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805 残ったメンバーでの話し合い ①
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「暴徒は全部取り押さえて、治安部隊と騎士団が城に連れて行ったようだぜ」
従業員用の出入口を開けて、ジャレットは事務所に足を入れた。
「そう、じゃあとりあえず外の心配はなくなったわね」
外を見回りして来たジャレットからの報告を聞いて、シルヴィアは冷たいお茶をカップに注いで手渡した。
今レイジェスの事務所には、シルヴィアとジャレットの二人だけである。
「ありがと・・・で、レイチーは?」
ジャレットの声のトーンが低くなる。表情も硬く、容態が悪いだろうという事は察しているのだ。
「・・・とりあえず座って、説明するわ」
シルヴィアはイスを引いて座るように促すと、自分はその正面の席に腰を下ろした。
「・・・あぁ、そうだな」
冷たいお茶で喉を潤すと、頭も少し冷えたようだ。
自分がどれだけ気を張っていたかが分かる。
「まず、命は助かったわ。ケイトの的確な指示と、エルウィンが急いでくれたおかげね。万一のために充血剤を確保しておいて良かったわ」
「そうか・・・レイチー助かったか・・・良かった、本当に」
シルヴィアの言葉を聞いて、ジャレットはホッと息を付いた。
「・・・でも、まだ意識はもどってないわ。店長が言うには、そうとう無理して戦ったみたいだから、数日は意識が戻らないかもって。それに、意識が戻った後も、しばらくは安静にしなきゃならないみたいよ。復帰には時間がかかるわ」
シルヴィアは額に手を当て、少しだけ俯いて話した。
危険な状態だったが、充血剤が間に合ってレイチェルは命を取り留めた。
しかし楽観視はできない。駆け付けたバリオスの見立てでは、命が助かった事もギリギリのタイミングだっただけに、いつ様態が変化してもおかしくないとも言っていたのだから。
「・・・それでね、レイチェルだけど、店長が連れて行ったわ。ある程度回復するまで、付きっ切りで看病するみたいよ」
「お、そうなのか?それなら安心だな。店長が看るんなら間違いねぇよ。んで、連れてったってのは城にか?」
「いいえ、レイチェルの家よ」
「レイチーの家?・・・おい、それって・・・実家だったよな?今の状態で・・・」
首を横に振って、シルヴィアは窓の外に目を向けた。
どこか悲しそうな目で遠くを見る。その表情にジャレットは、シルヴィアの気持ちを察して言葉を止めた。
「・・・店長って、なんでいつもああなのかしら。言ってくれれば私が代わりに行くのに。こういう時、いつも自分が前に立つのよね。店長を見てると・・・わざと自分を傷つけてるのかなって思う時があるわ」
レイチェルは両親と一緒に住んでいる。
最近は忙しくて城に泊り込みになっていた娘が、久しぶりに帰って来たかと思えば、死にかけて意識不明となれば、普通の親はどう思うだろうか・・・・・。
当然悲しむだろう。怒るだろう。なんでこうなった!?どうして護ってくれなかった!?
バリオスのせいではないと分かっていても、辛い気持ちをぶつける相手は他にいないのだ。
元気になるまで城で預かる事もできる。
回復してから、顔を見せに行けば心配をかける事もない。そうした方が、バリオスにとっても楽な道だった。
だがバリオスは、レイチェルの両親に怒られるために行ったのだ。
「・・・シーちゃんだけじゃねぇよ。俺だって、誰だって店長の代わりに謝りに行くって。本当に、なんで店長って自分にあんな厳しいんだよ」
「・・・店長ね、大切な一人娘が危険な状態なのに、隠しておくなんてできない。それに一日でも早く回復するためには、環境も大事だって言ってたの・・・・・確かに、ゆっくりするなら自分の家が一番よね。ご両親が一緒に声をかけて看てくれるなら、それがレイチェルにとって力になるわ・・・」
そこで会話が止まり、二人はカップに口を付けた。
レイチェルが命を取り留めた事は嬉しい事だが、現状を考えれば手放しで喜べるものでもない。
難しい問題も山積みで、今後の事を考えて二人は頭を整理していた。
