異世界に来ちゃったよ!?

いがむり

文字の大きさ
63 / 75
第3章

(57)インクレメントム①

しおりを挟む
「スフィンクさん達、良くなるといいな……」

さっきまでの慌ただしい出来事も一区切りついてソフィア達は門のところまで戻ってきた。エリックさんは「職務があるから」って凄く悲しそうな顔で王城へ戻っちゃったの。ダグラスさんもギルド職員さんに呼ばれて寂しそうな顔で行っちゃった。

「おっ、やっと戻ってきたな。待ちくたびれたぞ?」

手を振ってやってきたのはレイブンさん。その後ろには4人の冒険者さん達。

「お久しぶりです!レイブンさん。それから皆さん初めまして、ソフィアです。今日はよろしくお願いします」

私はぺこりと頭を下げる。すると、後ろにいた2人の女性冒険者さんにレイブンさん引っ張られちゃった。もう作戦会議かな?

 

 

 

「痛てててっ!何だ?」

「何だじゃないわよ!アーノルド、あんたソフィア様と知り合いなの!?」

ツインテールの女性冒険者、ネイリスがぐっと顔を近づけて問いただす。

「ま、まあな」

「それ先に言いなさいよ!」

上品そうな女性冒険者、レジーヌも腕を組んで言う。

「何で言う必要があるんだ?」

「コネだろ?コネ」

大剣を持った男性冒険者のナギトは揚げ足を取る。

「「違うわよ」」

「僕も怪しいと思ってたんだ。アーノルドが珍しくこういう試験を受けるとか、何かあるだろうと思って一緒に受けてみたが……なるほど」

ローブ姿の男性冒険者、ミシェルもなぜだか納得している様子。

「まあいいじゃねえか!もし受かれば、世界を回れるんだぞ?それに各地の旨いもんだってあるし、珍しい武器だってわんさか……」

ミシェルとナギトはアーノルドの肩にそれぞれ手を置く。

「隠さなくてもいいよ。知り合いなんでしょう?」

「誰もリーダーを責めてないだろ」

「ほら、行くわよリーダー」

「置いてくわよー」

すでにネイリスとレジーヌがソフィアの元に戻ろうとしていた。

「おい、一体何だったんだよ~?」

男性陣は後を追いかけた。このパーティ「インクレメントム」は、ほとんどパーティ全体で依頼を受けることはない。1人または2人で行動することの方が多い。何故か?それは1人で受けたとしても“完璧に”依頼をこなしてくるからである。そう、このパーティ全体が他のパーティと格段に強さが違うのだ。

そしてもう1つ、彼らが驚いた理由。それは、彼らもまたソフィアの圧倒的な魔力の多さに気づいたからである。そして、ソフィアが攫われた例の一件は、当初世間からフェアリーデイが誘拐されたのではないかと噂が広まっていたが、国から“ソフィアではなく、ハンネという少女が被害に遭った”と発表した。しかし、パーティそれぞれが違和感を持ち、調べた結果ソフィア自身が攫われていたことにまで辿り着いた。そのこともあって、ソフィアへの信仰心と不憫さから守ってやりたいというところに発展し現在に至っている。

 

 

 

「今度はこっちが待たせたな、ソフィア」

レイブンさんが戻って来たよ。

「作戦会議?」

「う~ん、俺にもさっぱり」

「あれ?そうなんだ」

「ソフィア様、初めまして。今日はよろしくお願いいたします」

全員がソフィアに頭を下げる。ソフィアは慌てて、

「あ、頭を上げてください!そんな、私はただ守られるだけですから。こちらこそよろしくお願いします」

「ソフィア様、皆様。準備が整いました」

リーリエさんが戻って来たよ。

「スフィンクさん達大丈夫ですか?」

「はい。ソフィア様のお陰で全員が回復しました。こちらからもお礼を申し上げます」

「い、いいですよぅ!全然!はい!」

何とかリーリエさんが頭を上げてくれたところで、

「では、今回皆さんには午前中同様、ブラックパンサーを10体討伐していただきます。期限は夕刻までです」

「皆様のお食事も用意しております。試験中ではありますが、どうぞ」

ベラさんが大きなかごを持ってきたよ。

「え、いいんですか」

大剣を持った冒険者さんが質問する。

「皆様なら簡単でしょう。ですから」

「「「「「ありがとうございます!」」」」」

レイブンさん達嬉しそう。

 

 

 

またまたベラさんが馬車を先導するみたいで、馬が動き出したところで私はリーリエさんに手を振る。

「いってきまーす!」

門の所でリーリエさんが手を振ってる。見えなくなったところで元に戻る。

「そう言えば、自己紹介がまだだったわね」

ツインテールの女性の冒険者さんが私の前に来る。

「私はネイリス。ネイリス・ハーギナス。基本的に近接タイプね。武器は細身だけど剣、あと投擲かしら」

武器まで教えてくれるんだ。使う武器は一つとは限らないんだね。

「今度は私ね」

上品そうな女性冒険者が少し前に出る。

「私はレジーヌ・ティリエ。弓矢を使う遠距離戦闘が基本。だからと言って近接戦が出来ないわけではないわよ?」

「次は俺か。ナギト。ナギト・ゲオルク。戦い方は、このデカい剣をぶん回すだけだな!」

「大雑把すぎ。この大剣とっても重くて、僕たちの誰も持てないんだよ。でもナギトはこんな小さいのに軽々と持って使っているんだ」

隣にいたローブ姿の冒険者さんが説明してくれた。

「ああ、紹介がまだだったね」

冒険者さんがフードを取る。すると、犬みたいなたれ耳が!

「僕はミシェル・ルーセ。この通り、犬の獣人族だよ。戦闘は魔法を使うよ」

「あ、俺は……」

「「「「あんたはいい!」」」」

「……はい」

レイブンさん自己紹介出来なかったね。

「あはは……あ、皆さんありがとうございます。えっと、私はソフィアです。私も魔法を使います」

「っていうか、ソフィア」

ナギトさんが私を呼ぶと、ベラさんがナギトさんに視線を送ってたような気がしたけど……

「俺たちに敬語は……なあ?」

「そうね。私達も基本使わないし、いらないわ」

「そーよ!」

「でも、私皆さんよりずっと年下ですし」

「そういうの全然気にしないよ」

「そーだぞ?ソフィア」

レイブンさんがそういうなら、いいかな……

「わか……うん」

「「可愛い~‼」」

ネイリスさんとレジーヌさんは私の隣に来て両側から抱きつかれる。さっきの雰囲気とは違って結構ゆるゆるなんだけど、それが安心するかも。

 

 

 

しばらくして、ベラさんが馬車を止めたの。

「やっと現れたな」

レイブンがそう言うと、ナギトがニヤッと笑う。

「敵は3体。俺が行く!」

「あ、ずるい!」

レジーヌさんが文句を言う間に出て行っちゃった。

「こんなの肩慣らしにもなんねーよ!」

様子は見えないけど、そう言った途端に魔物の気配が無くなったの。

「もう倒したの⁉」

「あら?見ないで分かっちゃったの?」

「凄いね。魔物の気配が分かるなんて」

え、見透かされてる!

「((この人たち本当にベテラン冒険者だね))」

『((ええ。恐らく私達のことも気づいてるんじゃないかしら))』

『((そうね……今は隠れてるけど、よく視線が合うもの。今までの人間の中で数えるほど末恐ろしいわ))』

ひぇぇ……


しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

転生ちびっ子の魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。 辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

処理中です...