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831 バリオスの大事な話し
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「すまないが、今日は自由にさせてくれ。久しぶりだし、店の中がどうなっているか見たいんだ」
みんなとの挨拶も済んで、そろそろ仕事に戻ろうかという頃の、レイチェルの申し出だった。
二週間近く店を離れていたわけだから、その間に当然商品も変わっている。
レイジェスオリジナルもあるし、仕入れの定番商品もあるが、買い取りがあるのだから、毎日のように入れ替わりがあるのだ。
「おう、全然いいぞ。て言うか、病み上がりなんだから、いきなり売り場に立つ事ねぇって。今日は自由に動いてろよ」
ミゼルさんが代表するように承諾の意を伝える。
営業時間もあと3~4時間だし、今日のところは店内を見て回って、新しい商品や、最近の売れ行きの確認をしてもらった方がいいだろう。
他のみんなも同じ考えのようで、分かった、大丈夫だよ、と了承の言葉を口にしている。
「みんな、ありがとう。それとな、店長なんだが今日は城に行ったんだ。私が回復した事の報告でな。今日の営業終了後にこっちに顔を出すと言っていたんだが・・・・・全員店に泊まれるのであれば、話したい事があると言っていた」
重要な話しだという事は、レイチェルの口ぶりで察せられた。
レイチェルは店長から伝言を受け取った時、何か感じるものがあったんだろう。
全員揃って店に泊まれる事を条件に出している事から、とても長い話しになる事も分かる。
そして俺とレイチェルは、店長の正体についてほぼ確信しているからこそ、店長が何を話そうとしているのか、予想もついていた。
だから俺は、レイチェルが少し躊躇ったように話す事も理解できた。
これまでずっと口を閉ざしていた事を、なぜ今このタイミングで打ち明ける事にしたのか?
やはり戦争が関係しているのか?と・・・・・
「レイチェル、それって私がいてもいいの?」
アゲハが自分を指差しながらたずねる。
大事な話しだというのは分かった。だがレイジェスに来て一か月も経っていない自分が、そこにいてもいいのだろうか?そういう考えなのだろう。
「もちろんだ。レイジェスのメンバー全員が揃っている事が条件なんだ。アゲハももうレイジェスだろ?遠慮する事はないさ。ただエルは幼すぎるし、聞かせられる話しではないようだから、エルがいたら今日は帰ってもらおうと思ったけど・・・今日は休みのようだな」
丁度エルちゃん以外、全員出勤の日だった。
いや、事前にシフトを確認して、今日が全員出勤だから、あえて今日を選んだのかもしれない。
「そうか・・・分かった。私の都合は大丈夫だ」
認められたのが嬉しかったのか、口元に少し笑みが浮かぶ。
アゲハに続くように、みんなそれぞれ泊まれる事を伝えると、レイチェルは満足したようにうなずいた。
「全員大丈夫みたいで良かったよ。あ、ジャレットとシルヴィアが今売り場に出てるんだったな?あの二人にはあとで聞いておこう、まぁ大丈夫だと思うけどね」
現在責任者の二人は、店に何かある時は私用より店を優先する。
レイチェルはそれを知っているから、二人への確認は最後で大丈夫と見ていた。
じゃあ、そろそろ店にもどろうか。レイチェルのその一言でみんなが売り場へと戻って行った。
そして18時30分、閉店の時間となり店を閉めると、女性達がいつものように料理を始めた。
店に泊まった時は恒例となった風景だ。
レイジェスの女性達は、ほとんどみんな料理好きなのだ。
その中でも、特にシルヴィアとケイトはすごい。頭一つ抜き出ている。
シルヴィアは料理が好きで覚えていったと言うが、ケイトはジーンに美味しい物を食べてもらうためが理由だから、いかにジーンが愛されているか分かる。
レイチェルもカチュアも十分美味しい物を作っているし、レパートリーも多いが、シルヴィアとケイトには適わないと言っている。この二人がいかにすごいか分かる。
「みんなすごいなぁ~、私は大人しくおにぎりでも作ってた方がいいね」
