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540 シャノンとの再会
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翌日の朝、俺達は宿の一階の広間で集まり、空いているテーブル席に座り朝食をとった。
パンとベーコンエッグ、そしてスープの朝食らしい朝食だ。
食事をしながらファビアナさんに、昨日の事をお願いすると、ファビアナさんはやはりおどおどしながらも、コクコクと頷いてくれた。
「ところで、そのシャノンって人がどこにいるのか、それは分かってるのかい?」
レイチェルの問いかけに、ファビアナさんが、はい、と小さく返事をすると、またゆっくりと話し出した。
丸一日行動を共にして、ファビアナさんのゆっくりつっかえながらの話し方に、俺達もだいぶ慣れてきた。
彼女は一生懸命話そうとしている。
最初は正直もどかしさも感じていたが、焦らず心に余裕を持って聞く事が大事なんだ。
「は、はい・・・だって、わ、私にこれをくれたのは・・・シャノンさん、です、から」
「え!?」
その返答に声を上げたのはリンジーさんだった。
俺も驚いたが、リンジーさんは一際驚きが強かったようだ。
「え、ウソ?だって、あなた魔道具店でもらったって・・・」
「は、はい・・・その、ま、魔道具店で、シャ、シャノンさんから、も、もらった、んです」
ぐいっと顔を近づけるリンジーさんに、ファビアナさんも一歩引きながら答える。
横で見ていて、俺も目を丸くしてしまった。
ファビアナさんも隠していたわけではないんだろうけど、言葉足らずと言うか、私と行けばシャノンさんに会えますなんて言ってたから、それで伝えたつもりだったんだろう。
「ファビアナ~、あなたって本当にもう!」
リンジーさんが、ちょっとだけ怒っているとアピールするように、指先でファビアナさんのおでこを突いた。
「つまりその魔道具店は、シャノンって人が見てるんだな。なぁ、ファビアナ、そこは服も置いてないかな?見てくれこの袖、まるで半袖だ。おたくのガラハドにボロボロにされて困ってるんだ」
冗談ぽい口調で、レイチェルは両腕を肩の高さまで上げて見せた。
赤と緑のチェックのネルシャツは、肘から先が焼け焦げて無くなっており、レイチェルの言う通り半袖の長さになっていた。
シャツの上に着ていた防寒着はもっとひどい有様だったので、昨日宿に着いた時に処分したらしい。
袖はボロボロだし、前も後ろも破れていたので、俺から見ても、さすがに人前に着て出れる状態ではなかったと思うので、しかたない。
「あ、え、えっと・・・そ、その・・・」
責められていると思ったのか、顔が一気に青ざめて、肩を震わせしどろもどろになるファビアナさんに、正面に座っていたビリージョーさんが身を乗り出して、肩をポンと叩いた。
「あー、落ち着け落ち着け。大丈夫だ。レイチェルはちょっとからかっただけで、全く怒ってねぇからそんな怯えるな。レイチェル、お前ももうこの子にそんな冗談は言うなよ。そういうやりとりをするには、この子にはまだ時間が必要だ」
「あぁ、すまないファビアナ。軽率だった」
ビリージョさんにたしなめられると、レイチェルは素直に謝った。
レイチェルなりに、距離を近づけようとしていった冗談だったようだが、ファビアナさんの心を開くには、まだまだ時間もふれあいも必要という事らしい。
「い、いえ、だ、大丈夫・・・です」
「・・・じゃあ、そろそろ行かないか?城に行かなきゃだしさ」
話しの区切りがついたところで、俺が腰を上げると、みんなも顔を見合わせ席を立った。
「こ、ここです・・・」
宿を出てから城の方へ10分程歩くと、次第に酒場宿が少なくなり、武器屋、防具屋、道具屋が目立つようになってくる。その中の一角にその店はあった。
アラルコン魔道具店。そのままの名前だった。
出入口には青の船団のプレートが掲げられていて、アラルコン商会が青の船団と同系列だと一目で分かる。
「へぇ~、立派な店じゃないか。人もけっこう入ってるね?」
大きさで言えば100坪くらいはあるだろうか。箱型でシンプルな、石造りの店だ。
