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デューク・サリバンがアゲハを地面に押し付けたその時、すでに大剣を構えた女剣士は地面を蹴っていた。
アゲハが一瞬で制圧された事に対しての驚きはあった。
だがリーザ・アコスタはそれで動揺し、相手に呑まれる事はない。幼き頃からウィッカー・バリオスに師事した事で、心を平静に保つ術は持っている。
デューク・サリバンが皇帝の最側近であるとは聞いていた。
ならばその戦闘力は高くて当然。それを目にしたからと言って、やるべき事は変わらない。
脇を締めて両手で剣を握ると、自分に背中を向けているデューク・サリバンに、真っ直ぐに剣を突き出した!
「ッ!?」
リーザ・アコスタは目を見開き驚愕した。
突き刺したと思った自分の剣が、空を切ったからだ。
絶対に刺せるタイミングだった。デューク・サリバンを貫くイメージもできていた。
デュークはアゲハを左腕で地面に押し付けている。そのため左膝を地面に着き、前かがみの姿勢になっていた。
その状態で背後からの剣を、躱せるはずなどないのだ。
だがリーザの剣は空を切った。
デュークがどうやって躱したのか?
その驚くべき一瞬を、リーザ目の当たりにしていた。
なんだ・・・今の動きは!?
いったいどれ程の筋力があれば、あんな真似ができるんだ!?
しかも、背中に目でも付いているのかと思うくらい、完全に見切られていた。
リーザは己の目がかろうじて捉えた、デューク・サリバンの残像に、身震いする程の戦慄を感じていた。
あの姿勢で・・・左膝を地面に着き、左腕でアゲハを押さえつけていたあの姿勢のまま・・・・・
右足で地面を後ろに蹴りつけて、飛び躱しただと!?
極限まで時を圧縮した瞬き程の一瞬で、リーザはデューク・サリバンという男の恐るべき実力、その一旦を垣間見た。
そして・・・・・
「悪くない腕だが・・・」
顔より少し下の辺りから聞こえる声に、リーザは目を向けた。
膝を曲げ、姿勢を低くし、拳を握り締めたデューク・サリバンと目が合った。
「しまっ・・・!」
「俺に挑むには遠いな」
一歩深く右足を踏み込む。
腰を右に回しながら、体ごと叩きつけるように左拳を振り抜いた。
大剣を突き出し、がら空きになっていたリーザの左脇腹に、デュークの左拳が突き刺さった。
「カッ・・・ァ・・・・・・・!」
胃袋の中身を全て、無理やり吐き出させられる程の衝撃に、脳が痺れて一瞬で頭の中が真っ白になった。
体力型として、鍛えに鍛えてきたと自負している。
訓練の中では大きな怪我をする事だってある。投げ飛ばされる事だって日常茶飯事だ。
だがそれは技によるものだった。
拳の力だけで、体が垂直に殴り飛ばされた事は初めてだった。
十数メートルは飛ばされただろう。石壁に背中から激しく衝突し、リーザ・アコスタは受け身さえとる事ができず、そのまま前のめりに崩れ落ちた。
崩れた石の破片が、リーザの頭や背中にバラバラと落ちて、その体を埋めていく。
「ほぅ・・・咄嗟に後ろに飛んだのか、内臓を潰してやろうと思ったが、意外にやるようだな」
拳に感じた手ごたえから、今の一撃が浅く入った事は感じていた。
さらにデューク・サリバンは、己の拳が当たる寸前で、リーザの足が地面を後ろに蹴った事も見ていた。
デューク・サリバンは一発で仕留めるつもりだった。
だがリーザの戦いのセンスが体を動かし、ギリギリで致命傷を避けた。
まともに食らっていれば、今の一撃で終わっていただろう。
リーザはまだ起き上がってはこない。だが死んだわけではないと、デュークは見抜いていた。
デュークは足元で倒れているアゲハ、たった今殴り飛ばしたリーザ、後ろで剣を構えているレミューとエクトール、そしてレイマートを介抱しているリカルドの順に目を向けた。
