【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ

文字の大きさ
61 / 122

幼なじみとの買い物デートが楽し過ぎるんだが?

しおりを挟む
 ダンがひと口大に切ったハンバーグをふーふーしてから、俺の口元に持っていってくれる。

「あー…………んっ、こっちも美味いよ。はい俺の」

 コクのあるシチューが絡んだ肉汁あふれるお肉。うん。美味くない訳がないな。

 俺もダンに倣うことにしよう。照り焼きソースをたっぷり絡めたひと切れを、ふーふーしてから差し出す。

「……どう?」

「ん。美味い」

「だろ!」

 美味しさを共有出来たことが嬉しくて、つい得意げになってしまっていた。自分が作ったわけでもないのにな。



「はー……食った食った。ごちそうさまでした」

 あまりの美味しさに夢中になってしまっていた。結構、大きかったのにペロッと入ったな。今度は別のメニューを開拓しよう。

「ごちそうさま。シュン、口の周りにソース付いてるぞ」

 何処か聞く間もなく、舌で拭う間もなく、紙ナフキンを手にしたダンが、軽く押さえるように口元を拭ってくれる。

「ん、ありがとう」

「おう」



 互いに会計を済ませ、お店を後にした俺達は、手を繋いで地下街をぶらぶら進んでいく。

「そう言えば、今日は何買いにいくの?」

「片手鍋の持ち手が壊れちまって……修理してもいいんだけどよ、結構長いこと使ってたし買い替え時かなって」

「鍋って、何処で買うんだ?」

「俺はホームセンターとかで買うけどな。ここから上がるから、足元気を付けろよ」

 階段を上ってすぐの横断歩道を渡ると、左の方に大きな建物が見えてきた。

 自動ドアをくぐって、ダンは迷うことなく進む。行き慣れているんだろう。

 手を引かれながら、周りをきょろきょろ見回していると、少しトーンの落ちた声が耳に届く。

「あんまりよそ見してると危ないぞ」

「ああ、ごめん。でも、俺がこけかけてもダンが支えてくれるだろ?」

「……まーそうだけどよ」

 少し口を尖らせながらも肯定してくれる。冗談めかして言ったんだけど、やっぱり優しいな。

「片手鍋、買うんだっけ?」

「おう、この辺だな」

 立ち止まり、見上げた先には、調理器具と書かれたプレートが天井から吊り下がっている。

 ダンは、色んな大きさの鍋が並べられた棚から思い思いに商品を取り出し、眺め始めた。

「へぇ……鍋って、こんなに種類あるんだね」

「まーな。大きさは勿論だが、材質とか重さとか……メーカーごとの違いとかもあるからな」

 俺はここのメーカーのが割りと好きだな、とその一つを俺に指し示してくれる。

 料理のりの字も知らない俺にとっては、正直大きさくらいしか違いが分からない。だから、興味深い彼からの説明にも、相槌を打つことしか出来ない。

「……よし、これに決めた。色々試してみたいとは思うんだが結局いつものを選んじまうんだよな」

「分かる。俺も同じメーカーのサラダチキンばっかり買っちゃうもん」

 照れくさそうに白い歯を見せていたダンが、うんうんと頷く。

「だよなー……安心感ってゆーか何て言うか」

「それだけ、ダンが気に入ってるってことじゃない?」

「そうだな、うん……シュンはどっか見たいところとか、ないのか? 俺ばっか付き合ってもらって、悪いからさ」

「んー……別に、ダンと一緒ならどこでもいいけど。あ、何か小物ってゆーか、今日の記念になるものを買いたいな。それを弁当のお礼っていうか、プレゼントにしたいんだけど……どうかな?」

 意見を聞こうとダンの方を向けば、何故か片手鍋を顔の前に構えている。そのせいで表情がよく見えない。

「ダン?」

「ほんと相棒は……そういうところだぞ! 俺にはいいけどよ! 絶対に、先輩達にはそんな事言うなよな!」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ハッピーライフのために地味で根暗な僕がチャラ男会計になるために

