異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
1,235 / 1,560

1234 重なって見えた男

しおりを挟む
「にしてもよぉ、軍の連中も横暴じゃね?やっと部屋に案内されたと思ったら、すぐに会議ってどうなのよ?飯食う暇もねぇじゃねぇか?なぁ?」

薄暗い石造りの通路を気だるそうに歩きながら、リカルドが不満を口にする。

案内係の兵士の後に付いて、レイジェスのメンバー達は軍の幹部達が集まる一室へと向かっているところだった。

「まぁしかたないって。今は戦争中なんだぜ?食事が後回しになるくらい我慢しようぜ。それに俺達が少しでもゆっくりできるようにって、レイチェルが一足先に行ってるんだから、文句言うなよ」

アラタがたしなめるように話すと、舌を打って口をつぐむが、やはり不満は不満のようで、眉間にシワを寄せて口を尖らせている。

「まったくリカルドは本当にリカルドだよねぇ、こんな時でもご飯の事ばっかり。ここまでくると一周回って尊敬するよ」

一歩後ろを歩いていたケイトが、笑いながら言葉を挟んできた。

「あぁ、んだよケイト、馬鹿にしてんのかよ?」

「あはは、違う違う。本当に感心してるんだって。もう二つ名付けない?ご飯大王リカルドとか、腹ペコの弓使いリカルドとか!」

「あぁ!?お前やっぱ馬鹿にしてんじゃねぇかよ!舐めてんのかコラ!」

「あー、うっせぇから怒鳴ってんなよ!止めろ止めろ!廊下だから響くんだよ!ケイティもからかうなよ、こうなんの分かんだろ?」

リカルドがケイトに詰め寄ろうとすると、ジャレットが間に入って押し止める。リカルドの怒鳴り声が耳に響いたのか、ジャレットは顔をしかめながら、ケイトにも注意をして睨みつける。

「あー・・・ごめんジャレット、つい調子に乗っちゃったよ。リカルドもごめん、そんな怒んないでよ」

バツが悪そうな顔をして両手を合わせるケイトに、リカルドはフン!と鼻を鳴らして背中を向けた。

「あらあら、ヘソ曲げちゃったわ。ふふふ、ケイトもちょっと言い過ぎたわね?」

のっしのっしと大股で歩くリカルドの背中を見つめながら、シルヴィアが口元を押さえてクスクス笑う。

「いやぁ・・・だってずっとご飯の事ばっかりだからさ。う~ん、でもそうだね、からかい過ぎたかも。あとでアタシの分の干し肉でも分けて機嫌とっておくよ」

「おいコラ!遅っせぇぞおめぇら!さっさとこいよ!五分前行動だろ!」

ケイトがぽりぽり頬を掻いてゆっくり歩いていると、先に進んだリカルドが振り返って大声を出してきた。

「あいつは何を言ってるんだ?」

ジャレットが首を傾げる。

「あらあら、まったくリカルドはしかたないわね。ほら、みんな急ぎましょう」

シルヴィアが笑顔で促すと、他のメンバー達も肩をすくめて足を急がせた。




「おう、来たかレイジェス。ほら、そこに座れ」

会議室の扉を開けると、そこにはいくつもの長テーブルが並べられていた。
そして真ん中のテーブルの一番奥に座るロブギンスが、右手を上げて隣のテーブルを指さす。

ロブギンスの右隣には、クインズベリー軍副団長のカルロス・フォスター。
左隣には第一王子のマルスと、第二王子のオスカーが並んでいる。

そしてロブギンスに近い席には、ゴールド騎士の三人。治安部隊の隊長格。そして四勇士と、実力者達が並んでいた。


「みんな、こっちだ」

アラタ達がロブギンスの指さす場所に目を向けると、先に来ていたレイチェルが、隣に並ぶ椅子に手を向けて座れと促す。

「じゃあ俺達はここに・・・」
「アラタ、キミはここだ」

空いている椅子の一番端にカチュアと座ろうとすると、レイチェルが呼び止めて自分の隣を指さした。

「え?あ・・・うん」
「いいか、私、アラタ、ジャレットの順に座る。他のみんなは自由に座ってくれ」

椅子を引いた手を止めて、アラタは言われるままにレイチェルの隣に腰を下ろした。
この順番に何か意味があるのか?そう思うアラタの内心の疑問を読み取ったように、レイチェルが言葉を続けた。