「懐かしい匂いに惹かれてここまで来たが、どうやら無駄足だったらしい。まぁ、それならそうだな・・・帝国の人間として、貴様達クインズベリーだけでも始末しておくか」
デューク・サリバンは、この場にいる全ての人間に関心がなかった。
周囲に転がる大蛇の死体も、その蛇達を従えていたバドゥ・バックの事も、何一つ関心が無い。
だから今、デュークがアゲハ達と戦闘に入った事も、帝国の人間としてと口にしてはいるが、それは帝国軍としての使命感からではない。
あくまでついでである。
レミューもエクトールも、自分に剣を向けて構えているが、デューク・サリバンは眉一つ動かさず、ゆっくりと体を向けて一歩踏み出した。
「ウ・・・ウオォォォォォォォーーーーーーッツ!」
デューク・サリバンの意識が自分達に向いた事を感じ取ると、エクトールは声を張り上げて闘気を全開にした。
目の前でアゲハとリーザが一蹴された事実、それがデューク・サリバンを、どれほど危険な相手かという事を肌で感じさせていた。
心臓の鼓動がやけに早い。緊張から滲み出る汗で、全身がぐっしょりと濡れていた。
平常心を保とうにも、デュークから発せられる異様な圧を前に、立って構えているだけで精一杯だった。
エクトールが恐怖に呑まれないように、自らを奮い立たせようと、声を張り上げて闘気を全開にした事は、やむを得ない事だった。
「待てエクトール!感情のまま突っ込むな!コイツは危険だ!」
隣に立つレミューが、エクトールの状態を察して静止をかけるが、エクトールには聞こえていなかった。
「ダァァァァァァーーーーーッツ!」
デューク・サリバンが二歩目を踏み出そうとしたその時、エクトールは地面を蹴って飛び掛かった!
「くっ、やむを得ん!」
飛び出したエクトールを見て、レミューも全身から闘気を放出すると、一歩遅れて地面を蹴った。
正面から突撃したエクトールは、闘気の剣を頭上に掲げ、デュークの頭に向かって振り下ろした。
だがデューク・サリバンは、一瞬にしてエクトールの懐に入り込んで剣を躱すと、左拳でエクトールの顎を跳ね上げ、右拳をエクトールの左頬に叩き込んだ。
殴られた勢いでエクトールは頭から地面に倒れ、そこでエクトールの意識は途切れた。
「ハァァァァァァーーーーーーーッツ!」
倒れたエクトールと入れ替わるように、レミューが正面から突っ込んだ!
闘気の剣でデュークの喉元を狙いをつけると、体全体でぶつかるような気迫の突きを放つ!
やけくそか?
ここまでの三人を、歯牙にもかけずに倒してのけたデュークには、レミューのこの特攻が無策にしか見えなかった。
この男が今の三人よりも強いならば別だが、そこまでの差はないだろう。
つまり全身全霊での突撃、それしか残っていなかったという事か。
「つまらんな」
そう判断したデュークは右の拳を握り締め、レミューの向かって来る勢いに合わせて、顔面に打ち込んだ!
カウンターでの右ストレートである。
デュークの腕力でまともに入れば、レミューの顔面など粉砕されてしまうだろう。
タイミングも申し分ない。この一発でレミューの死は確定していた。
しかしデュークの拳は空を切った。
「なにっ!?」
この戦場に立って、初めてデューク・サリバンの表情が変化した。
目を開き、驚きの声を上げる。
自分の拳が躱されるなど微塵も考えていなかった。今の右ストレートも、躱される事などありえないタイミングだった。
だがレミューはデュークの予想だにしない方法で拳を躱した。
そしてほんの一瞬だが、予想外の事態にデュークの動きが止まる。
「くらえ!」
頭上から聞こえた声にデュークが顔を上げると、丸腰のレミューが宙を舞っていた。
二人の視線が合ったその瞬間、闘気を込めたレミューの右足が、デュークの顔面を蹴り抜いた!
