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1169 今白魔法使いにできる事
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「・・・はぁ~、オスカー殿下とは挨拶程度しかした事ねぇけど、ずいぶん目線が俺らよりなんだな?あんなに腰が低いと思わなかったぜ」
ずっと黙っていたミゼルだが、オスカーの姿が見えなくなると、腕を組んで感心したように声を出した。元々オスカーの印象は控えめで大人しいというものだったが、実際に話してみると思っていた以上だった。
「ええ、本当にそうよね。でも王族としては優し過ぎるわ・・・相手の気持ちを考え過ぎるのね、それでは王位を継ぐのは難しいでしょうね」
「次の国王は、第一王子のマルス様でほぼ決まってんだろ?俺もその方がいいとは思うぜ、オスカー殿下は厳しい決断を下せるタイプじゃない」
「でも、国民の人気はオスカー様が圧倒的な一位ですよ?」
話しを聞いていたカチュアが疑問を口にすると、ミゼルは頬をポリポリと掻きながら答える。
「人気だけで政治はできないって事だな。国民の要望をはいはい全部はきけないだろ?時には苦渋の選択ってのも必要な時があると思うんだ。オスカー殿下だと優し過ぎて、一人でなんでも背負っちまいそうなんだよな。俺だったら次期国王にはマルス様を押すぜ。エリザ様にもその器はあると思うけど、継承権三位だと難しいだろうな」
「気が合うわねミゼル、私も同じ理由でマルス様に一票よ。この戦争が終われば、そういう話しも本格化すると思うの。あなた達も誰を押すか考えておいた方がいいかもね」
仲間達を見回してシルヴィアがそう告げると、カチュアが首を傾げた。
「え、シルヴィアさん、でも私達は平民じゃないですか?次期国王を決める話し合いの場に立つ事なんてないと思うし、国民を含めた投票で決めるわけでもないですよね?」
「その通りよ、普通は平民の意見なんて王侯貴族は求めないわ。普通ならね」
含みを持たせた言葉を返すシルヴィア。カチュアはその意味が理解できず、隣のユーリに顔を向けると、ユーリも黙って首を横に振った。
「カチュア、ユーリ、やっぱりキミ達は言葉の裏を読むのは苦手みたいだね。シルヴィアが言ってるのはね、周りはみんな僕達をただの平民とは見てないって事だよ。考えてごらんよ、アラタはマルゴンを倒してるし、偽国王の一件もレイジェスで解決したようなものだ。ロンズデールとの同盟にだってアラタやレイチェルが関わってるし、エリザベート王女様もエリザって愛称で呼ぶくらい親しい。これでただの平民というのは無理があるよ」
シルヴィアの言葉に含まれたものを、ジーンが読み取って説明すると、二人はその意味を理解して頷いた。
「・・・なるほど、だいたい分かったわ。私達にも接触して派閥に取り込もうとする人達が出てくるって事だよね?」
「む、それは面倒くさそう。ドロドロした権力闘争なんて勝手にやればいい。カチュア、アタシとカチュアは誰も支持しないで中立でいこう」
「ははは、まぁそう心配すんな。聞いた話しだと、よっぽどの事がなければ第一王子で決まりだから、俺らの意見が求められる事なんてないと思うぜ。それに兄弟仲は良いみたいだから、派閥に流されて争う事ってのもないんじゃないか?まぁ、この話しはここまでにしようぜ・・・・今は・・・」
ユーリが眉根を寄せてうんざりしたように話すと、ミゼルが軽い調子で話しを締めくくった。
そして回りを見ろと言うように、周囲を顔を向ける。
「あ・・・」
促されてカチュアは気が付いた。
オスカーが来た事で気が反れてしまったが、さっきまでここは戦場だったのだ。
人形が暴れ回った事で、多数の死傷者が出ている。すでに軍の白魔法使い達が治療にあたっており、兵士達が忙しなく動き回っていた。
そしてその中で一際目覚ましい動きを見せているのが、四勇士のエステバン・クアルトだった。
脅威的なスピードで次々に負傷者の傷を癒していく手並みは、同じ白魔法使いのカチュアやユーリが、舌を巻く程のものだった。
少し長めの赤茶色の髪。小顔で丸みのある目元には、あどけなさも見える。
現在22歳のクアルトだが、実年齢よりも若く見える容姿から、子供と間違われる事もある。
だがクアルトを知っている者はその圧倒的な魔力に敬意を持ち、決して下に見る事などはしない。
「・・・すごい、あんな速さで傷口が塞がるなんて・・・」
「ん、さすが四勇士・・・カチュア、アタシ達も行こう、今ここで白魔法使いのアタシ達がすべき事は決まってる」
「でもユーリ、その体じゃ・・・」
怪我は治っても失った血は戻らない。まだ顔色が優れないユーリを、カチュアが心配そうに見る。
するとユーリはカチュアの心配を吹き飛ばすように、ニコリと笑って見せた。
