異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
1,148 / 1,560

1147 謎の攻撃

しおりを挟む
クインズベリー国を出発して二日目、保存食での昼食を終えて、軍はまた先を目指して進んでいた。

「アラタ君、体の調子はどう?」

アラタのとなりを歩きながら、カチュアが顔を向けて来た。

「う~ん・・・一日荷馬車で寝てたから、昨日よりは全然良いよ。でもやっぱり本調子には遠いかな。体はだるいし、いまいち力が入らないよ」

体の感覚を確かめるように、肩を回したり、拳を握ったりしながら、アラタはカチュアに言葉を返した。

昨日は帝国からの刺客の攻撃を防ぐため、光の力を限界近くまで使ってしまった。
ウィッカーとの修行で、光の力も以前よりうまく使えるようになり、持続時間も長くなっているが、それでも使えば使っただけ体への反動はある。

一日体を休めた分、確かに回復はしている。だがそれでも完全回復にはもう2日程は必要だというのが、アラタの正直な感覚だった。

「そっか、レイチェルもまだ休まないとダメみたいだし、アラタ君も体調が戻るまでゆっくり休んでね?荷馬車に乗らなくて大丈夫?」

「うん、歩くくらいは大丈夫だよ。横になってばかりより、少しは外の空気を吸ったほうがいいと思うし。心配してくれてありがとう」

自分の体を気にかけてくれるカチュアに笑顔でお礼を口にすると、カチュアもニコリと笑顔を返す。

「そんなの当然だよ、私達夫婦なんだし」

「うん、優しい奥さんで俺は幸せ者だよ」


アラタが返した言葉に、カチュアは少し頬を赤くして微笑むと、黙ってアラタの手を握った。
アラタもカチュアの手を握り返す。

雪は20センチくらいは積もっているだろう。一歩足を前に出すたびに、足首までズボっと埋まってしまう。
アラタはカチュアが足を取られて転ばないように、手をしっかりと握り、寄り添うようにして歩いた。





「まぁったく兄ちゃんとカチュアは、こんなとこでもイチャイチャイチャイチャしやがって、緊張感が足りねぇんじゃねぇの?」

アラタとカチュアの数メートル程後ろを歩くリカルドは、肩をすくめて呆れた口調でぼやいた。

「別にいいと思う。戦争中だからって一日中気を張ってたら疲れるだけ。アラタとカチュアはお互いに支え合ってる。アタシは見守りたい」

リカルドと並んで歩くユーリは、リカルドに顔も向けずに淡々と言葉を返した。

「はいはい、まぁ俺も邪魔する気はねぇけどよぉ、緊張感ってのは必要だと思うんだよ。昨日みたくいきなり襲われる可能性だってあるじゃん?ぼけっとしてたら瞬殺される事だってあんだぜ?」

「リカルドの言い分も分かる。間違った事は言ってない。でもそれは人それぞれ。それにアラタとカチュアは手を繋いで歩いてるけど、イチャイチャしてるわけじゃない。見てたら分かるでしょ?」

そこまで話して、ユーリはリカルドに顔を向けた。
じっと見つめ続けていると、根負けしたのかリカルドは、はいはい、と後ろ手に頭を掻いてうなずいた。


「はいはい、分かった分かった、確かに手を繋いでるだけで、浮かれてるわけでもねぇし、無駄口叩いてるわけでもねぇよ。兄ちゃんも警戒を解いてるわけでもねぇし、カチュアだって空いてる左手に魔風の羽を握ってるしな・・・もう言わねぇからそう睨むなって、悪かったよ」