「・・・お店だけど、店長は私とジャレット、ミゼルの三人で話しあって回してくれって言ってたの。だからこれまで通り、ジャレットが店長代理でお願いするわ。私とミゼルはあなたをフォローするから。それと、今回の暴徒の騒ぎで怪我をした町の人には、無償で傷薬を配ってくれって言ってたわ。ご近所さんは私が回ってみるから。みんなにもそう話しておくわね」
「そうか。うん、じゃあカっちゃんの負担がちょっと増えるな、傷薬ばかり作るわけにはいかねぇし、ユーリンは補助系の魔道具作りのが得意だからな。まぁエっちゃんもいるし、俺がヘタに口出すより、そのへんは白魔法の三人で話し合ってやってもらうか」
「そうね、あとは・・・」
ジャレットとシルヴィアが今後について話していると、事務所のドアがノックされて、アラタとカチュアが入って来た。
「あら、アラタ君、もう大丈夫なの?」
「あ、はい。ご心配おかけしました。だいぶ体も楽になったので、もう大丈夫です」
事務所に入ると、アラタはジャレットとシルヴィアに頭を下げた。
「そりゃ良かった。ミッチーに肩借りて、フラフラしながら戻って来た時には、どうしたのかと思ったぜ。まぁでも、その顔見ると本当にもう大丈夫みたいだな?」
アラタの顔色や表情を見て、その精神状態が落ち着いた事を見ると、ジャレットは表情を柔らかく、笑って見せた。
「はい。こんな大変な時に、俺の事で迷惑かけちゃって・・・本当にすみませんでした」
「おいおい、そんな謝んなって。俺らに謝るより、カっちゃんに感謝しとけ。カッちゃんがアラやんを戻してくれたんだろ?もう悲しませんじゃねぇぞ?」
ジャレットがアラタの体を支えるようにして、隣に立つカチュアに目を向けると、アラタはカチュアに顔を向けて、笑顔を見せた。
「・・・うん。カチュア、本当にありがとう。俺、もう大丈夫だよ。カチュアが傍にいてくれたら、もう自分を見失う事はないよ」
「アラタ君・・・うん、私はずっとアラタ君と一緒だからね。辛い時は私が支えるから」
「うへぇ~~~、なんだこの甘ったるい空間は?おいユーリ、ビターチョコもってねぇか?」
「持ってない。今日はミルクチョコだけ」
事務所の出入口でアラタとカチュアが見つめ合っていると、後ろからリカルドの、いかにも面倒くさそうに間延びした声が割って入ってきた。
「うわっ、リ、リカルド!」
「ユーリ!」
「はいはい、イチャイチャすんなら外でやれよな」
アラタとカチュアがびっくりして振り返ると、リカルドが二人の間を掻き分けるようにして事務所に入った。
「おう、リカルード、どうした?」
右手を挙げて、軽い調子で声をかけるジャレットに、リカルドがツカツカと速足で近づいた。
「ジャレット、てめぇ本当にぶっ飛ばすぞ?伸ばすな。なぁ、前にも言ったよな?リカルードじゃねぇ。リカルドだ。いいか?伸ばすんじゃねぇぞ」
自分の呼ばれ方が気に入らないリカルドは、ジャレットの鼻先に指を突きつけて睨みつけた。
何度も念を押すところを見ると、本当に心底気に入らないようだ。
「おいおい、そんな怒るなよ。もうリカルードで浸透してるんだし、今更じゃねぇか?」
「浸透してねぇし!そう呼んでんのお前だけだからな!」
「はぁー・・・ちょっと静かにしてちょうだい。リカルド、それでどうしたの?暴徒のせいで店がどこか破損してないか見回って来たんでしょ?なにかあったの?」
ジャレットとリカルドのやり取りが、グダグダになりそうなところを見て、シルヴィアが間に入って用件をたずねた。
「ん?ああ、いや、それは結局なんも無かったんだわ。ジーンとか他のみんなも見回ってたけど、店の中も外も、どこも壊れたりしてねぇみたいだったから、そろそろここに来んじゃねぇの?だからよ、これからどうすんの?そこ決めようぜって思ってよ」
リカルドはジャレットをもう一度睨みつけると、空いているイスに腰をかけた。
ユーリも黙ってリカルドの隣に座るので、アラタとカチュアも自然と空いているイスに座った。
自然と話し合いの空気になったところで、ミゼル、ジーン、アゲハ、ケイトの四人が揃って事務所に入って来る。
「あら、お疲れ様。タイミングがいいわね」
「あ、もうみんな揃ってんだ?」
シルヴィアが声をかけると、ミゼルは事務所内に自分達以外、全員が集まっている事を見て口を開いた。
「タイミング?何の事?」
ケイトがシルヴィアの隣のイスを引きながら聞くと、シルヴィアは全員が座るのを待って話し出した。
