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【931 エニルの気持ち】
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「・・・なに言ってるんだよ?」
突然死を口にするエニルに、俺はできるだけ軽く言葉を返したつもりだが、それでも声が若干上ずった。
アタシ達、やっぱり死ぬんでしょうか?
そう話したエニルの声は、ほんの少しだが震えていた。
俺はエニルの事も、他の六人の事もあまりよく知らない。
だけど彼らはアンソニーとの戦いで、瀕死になった俺に魔力を分けてくれたから、みんな優しくて良いヤツらだと言う事は十分に分かっている。
それに今日一日一緒に行動したし、彼らの人となりも少しづつ分かってきたつもりだ。
けれど、それでもまだ1日の付き合いなんだ。
彼らの事を分かったように、何でも言える関係になれたわけではない。
エニルの事も、俺は勝手に社交的で、上下関係を気にしない気さくな性格だと見ていた。
今日はほとんど俺の隣にいたし、俺が黙っていても色々話してくるから、師や仲間達を失った俺を、元気づけてくれようとしているのかなと思っていた。
けれどそれは、俺が勝手にそう思っていただけで、本当はまったく違っていた。
俺の肩に頭を乗せて寄りかかっているから、エニルの震えがハッキリと伝わってくる。
これは寒さから来る震えではない。
戦争をしてるんだ・・・死を身近に感じて怖くなるのは当然だ。
エニルがずっと話していたのは、話していないと不安だったからだ。
一日中俺のとなりにいたのも、怖かったからだ。
自分より強くて、自分を護ってくれる、そんな相手に頼りたかったのだろう。
「だって・・・」
「大丈夫だ。なにも心配するな」
不安そうに俺に目を向けるエニルの頭を、ポンポンと軽く叩いて、安心できるように笑って見せた。
「エニル、大丈夫だから・・・」
「ウィッカー様・・・こういう時って、普通肩を抱き寄せるんじゃないんですか?」
エニルは自分の頭を撫でながら、なぜか少し不機嫌そうに、俺をジロリを睨んで来た。
「え?いや、抱き寄せるって・・・俺結婚してるし」
まさかそんな事を言われるとは思わず、少し戸惑い気味に自分の立場を伝えると、しかたがないなと言うように、エニルは溜息をついた。
「・・・分かってたけど、本当に隙がないなぁー・・・まぁ奥さんがメアリーさんじゃ、最初からアタシに勝ち目はないか」
そう言ってエニルは俺の肩から頭を離すと、やれやれとでも言いたそうに肩をすくめて見せた。
「エニル・・・・・」
まさか、俺の事が・・・?
冗談っぽく話しているが、彼女が本気だというのはなんとなく分かった。
俺が困惑しているのが伝わったようで、エニルは顔の前で手を振った。
「あはは、そんな難しい顔しちゃって・・・なんで自分をって考えてます?」
まるで心を読まれているみたいだ。からかうような笑みを浮かべて、ピンポイントを突いて来るエニルに、俺は黙って頷いた。
「そりゃあね、ウィッカー様がアタシを知らないのは当然だと思いますよ?アタシもウィッカー様の魔法指導には出てましたけど、何百人も集まった中の一人なんだから、顔を覚えてもらうのだって難しいと思います。でもそれは、ウィッカー様の立場での話しなんです。アタシはずっと見てましたから・・・ウィッカー様の事・・・」
エニルは天井を見上げながら、胸に秘めた大切な想いを話してくれた。
穏やかな笑みで、ゆっくりと口にする言葉は、本当であればずっと表に出す事のない気持ちだったはずだ。
俺達はまたしばらくの間、何も話さずただ前を見ていた。
アニー達はスープを飲み終えても、焚火の前から動かないで、六人で会話を楽しんでいる。
ハッキリ聞こえるわけではないが、時折耳に届く言葉からは、自分達の昔話しや夢について話しているようだ。
俺とエニルがこうして二人で座っていても、アニー達は誰も視線を向けてこない。
エニルは俺の肩から頭は離したが、腕が密着するくらい近い距離に座っている。アニー達も気付いているはずだが、あえて俺達に目を向けないようにしているようだ。
「ふふふ、なんだか気を使われているみたいですよね?」
「・・・なぁ、エニルって相手の考えてる事が分かるのか?」
またも俺が考えている事を読まれた。
怪訝な顔を向けると、エニルはぐいっと顔を近づけてきて、フフっと妖艶な笑みを見せた。
「さぁ?どうでしょうか?女は秘密が多いですからね・・・さて、そろそろ寝ませんか?人肌が恋しいなら、アタシが一緒に寝てあげますよ?」
突然死を口にするエニルに、俺はできるだけ軽く言葉を返したつもりだが、それでも声が若干上ずった。
アタシ達、やっぱり死ぬんでしょうか?