アゲハが一瞬で制圧された事に対しての驚きはあった。
だがリーザ・アコスタはそれで動揺し、相手に呑まれる事はない。幼き頃からウィッカー・バリオスに師事した事で、心を平静に保つ術は持っている。
デューク・サリバンが皇帝の最側近であるとは聞いていた。
ならばその戦闘力は高くて当然。それを目にしたからと言って、やるべき事は変わらない。
脇を締めて両手で剣を握ると、自分に背中を向けているデューク・サリバンに、真っ直ぐに剣を突き出した!
「ッ!?」
リーザ・アコスタは目を見開き驚愕した。
突き刺したと思った自分の剣が、空を切ったからだ。
絶対に刺せるタイミングだった。デューク・サリバンを貫くイメージもできていた。
デュークはアゲハを左腕で地面に押し付けている。そのため左膝を地面に着き、前かがみの姿勢になっていた。
その状態で背後からの剣を、躱せるはずなどないのだ。
だがリーザの剣は空を切った。
デュークがどうやって躱したのか?
その驚くべき一瞬を、リーザ目の当たりにしていた。
なんだ・・・今の動きは!?
いったいどれ程の筋力があれば、あんな真似ができるんだ!?
しかも、背中に目でも付いているのかと思うくらい、完全に見切られていた。
リーザは己の目がかろうじて捉えた、デューク・サリバンの残像に、身震いする程の戦慄を感じていた。
あの姿勢で・・・左膝を地面に着き、左腕でアゲハを押さえつけていたあの姿勢のまま・・・・・
右足で地面を後ろに蹴りつけて、飛び躱しただと!?
極限まで時を圧縮した瞬き程の一瞬で、リーザはデューク・サリバンという男の恐るべき実力、その一旦を垣間見た。
そして・・・・・
「悪くない腕だが・・・」
顔より少し下の辺りから聞こえる声に、リーザは目を向けた。
膝を曲げ、姿勢を低くし、拳を握り締めたデューク・サリバンと目が合った。
「しまっ・・・!」
「俺に挑むには遠いな」
一歩深く右足を踏み込む。
腰を右に回しながら、体ごと叩きつけるように左拳を振り抜いた。
大剣を突き出し、がら空きになっていたリーザの左脇腹に、デュークの左拳が突き刺さった。
「カッ・・・ァ・・・・・・・!」
胃袋の中身を全て、無理やり吐き出させられる程の衝撃に、脳が痺れて一瞬で頭の中が真っ白になった。
体力型として、鍛えに鍛えてきたと自負している。
訓練の中では大きな怪我をする事だってある。投げ飛ばされる事だって日常茶飯事だ。
だがそれは技によるものだった。
拳の力だけで、体が垂直に殴り飛ばされた事は初めてだった。
十数メートルは飛ばされただろう。石壁に背中から激しく衝突し、リーザ・アコスタは受け身さえとる事ができず、そのまま前のめりに崩れ落ちた。
崩れた石の破片が、リーザの頭や背中にバラバラと落ちて、その体を埋めていく。
「ほぅ・・・咄嗟に後ろに飛んだのか、内臓を潰してやろうと思ったが、意外にやるようだな」
拳に感じた手ごたえから、今の一撃が浅く入った事は感じていた。
さらにデューク・サリバンは、己の拳が当たる寸前で、リーザの足が地面を後ろに蹴った事も見ていた。
デューク・サリバンは一発で仕留めるつもりだった。
だがリーザの戦いのセンスが体を動かし、ギリギリで致命傷を避けた。
まともに食らっていれば、今の一撃で終わっていただろう。
リーザはまだ起き上がってはこない。だが死んだわけではないと、デュークは見抜いていた。
デュークは足元で倒れているアゲハ、たった今殴り飛ばしたリーザ、後ろで剣を構えているレミューとエクトール、そしてレイマートを介抱しているリカルドの順に目を向けた。
「懐かしい匂いに惹かれてここまで来たが、どうやら無駄足だったらしい。まぁ、それならそうだな・・・帝国の人間として、貴様達クインズベリーだけでも始末しておくか」