キッチンに立つ四人を見て、アゲハは感嘆の息をついた。
自分も料理ができないわけではないが、普通の家庭料理を人並できるというくらいだ。
しかしこの四人の腕は段違いだ。特にシルヴィアとケイトは店でも出したらどうだ?というくらいにすごい。手伝う隙もないため、アゲハは黙って単純作業でもしていた方がいいと判断した。
事務所の長テーブルで、アゲハがおにぎりを作っている隣では、同じ結論にいたったユーリが、皿に並んだ食材をパンに挟んでサンドイッチを作っている。
アゲハがチラリとユーリに目を向けると、視線に気づいたユーリが、共感するようにフッと笑った。
「・・・アゲハとは気が合いそう」
「あははは、そうだね。こった料理はあの四人にまかせようか」
アゲハとユーリにも連帯感が芽生え、事務所は和やかな雰囲気で、女性達による料理作りが行われた。
「おーい、アラやん、そっちどうだ?」
「あ、はい!ちょうど終わったとこです」
女性達が夕食の準備をしている間、男達で店の締め作業を行っていた。
外のゴミ拾いと掃き掃除をやっていたアラタは、ジャレットの呼ばれて言葉を返す。
「こっちも終わったところだ。じゃあシャッター閉めるから中に入れよ」
はい、と返事をして店内に入ると、後ろでジャレットがシャッターを下ろす音が聞こえる。
出入口から入っていた陽の光も遮られ、店内の暗さが一段深くなる。
「・・・閉店後の店内って、やっぱり静かですね」
「ん、あぁ、そうだよな。昼間あんだけ大勢のお客さんいて、うるさいくらいだもんな。んで閉店するとシーンってなるからよ、俺も閉店の時はいつも静かだなって思うぜ」
「おーい、ジャレット、各部門のレジ閉めも終わったぜ。これで日誌もつけといた」
黒魔法コーナーの方から、ミゼルさんが手を振って歩いて来た。
左手に日誌を持っていて、各部門の締め作業は全部終わったと言っている。
「おぅ、悪いな。助かったぜメインレジは俺が閉めといたから」
片手を上げて、お礼を口にすると、ジーンとリカルドも反対側の通路から歩いて来た。
「こっちの鍵閉めは終わったぞ。モップもかけといた」
両手を頭の後ろで組んで、リカルドは、くたびれた、と天井に向かって呟く。
「そっちも全部終わったみたいだね。じゃあ事務所に行こうか?」
店内締め作業が終わった事を確認して、ジーンは事務所を指差した。
「おう!早く行こうぜ!俺もう腹がペコペコでよぉ~、ほら、もたもたすんなよ!」
誰よりも早く反応して、リカルドは事務所へと駆けこんで行った。
「うへぇ~・・・なんで、食っちゃいけねぇの?いじめかよ?」
テーブルには大皿に盛って並べられた、牛肉コロッケとエビの生春巻き。
そして個別に出されたドリアからは、こおばしく食欲を指そう匂いが鼻孔を刺激する。
瑞々しくて新鮮なサラダもとても美味しそうだ。
そんなごちそうを前にして、お腹を減らしたリカルドは悲しそうに、そして恨めしい目でシルヴィアやケイトを睨みつけた。
「店長がまだでしょ?もう七時だし、陽も沈みかけてるわ。そろそろ来るはずよ。少しくらい待ちなさい・・・あ!そうだわ。お昼に持ってきたパンが何個か残ってたの!パンなら食べてもいいわよ!」
「パンはいらねぇ」
嬉しそうに両手を叩いて提案するシルヴィアに、リカルドはあっさりと断りを入れる。
だがシルヴィアは、まるで聞こえていないように言葉を続けた。
「ちょっと待ってね、カバンの中見るから・・・あ、クルミのパンと、ツイストドーナツ、クリームパンがあるわ。どれがいい?」
「だからパンはいらねぇって」
「じゃあ全部あげるわ。店長が来るまではそれで持たせてね?」
「いや、だからパンは・・・」
「どうしたの?食べないの?まさかいらないって言うの?」
「い・・・いただき、ます」
冷や汗を流しながらリカルドがパンを受け取ると、事務所の出入口のドアをノックする音が聞こえた。
「お!店長か!?」
真っ先に反応したリカルドは、みんながびっくりするくらいの速さでドアまで走り、ノブを回して押し開けた。
「店長!おっせぇじゃねぇか!待ちくたびれたぞ!」
