55 / 122
ソレイユ先輩のバイクに乗せてもらうことになったんだが?
しおりを挟む
再び俺の肩に腕を回し、ニタニタしながら耳元で囁いてくる。
「な、何もしてないですからね!」
「分かってるって。っていうか、そもそもされるとしたらシュンちゃんの方でしょ」
「へ?」
「まぁまぁ、飲みなよ。ぬるくなっちゃうよ?」
そう促して、へらりと笑ったままだんまり。もう、この話は終わりって感じだ。
何か、聞き捨てならぬことを言われたような気がしたんだが……聞いたとしても華麗にスルーされるだけだろう。多分。
気を取り直して、俺も手元の缶を軽くシェイク。開ければ気持ちのいい音、口に含めば爽やかな香りとフルーティーな甘さが、乾いた喉を潤してくれた。
「……ふむふむ、幼なじみくんとのデートにおしゃれして行きたいけど、肝心の服がない、と」
結局、あれよあれよという間に、洗いざらい吐かされてしまった。そもそも、ソレイユ先輩に隠し事は出来そうにないのだけれども。
「よし! んじゃ、行こっか」
明るい掛け声と共に、空き缶をポイッとゴミ箱に放り投げる。今回もキレイにホールインワン。さり気なく俺の分もひょいっと奪って投げ入れる。
甲高い音が鳴り響く中、腕を取られ、軽々と立ち上がらせられた。
「え、行くって……何処に、ですか?」
「服。オニーサンが、コーディネートしたげるからさ」
「今からですか?」
「明日でしょデート。間に合わないじゃん」
怒涛の展開に思考がついていかない。こっちが戸惑っている間も、柔らかい笑みを浮かべながら勝手に話を進めていってしまう。
「大丈夫、そんな高いところいかないし。なんならオレが奢ったげるよ。バイト代入って、懐があったかいんだよね」
「そんな、悪いですって!」
俺に拒否権はないらしい。いーからいーから、と手を握り、腕を引いてさっさと歩き始めてしまった。
何だか……抵抗する気すら湧いてこなくなってきたな。というか、何を言っても何やかんやと上手く丸め込まれてしまいそうだ。
諦めて大人しく続くことにしたものの、方向が違う気がする。
「先輩何処に行くんですか?」
「駅前のショッピングモール」
「反対方向ですよ?」
「まーまーいいからいいから」
尋ねる前より疑問が深まってしまった。とはいえ、先輩が俺の手を離さない以上ついて行くしかない。
そのまま歩いていると見慣れた建物が。俺の寮とほぼ同じ見た目をした、3年生の寮に辿り着く。
「ここ、先輩達の寮ですよね?」
小さく頷き、寮の入口で立ち止まる。ちょっと待ってて、と言い残しさっさと中へ入ってしまった。
寮の前にポツンと取り残されたまま、待つこと数分。
「お待たせ、シュンちゃん。はいこれ」
「へ? おわっ」
黒革のグローブを着けた先輩が帰ってきた。手に持ったハーフタイプのヘルメットを、俺にすぽんっと被せてくる。
黒を基調とし、真ん中に橙色の太いラインとその両サイドには白の細い線が入ったデザインだ。同じものを先輩も着けている。
慣れた手つきでベルトを顎の下で調整し、締めてくれた。
「よしっ、オッケー」
「いや、だから、何がオッケーなんですか?」
またしても、スルー。ヘルメット越しに頭をぽんぽんしてから、再び俺の手を引いて歩きだす。
向かった駐車場の端には黒いバイク。ようやく分かった。俺を側で待たせ、颯爽と跨がりエンジンをかける。
外装がないんだろうか? エンジンが剥き出しだ。メーカーのロゴとタイヤの中心部分がオレンジ色で、いいアクセントになっている。カッコいい。
先輩が手招きして、後ろのシートを叩く。
バイクとか初めてなんだけど……恐る恐る後ろに跨がると腕を掴まれた。先輩の腰に回すように誘導される。
「よしっ行くよ! オレにしっかり掴まっててね?」
けたたましい音を立て、ゆっくりバイクが動き出す。思わず、回した腕に力を込めた。
「な、何もしてないですからね!」
「分かってるって。っていうか、そもそもされるとしたらシュンちゃんの方でしょ」
「へ?」
「まぁまぁ、飲みなよ。ぬるくなっちゃうよ?」
そう促して、へらりと笑ったままだんまり。もう、この話は終わりって感じだ。
何か、聞き捨てならぬことを言われたような気がしたんだが……聞いたとしても華麗にスルーされるだけだろう。多分。
気を取り直して、俺も手元の缶を軽くシェイク。開ければ気持ちのいい音、口に含めば爽やかな香りとフルーティーな甘さが、乾いた喉を潤してくれた。
「……ふむふむ、幼なじみくんとのデートにおしゃれして行きたいけど、肝心の服がない、と」
結局、あれよあれよという間に、洗いざらい吐かされてしまった。そもそも、ソレイユ先輩に隠し事は出来そうにないのだけれども。