立ち並ぶ周囲の店の2倍とはまではいかないが、1.5倍くらいはある。
レイチェルが窓から店内を見て、誰に言うでもなくそう声を出した。
俺達が宿を出たのは8時頃だったから、単純計算で今は8時10分から15分くらいだろう。
この時間なのに、すでに店の中には10人以上は入っている。
クインズベリーの店も、冬になるに連れて開店時間が早くなっているが、ロンズデールも同じらしい。
俺も外から店内を見ていると、みんな店に入って行くので、置いて行かれないように俺もドアに手をかけ店に入る。
二階は無く、店の中は天井が高く、発光石の明かりが店内に十分にいきわたっていて、とても明るかった。
腰の高さのガラス張りのショーケースの中には、回復薬や、キズ薬、魔力回復促進薬。回復系の魔道具が沢山置いてあった。
左右の壁には板の置台が打ち付けられていて、沢山の水を圧縮して持ち運べる筒や、おなじみのクリーンなど、生活系の魔道具がところ狭しと並べられている。
店内奥にレジカウンターがあって、攻撃系の魔道具はその後ろの棚にあった。
どうやら店員さんに言って、見せてもらうようだ。安全性から言えばそれがいいだろう。
しかし、今レジにはシャノンさんではなく、若い男性店員が立っていた。
シャノンさんはいないのかなと、グルリと店内を見回していると、いつの間にか隣に立っていたファビアナさんが、勇気を振り絞るような声で話しかけて来た。
「あ・・・あの、その・・・シ、シャノンさん、は・・・いつも、奥にいて、こ、固定のお客が、来ないと、出ません」
そう言うと、俺に付いて来いと言うように、レジに向かって歩き出した。
レイチェル達は店内を自由に見ているし、俺もそのままファビアナさんに付いて行く。
レジに近づくと、男性店員がファビアナさんに気が付き、笑いかけてきた。
「あ、ファビアナさん。いらっしゃいませ。今日は何をお求めですか?」
行き付けと言っていたし、顔なじみのようだ。
話しかけられると、ファビアナさんは遠慮がちにローブの中から水色の布袋を取って見せた。
「・・・シャノン様との面会をご希望ですか?どのようなご用件でしょうか?」
物腰は柔らかく、口調も友好的で丁寧だが、顔つきが変わった。
企業の受付や、秘書のような印象だ。いかに馴染みのあるお客であってもキチンと用件を聞いてから通す。教育が行き届いてる証拠だろう。
用件を聞かれたファビアナさんが、俺に視線を送ると、男性店員も俺に顔を向けた。
じろじろ見るような不快な視線ではないが、顔を覚えるかのようにしっかりと眼を見てくる。
「あ、俺はサカキ・アラタと言います。前にクインズベリーで海の宝石を買った事があって、その時俺もこの布袋もらったんですが、今日は持ってきてなくて。せっかく来たんだしシャノンさんに挨拶と思ったんです」
「そうでしたか。特別会員証をお持ちのファビアナさんがご一緒でしたら、お取り次ぎしましょう。少々お待ちください」
そう言って男性店員は近くにいた女性店員にレジを引き継ぐと、カウンター奥の従業員用らしき通路に入って行った。
「ファビアナさん、ありがとう」
暗に、本当は特別会員証を持っていないと、本当は取次ぎをしない。と言う事を口にされ、ファビアナさんのおかげで特別対応をしてもらった事にお礼を言う。
「い、いえ・・・お、お役に立てて、良かったです」
「なんか、知り合ったばかりなのに、色々助けてもらってばっかりだね。昨日は、俺やレイチェルもヒールをかけてもらったし、本当にありがとう」
昨日の戦闘の後、俺もレイチェルも、ファビアナさんのヒールで怪我を治してもらったのだ。
レイチェルが言うには、カチュアやユーリと並ぶレベルの魔力らしい。
「・・・・・はい」
続けてお礼を口にすると、ファビアナさんは真っ赤になって帽子を掴み下げ、顔を完全に隠してしまった。かなりの恥ずかしがり屋でもあるようだ。
そうしてレジの脇で二人で立っていると、やがて奥の通路から話し声が聞こえて来た。
「あちらです」
最初に出て来たのは、さっきの若い男性店員で、案内するように俺達に左手を向けている。
「あら、久しぶりだね」
少しクセのあるショートの黒髪に黒い瞳。健康的な褐色の肌。
