『完結・R18』公爵様は異世界転移したモブ顔の私を溺愛しているそうですが、私はそれになかなか気付きませんでした。

カヨワイさつき

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10、落ち着こう

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*ちょっぴりR指定
前後左右、特に背後にご注意を。


*リアム・ノア・クロート目線

落ち着くらしいハーブティーを何杯飲んだだろうか?
家令であるマシューは静かにたたずみ、お茶を飲み干すたびそっと新しいものになっている。
こん比べをしてるわけではないが、さすがに飲みすぎてしまったようだ。
メイド長であるメアリーが彼女の着替えを手伝ってくれてれている間に、トイレに行った。
やはりお茶を飲みすぎたのかよく出た。
出たはずなのになぜか愚息は、あるものを出し切ってないのかますます大きく反抗してきた。
思った以上に柔らかな唇、絡みつくかわいい舌。
中和剤は、あっという間になくなった。
彼女がコクンと飲みほしたあと、なんとも言えない感情が湧き上がり柔らかでぬめった口内を味わってしまった。
彼女の口に入れた自分の指から血が出るほど、彼女は歯を食いしばろうとしていた。
私を食いちぎるには力が足りないし、彼女のアゴが先に壊れてしまいそうだ。
口以外にも吸い付き、舐めたいと思ってしまった。
性欲は薄い方だと思ったが、2度ほど自己処理したのになぜかまた自己主張する愚息に呆(あき)れそうになった。
熱く込み上げてくるものに対して、心の中でマシューマシューマシューマシューマシューと唱えると、やっとおさまってきた。
身なりを整え部屋に入って戻った。

部屋に入ると、髪の毛が短い黒髪で黒い瞳の彼女がメイド長であるメアリーといた。
小さめのメアリーよりさらに小さな彼女。
メアリーのメイド服がぶかぶかにみえた。
別にメアリーがふくよかというわけではない。
彼女が痩せすぎているだけだった。
貴重な女性であるメアリー、このクロート国だけではなく他国でも女性の出産どころか、その女性自体が少ないのだ。
男性10人に対して1人あるかないかの女性。
メイドの服以外の私服は、メアリーの夫たちからの贈り物なのでそれを見知らぬ彼女、刺客かもしれない彼女に着せる事は出来ない。
なので、予備のメイド服だが……なぜかいけないものを見てしまったように感じた。
性別関係なく彼女のサイズの服は我が公爵家にはないだろう。
伸縮性ある彼女が着ていた服と破れたズボンなどはしばらく預かることにした。
間に合わせに、私が小さい頃の服は……もう、ないだろう。なんせ私は"色なし"だから忌み嫌われている者の小さな時の服など処分されているだろう。

「旦那様、支度が整いました。」
2回目の声掛けでやっと我にかえった私だが、いざ彼女と何を話したらいいのかわからない。
もしかしたら貴族出身で、私から話しかけるのを待っているのか?
高位貴族が話しかけ下位の貴族がそれに応えるのが基本だから彼女は、それを待っているのか?
それとも私の醜い姿を見て声を出したくないだけなのか?
いずれにせよ早く彼女の事を知らなければ、いや調べなければいけない。
「……なぜあんな事をした?」
「?!」
彼女の黒い瞳がさらに大きくなった。
「私は君にやられるほど柔(やわ)な鍛え方はしていないつもりだが、別のやり方(神からのギフト・魅了)で(刺客として)送られたのか?」
「???」
彼女との身長差、座高の違いとはいえ上目遣いで首を傾げる姿に先程おさまったはずの愚息が主張してきた。
ダメだダメだ。あの呪文を言わなければマシューマシューマシューマシューマシューマシューマシュー……
「マシュー、あっ。」
「はい、旦那様。」
やばい心の声が漏れてしまった。
何か言わなければ……。
「私では(醜いから)話にくそうだ。だからマシューが事情をきいてくれないか?」
意味深な視線をマシューが送ってきた。
なんとか誤魔化せただろうか?
「……かしこまりました。」
私は立ち上がり自室に戻った。

自室に着いたとたん無意識にため息が出た。
今思えば私が名乗り彼女の名を聞き、なぜあの場所に現れたのが聞いたらすむことなのに……。
なぜ、言葉が出なかったんだ。
刺客かもしれなかった彼女。
刺客ではなさそうな彼女。
私はどうすればいいのだろうか?
コンコン
「旦那様、ご報告に参りました。」
「ああ、すまない。」
思いのほか早い報告だった。
マシューの報告に不可解な事ばかりであった。
彼女の名前はマリ クロサワ。
年齢は19歳。マシューどころかメアリーまで驚いてしまったそうだ。
どう見ても19歳には見えない。
11~12歳、下手すれば10歳以下にも見えた。
幼い顔立ちに身長もそのくらいしかない。
まさか…というかやはり、食事を与えずわざと成長しないよう育てられたのか?
まだ、そんな地域が残っていたのか?
彼女の住んでいた所を聞き徹底的にそういう地域を無くさねばならない。
風習と因習とか言い訳はいい。
排除しなければ……。

クロート国では犯罪者の奴隷以外の奴隷は禁止している。人身売買である奴隷制度はとうの昔に撤廃しているにも関わらず、闇はあるわけで見た目の良い者もそうだが、生まれてすぐの色なしなどは闇に葬られるか奴隷にされている場合が多い。
クロート国では、色が濃く小さな者が美しい、黒に近いほど神に愛された色であり白に近い色や色素が薄い者は"色なし"として忌み嫌われている。
色なしの女性は、特に子を産む為の道具にされやすい。
彼女はこの国にはない黒い瞳に黒い髪の毛、低身長、正しく神の愛し子だ。
女性というだけで、このクロート国では女性の一人歩きは危険なのだ。
あの場以外でいれば、よからぬ者が彼女を攫(さら)い闇の奴隷商などに売られてしまう。
なんとかせねばならない。
だが、彼女は刺客だったかもしれない者。
「旦那様?マリ クロサワ様が何か仕事をしたいともうしてます。」
「はっ?」
しまった、色々マシューが報告してくれていたのに聞き逃してしまった。
名前と年齢はわかったが、我が国では15歳成人であり彼女はどう見ても成人どころか、やはり10歳くらいにしか見えなかった。
やはり幼い頃から生きるか死ぬかのわずかな食事で育て、わざと小さい身体を作られたのか?
神に愛された色を持つ子にこんな仕打ちを……。
それなのに私は、不審者どころか刺客だと思い彼女の手足を縛り上げてしまった。
謝らなければならない。
たとえ醜いこの姿を見たくないと言われても、謝らなければ心まで醜くなってしまう。
「マシュー、彼女は落ち着いたか?」
「はい、メアリーの説明などもしっかり受け答えしてました。」
「そうか。」
よかったと心から思った。
「旦那様?先程の事ですが……。」
「直接話すとしよう。」
「……。」
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