「よし! んじゃ、行こっか」
明るい掛け声と共に、空き缶をポイッとゴミ箱に放り投げる。今回もキレイにホールインワン。さり気なく俺の分もひょいっと奪って投げ入れる。
甲高い音が鳴り響く中、腕を取られ、軽々と立ち上がらせられた。
「え、行くって……何処に、ですか?」
「服。オニーサンが、コーディネートしたげるからさ」
「今からですか?」
「明日でしょデート。間に合わないじゃん」
怒涛の展開に思考がついていかない。こっちが戸惑っている間も、柔らかい笑みを浮かべながら勝手に話を進めていってしまう。
「大丈夫、そんな高いところいかないし。なんならオレが奢ったげるよ。バイト代入って、懐があったかいんだよね」
「そんな、悪いですって!」
俺に拒否権はないらしい。いーからいーから、と手を握り、腕を引いてさっさと歩き始めてしまった。
何だか……抵抗する気すら湧いてこなくなってきたな。というか、何を言っても何やかんやと上手く丸め込まれてしまいそうだ。
諦めて大人しく続くことにしたものの、方向が違う気がする。
「先輩何処に行くんですか?」
「駅前のショッピングモール」
「反対方向ですよ?」
「まーまーいいからいいから」
尋ねる前より疑問が深まってしまった。とはいえ、先輩が俺の手を離さない以上ついて行くしかない。
そのまま歩いていると見慣れた建物が。俺の寮とほぼ同じ見た目をした、3年生の寮に辿り着く。
「ここ、先輩達の寮ですよね?」
小さく頷き、寮の入口で立ち止まる。ちょっと待ってて、と言い残しさっさと中へ入ってしまった。
寮の前にポツンと取り残されたまま、待つこと数分。
「お待たせ、シュンちゃん。はいこれ」
「へ? おわっ」
黒革のグローブを着けた先輩が帰ってきた。手に持ったハーフタイプのヘルメットを、俺にすぽんっと被せてくる。
黒を基調とし、真ん中に橙色の太いラインとその両サイドには白の細い線が入ったデザインだ。同じものを先輩も着けている。
慣れた手つきでベルトを顎の下で調整し、締めてくれた。
「よしっ、オッケー」
「いや、だから、何がオッケーなんですか?」
またしても、スルー。ヘルメット越しに頭をぽんぽんしてから、再び俺の手を引いて歩きだす。
向かった駐車場の端には黒いバイク。ようやく分かった。俺を側で待たせ、颯爽と跨がりエンジンをかける。
外装がないんだろうか? エンジンが剥き出しだ。メーカーのロゴとタイヤの中心部分がオレンジ色で、いいアクセントになっている。カッコいい。
先輩が手招きして、後ろのシートを叩く。
バイクとか初めてなんだけど……恐る恐る後ろに跨がると腕を掴まれた。先輩の腰に回すように誘導される。
「よしっ行くよ! オレにしっかり掴まっててね?」
けたたましい音を立て、ゆっくりバイクが動き出す。思わず、回した腕に力を込めた。
30
あなたにおすすめの小説
ハッピーライフのために地味で根暗な僕がチャラ男会計になるために
ミカン
BL
地味で根暗な北斗が上手く生きていくために王道学園でチャラ男会計になる話
※主人公へのいじめ描写ありのため苦手な方は閲覧ご注意下さい。
この僕が、いろんな人に詰め寄られまくって困ってます!〜まだ無自覚編〜
小屋瀬
BL
〜まだ無自覚編〜のあらすじ
アニメ・漫画ヲタクの主人公、薄井 凌(うすい りょう)と、幼なじみの金持ち息子の悠斗(ゆうと)、ストーカー気質の天才少年の遊佐(ゆさ)。そしていつもだるーんとしてる担任の幸崎(さいざき)teacher。
主にこれらのメンバーで構成される相関図激ヤバ案件のBL物語。
他にも天才遊佐の事が好きな科学者だったり、悠斗Loveの悠斗の実の兄だったりと個性豊かな人達が出てくるよ☆
〜自覚編〜 のあらすじ(書く予定)
アニメ・漫画をこよなく愛し、スポーツ万能、頭も良い、ヲタク男子&陽キャな主人公、薄井 凌(うすい りょう)には、とある悩みがある。
それは、何人かの同性の人たちに好意を寄せられていることに気づいてしまったからである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【超重要】
☆まず、主人公が各キャラからの好意を自覚するまでの間、結構な文字数がかかると思います。(まぁ、「自覚する前」ということを踏まえて呼んでくだせぇ)
また、自覚した後、今まで通りの頻度で物語を書くかどうかは気分次第です。(だって書くの疲れるんだもん)
ですので、それでもいいよって方や、気長に待つよって方、どうぞどうぞ、読んでってくだせぇな!