南米系を思わせる肌の色とは対照的に、白いケーブル編みのセーターに、インディゴのデニムを穿いている。
シャノン・アラルコンは、旧友に会うような気安さで右手を顔の横で軽く振った。
パンとベーコンエッグ、そしてスープの朝食らしい朝食だ。
食事をしながらファビアナさんに、昨日の事をお願いすると、ファビアナさんはやはりおどおどしながらも、コクコクと頷いてくれた。
「ところで、そのシャノンって人がどこにいるのか、それは分かってるのかい?」
レイチェルの問いかけに、ファビアナさんが、はい、と小さく返事をすると、またゆっくりと話し出した。
丸一日行動を共にして、ファビアナさんのゆっくりつっかえながらの話し方に、俺達もだいぶ慣れてきた。
彼女は一生懸命話そうとしている。
最初は正直もどかしさも感じていたが、焦らず心に余裕を持って聞く事が大事なんだ。
「は、はい・・・だって、わ、私にこれをくれたのは・・・シャノンさん、です、から」
「え!?」
その返答に声を上げたのはリンジーさんだった。
俺も驚いたが、リンジーさんは一際驚きが強かったようだ。
「え、ウソ?だって、あなた魔道具店でもらったって・・・」
「は、はい・・・その、ま、魔道具店で、シャ、シャノンさんから、も、もらった、んです」
ぐいっと顔を近づけるリンジーさんに、ファビアナさんも一歩引きながら答える。
横で見ていて、俺も目を丸くしてしまった。
ファビアナさんも隠していたわけではないんだろうけど、言葉足らずと言うか、私と行けばシャノンさんに会えますなんて言ってたから、それで伝えたつもりだったんだろう。
「ファビアナ~、あなたって本当にもう!」
リンジーさんが、ちょっとだけ怒っているとアピールするように、指先でファビアナさんのおでこを突いた。
「つまりその魔道具店は、シャノンって人が見てるんだな。なぁ、ファビアナ、そこは服も置いてないかな?見てくれこの袖、まるで半袖だ。おたくのガラハドにボロボロにされて困ってるんだ」
冗談ぽい口調で、レイチェルは両腕を肩の高さまで上げて見せた。
赤と緑のチェックのネルシャツは、肘から先が焼け焦げて無くなっており、レイチェルの言う通り半袖の長さになっていた。
シャツの上に着ていた防寒着はもっとひどい有様だったので、昨日宿に着いた時に処分したらしい。
袖はボロボロだし、前も後ろも破れていたので、俺から見ても、さすがに人前に着て出れる状態ではなかったと思うので、しかたない。
「あ、え、えっと・・・そ、その・・・」
責められていると思ったのか、顔が一気に青ざめて、肩を震わせしどろもどろになるファビアナさんに、正面に座っていたビリージョーさんが身を乗り出して、肩をポンと叩いた。
「あー、落ち着け落ち着け。大丈夫だ。レイチェルはちょっとからかっただけで、全く怒ってねぇからそんな怯えるな。レイチェル、お前ももうこの子にそんな冗談は言うなよ。そういうやりとりをするには、この子にはまだ時間が必要だ」
「あぁ、すまないファビアナ。軽率だった」
ビリージョさんにたしなめられると、レイチェルは素直に謝った。
レイチェルなりに、距離を近づけようとしていった冗談だったようだが、ファビアナさんの心を開くには、まだまだ時間もふれあいも必要という事らしい。
「い、いえ、だ、大丈夫・・・です」
「・・・じゃあ、そろそろ行かないか?城に行かなきゃだしさ」
話しの区切りがついたところで、俺が腰を上げると、みんなも顔を見合わせ席を立った。
「こ、ここです・・・」
宿を出てから城の方へ10分程歩くと、次第に酒場宿が少なくなり、武器屋、防具屋、道具屋が目立つようになってくる。その中の一角にその店はあった。
アラルコン魔道具店。そのままの名前だった。
出入口には青の船団のプレートが掲げられていて、アラルコン商会が青の船団と同系列だと一目で分かる。
「へぇ~、立派な店じゃないか。人もけっこう入ってるね?」
大きさで言えば100坪くらいはあるだろうか。箱型でシンプルな、石造りの店だ。
立ち並ぶ周囲の店の2倍とはまではいかないが、1.5倍くらいはある。
レイチェルが窓から店内を見て、誰に言うでもなくそう声を出した。
俺達が宿を出たのは8時頃だったから、単純計算で今は8時10分から15分くらいだろう。