ミカン
BL
地味で根暗な北斗が上手く生きていくために王道学園でチャラ男会計になる話 ※主人公へのいじめ描写ありのため苦手な方は閲覧ご注意下さい。

この僕が、いろんな人に詰め寄られまくって困ってます!〜まだ無自覚編〜

小屋瀬
BL
〜まだ無自覚編〜のあらすじ アニメ・漫画ヲタクの主人公、薄井 凌(うすい りょう)と、幼なじみの金持ち息子の悠斗(ゆうと)、ストーカー気質の天才少年の遊佐(ゆさ)。そしていつもだるーんとしてる担任の幸崎(さいざき)teacher。 主にこれらのメンバーで構成される相関図激ヤバ案件のBL物語。 他にも天才遊佐の事が好きな科学者だったり、悠斗Loveの悠斗の実の兄だったりと個性豊かな人達が出てくるよ☆ 〜自覚編〜 のあらすじ(書く予定) アニメ・漫画をこよなく愛し、スポーツ万能、頭も良い、ヲタク男子&陽キャな主人公、薄井 凌(うすい りょう)には、とある悩みがある。 それは、何人かの同性の人たちに好意を寄せられていることに気づいてしまったからである。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 【超重要】 ☆まず、主人公が各キャラからの好意を自覚するまでの間、結構な文字数がかかると思います。(まぁ、「自覚する前」ということを踏まえて呼んでくだせぇ) また、自覚した後、今まで通りの頻度で物語を書くかどうかは気分次第です。(だって書くの疲れるんだもん) ですので、それでもいいよって方や、気長に待つよって方、どうぞどうぞ、読んでってくだせぇな! (まぁ「長編」設定してますもん。) ・女性キャラが出てくることがありますが、主人公との恋愛には発展しません。 ・突然そういうシーンが出てくることがあります。ご了承ください。 ・気分にもよりますが、3日に1回は新しい話を更新します(3日以内に投稿されない場合もあります。まぁ、そこは善処します。(その時はまた近況ボード等でお知らせすると思います。))。

追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」 身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。 死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。 カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。 「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」 献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。 これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。

【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい

御堂あゆこ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。 生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。 地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。 転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。 ※含まれる要素 異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛 ※小説家になろうに重複投稿しています

俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵
BL
 主人公オリヴァーの妹ノエルは五歳の時に前世の記憶を思い出す。  この世界はノエルの知り得る世界ではなかったが、ピンク髪で光魔法が使えるオリヴァーのことを、きっとこの世界の『主人公』だ。『勇者』になるべきだと主張した。  そして一番の問題はノエルがBL好きだということ。ノエルはオリヴァーと幼馴染(男)の関係を恋愛関係だと勘違い。勘違いは勘違いを生みノエルの頭の中はどんどんバラの世界に……。ノエルの餌食になった幼馴染や訳あり王子達をも巻き込みながらいざ、冒険の旅へと出発!     ノエルの絵は周囲に誤解を生むし、転生者ならではの知識……はあまり活かされないが、何故かノエルの言うことは全て現実に……。  友情から始まった恋。終始BLの危機が待ち受けているオリヴァー。はたしてその貞操は守られるのか!?  オリヴァーの冒険、そして逆ハーレムの行く末はいかに……異世界転生に巻き込まれた、コメディ&BL満載成り上がりファンタジーどうぞ宜しくお願いします。 ※初めの方は冒険メインなところが多いですが、第5章辺りからBL一気にきます。最後はBLてんこ盛りです※

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。

オレにだけ「ステイタス画面」っていうのが見える。

黒茶
BL
人気者だけど実は人間嫌いの嘘つき先輩×素直すぎる後輩の (本人たちは気づいていないが実は乙女ゲームの世界である) 異世界ファンタジーラブコメ。 魔法騎士学院の2年生のクラウスの長所であり短所であるところは、 「なんでも思ったことを口に出してしまうところ。」 そして彼の秘密は、この学院内の特定の人物の個人情報が『ステータス画面』というもので見えてしまうこと。 魔法が存在するこの世界でもそんな魔法は聞いたことがないのでなんとなく秘密にしていた。 ある日、ステータス画面がみえている人物の一人、5年生のヴァルダー先輩をみかける。 彼はいつも人に囲まれていて人気者だが、 そのステータス画面には、『人間嫌い』『息を吐くようにウソをつく』 と書かれていたので、うっかり 「この先輩、人間嫌いとは思えないな」 と口に出してしまったら、それを先輩に気付かれてしまい・・・!? この作品はこの1作品だけでも読むことができますが、 同じくアルファポリスさんで公開させていただいております、 「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」 「俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。」 とあわせて「乙女ゲー3部作」となっております。(だせぇ名前だ・・・笑) キャラクターや舞台がクロスオーバーなどしておりますので、 そちらの作品と合わせて読んでいただけたら10倍くらい美味しい設定となっております。 全年齢対象です。 BLに慣れてない方でも読みやすいかと・・・ ぜひよろしくお願いします!

処理中です...