異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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【913 勇気をくれる人】

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「う・・・うぅ・・・・・」

体にぶつかってくる強い風、頬や足に飛んでくる石に、深い沼に沈んでいたような意識が呼び起こされる。

「痛っ・・・う、ううん・・・え!」

目を開いて最初に映った光景のあまりの衝撃に、一瞬で目が覚めた。

私達は城の一階で戦っていたはずだ。でもここはもはや城だと言われなければ、ただの廃城にしか見えない。それくらい見る影もない程に崩れて、瓦礫の山と化している。

折れた柱、ひび割れた床、崩れ落ちた石壁、二階と三階は崩壊していて、煙で黒く染められて空が目に映った。

いったいどれほどの戦いがあったのだろうか・・・私は・・・そうだ!
そこまで考えて自分のおかれている状況を思い出した。

私は確か皇帝に魔力をぶつけられて・・・壁に叩きつけられたんだ。
どうやら、私は意識を失っていたようだ。いったいどれくらい寝ていたのだろう?


「・・・師匠!ウィッカー!」

そうだ!二人はいまどこに!?皇帝との戦いは・・・!?

体を起こして二人の姿を探したその時、爆発音が響き渡り、ビリビリと空気を震わせた。






「ぐはぁぁぁぁぁーーーーーッツ!」

振り返った瞬間、腹に感じたのは強烈な圧迫感。そして一瞬の後に耳をつんざく爆音と共に、俺は全身に凄まじい衝撃を浴びて、上空に吹き飛ばされた。


な・・・なんだ?


黒煙を引きずりながら空に打ち上げられる。
目に映る景色が、奇妙なくらいにゆっくりと移り変わる。まるで時間が圧縮されて、ゆっくりと流れているような錯覚を覚える。

喉の奥からせり上がってきた血を吐き散らしながら、俺の頭はある一つの疑問に埋め尽くされてた。


これはいったいなんだ?


思えばあの時、俺のトルネード・バーストを躱した事がありえないんだ。
あのタイミングで魔法使いに躱せるはずがないんだ。
仮に躱せたとしても、その動きが見えないなんてありえない。

そして今、皇帝はどうやって俺の背後をとったんだ?

目に見えない程の超スピード?いや、それはない。
スピードを上げる魔道具は存在するが、目で追えなかったとしても、大地を蹴る振動、空気の動き、なにかしら肌で感じるものはある。
しかし皇帝に後ろをとられた時、そんなものは一切感じなかった。

気が付いたら後ろにいた。そう言うしかない。

瞬間移動か?いや、そうだとしても、後ろに立たれれば気配を感じれるはずだ。
瞬間移動は考えが近いとは思うが、正解ではない。もっと別の・・・もっと異質ななにかだ。

目に見えない。目で追えない。一切の気配を感じさせずに後ろをとる。

そんな事ができるのか?

できるとすればどんな状況?どんな条件だ?

仮に自分以外の全員を動けなくして、自分だけが自由に動けるとすれば可能なのか?
そんな極めて特殊な状況を作りだせるのか?まるで時間でも止めて・・・・・


そこで俺は一つの可能性に思い至った。


「ま、まさか・・・」


もし、俺のこの考えが当たっているとすれば・・・勝てるのか?
こんな最悪の能力にどうやって勝つ?
霊魔力を身に着けて、皇帝の魔力を上回る事はできた。

だが、こんなのはもはや魔力の強さでどうなるものではない。



打ち上げられた体が地面に落ちて、砂と埃を巻き上げる。
灼炎竜は攻防一体の黒魔法だ。青い炎の竜を纏っていたおかげで、皇帝の爆発魔法にも、致命傷を受ける事はなかった。だがそれでも俺の腹部は、裂傷と火傷で相当なダメージを負っていた。


「ま・・・さか、皇帝の・・・能力は・・・・・」


肘を着きながら上半身を起こして顔を上げると、皇帝は腕を組みながら余裕の笑みを浮かべて俺を見ていた。

俺に追い打ちをかける事もできたはずなのに、あえてその場を動かずに俺が起き上がるのを待っていたんだ。


「ふっふっふ・・・ウィッカーよ、どうした?顔色が悪いじゃないか?霊魔力とやらで、余を上回ったのではないのかね?」

右手の指を一本立て、口の端を持ち上げて俺に笑いかける。

「・・・こ、皇帝・・・」

拳を握り締める。まだ戦う力は残っている・・・だが・・・

どうしたらいい?

体術も魔法も皇帝の上をいった。だが時間を止められてしまえば、全てが無力だ。

俺が何をしようと、皇帝には通用しないんだ。

俺は皇帝には・・・・・勝てない・・・・・


「フッ、その顔・・・どうやら理解したようだな?皇帝には勝てんと言う事を・・・」

「ウィッカーーーーー!なに情けない顔してんのよ!」

俺が自分の無力に打ちひしがれたその時、緊張を破る声が響いた。
その声に顔を向けると、ずっと一緒に育った、幼馴染がそこに立っていた。


「まだ終わってない!ちゃんと前を向きなさい!あんたリーダーでしょーーー!」


ジャニス・・・・・

俺を立たせてくれるのは、俺を勇気づけてくれるのは、いつだってお前だった。
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