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【855 黒き破壊王の本性】
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背中に強い衝撃を受けたと脳が認識した時には、ジョルジュの身体は地面に向かい落ちていた。
両の眼が、土と雪の混じった茶色い地面を目に映したその瞬間、全身を強烈に打ち付けられ、視界が真っ暗に染まった。
「・・・手応えは十分だな」
その巨体で地面を揺らして着地すると、今しがた自分が地上に叩き落とした男に目を向けた。
地面を抉り壊した衝撃は土煙を巻き起こし、どれほどの力で衝突したのか分かろうものだった。
「いつまで寝ている?もう少しタフな男だと思ったが、これで終いか?」
顎の髭を摘まみながら、煙の先を見通すように目を細める。
視認できない程に立ち込める土煙で、ジョルジュの姿を確認する事はできない。
背骨をへし折るつもり撃ち込んだが、そこまでの感触は伝わってこなかった。
それゆえに弓使いの男はまだ生きている。ワイルダーはそう確信していた。
正面から視線を外さずに見据えているのは、そのためである。
どうした?もう死んでしまったか?
なかなかできる男だと思ったが、俺の見込み違いだったか?
土煙が薄くなっても出てこないジョルジュに、ワイルダーが鼻で小さく息をついたその時だった。
鋭い風切り音とともに、鉄の矢が煙に風穴を開けて飛び出してきた!
「ムッ!」
やはり生きていたか!しかも俺が息を吐いて僅かながらも緩んだ瞬間とは!
まるでこちらの様子が見えているかのようなタイミングだ。
だがな、すでに貴様の矢は見切っている。
さっきのように雪を目に入れる事も、二度は通じんぞ!
「へし折ってくれるわッ!」
顔を目掛けて飛んで来る矢に、ワイルダーがタイミングを合わせ左拳で薙ぎ払う!
「ッ!?」
ワイルダーの拳は確かに鉄の矢を折った。
だが、その直後、ワイルダーの顔に緊張が走る!
まったく同じ軌道にもう一本だと!?
一本目のすぐ後ろに隠れるこの間隔は、矢をほぼ同時に続けて撃たなければ不可能だ。
すさまじい速弓術だな。
外へ払った左手では間に合わん。だが顔の横で構えていた右ならば取れる。
惜しかったなジョルジュとやら、大した弓の腕前だが、俺にはあと一つ届かなかったな!
額スレスレで鉄の矢を右手で叩き落とす!
これでもう貴様には成す術がなかろう。
ここまでの攻防で、同じ体力型として、パワーもスピードも俺の方が優れている事は分かった。
その上、貴様の本領である弓でさえも粉砕した。全てにおいて俺が貴様の上をいったのだ!
ワイルダーは完全勝利を確信した。
だがコンマ一秒の後に、その認識が崩れ落ちた。
「なにィッ!?」
三本だとッ!?
予期していなかったもう一本の矢に、ワイルダーの身体がほんの僅かだが硬直する。
第三の矢が驚愕するワイルダーに突き刺さった。
「・・・額を、抉り抜いたと、思ったが・・・ガタイに、合わない・・・鋭い反応だな・・・」
全身に土を被り、身に着けていた鉄の胸当てはひび割れ、肩や腕や足など体中に血が滲んでいる。
頭から流れ出る血はアイスブルーの髪を赤く染め、肩で息をしている事から、ジョルジュのダメージが大きい事を伺わせていた。
だが、それでもジョルジュは立ち上がり、構えた弓矢をワイルダーに向けていた。
戦意はまだ失っていない。
「・・・・・連射を見た事はあるが・・・これほどの速さは初めてだ。しかも三本とは・・・」
大きく顔をのけ反らしていたワイルダーが、ゆっくり前に向き直り、ジョルジュを見る。
「・・・この俺の耳をもっていくとはな・・・素晴らしい腕だ。褒めてやろう」
ワイルダーの顔は、右半分が血で真っ赤に染まっていた。
ジョルジュの三本目の矢を首を振り躱したが、完全には躱しきれず、右耳は貫かれていたのだ。
激痛が襲っているはずだが、ワイルダーは毛ほども怯む事無く、赤黒く染まった顔に歓喜の笑みを浮かべた。
「くっくっく・・・ジョルジュ・ワーリントン。嬉しいぞ・・・ここまでできるとはな・・・」
ダメージを負っているにも関わらず、ワイルダーの身体から発せられるプレッシャーは強みを増していく。
身体を押されるような圧力に、ジョルジョは腰を落とし、足に力を入れて防御の体勢をとる。
そこまでしなければ、このプレッシャーだけで、体が倒されてしまいそうだったからだ。
「・・・チィッ!これほどとは・・・!」
舌を打ち、目の前の黒い肌の大男を睨み付ける。
「皇帝以外でこれほどの強敵は初めてだ。貴様なら、全力を出しても良さそうだな」
強まるプレッシャーと共に、ワイルダーの全身の筋肉が膨れ上がっていく。
身に着けていた鎧は弾け飛び、黒い肌がむき出しになった。
元より巨漢だったが、一回りも二回りも、より大きくなっていく様は、もはや同じ人間とは思えなかった。
「ふぅぅぅ・・・待たせたな。この姿になったのは、かつて皇帝と戦った時以来だ・・・」
「・・・くっ、化け物め!」
それは巨大な黒い山だった。目算だがおそらく250cmに達するだろう身長、体の厚みもさっきまでとはまるで違っていた。
そしてその身体から発せられる強大なプレッシャーは、ただワイルダーと対峙しているだけでも、体力も精神も消耗させられる程だった。
「さぁ・・・楽しませくれよ!」
黒き破壊王がその本性を現した!