いつまでもリカルドを見つめるユーリに、リカルドは睨まれているのかと思い、謝罪の言葉も口にした。だがそれでもリカルドをじっと見るユーリに、リカルドは眉を寄せた。


「おいおい、だからもう言わねぇって言って・・・・・ユーリ?」

そこまで言って、リカルドは違和感を感じた。

ユーリの様子がおかしい。唇は震えているし、顔もなんだか力が入ったように強張っている。

良く見ると体も小刻みに震えているし、これはリカルドを見つめていると言うより、まるで固まって動けないような・・・

そこまでリカルドが思い当たった時、ユーリの口からうめき声が漏れて、真っ赤な液体・・・そう血が零れ落ちた。


「う・・・あ・・・あぐ・・・・・ゴフッ!」

「なッ!?お、おいユーリッ!?どうしたッ!?おい!?おいぃぃぃぃぃッツ!」

目を見開いて、体を震わせながら血を吐き出すと、ユーリはそのまま前のめりに倒れた。

「う、うわぁぁぁぁぁーーーーーーッ!ユ、ユーーーリィィィィィィーーーーーーーーッツ!」


真っ白な雪にユーリの吐いた血が赤い色を撒き散らす。
突然倒れたユーリを見て、リカルドの全身から汗が噴き出した。


なんだ!?いったいなにがあった!?なんでユーリは突然血を吐いて倒れたんだ!?いったいなにが!?


倒れ伏したユーリの背中には、小さな赤いシミのようなものが浮かび上がり、そしてその赤いシミはジワジワと大きく広がりをみせた。

「な、ななな、なんだよこれ!?ま、まさか血!?血か!?血かよぉぉぉぉぉーーーッ!?」

混乱したリカルドの絶叫が響き渡ると、異変に気付いたアラタとカチュア、そしてレイジェスの仲間達が駆けつけて来た。

「リカルド、どうした!?・・・な!?ユ、ユーリ!?おいリカルド!なにがあった!?」

「ユーリッ!おいユーリ!ユーリィィィィィーーーーーッツ!」

倒れているユーリとリカルドを交互に見て、アラタがリカルドに事情を聞こうとするが、パニック状態のリカルドは、倒れているユーリにすがりつくようにして、ただ叫ぶばかりだった。


「リカルド君どいて!」

そんなリカルドを押しのけるようにして、カチュアはユーリの頭の脇に膝をつくと、ユーリの顔の前に手を出し、そして頬や首に触れた。

「・・・大丈夫、呼吸はしてるからまだ生きてる。まだ助けられる!」

強くハッキリと言葉を口にすると、カチュアはユーリの背中に目を向けた。
一瞬だが眉を潜めて表情を険しくさせたのは、すでにローブの下半分を赤く染めている、出血量の多さを想像したからだろう。

「・・・これは・・・ユーリ、絶対に私が助けるからね!」


背中からこれだけの血が流れているという事は、おそらく背中を刺されたか切られたか、いずれにしろ鋭利な何かで攻撃された可能性が高い。

だけどユーリのローブは、どこも切れたり破れていないように見える。
ではいったいユーリは何をされたのだ?どういう攻撃を受けたんだ?

疑問は多い。考える事は沢山ある。けれど今はユーリの治療が最優先だ。カチュアは思考を切り替えると、両手に淡く光る癒しの魔力を集中させた。
そしてユーリの背中に手を当てると、癒しの魔法でユーリを優しく包み込んだ。


「カ、カチュア、ユーリは助かるよな!?なぁ!大丈夫だよな!?」

「大丈夫、ユーリは私が絶対に助ける!だからリカルド君はユーリの手を握って、沢山声をかけてあげて」

普段のふざけた態度とは一転して、泣きそうな顔でカチュアにすがりつくリカルドに、カチュアは安心させるようその目を見ながら、しっかりと言葉を返した。


「わ、分かった!おい、ユーリ!死ぬんじゃねぇぞ!大丈夫だ!絶対助かるからな!」


リカルドはユーリの手をしっかりと両手で握り、見た事も無いくらい必死な顔つきで声をかけ続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜

伽羅
ファンタジー
 事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。  しかも王子だって!?  けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。  助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。  以前、投稿していた作品を加筆修正しています。

処理中です...