(まぁ「長編」設定してますもん。)
・女性キャラが出てくることがありますが、主人公との恋愛には発展しません。
・突然そういうシーンが出てくることがあります。ご了承ください。
・気分にもよりますが、3日に1回は新しい話を更新します(3日以内に投稿されない場合もあります。まぁ、そこは善処します。(その時はまた近況ボード等でお知らせすると思います。))。
追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」
身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。
死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。
カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。
「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」
献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。
これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。
【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい
御堂あゆこ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。
生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。
地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。
転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。
※含まれる要素
異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛
※小説家になろうに重複投稿しています
俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜
陽七 葵
BL
主人公オリヴァーの妹ノエルは五歳の時に前世の記憶を思い出す。
この世界はノエルの知り得る世界ではなかったが、ピンク髪で光魔法が使えるオリヴァーのことを、きっとこの世界の『主人公』だ。『勇者』になるべきだと主張した。
そして一番の問題はノエルがBL好きだということ。ノエルはオリヴァーと幼馴染(男)の関係を恋愛関係だと勘違い。勘違いは勘違いを生みノエルの頭の中はどんどんバラの世界に……。ノエルの餌食になった幼馴染や訳あり王子達をも巻き込みながらいざ、冒険の旅へと出発!
ノエルの絵は周囲に誤解を生むし、転生者ならではの知識……はあまり活かされないが、何故かノエルの言うことは全て現実に……。
友情から始まった恋。終始BLの危機が待ち受けているオリヴァー。はたしてその貞操は守られるのか!?
オリヴァーの冒険、そして逆ハーレムの行く末はいかに……異世界転生に巻き込まれた、コメディ&BL満載成り上がりファンタジーどうぞ宜しくお願いします。
※初めの方は冒険メインなところが多いですが、第5章辺りからBL一気にきます。最後はBLてんこ盛りです※
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
オレにだけ「ステイタス画面」っていうのが見える。
黒茶
BL
人気者だけど実は人間嫌いの嘘つき先輩×素直すぎる後輩の
(本人たちは気づいていないが実は乙女ゲームの世界である)
異世界ファンタジーラブコメ。
魔法騎士学院の2年生のクラウスの長所であり短所であるところは、
「なんでも思ったことを口に出してしまうところ。」
そして彼の秘密は、この学院内の特定の人物の個人情報が『ステータス画面』というもので見えてしまうこと。
魔法が存在するこの世界でもそんな魔法は聞いたことがないのでなんとなく秘密にしていた。
ある日、ステータス画面がみえている人物の一人、5年生のヴァルダー先輩をみかける。
彼はいつも人に囲まれていて人気者だが、
そのステータス画面には、『人間嫌い』『息を吐くようにウソをつく』
と書かれていたので、うっかり
「この先輩、人間嫌いとは思えないな」
と口に出してしまったら、それを先輩に気付かれてしまい・・・!?
この作品はこの1作品だけでも読むことができますが、
同じくアルファポリスさんで公開させていただいております、
「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」
「俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。」
とあわせて「乙女ゲー3部作」となっております。(だせぇ名前だ・・・笑)
キャラクターや舞台がクロスオーバーなどしておりますので、
そちらの作品と合わせて読んでいただけたら10倍くらい美味しい設定となっております。
全年齢対象です。
BLに慣れてない方でも読みやすいかと・・・
ぜひよろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる