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1424 ビンセント 対 パロ
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完全に出し抜いたつもりだった。
この男、帝国軍第三師団副団長アルヘニス・パロは、想定していた以上の俺のスピードに追い付かず、後手を回らざるを得なかったはずだ。
確実にこの男から先手を取った。踏み込みもタイミングも申し分なかった。俺の連双斬はコイツの諸刃の剣を切り落とす。そうなるはずだった。
しかし・・・・・
「くっくっく、自信満々だったようだが残念だったな?部下の死体に残った切り口、それと最初の奇襲、これだけ情報があれば、オメェの戦闘力や武器の切れ味くらい、だいたい想像はつくってもんだ。まぁ、それでもスピードは想定以上だったから、ちょっとばかし驚かされたけどな」
「ぐ・・・うぅ・・・・・」
アルヘニス・パロは右手に持つ諸刃の剣で、ビンセントの短剣を弾くと、左の拳をビンセントの腹に叩き込んだ。
このタイミングで剣を弾かれるなど、まさか夢にも思わなかったビンセントは、パロの拳をもろに受けてしまう。胃が押し潰され、肺の中の空気を絞り出さる。
痛みよりも呼吸のできない苦しさに呻き声がもれ、そして意識が遠退いていく・・・・・
「・・・なんだ、もう終わりか?ずいぶんあっけなかったな」
拳をめり込ませた手応え、そしてビンセントの反応から、パロはこの左拳の一発で戦う力を奪ったと確信した。
かなりの強敵だと思っていた。しかし肩透かしと言うか、期待外れと言うべきか、あまりに歯ごたえの無い男だった。一気にビンセントへの興味を無くしたパロは、左拳を抜くと、右手に握る諸刃の剣を頭上に掲げ、項垂れるビンセントの首に目掛けて振り下ろした!
これで首を刎ねて決着だ。そう思われた、だが・・・
パロの諸刃の剣が振り下ろされたその瞬間、それまで動く気配を見せなかったビンセントが、突然大きく腰を落とした。
「なッ!?」
突然標的が動いた事で、狙いが狂わされたパロの剣は空を切った。
「ハッ!」
腰を落としたビンセントは、左手の平を地面に着けて軸にすると、体を独楽のように回して、地面スレスレの鋭い右の蹴りでパロの左足を刈り取った!
「ぐっ!?ぬ、おおぉッ!」
バランスを崩したところに、足を刈り取られ、パロは背中から地面に倒されてしまった。
ぬかるんだ地面に左手を着き、即座に上半身を起こすと、ビンセントはすでにパロに覆いかぶさるように接近し、右手に握る短剣をパロの頭を目掛けて振り下ろしていた。
「ッ!」
体を捻って泥の中へ飛び込み、転がりながら飛び起きる。瞬時に右手を前に出して牽制するパロを、ビンセントは鋭く睨みつけていた。
「チッ・・・ふぅ・・・オメェ、確かに意識を失っていたと思ったが?・・・へぇ」
「あいにくと、俺にはまだやる事があるのでな。そう簡単には死ねないな」
ビンセントは血が滲む程強く唇を噛んでいた。落ちかけた意識を、痛みで繋ぎ止めていたのだ。
「そんな方法で耐えたのか?単純だな・・・いや、だからこそ有効なのか」
頭から滴り落ちる泥水を払い、パロは少しの驚きを含んだ言葉を口にした。
確実に落ちたと思ったが、まさかそんな方法で堪えているとは思わなかった。
「まぁいい、どうせ時間の問題だ。俺には勝てねぇんだからよ」
ビンセントのスピード、技、反応速度、その実力に驚かされた事は事実だ。特にスピードは想定を大きく上回っており、あの瞬間完全に上を行かれていた。だが結果としてパロはビンセントの短剣を弾き、左拳をビンセントの腹に叩き込んでいた。
スピードに反応できていなかったパロが、どうやってビンセントに反撃する事ができたのか?
