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1371 二度と名乗る事は無いと思っていた、その名
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元魔道剣士隊隊長ラミール・カーン。
ロンズデールを帝国に売り渡し、己の保身に走ったこの男は、クルーズ船での戦いに敗れその身を拘留されていた。
しかしこれからの帝国との戦いにおいて、戦力で大きく劣るロンズデールには、一人でも多くの手練れが必要だった。
帝国との闘いに勝つためには、ラミール・カーンの力が必要だ。
そう考えたリンジー・ルプレクトは、ラミール・カーンと取り引きをした。
ロンズデールのために最前線で戦い抜けば、戦争が終結した後に恩赦を与える。
また裏切られるかもしれない。戦いに紛れて逃げるかもしれない。懸念は当然あった。
だがリンジーはカーンを信じようと思った。大臣と国王を説得し、カーンにこの取り引きを持ちかけた。
そしてカーンはリンジーの手を取った。
なぜリンジーはカーンを信じたのか?
それは・・・・・
「ラミール・カーン・・・」
突然口を挟んで来たラミール・カーンに、アブエル・マレスは怪訝な顔で目を向けた。
ラミール・カーンをこの戦いに加える事に、マレスは納得していなかった。
カーンは国を裏切ったのだから、当然と言えば当然なのだが、マレスにはそれ以外にもう一つ大きな理由があった。
それはクルーズ船の戦いで、マレスが仕えるシャノン・アラルコンと戦い、身の危険に晒した事である。
素行が悪く、将来に対して夢も希望も無かった自分に、アラルコン商会という居場所を与え、側近として傍に置いてくれたシャノンに対し、マレスは絶対の忠誠を誓っている。
カーンはそのシャノンを争いに巻き込んだ張本人なのだ。そう簡単に許せるはずがなかった。
「どけ、こいつは俺がやる」
猜疑心の籠った目で自分を見るマレスを意に介さず、カーンはマレスを押し退けるようにして、アルツールの前に立った。
「おい!お前・・・」
「マレスさんよぉ、あんたは師団長カシレロをやるんだろ?行けよ」
ムッとして、表情険しくカーンにくってかかろうとしたマレスに、カーンは顎を向けて促した。
「・・・ラミール・カーン、お前にこの場を任せろと言うのか?」
その口ぶりに含まれた感情は確かめなくても分かる。
国を帝国に売り渡そうとしたのだ、今更信用などされるはずもない。
だが、カーンにも国を想う心はあった。
「・・・俺はロンズデールを戦火で焼きたくなかっただけだ。無条件降伏ならばロンズデールに血は流れない。ロンズデールの海は護られる。それだけだ」
リンジーがカーンを信じた理由。それは形は違えども、国を想う心だけは本物だったからだ。
その言葉に嘘は無い。マレスもまた、そこだけは真実だと感じ取っていた。
「・・・この戦いが終わったら、一度きっちり話しておきたい事がある。いいな?」
「ああ、分かった。約束しよう」
納得したわけではない。信用したわけでもない。しかしこれ以上ここで時間かけるわけにはいかない。
ここでこの男を引き受けると言っているのだ、ならば好きにさせてやろう。
マレスは二人に背中を向けて走り出した。
その背中をカーンもアルツールも目で追う事はしなかった。いや、正確には追えなかったという方が正しいだろう。
なぜならお互いに、目の前の相手から一瞬でも視線を外せば、その首が胴から斬り飛ばされると理解していたからだ。
「・・・この私を相手に、ここまでのプレッシャーをかけるとはな。貴様何者だ?殺す前に名を聞いておこう」
アルツールの鋭い視線を正面から受け止め、カーンはもう二度と名乗る事は無いと思っていた、その名を口にした。
「俺は魔道剣士ラミール・カーン。お前さっき、ロンズデール如きが自分の技を見破れると思うなと言っていたな?なめるなよ?魔道剣士の戦い方を見せてやるぜ」
右足を一歩後ろに引いて腰を落とす。両手で握りしめた大剣を顔の横で持ち構え、カーンは挑発めいた笑いを浮かべて見せた。
ロンズデールを帝国に売り渡し、己の保身に走ったこの男は、クルーズ船での戦いに敗れその身を拘留されていた。
しかしこれからの帝国との戦いにおいて、戦力で大きく劣るロンズデールには、一人でも多くの手練れが必要だった。
帝国との闘いに勝つためには、ラミール・カーンの力が必要だ。
そう考えたリンジー・ルプレクトは、ラミール・カーンと取り引きをした。
ロンズデールのために最前線で戦い抜けば、戦争が終結した後に恩赦を与える。
また裏切られるかもしれない。戦いに紛れて逃げるかもしれない。懸念は当然あった。
だがリンジーはカーンを信じようと思った。大臣と国王を説得し、カーンにこの取り引きを持ちかけた。
そしてカーンはリンジーの手を取った。
なぜリンジーはカーンを信じたのか?