「おや、良い匂いだね。リカルド、キミが来るって事は待たせちゃったかな?ごめんよ」
乱暴な言葉で出迎えるリカルドだが、まったく驚きもせず、慣れた様子でリカルドの肩に手を置くと、バリオスは事務所に足を入れた。
みんなとの挨拶も済んで、そろそろ仕事に戻ろうかという頃の、レイチェルの申し出だった。
二週間近く店を離れていたわけだから、その間に当然商品も変わっている。
レイジェスオリジナルもあるし、仕入れの定番商品もあるが、買い取りがあるのだから、毎日のように入れ替わりがあるのだ。
「おう、全然いいぞ。て言うか、病み上がりなんだから、いきなり売り場に立つ事ねぇって。今日は自由に動いてろよ」
ミゼルさんが代表するように承諾の意を伝える。
営業時間もあと3~4時間だし、今日のところは店内を見て回って、新しい商品や、最近の売れ行きの確認をしてもらった方がいいだろう。
他のみんなも同じ考えのようで、分かった、大丈夫だよ、と了承の言葉を口にしている。
「みんな、ありがとう。それとな、店長なんだが今日は城に行ったんだ。私が回復した事の報告でな。今日の営業終了後にこっちに顔を出すと言っていたんだが・・・・・全員店に泊まれるのであれば、話したい事があると言っていた」
重要な話しだという事は、レイチェルの口ぶりで察せられた。
レイチェルは店長から伝言を受け取った時、何か感じるものがあったんだろう。
全員揃って店に泊まれる事を条件に出している事から、とても長い話しになる事も分かる。
そして俺とレイチェルは、店長の正体についてほぼ確信しているからこそ、店長が何を話そうとしているのか、予想もついていた。
だから俺は、レイチェルが少し躊躇ったように話す事も理解できた。
これまでずっと口を閉ざしていた事を、なぜ今このタイミングで打ち明ける事にしたのか?
やはり戦争が関係しているのか?と・・・・・
「レイチェル、それって私がいてもいいの?」
アゲハが自分を指差しながらたずねる。
大事な話しだというのは分かった。だがレイジェスに来て一か月も経っていない自分が、そこにいてもいいのだろうか?そういう考えなのだろう。
「もちろんだ。レイジェスのメンバー全員が揃っている事が条件なんだ。アゲハももうレイジェスだろ?遠慮する事はないさ。ただエルは幼すぎるし、聞かせられる話しではないようだから、エルがいたら今日は帰ってもらおうと思ったけど・・・今日は休みのようだな」
丁度エルちゃん以外、全員出勤の日だった。
いや、事前にシフトを確認して、今日が全員出勤だから、あえて今日を選んだのかもしれない。
「そうか・・・分かった。私の都合は大丈夫だ」
認められたのが嬉しかったのか、口元に少し笑みが浮かぶ。
アゲハに続くように、みんなそれぞれ泊まれる事を伝えると、レイチェルは満足したようにうなずいた。
「全員大丈夫みたいで良かったよ。あ、ジャレットとシルヴィアが今売り場に出てるんだったな?あの二人にはあとで聞いておこう、まぁ大丈夫だと思うけどね」
現在責任者の二人は、店に何かある時は私用より店を優先する。
レイチェルはそれを知っているから、二人への確認は最後で大丈夫と見ていた。
じゃあ、そろそろ店にもどろうか。レイチェルのその一言でみんなが売り場へと戻って行った。
そして18時30分、閉店の時間となり店を閉めると、女性達がいつものように料理を始めた。
店に泊まった時は恒例となった風景だ。
レイジェスの女性達は、ほとんどみんな料理好きなのだ。
その中でも、特にシルヴィアとケイトはすごい。頭一つ抜き出ている。
シルヴィアは料理が好きで覚えていったと言うが、ケイトはジーンに美味しい物を食べてもらうためが理由だから、いかにジーンが愛されているか分かる。
レイチェルもカチュアも十分美味しい物を作っているし、レパートリーも多いが、シルヴィアとケイトには適わないと言っている。この二人がいかにすごいか分かる。
「みんなすごいなぁ~、私は大人しくおにぎりでも作ってた方がいいね」
キッチンに立つ四人を見て、アゲハは感嘆の息をついた。
自分も料理ができないわけではないが、普通の家庭料理を人並できるというくらいだ。