「アラタ、ここから先の戦いはあの男、セドコン村のあの黒魔法使いように、闇を使う敵がまた出てくるだろう。私やゴールド騎士の闘気も、本物の闇には弱い。キミの光の力は変わりの無い、唯一無二の力なんだ。自分が最重要人物という意識を持て。この席順一つにしてもだ」

クインズベリー軍の総大将バーナード・ロブギンスは、当然場の中心に座する。そして左右に並ぶのは、二人の王子と副団長。
そこから戦力の要として見られる実力者達が、前へと並んでいる。
当然レイチェルも最前列の一人だった。

「・・・俺が・・・・・」

「そうだ、キミが最重要人物だ。キミは今一つ自己評価が低いが、いい加減に自覚する事だ。後ろの方で話しを聞くのではなく、前に座って話し合いに参加するんだ。そういう意味での席順だ」

面と向かってレイチェルから言われ、アラタは固唾を飲み込んだ。

確かに自分の光の力が大きな力だとは思っていたが、これだけのメンツが集まった場で、最重要人物とまで言われると、自分が考えていた以上に大きな責任が感じられた。

だがそんなアラタの緊張を感じ取ったのか、ジャレットが笑いながらアラタの肩を叩いた。

「そうだぜアラやん、堂々と座って、ちゃんと話しを聞け。けどな、あんま気負う必要はねぇんだぞ?お前の光が頼りだけど、俺らだってけっこうやるんだぜ?」

「痛っ、ジャ、ジャレットさん、やめてくださいよ)

レイチェルとジャレットに挟まれ、目の前には軍の総大将がいる。そして自分が最重要人物だと言われ、アラタもプレッシャーを感じていた。

だがジャレットの明るさは、そんなアラタの背中にかかる重さを取り払い、心の荷を軽くした。

「ま、俺はお前の先輩だからな。なんかあったらいつでも言えよ?」

「ジャレットさん・・・・・」

やたら白い歯を見せて親指を立てるジャレットに、アラタはかつて働いていた場所、リサイクルショップ・ウイニングで、兄として慕っていた男が重なって見えた。


このまま戦い続ければ、いずれまた相まみえるだろう

戦いは避けられない
その時俺は・・・・・・・


「・・・はい、頼りにしてます、ジャレットさん」

少しだけ目を閉じて心を落ち着ける。

今の俺はレイジェスの坂木新だ

クインズベリーのために、レイジェスのために戦うんだ




「・・・マルゴンに勝った男、サカキアラタと言ったな?もういいかな?」

アラタ達の会話が一区切りついた頃を見計らって、ロブギンスが口を開いた。

「・・・はい、もう大丈夫です」

アラタの黒い瞳に宿ったある種の覚悟、それを見たロブギンスは口の端を持ち上げた。

「・・・ふむ、いい目だ。よろしい、それでは始めようか。西の山脈パウンド・フォー、北のユナニマス大川の攻略会議を」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界でカイゼン

soue kitakaze
ファンタジー
作者:北風 荘右衛(きたかぜ そうえ)  この物語は、よくある「異世界転生」ものです。  ただ ・転生時にチート能力はもらえません ・魔物退治用アイテムももらえません ・そもそも魔物退治はしません ・農業もしません ・でも魔法が当たり前にある世界で、魔物も魔王もいます  そこで主人公はなにをするのか。  改善手法を使った問題解決です。  主人公は現世にて「問題解決のエキスパート」であり、QC手法、IE手法、品質工学、ワークデザイン法、発想法など、問題解決技術に習熟しており、また優れた発想力を持つ人間です。ただそれを正統に評価されていないという鬱屈が溜まっていました。  そんな彼が飛ばされた異世界で、己の才覚ひとつで異世界を渡って行く。そういうお話をギャグを中心に描きます。簡単に言えば。 「人の死なない邪道ファンタジーな、異世界でカイゼンをするギャグ物語」 ということになります。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

処理中です...