それは・・・・・
「ラミール・カーン・・・」
突然口を挟んで来たラミール・カーンに、アブエル・マレスは怪訝な顔で目を向けた。
ラミール・カーンをこの戦いに加える事に、マレスは納得していなかった。
カーンは国を裏切ったのだから、当然と言えば当然なのだが、マレスにはそれ以外にもう一つ大きな理由があった。
それはクルーズ船の戦いで、マレスが仕えるシャノン・アラルコンと戦い、身の危険に晒した事である。
素行が悪く、将来に対して夢も希望も無かった自分に、アラルコン商会という居場所を与え、側近として傍に置いてくれたシャノンに対し、マレスは絶対の忠誠を誓っている。
カーンはそのシャノンを争いに巻き込んだ張本人なのだ。そう簡単に許せるはずがなかった。
「どけ、こいつは俺がやる」
猜疑心の籠った目で自分を見るマレスを意に介さず、カーンはマレスを押し退けるようにして、アルツールの前に立った。
「おい!お前・・・」
「マレスさんよぉ、あんたは師団長カシレロをやるんだろ?行けよ」
ムッとして、表情険しくカーンにくってかかろうとしたマレスに、カーンは顎を向けて促した。
「・・・ラミール・カーン、お前にこの場を任せろと言うのか?」
その口ぶりに含まれた感情は確かめなくても分かる。
国を帝国に売り渡そうとしたのだ、今更信用などされるはずもない。
だが、カーンにも国を想う心はあった。
「・・・俺はロンズデールを戦火で焼きたくなかっただけだ。無条件降伏ならばロンズデールに血は流れない。ロンズデールの海は護られる。それだけだ」
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「・・・この戦いが終わったら、一度きっちり話しておきたい事がある。いいな?」
「ああ、分かった。約束しよう」
納得したわけではない。信用したわけでもない。しかしこれ以上ここで時間かけるわけにはいかない。
ここでこの男を引き受けると言っているのだ、ならば好きにさせてやろう。
マレスは二人に背中を向けて走り出した。
その背中をカーンもアルツールも目で追う事はしなかった。いや、正確には追えなかったという方が正しいだろう。
なぜならお互いに、目の前の相手から一瞬でも視線を外せば、その首が胴から斬り飛ばされると理解していたからだ。
「・・・この私を相手に、ここまでのプレッシャーをかけるとはな。貴様何者だ?殺す前に名を聞いておこう」
アルツールの鋭い視線を正面から受け止め、カーンはもう二度と名乗る事は無いと思っていた、その名を口にした。
「俺は魔道剣士ラミール・カーン。お前さっき、ロンズデール如きが自分の技を見破れると思うなと言っていたな?なめるなよ?魔道剣士の戦い方を見せてやるぜ」
右足を一歩後ろに引いて腰を落とす。両手で握りしめた大剣を顔の横で持ち構え、カーンは挑発めいた笑いを浮かべて見せた。
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