両の眼が、土と雪の混じった茶色い地面を目に映したその瞬間、全身を強烈に打ち付けられ、視界が真っ暗に染まった。
「・・・手応えは十分だな」
その巨体で地面を揺らして着地すると、今しがた自分が地上に叩き落とした男に目を向けた。
地面を抉り壊した衝撃は土煙を巻き起こし、どれほどの力で衝突したのか分かろうものだった。
「いつまで寝ている?もう少しタフな男だと思ったが、これで終いか?」
顎の髭を摘まみながら、煙の先を見通すように目を細める。
視認できない程に立ち込める土煙で、ジョルジュの姿を確認する事はできない。
背骨をへし折るつもり撃ち込んだが、そこまでの感触は伝わってこなかった。
それゆえに弓使いの男はまだ生きている。ワイルダーはそう確信していた。
正面から視線を外さずに見据えているのは、そのためである。
どうした?もう死んでしまったか?
なかなかできる男だと思ったが、俺の見込み違いだったか?
土煙が薄くなっても出てこないジョルジュに、ワイルダーが鼻で小さく息をついたその時だった。
鋭い風切り音とともに、鉄の矢が煙に風穴を開けて飛び出してきた!
「ムッ!」
やはり生きていたか!しかも俺が息を吐いて僅かながらも緩んだ瞬間とは!
まるでこちらの様子が見えているかのようなタイミングだ。
だがな、すでに貴様の矢は見切っている。
さっきのように雪を目に入れる事も、二度は通じんぞ!
「へし折ってくれるわッ!」
顔を目掛けて飛んで来る矢に、ワイルダーがタイミングを合わせ左拳で薙ぎ払う!
「ッ!?」
ワイルダーの拳は確かに鉄の矢を折った。
だが、その直後、ワイルダーの顔に緊張が走る!
まったく同じ軌道にもう一本だと!?
一本目のすぐ後ろに隠れるこの間隔は、矢をほぼ同時に続けて撃たなければ不可能だ。
すさまじい速弓術だな。
外へ払った左手では間に合わん。だが顔の横で構えていた右ならば取れる。
惜しかったなジョルジュとやら、大した弓の腕前だが、俺にはあと一つ届かなかったな!
額スレスレで鉄の矢を右手で叩き落とす!
これでもう貴様には成す術がなかろう。
ここまでの攻防で、同じ体力型として、パワーもスピードも俺の方が優れている事は分かった。
その上、貴様の本領である弓でさえも粉砕した。全てにおいて俺が貴様の上をいったのだ!
ワイルダーは完全勝利を確信した。
だがコンマ一秒の後に、その認識が崩れ落ちた。
「なにィッ!?」
三本だとッ!?
予期していなかったもう一本の矢に、ワイルダーの身体がほんの僅かだが硬直する。
第三の矢が驚愕するワイルダーに突き刺さった。
「・・・額を、抉り抜いたと、思ったが・・・ガタイに、合わない・・・鋭い反応だな・・・」
全身に土を被り、身に着けていた鉄の胸当てはひび割れ、肩や腕や足など体中に血が滲んでいる。
頭から流れ出る血はアイスブルーの髪を赤く染め、肩で息をしている事から、ジョルジュのダメージが大きい事を伺わせていた。
だが、それでもジョルジュは立ち上がり、構えた弓矢をワイルダーに向けていた。
戦意はまだ失っていない。
「・・・・・連射を見た事はあるが・・・これほどの速さは初めてだ。しかも三本とは・・・」
大きく顔をのけ反らしていたワイルダーが、ゆっくり前に向き直り、ジョルジュを見る。
「・・・この俺の耳をもっていくとはな・・・素晴らしい腕だ。褒めてやろう」
ワイルダーの顔は、右半分が血で真っ赤に染まっていた。
ジョルジュの三本目の矢を首を振り躱したが、完全には躱しきれず、右耳は貫かれていたのだ。
激痛が襲っているはずだが、ワイルダーは毛ほども怯む事無く、赤黒く染まった顔に歓喜の笑みを浮かべた。
「くっくっく・・・ジョルジュ・ワーリントン。嬉しいぞ・・・ここまでできるとはな・・・」
ダメージを負っているにも関わらず、ワイルダーの身体から発せられるプレッシャーは強みを増していく。
身体を押されるような圧力に、ジョルジョは腰を落とし、足に力を入れて防御の体勢をとる。
そこまでしなければ、このプレッシャーだけで、体が倒されてしまいそうだったからだ。
「・・・チィッ!これほどとは・・・!」
舌を打ち、目の前の黒い肌の大男を睨み付ける。
「皇帝以外でこれほどの強敵は初めてだ。貴様なら、全力を出しても良さそうだな」
強まるプレッシャーと共に、ワイルダーの全身の筋肉が膨れ上がっていく。
身に着けていた鎧は弾け飛び、黒い肌がむき出しになった。
元より巨漢だったが、一回りも二回りも、より大きくなっていく様は、もはや同じ人間とは思えなかった。
「ふぅぅぅ・・・待たせたな。この姿になったのは、かつて皇帝と戦った時以来だ・・・」
「・・・くっ、化け物め!」
それは巨大な黒い山だった。目算だがおそらく250cmに達するだろう身長、体の厚みもさっきまでとはまるで違っていた。
そしてその身体から発せられる強大なプレッシャーは、ただワイルダーと対峙しているだけでも、体力も精神も消耗させられる程だった。
「さぁ・・・楽しませくれよ!」
黒き破壊王がその本性を現した!
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