パワーとスピードが上回っているだけでは、自分には勝てない。
そう、アルヘニス・パロにはそれだけでは勝てない理由がある。だからこそ余裕があった。
そしてそれはビンセントも感じ取っていた。
「・・・あの時、あのタイミングで俺の剣を弾けるはずがなかった。貴様、なにをした?」
左手の短剣は弾かれた時に落としてしまった。
だからビンセントは右の短剣だけを、パロに向けて構えた。
「くっくっく、そうだよな、おかしいと思うよな?だったら・・・」
ビンセントの疑問は間違ってはいない。
完全に自分の反応を上回られて、反撃が間に合うはずがないのだ。しかしそれ可能にする秘密を、パロは持っていた。
ニヤリと笑うと、パロは右手に握る諸刃の剣をビンセントに向けて構えた。
「かかって来いよ。答えを教えてやる」
この男、帝国軍第三師団副団長アルヘニス・パロは、想定していた以上の俺のスピードに追い付かず、後手を回らざるを得なかったはずだ。
確実にこの男から先手を取った。踏み込みもタイミングも申し分なかった。俺の連双斬はコイツの諸刃の剣を切り落とす。そうなるはずだった。
しかし・・・・・
「くっくっく、自信満々だったようだが残念だったな?部下の死体に残った切り口、それと最初の奇襲、これだけ情報があれば、オメェの戦闘力や武器の切れ味くらい、だいたい想像はつくってもんだ。まぁ、それでもスピードは想定以上だったから、ちょっとばかし驚かされたけどな」
「ぐ・・・うぅ・・・・・」
アルヘニス・パロは右手に持つ諸刃の剣で、ビンセントの短剣を弾くと、左の拳をビンセントの腹に叩き込んだ。
このタイミングで剣を弾かれるなど、まさか夢にも思わなかったビンセントは、パロの拳をもろに受けてしまう。胃が押し潰され、肺の中の空気を絞り出さる。
痛みよりも呼吸のできない苦しさに呻き声がもれ、そして意識が遠退いていく・・・・・
「・・・なんだ、もう終わりか?ずいぶんあっけなかったな」
拳をめり込ませた手応え、そしてビンセントの反応から、パロはこの左拳の一発で戦う力を奪ったと確信した。
かなりの強敵だと思っていた。しかし肩透かしと言うか、期待外れと言うべきか、あまりに歯ごたえの無い男だった。一気にビンセントへの興味を無くしたパロは、左拳を抜くと、右手に握る諸刃の剣を頭上に掲げ、項垂れるビンセントの首に目掛けて振り下ろした!
これで首を刎ねて決着だ。そう思われた、だが・・・
パロの諸刃の剣が振り下ろされたその瞬間、それまで動く気配を見せなかったビンセントが、突然大きく腰を落とした。
「なッ!?」
突然標的が動いた事で、狙いが狂わされたパロの剣は空を切った。
「ハッ!」
腰を落としたビンセントは、左手の平を地面に着けて軸にすると、体を独楽のように回して、地面スレスレの鋭い右の蹴りでパロの左足を刈り取った!
「ぐっ!?ぬ、おおぉッ!」
バランスを崩したところに、足を刈り取られ、パロは背中から地面に倒されてしまった。
ぬかるんだ地面に左手を着き、即座に上半身を起こすと、ビンセントはすでにパロに覆いかぶさるように接近し、右手に握る短剣をパロの頭を目掛けて振り下ろしていた。
「ッ!」
体を捻って泥の中へ飛び込み、転がりながら飛び起きる。瞬時に右手を前に出して牽制するパロを、ビンセントは鋭く睨みつけていた。
「チッ・・・ふぅ・・・オメェ、確かに意識を失っていたと思ったが?・・・へぇ」
「あいにくと、俺にはまだやる事があるのでな。そう簡単には死ねないな」
ビンセントは血が滲む程強く唇を噛んでいた。落ちかけた意識を、痛みで繋ぎ止めていたのだ。
「そんな方法で耐えたのか?単純だな・・・いや、だからこそ有効なのか」
頭から滴り落ちる泥水を払い、パロは少しの驚きを含んだ言葉を口にした。
確実に落ちたと思ったが、まさかそんな方法で堪えているとは思わなかった。
「まぁいい、どうせ時間の問題だ。俺には勝てねぇんだからよ」
ビンセントのスピード、技、反応速度、その実力に驚かされた事は事実だ。特にスピードは想定を大きく上回っており、あの瞬間完全に上を行かれていた。だが結果としてパロはビンセントの短剣を弾き、左拳をビンセントの腹に叩き込んでいた。
スピードに反応できていなかったパロが、どうやってビンセントに反撃する事ができたのか?
パワーとスピードが上回っているだけでは、自分には勝てない。
そう、アルヘニス・パロにはそれだけでは勝てない理由がある。だからこそ余裕があった。
そしてそれはビンセントも感じ取っていた。
「・・・あの時、あのタイミングで俺の剣を弾けるはずがなかった。貴様、なにをした?」
左手の短剣は弾かれた時に落としてしまった。
だからビンセントは右の短剣だけを、パロに向けて構えた。
「くっくっく、そうだよな、おかしいと思うよな?だったら・・・」
ビンセントの疑問は間違ってはいない。
完全に自分の反応を上回られて、反撃が間に合うはずがないのだ。しかしそれ可能にする秘密を、パロは持っていた。
ニヤリと笑うと、パロは右手に握る諸刃の剣をビンセントに向けて構えた。
「かかって来いよ。答えを教えてやる」
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