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1486 因縁の闇
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赤みがかった砂の上を歩く。砂は柔らかくブーツの足首辺りまで沈むので、あまり意識はしていないが、足を上げる時に少し力を入れなければならない。時刻は午前10時を回ったところだ。徐々に陽も高くなり始め、少しづつ寒気も薄れて来た。12月とは言え、砂漠地帯の帝国は気温が高く、日中の平均気温は10度を超えてくる。雪国クインズベリー育ちのレイチェルにとっては、十分に温かかった。
「闇の気配が濃くなってきたな。レイチェル、大丈夫か?」
ウィッカー・バリオスは、隣を歩くレイチェルに目を向けた。
首都ベアナクールに向かい二人で歩いているが、一歩近づくごとに体を蝕むような不快な空気が、重く圧しかかってくる。抵抗力の弱い人間なら、とても先へは進めないだろう。
「大丈夫です。この闘気で防げていますから」
そう答えるレイチェルの体からは淡い光が発せられ、それは全身を膜のように覆っていた。
「闘気とは、強く発してぶつけるだけじゃないんですね」
「ああ、闇の瘴気から身を護るだけなら、そのくらいの闘気で十分だ。もちろん瘴気の強さにもよるが、この距離なら体に薄く膜を張る程度でも問題ない。体力の消耗も最小限に抑えられる」
レイチェルは飲み込みがいい、そう言ってフッと笑った。
今ウィッカーとレイチェルの二人は、後方に軍を置いて二人だけで首都ベアナクールに向かって歩いていた。
理由は首都を兵士の大半が、闇に対しての抵抗力が無いためである。
ここから首都までの距離はおよそ一キロだが、ここが境界線だろう。これ以上近づけば体力の無い者から順に、その体を闇に蝕まれて倒れる事だろう。
だからこそ闇を何とかしなければ軍は先へ進めない。そしてその闇を押さえ込む事ができる者は、このウィッカー・バリオスなのだ。
「・・・レイチェル、ここまでだ。作戦通りにやる、いいね?」
首都ベアナクールまで残り半分という距離まで近づいた時、ウィッカーは前を向いたままレイチェルに言葉を向けた。
その言葉の意味するところは、百も承知である。
カエストゥスの生き残りであり、ベン・フィングと因縁のあるウィッカーは、帝国に近づけば闇にその存在を察知されてしまうのだ。
なぜならかつてカエストゥスを裏切ったベン・フィングは、ウィッカーに憎悪の念を持っているからだ。
闇に呑みこまれたベン・フィングは、闇の一部となっても消える事のない恨みの火を燃やし続けた。
そして長い年月をかけて燃え上がった炎は闇と同化して、闇となったベン・フィングは今も復讐の時を待ち続けている。
そしてこの距離まで近づいて、とうとう闇がウィッカーを見つけた。
「はい、任せてください」
レイチェルも前を向いたまま答えた。
そう、レイチェルはなぜウィッカーと共にここまで来たのか?
それはウィッカーが闇を押さえている間、その身を護るためである。
短く、だがハッキリと言い切った言葉には、揺るがない自信と力強さが感じられた。
「頼もしいな、レイチェル。闇を押さえる間、おそらく俺はほとんど身動きがとれなくなる。その間は俺の命をキミに預けよう」
首都を覆う程の巨大な闇を押さえ込むには、ウィッカーも全力を持って挑まなければならない。
当然帝国もミスミス見逃すはずがない事は、想像に易い。だからこそ、動けなくなるウィッカーの身の安全を護るための護衛が必要なのだ。そしてその護衛として、ウィッカーはレイチェルを指名した。
闘気が使える事も条件ではあるが、迷うことなくレイチェルを指名した理由、それは信頼である。
レイチェルになら命さえ預けられる。ウィッカーの師としての信頼に、レイチェルも胸が熱くなる。
店長・・・私は店長の弟子として、必ずやあなたを護り通してみせます!
腰に差した二刀のダガーナイフを取り出し、右手は順手に、左手は逆手で握りしめる。
静かに、しかし大きく強く高まっていくレイチェルの気を見て、ウィッカーはその姿に見入ってしまった。
・・・驚いた、俺がクインズベリーで稽古をつけていた時よりも、ずっと強くなっている。
おそらくここに辿り着くまでの間にも、いくつもの死線を潜り抜けてきたのだろう。
短期間でここまで伸びるとは・・・・・
「成長したね、レイチェル・・・」
自分にしか聞こえないくらいに小さく呟く。
愛弟子のレイチェルが驚く程の成長を見せた。師として嬉しさを感じると同時に、負けてはいられないなと触発される。
・・・いつか・・・いつかこの日が来ると分かっていた。
ウィッカーの両手が強く光輝く。
「さぁいくぞ、ベン・フィング・・・200年越しの決着をつけようか」
視線の先に映るは帝国首都ベアナクール。その首都を覆う闇が大きく揺れ動く・・・・・
それは大気を震わせ、大地を揺るがした。
そして雷の如き大きな音を発すると、こちらに向かって闇が触手を伸ばしてきた!