「魔力は残ってる。体も動かないわけじゃない。ゆっくりならできる」
「ユーリ・・・うん、分かった。一緒に行こう」
カチュアが差し伸べた手を、ユーリは掴んで立ち上がった。そして二人は負傷したクインズベリー兵の治療に向かった。
ずっと黙っていたミゼルだが、オスカーの姿が見えなくなると、腕を組んで感心したように声を出した。元々オスカーの印象は控えめで大人しいというものだったが、実際に話してみると思っていた以上だった。
「ええ、本当にそうよね。でも王族としては優し過ぎるわ・・・相手の気持ちを考え過ぎるのね、それでは王位を継ぐのは難しいでしょうね」
「次の国王は、第一王子のマルス様でほぼ決まってんだろ?俺もその方がいいとは思うぜ、オスカー殿下は厳しい決断を下せるタイプじゃない」
「でも、国民の人気はオスカー様が圧倒的な一位ですよ?」
話しを聞いていたカチュアが疑問を口にすると、ミゼルは頬をポリポリと掻きながら答える。
「人気だけで政治はできないって事だな。国民の要望をはいはい全部はきけないだろ?時には苦渋の選択ってのも必要な時があると思うんだ。オスカー殿下だと優し過ぎて、一人でなんでも背負っちまいそうなんだよな。俺だったら次期国王にはマルス様を押すぜ。エリザ様にもその器はあると思うけど、継承権三位だと難しいだろうな」
「気が合うわねミゼル、私も同じ理由でマルス様に一票よ。この戦争が終われば、そういう話しも本格化すると思うの。あなた達も誰を押すか考えておいた方がいいかもね」
仲間達を見回してシルヴィアがそう告げると、カチュアが首を傾げた。
「え、シルヴィアさん、でも私達は平民じゃないですか?次期国王を決める話し合いの場に立つ事なんてないと思うし、国民を含めた投票で決めるわけでもないですよね?」
「その通りよ、普通は平民の意見なんて王侯貴族は求めないわ。普通ならね」
含みを持たせた言葉を返すシルヴィア。カチュアはその意味が理解できず、隣のユーリに顔を向けると、ユーリも黙って首を横に振った。
「カチュア、ユーリ、やっぱりキミ達は言葉の裏を読むのは苦手みたいだね。シルヴィアが言ってるのはね、周りはみんな僕達をただの平民とは見てないって事だよ。考えてごらんよ、アラタはマルゴンを倒してるし、偽国王の一件もレイジェスで解決したようなものだ。ロンズデールとの同盟にだってアラタやレイチェルが関わってるし、エリザベート王女様もエリザって愛称で呼ぶくらい親しい。これでただの平民というのは無理があるよ」
シルヴィアの言葉に含まれたものを、ジーンが読み取って説明すると、二人はその意味を理解して頷いた。
「・・・なるほど、だいたい分かったわ。私達にも接触して派閥に取り込もうとする人達が出てくるって事だよね?」
「む、それは面倒くさそう。ドロドロした権力闘争なんて勝手にやればいい。カチュア、アタシとカチュアは誰も支持しないで中立でいこう」
「ははは、まぁそう心配すんな。聞いた話しだと、よっぽどの事がなければ第一王子で決まりだから、俺らの意見が求められる事なんてないと思うぜ。それに兄弟仲は良いみたいだから、派閥に流されて争う事ってのもないんじゃないか?まぁ、この話しはここまでにしようぜ・・・・今は・・・」
ユーリが眉根を寄せてうんざりしたように話すと、ミゼルが軽い調子で話しを締めくくった。
そして回りを見ろと言うように、周囲を顔を向ける。
「あ・・・」
促されてカチュアは気が付いた。
オスカーが来た事で気が反れてしまったが、さっきまでここは戦場だったのだ。
人形が暴れ回った事で、多数の死傷者が出ている。すでに軍の白魔法使い達が治療にあたっており、兵士達が忙しなく動き回っていた。
そしてその中で一際目覚ましい動きを見せているのが、四勇士のエステバン・クアルトだった。
脅威的なスピードで次々に負傷者の傷を癒していく手並みは、同じ白魔法使いのカチュアやユーリが、舌を巻く程のものだった。
少し長めの赤茶色の髪。小顔で丸みのある目元には、あどけなさも見える。
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だがクアルトを知っている者はその圧倒的な魔力に敬意を持ち、決して下に見る事などはしない。
「・・・すごい、あんな速さで傷口が塞がるなんて・・・」
「ん、さすが四勇士・・・カチュア、アタシ達も行こう、今ここで白魔法使いのアタシ達がすべき事は決まってる」
「でもユーリ、その体じゃ・・・」
怪我は治っても失った血は戻らない。まだ顔色が優れないユーリを、カチュアが心配そうに見る。
するとユーリはカチュアの心配を吹き飛ばすように、ニコリと笑って見せた。
「魔力は残ってる。体も動かないわけじゃない。ゆっくりならできる」
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