「今ね、リカルドからこの先どうするのかって聞かれたの。ちょうど全員揃ったし、みんなで話し合いましょう」
シルヴィアの仕切りで、話し合いが始まった。
従業員用の出入口を開けて、ジャレットは事務所に足を入れた。
「そう、じゃあとりあえず外の心配はなくなったわね」
外を見回りして来たジャレットからの報告を聞いて、シルヴィアは冷たいお茶をカップに注いで手渡した。
今レイジェスの事務所には、シルヴィアとジャレットの二人だけである。
「ありがと・・・で、レイチーは?」
ジャレットの声のトーンが低くなる。表情も硬く、容態が悪いだろうという事は察しているのだ。
「・・・とりあえず座って、説明するわ」
シルヴィアはイスを引いて座るように促すと、自分はその正面の席に腰を下ろした。
「・・・あぁ、そうだな」
冷たいお茶で喉を潤すと、頭も少し冷えたようだ。
自分がどれだけ気を張っていたかが分かる。
「まず、命は助かったわ。ケイトの的確な指示と、エルウィンが急いでくれたおかげね。万一のために充血剤を確保しておいて良かったわ」
「そうか・・・レイチー助かったか・・・良かった、本当に」
シルヴィアの言葉を聞いて、ジャレットはホッと息を付いた。
「・・・でも、まだ意識はもどってないわ。店長が言うには、そうとう無理して戦ったみたいだから、数日は意識が戻らないかもって。それに、意識が戻った後も、しばらくは安静にしなきゃならないみたいよ。復帰には時間がかかるわ」
シルヴィアは額に手を当て、少しだけ俯いて話した。
危険な状態だったが、充血剤が間に合ってレイチェルは命を取り留めた。
しかし楽観視はできない。駆け付けたバリオスの見立てでは、命が助かった事もギリギリのタイミングだっただけに、いつ様態が変化してもおかしくないとも言っていたのだから。
「・・・それでね、レイチェルだけど、店長が連れて行ったわ。ある程度回復するまで、付きっ切りで看病するみたいよ」
「お、そうなのか?それなら安心だな。店長が看るんなら間違いねぇよ。んで、連れてったってのは城にか?」
「いいえ、レイチェルの家よ」
「レイチーの家?・・・おい、それって・・・実家だったよな?今の状態で・・・」
首を横に振って、シルヴィアは窓の外に目を向けた。
どこか悲しそうな目で遠くを見る。その表情にジャレットは、シルヴィアの気持ちを察して言葉を止めた。
「・・・店長って、なんでいつもああなのかしら。言ってくれれば私が代わりに行くのに。こういう時、いつも自分が前に立つのよね。店長を見てると・・・わざと自分を傷つけてるのかなって思う時があるわ」
レイチェルは両親と一緒に住んでいる。
最近は忙しくて城に泊り込みになっていた娘が、久しぶりに帰って来たかと思えば、死にかけて意識不明となれば、普通の親はどう思うだろうか・・・・・。
当然悲しむだろう。怒るだろう。なんでこうなった!?どうして護ってくれなかった!?
バリオスのせいではないと分かっていても、辛い気持ちをぶつける相手は他にいないのだ。
元気になるまで城で預かる事もできる。
回復してから、顔を見せに行けば心配をかける事もない。そうした方が、バリオスにとっても楽な道だった。
だがバリオスは、レイチェルの両親に怒られるために行ったのだ。
「・・・シーちゃんだけじゃねぇよ。俺だって、誰だって店長の代わりに謝りに行くって。本当に、なんで店長って自分にあんな厳しいんだよ」
「・・・店長ね、大切な一人娘が危険な状態なのに、隠しておくなんてできない。それに一日でも早く回復するためには、環境も大事だって言ってたの・・・・・確かに、ゆっくりするなら自分の家が一番よね。ご両親が一緒に声をかけて看てくれるなら、それがレイチェルにとって力になるわ・・・」
そこで会話が止まり、二人はカップに口を付けた。
レイチェルが命を取り留めた事は嬉しい事だが、現状を考えれば手放しで喜べるものでもない。
難しい問題も山積みで、今後の事を考えて二人は頭を整理していた。
「・・・お店だけど、店長は私とジャレット、ミゼルの三人で話しあって回してくれって言ってたの。だからこれまで通り、ジャレットが店長代理でお願いするわ。私とミゼルはあなたをフォローするから。それと、今回の暴徒の騒ぎで怪我をした町の人には、無償で傷薬を配ってくれって言ってたわ。ご近所さんは私が回ってみるから。みんなにもそう話しておくわね」