しかしこの四人の腕は段違いだ。特にシルヴィアとケイトは店でも出したらどうだ?というくらいにすごい。手伝う隙もないため、アゲハは黙って単純作業でもしていた方がいいと判断した。
事務所の長テーブルで、アゲハがおにぎりを作っている隣では、同じ結論にいたったユーリが、皿に並んだ食材をパンに挟んでサンドイッチを作っている。
アゲハがチラリとユーリに目を向けると、視線に気づいたユーリが、共感するようにフッと笑った。
「・・・アゲハとは気が合いそう」
「あははは、そうだね。こった料理はあの四人にまかせようか」
アゲハとユーリにも連帯感が芽生え、事務所は和やかな雰囲気で、女性達による料理作りが行われた。
「おーい、アラやん、そっちどうだ?」
「あ、はい!ちょうど終わったとこです」
女性達が夕食の準備をしている間、男達で店の締め作業を行っていた。
外のゴミ拾いと掃き掃除をやっていたアラタは、ジャレットの呼ばれて言葉を返す。
「こっちも終わったところだ。じゃあシャッター閉めるから中に入れよ」
はい、と返事をして店内に入ると、後ろでジャレットがシャッターを下ろす音が聞こえる。
出入口から入っていた陽の光も遮られ、店内の暗さが一段深くなる。
「・・・閉店後の店内って、やっぱり静かですね」
「ん、あぁ、そうだよな。昼間あんだけ大勢のお客さんいて、うるさいくらいだもんな。んで閉店するとシーンってなるからよ、俺も閉店の時はいつも静かだなって思うぜ」
「おーい、ジャレット、各部門のレジ閉めも終わったぜ。これで日誌もつけといた」
黒魔法コーナーの方から、ミゼルさんが手を振って歩いて来た。
左手に日誌を持っていて、各部門の締め作業は全部終わったと言っている。
「おぅ、悪いな。助かったぜメインレジは俺が閉めといたから」
片手を上げて、お礼を口にすると、ジーンとリカルドも反対側の通路から歩いて来た。
「こっちの鍵閉めは終わったぞ。モップもかけといた」
両手を頭の後ろで組んで、リカルドは、くたびれた、と天井に向かって呟く。
「そっちも全部終わったみたいだね。じゃあ事務所に行こうか?」
店内締め作業が終わった事を確認して、ジーンは事務所を指差した。
「おう!早く行こうぜ!俺もう腹がペコペコでよぉ~、ほら、もたもたすんなよ!」
誰よりも早く反応して、リカルドは事務所へと駆けこんで行った。
「うへぇ~・・・なんで、食っちゃいけねぇの?いじめかよ?」
テーブルには大皿に盛って並べられた、牛肉コロッケとエビの生春巻き。
そして個別に出されたドリアからは、こおばしく食欲を指そう匂いが鼻孔を刺激する。
瑞々しくて新鮮なサラダもとても美味しそうだ。
そんなごちそうを前にして、お腹を減らしたリカルドは悲しそうに、そして恨めしい目でシルヴィアやケイトを睨みつけた。
「店長がまだでしょ?もう七時だし、陽も沈みかけてるわ。そろそろ来るはずよ。少しくらい待ちなさい・・・あ!そうだわ。お昼に持ってきたパンが何個か残ってたの!パンなら食べてもいいわよ!」
「パンはいらねぇ」
嬉しそうに両手を叩いて提案するシルヴィアに、リカルドはあっさりと断りを入れる。
だがシルヴィアは、まるで聞こえていないように言葉を続けた。
「ちょっと待ってね、カバンの中見るから・・・あ、クルミのパンと、ツイストドーナツ、クリームパンがあるわ。どれがいい?」
「だからパンはいらねぇって」
「じゃあ全部あげるわ。店長が来るまではそれで持たせてね?」
「いや、だからパンは・・・」
「どうしたの?食べないの?まさかいらないって言うの?」
「い・・・いただき、ます」
冷や汗を流しながらリカルドがパンを受け取ると、事務所の出入口のドアをノックする音が聞こえた。
「お!店長か!?」
真っ先に反応したリカルドは、みんながびっくりするくらいの速さでドアまで走り、ノブを回して押し開けた。
「店長!おっせぇじゃねぇか!待ちくたびれたぞ!」
「おや、良い匂いだね。リカルド、キミが来るって事は待たせちゃったかな?ごめんよ」
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