この時間なのに、すでに店の中には10人以上は入っている。
クインズベリーの店も、冬になるに連れて開店時間が早くなっているが、ロンズデールも同じらしい。
俺も外から店内を見ていると、みんな店に入って行くので、置いて行かれないように俺もドアに手をかけ店に入る。
二階は無く、店の中は天井が高く、発光石の明かりが店内に十分にいきわたっていて、とても明るかった。
腰の高さのガラス張りのショーケースの中には、回復薬や、キズ薬、魔力回復促進薬。回復系の魔道具が沢山置いてあった。
左右の壁には板の置台が打ち付けられていて、沢山の水を圧縮して持ち運べる筒や、おなじみのクリーンなど、生活系の魔道具がところ狭しと並べられている。
店内奥にレジカウンターがあって、攻撃系の魔道具はその後ろの棚にあった。
どうやら店員さんに言って、見せてもらうようだ。安全性から言えばそれがいいだろう。
しかし、今レジにはシャノンさんではなく、若い男性店員が立っていた。
シャノンさんはいないのかなと、グルリと店内を見回していると、いつの間にか隣に立っていたファビアナさんが、勇気を振り絞るような声で話しかけて来た。
「あ・・・あの、その・・・シ、シャノンさん、は・・・いつも、奥にいて、こ、固定のお客が、来ないと、出ません」
そう言うと、俺に付いて来いと言うように、レジに向かって歩き出した。
レイチェル達は店内を自由に見ているし、俺もそのままファビアナさんに付いて行く。
レジに近づくと、男性店員がファビアナさんに気が付き、笑いかけてきた。
「あ、ファビアナさん。いらっしゃいませ。今日は何をお求めですか?」
行き付けと言っていたし、顔なじみのようだ。
話しかけられると、ファビアナさんは遠慮がちにローブの中から水色の布袋を取って見せた。
「・・・シャノン様との面会をご希望ですか?どのようなご用件でしょうか?」
物腰は柔らかく、口調も友好的で丁寧だが、顔つきが変わった。
企業の受付や、秘書のような印象だ。いかに馴染みのあるお客であってもキチンと用件を聞いてから通す。教育が行き届いてる証拠だろう。
用件を聞かれたファビアナさんが、俺に視線を送ると、男性店員も俺に顔を向けた。
じろじろ見るような不快な視線ではないが、顔を覚えるかのようにしっかりと眼を見てくる。
「あ、俺はサカキ・アラタと言います。前にクインズベリーで海の宝石を買った事があって、その時俺もこの布袋もらったんですが、今日は持ってきてなくて。せっかく来たんだしシャノンさんに挨拶と思ったんです」
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そう言って男性店員は近くにいた女性店員にレジを引き継ぐと、カウンター奥の従業員用らしき通路に入って行った。
「ファビアナさん、ありがとう」
暗に、本当は特別会員証を持っていないと、本当は取次ぎをしない。と言う事を口にされ、ファビアナさんのおかげで特別対応をしてもらった事にお礼を言う。
「い、いえ・・・お、お役に立てて、良かったです」
「なんか、知り合ったばかりなのに、色々助けてもらってばっかりだね。昨日は、俺やレイチェルもヒールをかけてもらったし、本当にありがとう」
昨日の戦闘の後、俺もレイチェルも、ファビアナさんのヒールで怪我を治してもらったのだ。
レイチェルが言うには、カチュアやユーリと並ぶレベルの魔力らしい。
「・・・・・はい」
続けてお礼を口にすると、ファビアナさんは真っ赤になって帽子を掴み下げ、顔を完全に隠してしまった。かなりの恥ずかしがり屋でもあるようだ。
そうしてレジの脇で二人で立っていると、やがて奥の通路から話し声が聞こえて来た。
「あちらです」
最初に出て来たのは、さっきの若い男性店員で、案内するように俺達に左手を向けている。
「あら、久しぶりだね」
少しクセのあるショートの黒髪に黒い瞳。健康的な褐色の肌。
南米系を思わせる肌の色とは対照的に、白いケーブル編みのセーターに、インディゴのデニムを穿いている。
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