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【番外編】皆とバレンタイン3
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鼻先まで近づいていたダンの表情が突然切なげに歪む。寂しそうに揺れる赤い瞳に胸がきゅっと締めつけられた。
いや……ズルいだろ、その顔は。おまけに今にも泣きそうなしょんぼりした声でさ。
「……嫌じゃ、ないよ……その、恥ずかしいだけで」
そんな風に見つめられちゃったら、断れるわけないだろうが!
元々推しだったんだぞ!? しかも、今は気になっているというか……す、好きというか……
そんな相手に迫られて、嫌な訳がないだろうが!!
「へへっ、そっか……じゃあ、いいか? シュン……」
「うん……いいよ、ダン……」
幸せそうに綻んだ顔が視界いっぱいに広がっていく。
温かいものが唇に優しく触れてくれてから、名残惜しそうに離れていった。
熱を帯びた赤の瞳と見つめ合う最中、一際大きな友人の歓声が何処か遠くで聞こえた気がした。
スゴくご満悦そうで何よりだ。大きくニコッと開いた口に、嬉しそうに細められた真っ赤な瞳。
俺の頭をわしゃわしゃ撫で回すダンの表情からは、ついさっきの雨に濡れた子犬のような寂しさなんて微塵もない。ご機嫌そのものだ。
「ほい、これは俺からな」
いまだにバクバク激しく高鳴り続けている俺の胸元に、赤いリボンが結ばれた透明な袋が押しつけられる。
中には小さなハート形のカップケーキが四つ。クローバーみたいにキレイに並んでいた。
茶色い。チョコレート……かな? ってもしかしてこれ……
「ありがとう! バレンタインのプレゼント、だよな。まさか、ダンからも友チョコを貰えるなんて思わなかったよ」
「はぁ?」
「え? 違った……のか?」
もしかして、バレンタインのでもなかったり?
眩しかった笑顔が途端に曇っていく。今度は疑問と一緒に焦りがつのっていく俺の肩を、大きな手が勢いよく掴んだ。
「本命に決まってんだろうが!! ……つーか今なんつった? 友チョコ?」
「そうだよ。だからキスして牽制しなくても、僕はシュンのこと取ったりしないよ? 友達だもん」
俺の代わりに答えたライが可愛らしくニコッと微笑む。鋭かったダンの目がきょとんと丸くなった。
……キスして、牽制? どういうことだ? そんな、まるでダンがライに嫉妬してたみたいじゃ……
目の前にある整った顔が、耳の先までボッと真っ赤に染まっていく。そのうち湯気でも出てきそうだ。
「えっと、ダン……」
「っ……と、とにかく、そいつは本命だからな!! それだけは、絶っ対に勘違いすんじゃねぇぞ!! ほら、分かったらさっさと学園行くぞ! モタモタしてると遅刻しちまうからな!」
「え、あ、うん。ありがとう、必ずお返しするからな」
俺とライの腕をグイグイ引っ張っていくダンの広い背中に声をかける。
短く、おう……とだけ応えた彼の耳は、いまだに赤いままだった。
いや……ズルいだろ、その顔は。おまけに今にも泣きそうなしょんぼりした声でさ。
「……嫌じゃ、ないよ……その、恥ずかしいだけで」
そんな風に見つめられちゃったら、断れるわけないだろうが!
元々推しだったんだぞ!? しかも、今は気になっているというか……す、好きというか……
そんな相手に迫られて、嫌な訳がないだろうが!!
「へへっ、そっか……じゃあ、いいか? シュン……」
「うん……いいよ、ダン……」
幸せそうに綻んだ顔が視界いっぱいに広がっていく。
温かいものが唇に優しく触れてくれてから、名残惜しそうに離れていった。
熱を帯びた赤の瞳と見つめ合う最中、一際大きな友人の歓声が何処か遠くで聞こえた気がした。
スゴくご満悦そうで何よりだ。大きくニコッと開いた口に、嬉しそうに細められた真っ赤な瞳。
俺の頭をわしゃわしゃ撫で回すダンの表情からは、ついさっきの雨に濡れた子犬のような寂しさなんて微塵もない。ご機嫌そのものだ。
「ほい、これは俺からな」
いまだにバクバク激しく高鳴り続けている俺の胸元に、赤いリボンが結ばれた透明な袋が押しつけられる。
中には小さなハート形のカップケーキが四つ。クローバーみたいにキレイに並んでいた。
茶色い。チョコレート……かな? ってもしかしてこれ……
「ありがとう! バレンタインのプレゼント、だよな。まさか、ダンからも友チョコを貰えるなんて思わなかったよ」
「はぁ?」
「え? 違った……のか?」
もしかして、バレンタインのでもなかったり?
眩しかった笑顔が途端に曇っていく。今度は疑問と一緒に焦りがつのっていく俺の肩を、大きな手が勢いよく掴んだ。
「本命に決まってんだろうが!! ……つーか今なんつった? 友チョコ?」
「そうだよ。だからキスして牽制しなくても、僕はシュンのこと取ったりしないよ? 友達だもん」
俺の代わりに答えたライが可愛らしくニコッと微笑む。鋭かったダンの目がきょとんと丸くなった。
……キスして、牽制? どういうことだ? そんな、まるでダンがライに嫉妬してたみたいじゃ……
目の前にある整った顔が、耳の先までボッと真っ赤に染まっていく。そのうち湯気でも出てきそうだ。
「えっと、ダン……」
「っ……と、とにかく、そいつは本命だからな!! それだけは、絶っ対に勘違いすんじゃねぇぞ!! ほら、分かったらさっさと学園行くぞ! モタモタしてると遅刻しちまうからな!」
「え、あ、うん。ありがとう、必ずお返しするからな」
俺とライの腕をグイグイ引っ張っていくダンの広い背中に声をかける。
短く、おう……とだけ応えた彼の耳は、いまだに赤いままだった。
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