913 / 1,560
【912 青い炎の灼炎竜】
しおりを挟む
「オォォォォォー--ッ!」
使い方はこの体に流れる魔力が教えてくれる。
俺はただ感覚に身を委ねて、魔空の枝を振るえばいい。
皇帝に枝の先を突きつける。
標的を見つけた竜の青い炎が激しく燃え上がり、唸りを上げて皇帝にぶつかっていく!
「ぐぉぉぉっ!そ、そんなバカな!」
皇帝も灼炎竜を操りぶつけてくるが、竜を通して感じる衝撃に、俺は眉を潜めた。
・・・こんなに軽かったか?
青い炎の竜は、皇帝の灼炎竜を弾き飛ばし、その喉に噛みついた。
大きさだけを見れば、皇帝の竜は俺の灼炎竜を一回りも二回りも上回っている。
だが喉に噛みつかれた皇帝の竜は、俺の竜を振りほどく事はおろか、完全に力負けして引きずられている。
いける・・・このまま皇帝の灼炎竜を潰す!
「ハァァァァー---ーッ!」
魔空の枝を振り上げる。俺の竜は皇帝の灼炎竜に噛みついたまま、何度も顎を大きく振り回し、皇帝の竜にその牙を深くめり込ませていく。
皇帝の灼炎竜も抵抗をするが、まったく振りほどく事ができない。
大きさで勝っていても力の差は明白だった。
徐々に皇帝の竜の炎は弱まっていった。
そして、まるでその力が失われるかのように、火の粉を撒き散らしながら小さくしぼんでいった。
「な、なぜだ!?余の魔力は貴様より上なんだぞ!負けるはずがないィィィィィッツ!」
「終わりだ」
皇帝の絶叫が響き渡る。それと同時に魔空の枝を振り下ろすと、俺の竜が皇帝の灼炎竜の首を嚙みちぎった。
「皇帝、お前の負けだ」
30メートル以上あった炎の竜は、風に吹き散らされるようにして、その姿を消失していった。
俺はゆっくりと皇帝に向かって足を進めた。
皇帝にとって、魔法の勝負で敗れる事などあってはならない、ありえるはずもない事だったのだろう。
己の灼炎竜が、僅かな火の粉を残して消滅していく様を呆然と見ている。
灼炎竜は魔力で作られた竜であるが、その姿を形作る魔力の流れを破壊すれば、消えて無くなってしまう。
俺の青い炎の竜に、首を嚙み千切られた皇帝の竜は、竜としての姿を保つ事ができずに消滅してしまったのだ。
しかし、あくまで魔力で発現するものである以上、消されてももう一度灼炎竜を出す事は可能である。
だが結果が見えている以上、皇帝がもう一度灼炎竜を出す事はないだろう。
俺のこの力は、黒の魔力ではない。いや、正確には黒の魔力だけではなく、そこに霊力が合わさっている。今ハッキリと分かった・・・これは霊魔力だ。
師匠は青の魔力に霊力を合わせた力だったが、俺は黒の魔力に霊力を合わせた力を使ったんだ。
「これが俺の霊魔力だ。皇帝、お前の魔力も、俺と師匠の二人の力には及ばない」
皇帝との距離、およそ5メートル程で足を止めて、魔空の枝を突きつけた。
この距離が俺と皇帝の制空権だ。ここまでなら、ふいの攻撃にも対応できる。
「・・・・・」
皇帝は何も答えなかった。
よほどショックだったのだろう。目を大きく開き、顔にあたる火の粉を瞬きもせずに見つめている。
その様子に不気味なものを感じたが、俺は魔空の枝に魔力を込めて振り上げた。
青い炎の竜が、枝の動きに合わせて主首を上げると、轟々と燃え盛る炎の目が皇帝を見据えた。
この一撃で全てが終わる・・・・・
この右手を振り下ろせば全てが終わる・・・・・
長かった帝国との戦いも・・・これで終わりだ・・・・・
「オォォォォォォー---ー-----ッツ!」
最後になにか言ってやろうと思ったが、怒りや悲しみ、様々な感情で胸が締め付けられて、形のある言葉が何も出て来なかった。
ただ感情が爆発して、俺は声の限りを叫びながら右手を振り下ろした。
「余に勝ったと・・・本気で思ったのか?」
・・・俺は一瞬たりとも皇帝から目を離さなかった。
魔空の枝を振り下ろし、青い炎の竜が皇帝に喰らいついたはずだった・・・・・
だが、その皇帝はいつの間にか俺の背後に立ち、耳元で語りかけてきた。
「いいか、貴様がどれだけ強い魔力を持とうとも、余に勝つ事は・・・絶対にできんのだ!」
振り返ったその時、凄まじい爆発が俺の体を吹き飛ばした。
使い方はこの体に流れる魔力が教えてくれる。
俺はただ感覚に身を委ねて、魔空の枝を振るえばいい。
皇帝に枝の先を突きつける。
標的を見つけた竜の青い炎が激しく燃え上がり、唸りを上げて皇帝にぶつかっていく!
「ぐぉぉぉっ!そ、そんなバカな!」
皇帝も灼炎竜を操りぶつけてくるが、竜を通して感じる衝撃に、俺は眉を潜めた。
・・・こんなに軽かったか?
青い炎の竜は、皇帝の灼炎竜を弾き飛ばし、その喉に噛みついた。
大きさだけを見れば、皇帝の竜は俺の灼炎竜を一回りも二回りも上回っている。
だが喉に噛みつかれた皇帝の竜は、俺の竜を振りほどく事はおろか、完全に力負けして引きずられている。
いける・・・このまま皇帝の灼炎竜を潰す!
