう話すフェリックスの目には、落胆の色が浮かび、さっきまでヴァンに対して少なからず見えた興味もすっかり消え失せていた。
フェリックが僅かに重心を下げて攻撃に移ろうとしたその時、ヴァンの横を駆け抜け、フェリックスに襲い掛かる影があった。
「ん!?」
フェリックスがヴァンから視線を移す。
そしてその視線は自分の腰の辺りにまで落とす事になる。
なぜならば、自分に向かってくるその男は、160cm足らずのフェリックスよりも、更に低く腰を落としていたからだ。
「フェンテス!なんのマネだ!?」
フェリックスは驚きに声を上げた。
なぜならば、フェンテスの狙いがまるで読めなかったからだ。
フェンテスがヴァンを助けに入る事は当然だろう。
だが、斬りかかって来るにしろ、どのような攻撃手段であっても、180cmはある長身のフェンテスが、160cmにも満たないフェリックスの腰にまで姿勢を落とし、向かってくるという事が理解できなかった。
まず、ここまで低い姿勢では頭の上を見る事ができない。
つまり、フェリックスがフェンテスの背中に向けて剣を振り下ろしても、それを見る事ができないという事だ。見る事が出来なければ避ける事は不可能。つまり死ぬしかない。
フェリックスが、なんのマネだ!?と声を出す事も、無理のない事だった。
しかし圧倒的に実力差のある、フェリックスに向かうフェンテスの心には、一切の迷いが無かった。
なぜならば、フェンテスは信じていた。
これだけ低い姿勢で突っ込めば、それだけでヴァンに伝わるはずだと信じていたからだ。
そう、それはフェンテスとヴァンの二人があみ出した技・・・・・
「無謀だね!ただの特攻かい!?だったら死ぬしかないよ!」
ナイフの射程に入り、フェンテスが右のナイフを逆手に持ち、フェリックスの右太腿に狙いを付ける。
剣より短いナイフの射程内という事は、当然フェリックスの剣の射程内という事でもある。
無防備にさらけ出しているフェンテスの背中に、虹色に淡く光るフェリックスの幻想の剣が振り下ろされた。
「・・・なっ!?」
幻想の剣がフェンテスの背中を斬るより早く、ヴァンの飛び蹴りがフェリックスの顔に迫り、フェリックスは咄嗟に一歩後ろに飛び退いた。
「ッツ!」
だが、飛び退いたと同時に、フェリックスは右腿に走った鋭い痛みに顔をしかめた。
目を向けて痛みの正体を確認する。
右腿は一の字に斬られ、そこから流れる血がフェリックスの足を赤く染めている。
「・・・僕が、斬られた・・・だと」
信じられないものを見る様に、フェリックスは目を大きく開いて、自分の右脚をじっと見つめた。
「さすがです、隊長」
「へっ、待ってたぜフェンテス。俺は上をやる、お前は下だ」
ヴァンはフェンテスの一歩後ろに立つと、右手のナイフを順手持ち構えた。
「了解しました。見せてやりましょう、俺達の二人掛けを!」
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