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993 手紙
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「あー、痛かった。ねぇ店長、私の攻撃をどうやって読んでたの?私が動くと同時に見切ってたみたいだけど?」
ウィッカーとの手合わせが終わると、捻られた右腕をさすりながら、アゲハは眉間にシワを寄せてウィッカーに顔を向けた。腕はまだ痛むようだ。
「大丈夫か?ちょっと強く捻り過ぎたかな」
ウィッカーがヒールをかけると、みるみると痛みが引いていく。
回復の早さにアゲハは感心しつつ、右腕を回して口笛を吹いた。
「これで大丈夫だ。それで質問の答えだが、風だ。俺は目と耳よりも風を頼る。お前が動く事で起きる風の流れを体で感じれば、どこに何が来るかは分かる。ついでに言えばお前の蹴りを受け止めた時、俺は風魔法で手を保護して衝撃のほとんどを吸収していた。さすがに素手では受け切れないからな」
「あ~、だからか。私も魔法使いに素手で防がれたら自信無くしてたよ」
アゲハは納得したように、軽く息をついて笑った。
いくらウィッカーの体術が優れているとはいえ、あくまで魔法使い。
体力型、それも帝国の師団長にまでなった自分の蹴りを、片手で易々と止められた事はおかしいと思っていた。魔法を使っていたのならば納得の話しである。
「最後の動きは俺の予測を越えていたぞ。蹴りと見せかけて俺の肩に足をひっかける、そこから引き寄せて馬乗りとはな、あれは見事だった」
「でも、結局一発も当てられなかった。褒められてもあんまり喜べないね」
肩をすくめて苦笑いを浮かべるが、ウィッカーは小さく首を横に振った。
「いや、本当に良い攻撃だった。魔法使いの俺に体術を褒められても釈然としないかもしれないが、地面に倒されたのなんて、皇帝と戦った時以来だ。アゲハ、お前はまだ伸びる。明日からはみんなと一緒に俺の訓練を受けてみないか?」
ウィッカーが手を差し伸べると、アゲハは少しだけその手を見つめた後、小さく笑って握り締めた。
「最初からそのつもりだったよ。よろしく頼むね、店長」
新庄弥生の子孫であるアゲハ。
200年の時を得て、今再びウィッカーとの絆が生まれた。
翌日からウィッカーの訓練にアゲハも参加し始めた。
仕事の合間に時間を作っては、一人一人が密度の濃い訓練を受ける。
閉店後も時間の許す限り教えを受け、レイジェスのメンバーは確実に力をつけていった。
やがて日没が早くなり、日中の熱さも和らいで来たと感じるようになってきた。
季節は夏が終わり、秋へと移り変わる。
青く澄み渡る空。心地良い風が髪を撫でるある朝、レイジェスに一人の女性が訪ねて来た。
「いらっしゃいま、あ!シャノンさん!」
「やぁ、久しぶりだねアラタ君」
少しクセのある黒のショートヘア、健康的な褐色の肌、シワ加工の白いシャツに、肌にピッタリとした細いインディゴのデニムパンツを穿いている。
入口横のメインレジの立つアラタに、手を挙げて笑顔を見せるその女性は、アラルコン商会の跡取り娘、シャノン・アラルコンだった。
「久しぶりですね、今日は休みなんですか?」
アラルコン商会は、夏にクインズベリー支店をオープンした。
シャノンもロンズデールの本店は父と部下に任せ、今はクインズベリー支店の責任者として店を回しているのだ。
「まぁね、店もだいぶ落ち着いて来たし、新人さんもできるようになってきたから、久しぶりに休みをとったんだよ。レイジェスにも用事があったからね」
「そうなんですか、えっと、用事って言うと?」
「ロンズデールのリンジーから手紙が届いてさ、近々こっちに来たいらしいんだ。その話しをしにね」
ウィッカーとの手合わせが終わると、捻られた右腕をさすりながら、アゲハは眉間にシワを寄せてウィッカーに顔を向けた。腕はまだ痛むようだ。
「大丈夫か?ちょっと強く捻り過ぎたかな」
ウィッカーがヒールをかけると、みるみると痛みが引いていく。
回復の早さにアゲハは感心しつつ、右腕を回して口笛を吹いた。
「これで大丈夫だ。それで質問の答えだが、風だ。俺は目と耳よりも風を頼る。お前が動く事で起きる風の流れを体で感じれば、どこに何が来るかは分かる。ついでに言えばお前の蹴りを受け止めた時、俺は風魔法で手を保護して衝撃のほとんどを吸収していた。さすがに素手では受け切れないからな」
「あ~、だからか。私も魔法使いに素手で防がれたら自信無くしてたよ」
アゲハは納得したように、軽く息をついて笑った。
いくらウィッカーの体術が優れているとはいえ、あくまで魔法使い。
体力型、それも帝国の師団長にまでなった自分の蹴りを、片手で易々と止められた事はおかしいと思っていた。魔法を使っていたのならば納得の話しである。
「最後の動きは俺の予測を越えていたぞ。蹴りと見せかけて俺の肩に足をひっかける、そこから引き寄せて馬乗りとはな、あれは見事だった」
「でも、結局一発も当てられなかった。褒められてもあんまり喜べないね」
肩をすくめて苦笑いを浮かべるが、ウィッカーは小さく首を横に振った。
「いや、本当に良い攻撃だった。魔法使いの俺に体術を褒められても釈然としないかもしれないが、地面に倒されたのなんて、皇帝と戦った時以来だ。アゲハ、お前はまだ伸びる。明日からはみんなと一緒に俺の訓練を受けてみないか?」
ウィッカーが手を差し伸べると、アゲハは少しだけその手を見つめた後、小さく笑って握り締めた。
「最初からそのつもりだったよ。よろしく頼むね、店長」
新庄弥生の子孫であるアゲハ。
200年の時を得て、今再びウィッカーとの絆が生まれた。
翌日からウィッカーの訓練にアゲハも参加し始めた。
仕事の合間に時間を作っては、一人一人が密度の濃い訓練を受ける。
閉店後も時間の許す限り教えを受け、レイジェスのメンバーは確実に力をつけていった。
やがて日没が早くなり、日中の熱さも和らいで来たと感じるようになってきた。
季節は夏が終わり、秋へと移り変わる。
青く澄み渡る空。心地良い風が髪を撫でるある朝、レイジェスに一人の女性が訪ねて来た。
「いらっしゃいま、あ!シャノンさん!」
「やぁ、久しぶりだねアラタ君」
少しクセのある黒のショートヘア、健康的な褐色の肌、シワ加工の白いシャツに、肌にピッタリとした細いインディゴのデニムパンツを穿いている。
入口横のメインレジの立つアラタに、手を挙げて笑顔を見せるその女性は、アラルコン商会の跡取り娘、シャノン・アラルコンだった。
「久しぶりですね、今日は休みなんですか?」
アラルコン商会は、夏にクインズベリー支店をオープンした。
シャノンもロンズデールの本店は父と部下に任せ、今はクインズベリー支店の責任者として店を回しているのだ。
「まぁね、店もだいぶ落ち着いて来たし、新人さんもできるようになってきたから、久しぶりに休みをとったんだよ。レイジェスにも用事があったからね」
「そうなんですか、えっと、用事って言うと?」
「ロンズデールのリンジーから手紙が届いてさ、近々こっちに来たいらしいんだ。その話しをしにね」
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