そう話したエニルの声は、ほんの少しだが震えていた。
俺はエニルの事も、他の六人の事もあまりよく知らない。
だけど彼らはアンソニーとの戦いで、瀕死になった俺に魔力を分けてくれたから、みんな優しくて良いヤツらだと言う事は十分に分かっている。
それに今日一日一緒に行動したし、彼らの人となりも少しづつ分かってきたつもりだ。
けれど、それでもまだ1日の付き合いなんだ。
彼らの事を分かったように、何でも言える関係になれたわけではない。
エニルの事も、俺は勝手に社交的で、上下関係を気にしない気さくな性格だと見ていた。
今日はほとんど俺の隣にいたし、俺が黙っていても色々話してくるから、師や仲間達を失った俺を、元気づけてくれようとしているのかなと思っていた。
けれどそれは、俺が勝手にそう思っていただけで、本当はまったく違っていた。
俺の肩に頭を乗せて寄りかかっているから、エニルの震えがハッキリと伝わってくる。
これは寒さから来る震えではない。
戦争をしてるんだ・・・死を身近に感じて怖くなるのは当然だ。
エニルがずっと話していたのは、話していないと不安だったからだ。
一日中俺のとなりにいたのも、怖かったからだ。
自分より強くて、自分を護ってくれる、そんな相手に頼りたかったのだろう。
「だって・・・」
「大丈夫だ。なにも心配するな」
不安そうに俺に目を向けるエニルの頭を、ポンポンと軽く叩いて、安心できるように笑って見せた。
「エニル、大丈夫だから・・・」
「ウィッカー様・・・こういう時って、普通肩を抱き寄せるんじゃないんですか?」
エニルは自分の頭を撫でながら、なぜか少し不機嫌そうに、俺をジロリを睨んで来た。
「え?いや、抱き寄せるって・・・俺結婚してるし」
まさかそんな事を言われるとは思わず、少し戸惑い気味に自分の立場を伝えると、しかたがないなと言うように、エニルは溜息をついた。
「・・・分かってたけど、本当に隙がないなぁー・・・まぁ奥さんがメアリーさんじゃ、最初からアタシに勝ち目はないか」
そう言ってエニルは俺の肩から頭を離すと、やれやれとでも言いたそうに肩をすくめて見せた。
「エニル・・・・・」
まさか、俺の事が・・・?
冗談っぽく話しているが、彼女が本気だというのはなんとなく分かった。
俺が困惑しているのが伝わったようで、エニルは顔の前で手を振った。
「あはは、そんな難しい顔しちゃって・・・なんで自分をって考えてます?」
まるで心を読まれているみたいだ。からかうような笑みを浮かべて、ピンポイントを突いて来るエニルに、俺は黙って頷いた。
「そりゃあね、ウィッカー様がアタシを知らないのは当然だと思いますよ?アタシもウィッカー様の魔法指導には出てましたけど、何百人も集まった中の一人なんだから、顔を覚えてもらうのだって難しいと思います。でもそれは、ウィッカー様の立場での話しなんです。アタシはずっと見てましたから・・・ウィッカー様の事・・・」
エニルは天井を見上げながら、胸に秘めた大切な想いを話してくれた。
穏やかな笑みで、ゆっくりと口にする言葉は、本当であればずっと表に出す事のない気持ちだったはずだ。
俺達はまたしばらくの間、何も話さずただ前を見ていた。
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ハッキリ聞こえるわけではないが、時折耳に届く言葉からは、自分達の昔話しや夢について話しているようだ。
俺とエニルがこうして二人で座っていても、アニー達は誰も視線を向けてこない。
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「ふふふ、なんだか気を使われているみたいですよね?」
「・・・なぁ、エニルって相手の考えてる事が分かるのか?」
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