【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ

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見えた光明

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 顎に手を当てながら話していたセレストさんが突然言い淀む。

「……何か問題があるんだね」

 尋ねた先生に向かって軽く頷いてから再び口を開いた。

「以前も話したが……彼の魔力は強大だ。私が彼をサポートすれば、成せないことは恐らくないだろう。だが、今は肝心の彼の意識がない。上手くいけばいいが……最悪の場合力が暴走して、もう二度と目覚めることはなくなってしまうだろう」

「一か八か……ということか」

「あぁ、だからこれは最後の手段に取っておきたい」

 痛いくらいの沈黙を破ってソルが悲痛な叫びを上げる。

「でも、それじゃあどうするの!? 何の手懸かりもないのに、何処にいるかもわからない術者を探すなんて、そんなの……」

 再び重く沈みそうになっていた空気を明るい声が打ち消した。

「そこで、私の出番だよっ!」

 腰に手を当ててふんぞり返るセレストさん。その顔には得意気な笑みを浮かんでいる

「彼が眠っている今ならば、魔術の反応を追って位置を絞り出すことが出来る。ただ、ピンポイントは無理だからね。そこで、君達が私の指定する場所を探せばいずれ……」

「「「「術者を見付けることが出来る!」」」」

 俺達の声が重なった。降って湧いたような光明に身体が活力に満ち溢れてくる。

 目を閉じ眠り続ける彼を、初めて前向きな気持ちで見つめることが出来た。

 待っていてくれシュン……必ず俺達が君の目を覚まさせてみせるからな!

「まぁ、時間はかかるが……彼の安全が第一だから仕方あるまい。分かったらさっさと君達は休みたまえ! いざというときに動けないと話にならないからな!」

 確かにセレストさんの言う通りだ。今は休める内に休んでおいた方がいい、しかし……

 皆も俺と同じで離れがたいんだろう。部屋から一歩も動こうとしない俺達をみかねたセレストさんが提案をしてきた。

「別にここでも休むことは出来るだろう? 食事を取って少しでも横になりなさい。それとそこの赤い髪の君」

「……ダンです」

「ダン君だね。接触していた方が探知がしやすいんだ。少しの間、君の大切な人の手を借りてもいいかな?」

 小さく頷くとダンはシュンの手をそっとセレストさんに預けた。

「術者の居場所は必ず私が見付け出す。なに心配することはない! 私は優秀な魔術士だからな! はっはっは」

 セレストさんの明るい高笑いが部屋に響いた。
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