「ハァァァァー---ーッ!」
魔空の枝を振り上げる。俺の竜は皇帝の灼炎竜に噛みついたまま、何度も顎を大きく振り回し、皇帝の竜にその牙を深くめり込ませていく。
皇帝の灼炎竜も抵抗をするが、まったく振りほどく事ができない。
大きさで勝っていても力の差は明白だった。
徐々に皇帝の竜の炎は弱まっていった。
そして、まるでその力が失われるかのように、火の粉を撒き散らしながら小さくしぼんでいった。
「な、なぜだ!?余の魔力は貴様より上なんだぞ!負けるはずがないィィィィィッツ!」
「終わりだ」
皇帝の絶叫が響き渡る。それと同時に魔空の枝を振り下ろすと、俺の竜が皇帝の灼炎竜の首を嚙みちぎった。
「皇帝、お前の負けだ」
30メートル以上あった炎の竜は、風に吹き散らされるようにして、その姿を消失していった。
俺はゆっくりと皇帝に向かって足を進めた。
皇帝にとって、魔法の勝負で敗れる事などあってはならない、ありえるはずもない事だったのだろう。
己の灼炎竜が、僅かな火の粉を残して消滅していく様を呆然と見ている。
灼炎竜は魔力で作られた竜であるが、その姿を形作る魔力の流れを破壊すれば、消えて無くなってしまう。
俺の青い炎の竜に、首を嚙み千切られた皇帝の竜は、竜としての姿を保つ事ができずに消滅してしまったのだ。
しかし、あくまで魔力で発現するものである以上、消されてももう一度灼炎竜を出す事は可能である。
だが結果が見えている以上、皇帝がもう一度灼炎竜を出す事はないだろう。
俺のこの力は、黒の魔力ではない。いや、正確には黒の魔力だけではなく、そこに霊力が合わさっている。今ハッキリと分かった・・・これは霊魔力だ。
師匠は青の魔力に霊力を合わせた力だったが、俺は黒の魔力に霊力を合わせた力を使ったんだ。
「これが俺の霊魔力だ。皇帝、お前の魔力も、俺と師匠の二人の力には及ばない」
皇帝との距離、およそ5メートル程で足を止めて、魔空の枝を突きつけた。
この距離が俺と皇帝の制空権だ。ここまでなら、ふいの攻撃にも対応できる。
「・・・・・」
皇帝は何も答えなかった。
よほどショックだったのだろう。目を大きく開き、顔にあたる火の粉を瞬きもせずに見つめている。
その様子に不気味なものを感じたが、俺は魔空の枝に魔力を込めて振り上げた。
青い炎の竜が、枝の動きに合わせて主首を上げると、轟々と燃え盛る炎の目が皇帝を見据えた。
この一撃で全てが終わる・・・・・
この右手を振り下ろせば全てが終わる・・・・・
長かった帝国との戦いも・・・これで終わりだ・・・・・
「オォォォォォォー---ー-----ッツ!」
最後になにか言ってやろうと思ったが、怒りや悲しみ、様々な感情で胸が締め付けられて、形のある言葉が何も出て来なかった。
ただ感情が爆発して、俺は声の限りを叫びながら右手を振り下ろした。
「余に勝ったと・・・本気で思ったのか?」
・・・俺は一瞬たりとも皇帝から目を離さなかった。
魔空の枝を振り下ろし、青い炎の竜が皇帝に喰らいついたはずだった・・・・・
だが、その皇帝はいつの間にか俺の背後に立ち、耳元で語りかけてきた。
「いいか、貴様がどれだけ強い魔力を持とうとも、余に勝つ事は・・・絶対にできんのだ!」
振り返ったその時、凄まじい爆発が俺の体を吹き飛ばした。
0
あなたにおすすめの小説
俺! 神獣達のママ(♂)なんです!
青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。
世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。
王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。
その犯人は5体の神獣。
そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。
一件落着かと思えたこの事件。
だが、そんな中、叫ぶ男が1人。
「ふざけんなぁぁぁあ!!」
王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。
神獣達のママ(男)であった……。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!
Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。
裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、
剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。
与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。
兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。
「ならば、この世界そのものを買い叩く」
漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。
冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力――
すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。
弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。
交渉は戦争、戦争は経営。
数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。
やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、
世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。
これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。
奪うのではない。支配するのでもない。
価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける――
救済か、支配か。正義か、合理か。
その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。
異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。
「この世界には、村があり、町があり、国家がある。
――全部まとめて、俺が買い叩く」
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
異世界でカイゼン
soue kitakaze
ファンタジー
作者:北風 荘右衛(きたかぜ そうえ)
この物語は、よくある「異世界転生」ものです。
ただ
・転生時にチート能力はもらえません
・魔物退治用アイテムももらえません
・そもそも魔物退治はしません
・農業もしません
・でも魔法が当たり前にある世界で、魔物も魔王もいます
そこで主人公はなにをするのか。
改善手法を使った問題解決です。
主人公は現世にて「問題解決のエキスパート」であり、QC手法、IE手法、品質工学、ワークデザイン法、発想法など、問題解決技術に習熟しており、また優れた発想力を持つ人間です。ただそれを正統に評価されていないという鬱屈が溜まっていました。
そんな彼が飛ばされた異世界で、己の才覚ひとつで異世界を渡って行く。そういうお話をギャグを中心に描きます。簡単に言えば。
「人の死なない邪道ファンタジーな、異世界でカイゼンをするギャグ物語」
ということになります。
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる