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1236 不安を消す友の言葉
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サリー・ディルトン。いや、女王アンリエールの養子になったのだから、現在はサリー・アレクサンダーと呼んだ方が正しいだろう。
アップにしてまとめた艶やかな金色の髪。少しのそばかすがあり、シャープな顎のラインにキリっとした目と、やや吊り上がった眉からは、意思の強さが見て取れるかのようだった。
シャクールの侍女だった時にはいつもメイド服ばかりだったが、今日は黒いワンピースの上に暖かそうなボアのショートブルゾンを着ている。
「サリーさん、お一人なの?」
サリーはシャクールと一緒にいる事が多い。そのためシャクールの姿が見えない事に、シルヴィアが回りに目を向けながら尋ねると、サリーは、はい、と頷いた。
「シャクール様はまだ会議室に残っております。他の四勇士の方と、今後についてお話しをされております」
「え?あのシャクールが今後について!?」
驚いて声を出したのはアラタだった。
何をするかは気分次第、自由気ままに生きているような男がシャクール・バルデスである。
共にロンズデールに行き、その性格を十分に知っているからこそ、まさか今後についての打ち合わせをしているなど、驚きでしかなかったのだ。
「・・・アラタさん、それはどういう意味でしょうか?」
「あ!い、いえ!なんでもないです!すみませんでした!」
サリーから、まるで研ぎ澄まされた刃のような鋭い視線を向けられて、アラタは背筋を伸ばして己の失言を詫びた。
「あ、あの、サリーさん、ごめんなさい。アラタ君も悪気はないんです。許してください」
「ふふふ、はい、分かってますよ。ちょっと怖がらせてしまったみたいですね。こちらこそ申し訳ありません」
少し慌ててカチュアがアラタの前に出ると、サリーはコロっと表情柔らかくして、優しく微笑んだ。
「おいおいミゼル、あの女やべぇぞ、二重人格ってヤツなんじゃぐぼぁッ!」
その様子を見ていたリカルドが、ミゼルにこそこそ耳打ちをすると、ユーリの拳が右の脇腹に突き刺さった。
「リカルド、余計な事を言わない。話しが進まない」
「ぐっうぅ・・・ユ、ユーリ・・・こ、この、暴力、女が・・・・・」
右脇腹を押さえ片膝を着くリカルドに、ジャレットやケイト達が、またか?と呆れて溜息をつく。
するとレイチェルが一歩前に出て、サリーに言葉をかけた。
「サリー、うちの馬鹿が話しの腰を折ってすまない。それで、何の話しかな?」
後ろで腹を押さえてうずくまるリカルドを尻目に、レイチェルが話しの続きを促す。
「ふふふ、大丈夫よ。そうそう、呼び止めた理由だけど、知っての通りシャクール様達四勇士と、私とディリアン様はここに残るでしょ?」
サリーとレイチェルは、ロンズデールで共に戦った事から、他のメンバー達より気安く話し合う間柄になっていた。くだけた口調は、まさに友人としてのソレだった。
「ああ、そう聞いている。一騎当千と言われる四勇士は、たった一人で戦況を変える事ができる存在だ。戦況を見て適所だと思われる場所の援護に回った方がいいだろう。しかし、サリーは分かるが、ディリアンも残るのは少し意外だったな」
「あら、公爵家だから後ろに置いてるわけではないのよ?ディリアン様の魔道具、意外と応用が利くの。それに怖い者知らずって言うのかしら、言葉では表現しにくいけど、もしも危機的状況になった時に、逆転の一手を導き出してくれる。そんな期待感があると陛下がおっしゃっていたわ」
「・・・なるほど、分からなくはない。あいつは確かに度胸があるし機転も利く。単純な戦闘力では測れないものを持っている、そう言えるな・・・」
サリーの説明を聞いて、レイチェルも得心がいったように頷いた。
初対面の時にレイチェルに生意気な鼻っ柱をへし折られて以来、ディリアンは少しづつ変わっていった。
少なからず協調性も持ち始め、仲間というものを意識してきたようにも見える。
丸くなったと言う事もできるだろう。しかしその本質は変わっていない。
初対面でレイチェルに突っかかっていったように、いく時はいくのだ。
自分より明らかに強いとしても、敵に対して背中を向ける事はしない。
そしてディリアンはその魔道具の特性からか、頭を使って戦うのだ。工夫して戦う事が身についている。
女王アンリエールが期待をかけているところは、そういうところだろう。
「ふふ・・・話しが少し反れてしまったけれど、私が話しかけたのは、深い理由はなくて、ただレイジェスの皆さんときちんと挨拶しておきたかったからなの」
少しの憂いを含んだサリーの言葉に、レイチェルはわずかに眉を寄せた。
「サリー・・・」
「もちろん、戦況を見極めながら加勢に回るけど、なかなか会えなくなるかもしれないから・・・・・」
まるでお別れのように話すサリーの肩に、レイチェルは少し力を入れて手をのせた。
「サリー・・・不安になっているんだな。大丈夫、私達は絶対に勝つ。それにもしも私達が大変になったとしたら、その時はキミが助けに来てくれるんだろ?だったら絶対に大丈夫、みんな一緒に帰れるさ・・・クインズベリーに」
その言葉とても優しく、そしてとても力強く、サリーの心に届いた。
「・・・ふふ、そうね・・・レイチェル、まかせて。もしもの時は絶対に私が、私達が駆け付けるわ・・・」
不安になっていた。
戦争によって今の幸せが壊されそうで、悪い方に考えていた。
レイジェスの人間とも、せっかく親しくなれていたのに、今ここで離れてしまったらもう会えないのでは?そんな不安が胸に沸き上がり、つい弱気になっていた。
でももう大丈夫・・・・・
「みんなで生きて帰りましょう、クインズベリーに」
悪い方には考えるのではなく、生きて全員で戻るために力を尽くす事だけを考えよう。
笑顔で言葉を返すサリーの瞳には、生きるための力が満ちていた。
アップにしてまとめた艶やかな金色の髪。少しのそばかすがあり、シャープな顎のラインにキリっとした目と、やや吊り上がった眉からは、意思の強さが見て取れるかのようだった。
シャクールの侍女だった時にはいつもメイド服ばかりだったが、今日は黒いワンピースの上に暖かそうなボアのショートブルゾンを着ている。
「サリーさん、お一人なの?」
サリーはシャクールと一緒にいる事が多い。そのためシャクールの姿が見えない事に、シルヴィアが回りに目を向けながら尋ねると、サリーは、はい、と頷いた。
「シャクール様はまだ会議室に残っております。他の四勇士の方と、今後についてお話しをされております」
「え?あのシャクールが今後について!?」
驚いて声を出したのはアラタだった。
何をするかは気分次第、自由気ままに生きているような男がシャクール・バルデスである。
共にロンズデールに行き、その性格を十分に知っているからこそ、まさか今後についての打ち合わせをしているなど、驚きでしかなかったのだ。
「・・・アラタさん、それはどういう意味でしょうか?」
「あ!い、いえ!なんでもないです!すみませんでした!」
サリーから、まるで研ぎ澄まされた刃のような鋭い視線を向けられて、アラタは背筋を伸ばして己の失言を詫びた。
「あ、あの、サリーさん、ごめんなさい。アラタ君も悪気はないんです。許してください」
「ふふふ、はい、分かってますよ。ちょっと怖がらせてしまったみたいですね。こちらこそ申し訳ありません」
少し慌ててカチュアがアラタの前に出ると、サリーはコロっと表情柔らかくして、優しく微笑んだ。
「おいおいミゼル、あの女やべぇぞ、二重人格ってヤツなんじゃぐぼぁッ!」
その様子を見ていたリカルドが、ミゼルにこそこそ耳打ちをすると、ユーリの拳が右の脇腹に突き刺さった。
「リカルド、余計な事を言わない。話しが進まない」
「ぐっうぅ・・・ユ、ユーリ・・・こ、この、暴力、女が・・・・・」
右脇腹を押さえ片膝を着くリカルドに、ジャレットやケイト達が、またか?と呆れて溜息をつく。
するとレイチェルが一歩前に出て、サリーに言葉をかけた。
「サリー、うちの馬鹿が話しの腰を折ってすまない。それで、何の話しかな?」
後ろで腹を押さえてうずくまるリカルドを尻目に、レイチェルが話しの続きを促す。
「ふふふ、大丈夫よ。そうそう、呼び止めた理由だけど、知っての通りシャクール様達四勇士と、私とディリアン様はここに残るでしょ?」
サリーとレイチェルは、ロンズデールで共に戦った事から、他のメンバー達より気安く話し合う間柄になっていた。くだけた口調は、まさに友人としてのソレだった。
「ああ、そう聞いている。一騎当千と言われる四勇士は、たった一人で戦況を変える事ができる存在だ。戦況を見て適所だと思われる場所の援護に回った方がいいだろう。しかし、サリーは分かるが、ディリアンも残るのは少し意外だったな」
「あら、公爵家だから後ろに置いてるわけではないのよ?ディリアン様の魔道具、意外と応用が利くの。それに怖い者知らずって言うのかしら、言葉では表現しにくいけど、もしも危機的状況になった時に、逆転の一手を導き出してくれる。そんな期待感があると陛下がおっしゃっていたわ」
「・・・なるほど、分からなくはない。あいつは確かに度胸があるし機転も利く。単純な戦闘力では測れないものを持っている、そう言えるな・・・」
サリーの説明を聞いて、レイチェルも得心がいったように頷いた。
初対面の時にレイチェルに生意気な鼻っ柱をへし折られて以来、ディリアンは少しづつ変わっていった。
少なからず協調性も持ち始め、仲間というものを意識してきたようにも見える。
丸くなったと言う事もできるだろう。しかしその本質は変わっていない。
初対面でレイチェルに突っかかっていったように、いく時はいくのだ。
自分より明らかに強いとしても、敵に対して背中を向ける事はしない。
そしてディリアンはその魔道具の特性からか、頭を使って戦うのだ。工夫して戦う事が身についている。
女王アンリエールが期待をかけているところは、そういうところだろう。
「ふふ・・・話しが少し反れてしまったけれど、私が話しかけたのは、深い理由はなくて、ただレイジェスの皆さんときちんと挨拶しておきたかったからなの」
少しの憂いを含んだサリーの言葉に、レイチェルはわずかに眉を寄せた。
「サリー・・・」
「もちろん、戦況を見極めながら加勢に回るけど、なかなか会えなくなるかもしれないから・・・・・」
まるでお別れのように話すサリーの肩に、レイチェルは少し力を入れて手をのせた。
「サリー・・・不安になっているんだな。大丈夫、私達は絶対に勝つ。それにもしも私達が大変になったとしたら、その時はキミが助けに来てくれるんだろ?だったら絶対に大丈夫、みんな一緒に帰れるさ・・・クインズベリーに」
その言葉とても優しく、そしてとても力強く、サリーの心に届いた。
「・・・ふふ、そうね・・・レイチェル、まかせて。もしもの時は絶対に私が、私達が駆け付けるわ・・・」
不安になっていた。
戦争によって今の幸せが壊されそうで、悪い方に考えていた。
レイジェスの人間とも、せっかく親しくなれていたのに、今ここで離れてしまったらもう会えないのでは?そんな不安が胸に沸き上がり、つい弱気になっていた。
でももう大丈夫・・・・・
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