異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
1,432 / 1,560

1431 魔導剣士隊を追って

しおりを挟む
「そう、ヴァージニア達は先に行ってしまったのね・・・・・」

ビンセントとアドニスから、現在の状況を聞いたリンジーは、やや眉根を寄せて腕を組んだ。
リンジーの表情を見れば、先へ進んだ魔導剣士隊の行動は、思わしくないものだと分かる。

「自由にさせ過ぎたな。こいつはちょっと、困った事になったぞ・・・」

ガラハドも後ろ手に頭を掻きながら、誰に言うでもなく言葉を発した。

「あの、そんなにまずいんですか?ヴァージニアさんもアランさんも、実際すごく強いですし、このままアルバレスを倒してきたりしませんかね?」

難しい顔で考える二人に、アドニスが顔色を伺うように話しかける。
するとリンジーが重い口を開いた。


「・・・問題はアルバレスの硬さを攻略できる手段が、有るのか無いのかなのよ。クインズベリーでアルバレスと戦ったリカルド君の話しだと、アルバレスの皮膚は刃を通さず、鉄の矢だって弾くらしいわ。アランとヴァージニアは確かに強いわ。だけど相性ってあるでしょ?・・・アルバレスを倒すには、ビンセントの連双斬が最も適してると判断したから、私はあなた達を選んだのよ」

ヴァージニアもアランも、力で押す戦い方はしない。魔道剣士は魔道具を駆使して戦う。多彩な技と独創的な戦い方が強みであるが、リンジーの知る限り、アルバレスの鋼鉄の体を破壊できる程の、強力な攻撃は持ち合わせていなかった。

「そういう事だ。あいつら自尊心が高ぇからよ、リンジーの決定だから一応従っていたみたいだが、やっぱ内心じゃ不満に思ってたんだな。目の前に道ができれば、そりゃ行くよな」

ガラハドは眉間にシワを寄せて、森林に目を向けた。先刻までは道が開けていたが、今は帝国軍とロンズデール軍が入り乱れて戦っている。魔道剣士隊を追うのなら、目の前の帝国兵達を倒して行くしかない。


「・・・嫌な予感がするわ。ファビアナ、魔蝶はどう?」

リンジーが顔を向けると、ファビアナは体中から青く輝く魔力を放出して、空を見上げていた。
すでに魔蝶は飛ばしており、魔蝶を通してその目で遠くの景色を見ているのだ。


「・・・うん、今のところ大丈夫みたい。魔力の干渉が無くなってる・・・でも、またあの魔力に掴まったら同じ事になると思う。だから急いで見てみる」

ファビアナの魔道具は偵察用の魔蝶である。ここリングマガ湿地帯に来て最初に魔蝶を飛ばした時、敵の魔力に妨害されて、魔蝶が使いものにならなくされたのだ。
魔蝶を戻した後も、しばらくの間はファビアナの魔力に干渉されていたが、ついさっきようやく魔力干渉が消えたのだ。

しかし森林へ魔蝶を飛ばせば、おそらくまた掴まるだろう。だからそれまでの間に見れるだけ見る。
そう決めたファビアナは、この偵察に全力を注いだ。

そしてファビアナが探し、見つけたものとは・・・


「・・・いた!もう森林の深いところまで入ってる。こんなに足場が悪いのに、かなりの速さで進んでる」

ファビアナは魔導剣士隊を見つけると、大きく声を上げた。

森林に入ってまだ数分だが、ぬかるみの中をかなりの速さで走り抜けている。まだ帝国兵との交戦は始まっていないようだが、時間の問題だろう。
そうリンジーに伝えると、リンジーは、分かったと頷いて、森林に顔を向けた。


「私達も行きましょう。もう少しじっくり攻めたいところだけど、魔導剣士隊のおかげで今勢いはロンズデールにあるわ。元々の作戦とは違うけど、アランとヴァージニアにも勝算があっての事だと思う」

「たくっ、しかたねぇヤツらだぜ。アルバレスだってまだ第三師団の勢力を残してんのによ。魔導剣士隊たった千人で全部倒せると思ってんのか?加勢に行くしかねぇだろ」

ガラハドは舌を打つと、後ろに控えているロンズデール軍に部隊の編制指示を出し始めた。
この場に残って帝国軍と戦う部隊と、自分達と共に森林に入る戦力を分ける。森林に入っても、後ろから追撃を受ける事態は避けたい。そのためにもある程度多くの戦力は残していくしかない。

リンジーは部隊の采配はガラハドに任せ、まだ治療途中のビンセントの前に腰を下ろした。


「ビンセント、私達は先に行くわ。あなたは治療が終わったら追いかけて来て」

「リンジーさん、すみません。大事な時に足を引っ張ってしまいました。俺がアルバレスをやらなければならないのに・・・」

ビンセントの治療は順調だが、完治にはまだ少し時間がかかる。本当ならばビンセントを待って出るべきだという事は、リンジーが一番よく分かっている。しかしそれではアラン達魔道剣士隊に追いつけない。
今は行けるメンバーだけで行くべきだとの判断だった。

ビンセントが謝罪を口にすると、リンジーは首を横に振った。

「ビンセント、あなたは副団長を倒したじゃない。十分な活躍よ。アルバレスの事は私達に任せて、あなたはまず治療に専念しなさい」

「・・・動けるようになったら、すぐに後を追います」

ビンセントは目を伏せると、ぎゅっと拳を握り締めた。自分の役目はアルバレスを討つ事であり、そのために今日この日まで準備をしてきた。しかし肝心な時に深手を負ってしまい、戦線離脱を余儀なくされた。

「ええ、頼りにしてるわ。だけどビンセント、もう一度言うけどまずその足をしっかり治しなさい。戦いはまだ続いてるのだから」

ビンセントの気持ちは十分理解できる。ビンセントは礼儀正しく生真面目な男だ。だからこの大事な場面で足を引っ張ってしまったと、自分を責めているのだ。

だからリンジーは安心させるように、ビンセントに優しく微笑んで見せた。


「おい、リンジー。準備はできた、行くぞ」

「ええ、今行くわ」

ガラハドの呼びかけに、リンジーは返事をして立ち上がると、行って来るわ、とビンセントに言葉をかけて背を向けた。


小さくなっていく仲間達の背中に、ビンセントは一抹の不安を感じていた。


自分にたいする不甲斐なさはある。
けれど目的は勝つ事だ。だから自分がいなくても勝てるのならばそれでいい。

しかしどうにも胸がざわつく・・・・・

走って行く仲間達の背中に、何とも言えない不吉なものが纏わりついているようで、思わず声を上げて止めそうになってしまう。


嫌な予感がする・・・・・


「みんな・・・どうか、無事でいてくれ」


早く・・・俺の足よ、早く動いてくれ・・・・・


強く、強く拳を握り締めて、ビンセントは仲間達の無事を祈った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜

伽羅
ファンタジー
 事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。  しかも王子だって!?  けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。  助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。  以前、投稿していた作品を加筆修正しています。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

処理中です...