「闇の気配が濃くなってきたな。レイチェル、大丈夫か?」
ウィッカー・バリオスは、隣を歩くレイチェルに目を向けた。
首都ベアナクールに向かい二人で歩いているが、一歩近づくごとに体を蝕むような不快な空気が、重く圧しかかってくる。抵抗力の弱い人間なら、とても先へは進めないだろう。
「大丈夫です。この闘気で防げていますから」
そう答えるレイチェルの体からは淡い光が発せられ、それは全身を膜のように覆っていた。
「闘気とは、強く発してぶつけるだけじゃないんですね」
「ああ、闇の瘴気から身を護るだけなら、そのくらいの闘気で十分だ。もちろん瘴気の強さにもよるが、この距離なら体に薄く膜を張る程度でも問題ない。体力の消耗も最小限に抑えられる」
レイチェルは飲み込みがいい、そう言ってフッと笑った。
今ウィッカーとレイチェルの二人は、後方に軍を置いて二人だけで首都ベアナクールに向かって歩いていた。
理由は首都を兵士の大半が、闇に対しての抵抗力が無いためである。
ここから首都までの距離はおよそ一キロだが、ここが境界線だろう。これ以上近づけば体力の無い者から順に、その体を闇に蝕まれて倒れる事だろう。
だからこそ闇を何とかしなければ軍は先へ進めない。そしてその闇を押さえ込む事ができる者は、このウィッカー・バリオスなのだ。
「・・・レイチェル、ここまでだ。作戦通りにやる、いいね?」
首都ベアナクールまで残り半分という距離まで近づいた時、ウィッカーは前を向いたままレイチェルに言葉を向けた。
その言葉の意味するところは、百も承知である。
カエストゥスの生き残りであり、ベン・フィングと因縁のあるウィッカーは、帝国に近づけば闇にその存在を察知されてしまうのだ。
なぜならかつてカエストゥスを裏切ったベン・フィングは、ウィッカーに憎悪の念を持っているからだ。
闇に呑みこまれたベン・フィングは、闇の一部となっても消える事のない恨みの火を燃やし続けた。
そして長い年月をかけて燃え上がった炎は闇と同化して、闇となったベン・フィングは今も復讐の時を待ち続けている。
そしてこの距離まで近づいて、とうとう闇がウィッカーを見つけた。
「はい、任せてください」
レイチェルも前を向いたまま答えた。
そう、レイチェルはなぜウィッカーと共にここまで来たのか?
それはウィッカーが闇を押さえている間、その身を護るためである。
短く、だがハッキリと言い切った言葉には、揺るがない自信と力強さが感じられた。
「頼もしいな、レイチェル。闇を押さえる間、おそらく俺はほとんど身動きがとれなくなる。その間は俺の命をキミに預けよう」
首都を覆う程の巨大な闇を押さえ込むには、ウィッカーも全力を持って挑まなければならない。
当然帝国もミスミス見逃すはずがない事は、想像に易い。だからこそ、動けなくなるウィッカーの身の安全を護るための護衛が必要なのだ。そしてその護衛として、ウィッカーはレイチェルを指名した。
闘気が使える事も条件ではあるが、迷うことなくレイチェルを指名した理由、それは信頼である。
レイチェルになら命さえ預けられる。ウィッカーの師としての信頼に、レイチェルも胸が熱くなる。
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腰に差した二刀のダガーナイフを取り出し、右手は順手に、左手は逆手で握りしめる。
静かに、しかし大きく強く高まっていくレイチェルの気を見て、ウィッカーはその姿に見入ってしまった。
・・・驚いた、俺がクインズベリーで稽古をつけていた時よりも、ずっと強くなっている。
おそらくここに辿り着くまでの間にも、いくつもの死線を潜り抜けてきたのだろう。
短期間でここまで伸びるとは・・・・・
「成長したね、レイチェル・・・」
自分にしか聞こえないくらいに小さく呟く。
愛弟子のレイチェルが驚く程の成長を見せた。師として嬉しさを感じると同時に、負けてはいられないなと触発される。
・・・いつか・・・いつかこの日が来ると分かっていた。
ウィッカーの両手が強く光輝く。
「さぁいくぞ、ベン・フィング・・・200年越しの決着をつけようか」
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