「そうか。うん、じゃあカっちゃんの負担がちょっと増えるな、傷薬ばかり作るわけにはいかねぇし、ユーリンは補助系の魔道具作りのが得意だからな。まぁエっちゃんもいるし、俺がヘタに口出すより、そのへんは白魔法の三人で話し合ってやってもらうか」
「そうね、あとは・・・」
ジャレットとシルヴィアが今後について話していると、事務所のドアがノックされて、アラタとカチュアが入って来た。
「あら、アラタ君、もう大丈夫なの?」
「あ、はい。ご心配おかけしました。だいぶ体も楽になったので、もう大丈夫です」
事務所に入ると、アラタはジャレットとシルヴィアに頭を下げた。
「そりゃ良かった。ミッチーに肩借りて、フラフラしながら戻って来た時には、どうしたのかと思ったぜ。まぁでも、その顔見ると本当にもう大丈夫みたいだな?」
アラタの顔色や表情を見て、その精神状態が落ち着いた事を見ると、ジャレットは表情を柔らかく、笑って見せた。
「はい。こんな大変な時に、俺の事で迷惑かけちゃって・・・本当にすみませんでした」
「おいおい、そんな謝んなって。俺らに謝るより、カっちゃんに感謝しとけ。カッちゃんがアラやんを戻してくれたんだろ?もう悲しませんじゃねぇぞ?」
ジャレットがアラタの体を支えるようにして、隣に立つカチュアに目を向けると、アラタはカチュアに顔を向けて、笑顔を見せた。
「・・・うん。カチュア、本当にありがとう。俺、もう大丈夫だよ。カチュアが傍にいてくれたら、もう自分を見失う事はないよ」
「アラタ君・・・うん、私はずっとアラタ君と一緒だからね。辛い時は私が支えるから」
「うへぇ~~~、なんだこの甘ったるい空間は?おいユーリ、ビターチョコもってねぇか?」
「持ってない。今日はミルクチョコだけ」
事務所の出入口でアラタとカチュアが見つめ合っていると、後ろからリカルドの、いかにも面倒くさそうに間延びした声が割って入ってきた。
「うわっ、リ、リカルド!」
「ユーリ!」
「はいはい、イチャイチャすんなら外でやれよな」
アラタとカチュアがびっくりして振り返ると、リカルドが二人の間を掻き分けるようにして事務所に入った。
「おう、リカルード、どうした?」
右手を挙げて、軽い調子で声をかけるジャレットに、リカルドがツカツカと速足で近づいた。
「ジャレット、てめぇ本当にぶっ飛ばすぞ?伸ばすな。なぁ、前にも言ったよな?リカルードじゃねぇ。リカルドだ。いいか?伸ばすんじゃねぇぞ」
自分の呼ばれ方が気に入らないリカルドは、ジャレットの鼻先に指を突きつけて睨みつけた。
何度も念を押すところを見ると、本当に心底気に入らないようだ。
「おいおい、そんな怒るなよ。もうリカルードで浸透してるんだし、今更じゃねぇか?」
「浸透してねぇし!そう呼んでんのお前だけだからな!」
「はぁー・・・ちょっと静かにしてちょうだい。リカルド、それでどうしたの?暴徒のせいで店がどこか破損してないか見回って来たんでしょ?なにかあったの?」
ジャレットとリカルドのやり取りが、グダグダになりそうなところを見て、シルヴィアが間に入って用件をたずねた。
「ん?ああ、いや、それは結局なんも無かったんだわ。ジーンとか他のみんなも見回ってたけど、店の中も外も、どこも壊れたりしてねぇみたいだったから、そろそろここに来んじゃねぇの?だからよ、これからどうすんの?そこ決めようぜって思ってよ」
リカルドはジャレットをもう一度睨みつけると、空いているイスに腰をかけた。
ユーリも黙ってリカルドの隣に座るので、アラタとカチュアも自然と空いているイスに座った。
自然と話し合いの空気になったところで、ミゼル、ジーン、アゲハ、ケイトの四人が揃って事務所に入って来る。
「あら、お疲れ様。タイミングがいいわね」
「あ、もうみんな揃ってんだ?」
シルヴィアが声をかけると、ミゼルは事務所内に自分達以外、全員が集まっている事を見て口を開いた。
「タイミング?何の事?」
ケイトがシルヴィアの隣のイスを引きながら聞くと、シルヴィアは全員が座るのを待って話し出した。
「今ね、リカルドからこの先どうするのかって聞かれたの。ちょうど全員揃ったし、みんなで話し合いましょう」
シルヴィアの仕切りで、話し合いが始まった。
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