デューク・サリバンは、この場にいる全ての人間に関心がなかった。
周囲に転がる大蛇の死体も、その蛇達を従えていたバドゥ・バックの事も、何一つ関心が無い。
だから今、デュークがアゲハ達と戦闘に入った事も、帝国の人間としてと口にしてはいるが、それは帝国軍としての使命感からではない。
あくまでついでである。
レミューもエクトールも、自分に剣を向けて構えているが、デューク・サリバンは眉一つ動かさず、ゆっくりと体を向けて一歩踏み出した。
「ウ・・・ウオォォォォォォォーーーーーーッツ!」
デューク・サリバンの意識が自分達に向いた事を感じ取ると、エクトールは声を張り上げて闘気を全開にした。
目の前でアゲハとリーザが一蹴された事実、それがデューク・サリバンを、どれほど危険な相手かという事を肌で感じさせていた。
心臓の鼓動がやけに早い。緊張から滲み出る汗で、全身がぐっしょりと濡れていた。
平常心を保とうにも、デュークから発せられる異様な圧を前に、立って構えているだけで精一杯だった。
エクトールが恐怖に呑まれないように、自らを奮い立たせようと、声を張り上げて闘気を全開にした事は、やむを得ない事だった。
「待てエクトール!感情のまま突っ込むな!コイツは危険だ!」
隣に立つレミューが、エクトールの状態を察して静止をかけるが、エクトールには聞こえていなかった。
「ダァァァァァァーーーーーッツ!」
デューク・サリバンが二歩目を踏み出そうとしたその時、エクトールは地面を蹴って飛び掛かった!
「くっ、やむを得ん!」
飛び出したエクトールを見て、レミューも全身から闘気を放出すると、一歩遅れて地面を蹴った。
正面から突撃したエクトールは、闘気の剣を頭上に掲げ、デュークの頭に向かって振り下ろした。
だがデューク・サリバンは、一瞬にしてエクトールの懐に入り込んで剣を躱すと、左拳でエクトールの顎を跳ね上げ、右拳をエクトールの左頬に叩き込んだ。
殴られた勢いでエクトールは頭から地面に倒れ、そこでエクトールの意識は途切れた。
「ハァァァァァァーーーーーーーッツ!」
倒れたエクトールと入れ替わるように、レミューが正面から突っ込んだ!
闘気の剣でデュークの喉元を狙いをつけると、体全体でぶつかるような気迫の突きを放つ!
やけくそか?
ここまでの三人を、歯牙にもかけずに倒してのけたデュークには、レミューのこの特攻が無策にしか見えなかった。
この男が今の三人よりも強いならば別だが、そこまでの差はないだろう。
つまり全身全霊での突撃、それしか残っていなかったという事か。
「つまらんな」
そう判断したデュークは右の拳を握り締め、レミューの向かって来る勢いに合わせて、顔面に打ち込んだ!
カウンターでの右ストレートである。
デュークの腕力でまともに入れば、レミューの顔面など粉砕されてしまうだろう。
タイミングも申し分ない。この一発でレミューの死は確定していた。
しかしデュークの拳は空を切った。
「なにっ!?」
この戦場に立って、初めてデューク・サリバンの表情が変化した。
目を開き、驚きの声を上げる。
自分の拳が躱されるなど微塵も考えていなかった。今の右ストレートも、躱される事などありえないタイミングだった。
だがレミューはデュークの予想だにしない方法で拳を躱した。
そしてほんの一瞬だが、予想外の事態にデュークの動きが止まる。
「くらえ!」
頭上から聞こえた声にデュークが顔を上げると、丸腰のレミューが宙を舞っていた。
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