異世界に来ちゃったよ!?

いがむり

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第3章

(59)もう1人の最高クラス冒険者

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私達は馬車から降りた後でアーノルドさん達が報告を終えて戻ってきたから、一応形式的な試験終了の挨拶をするんだ~。

「皆様お疲れ様でした。以上で試験は終了となります」

私達はエリックさんが戻って来るまでリーリエさんと一緒にいたの。暇だったから小さくなったグライをもふもふしながら待ってたよ。

「ソフィアちゃん」

そこにやって来たのは、

「あっ、ダグラスさん!」

ダグラスさんに駆け寄ると抱き上げてくれたよ。

「試験はどうだった?」

「皆さんとっても強くてかっこよかったです。それに楽しかったです!」

「それは良かった」

ダグラスさんってちょっと厳つい感じがするけど、包容力があって優しいし頼れる人って感じがするな~。今みたいに笑うとシスターが教えてくれた“イケおじ”だね!

「ギルマス」

そこに来たのはレジーヌさんとミシェルさん。カズマさんのところに行ったんじゃなかったっけ?

「どうした?」

「あの、ソフィア様にカズマを合わせたいのです」

「……」

「僕からもお願いします」

ミシェルさんとレジーヌさんは頭を下げる。何か他の意味ががあるのかな?

「私はいいですよ?」

「……分かった。エリックにはこちらから言っておく」

「「ありがとうございます!」」

「ただし、合わせるだけだぞ」

「「はい!」」






『((もう試験も終わったし~いいかしら?))』

『((私も隠れっぱなしじゃ性にあわないわ~))』

エルブとアズルは念のために隠れて貰ってたけど、もういいよね?

「((いいと思うよ?))」

『ん~、肩が凝ったわ~!』

『やっぱりこっちの方がいいわね~』

「2人ともお疲れ様~」

その場に突然現れたエルブとアズルに、解散しようとしていたが驚きを隠せないインクレメントム一同。

「確かに気配があったけど……」

「まさか精霊だったとはな」

「しかも、精霊の中でも上位よ……!」

それを聞いて、満更でもない様子のエルブとアズル。心無しかドヤ顔をしているように見えた。

《((わしも元に戻ろうかの──))》

『『「それはダメ!」』』

《ぬう……》

3人に止められて肩を落とすグライ。

「ソフィアちゃん、どうしたの?」

ソフィアを迎えに来たレジーヌさんとミシェルさんが3人の声を聞いていた。

「い、いえ!何でもない……よ!」

敬語なしって、中々慣れないよ~!






レジーヌさんとミシェルさんに連れられてカズマさんの所に向かっていたんだけど、私が歩いていると皆とだんだん歩幅が合わなくなって、遅れちゃうからエルブに抱えて貰ってるよ。

「もうすぐ着くよ」

だんだん繁華街から離れて、森に近づいてきたけど、明かりが少ないから夜は道が分からなくなりそう。

「さあ、ここよ」

そこは、木々が鬱蒼としていて錆びた門の奥には茶色い屋根の御屋敷が見える。どのくらい大きいのか分からないけど、あそこに1人でいるのは大変だと思うな……

「入ろうか」

ミシェルさんは黒い鍵を取り出して、鍵穴の無い錠前を手に取ったの。

「それ、鍵穴がないね?」

「ああ、幻術と隠蔽魔法が使ってあるんだ。だからこうやって……」

そう言って、ミシェルさんは錠前に魔力を込め始めてるのかな?しばらくすると錠前は金色から黒色に変わったよ。

「一定量の魔力を注がないと、鍵穴が出て来ないんだ。これが結構大変でね」

「しかもこれをカズマが考えたのよ?」

凄い!侵入者対策がしっかりしてるよ。

「門以外にも仕掛けがあってね?変な所から誰かが入ろうものなら、強烈な魔法と誰もが嫌がる音や匂いで撃退できる仕組みになってるってわけなんだ」

「(まさに難攻不落!)」

『でも魔力は結構消費されるんじゃないの?』

「それが何故か減らないらしくてね?本人も不思議がっていたわ」

『それは羨ましいわ~!』

低燃費ってことだね!






「ここが、カズマの家よ」

レンガ造りの綺麗な御屋敷だけど、そんなに大きくなかったの。それに、とっても静か。鳥さんの囀りも、葉が擦れてそよそよ音がするのも聞こえてくる。

「さあ、入りましょう」

レジーヌが扉を開ける。キィと音を立てながら木の扉が開くと、中は煌びやかな物は何一つない、質素な空間だった。

「2階の奥が寝室よ」

「じゃあカズマさんはあそこに……」

「そう」

どんな人かな?早く会いたいな。

『ここら辺、精霊の匂いがするわ』

『そうね、しかも2、3って数じゃないわ?恐らく数十かしらね』

「「数十!?」」

2人は驚いてるけど、多いのかな?森にいた精霊さん達はどのくらいいたのかな?

『まあ、あの森にいた精霊は軽く1000くらいいたけど』

「ふぇ!?」

『ソフィアは精霊達、みーんなに懐かれていたわね~!もちろん私達も含めて、よ?』

「やっぱり、ソフィアはフェアリーデイなんだね」

「そうね……!」

『……アッ!カズマだ』

すると、下位精霊がふわふわとやって来たよ。

「えっ?」

『カズマ!』

『カズマ、起キタ~』

『起キタ!カズマ』

「えっ、え?私?違うよ?」

精霊さん達は私をカズマさんと勘違いしたみたい。

『私達精霊は魔力が多い所に集まる習性があるの』

『しかも気に入ったらそこに住み着いちゃうのよね』

《((カズマって人間も相当な魔力の持ち主だったようじゃのう))》

「((カズマさん凄い!))」

「ソフィアの周りにいる小さな光が、精霊なの?」

レジーヌさんは目を真ん丸にしてるよ。

「僕も生まれて初めて見たよ……!」

ミシェルさんは興味津々でこっちを見てるよ。

『カズマ?』

『カズマ違ウ?』

「私はソフィア。ごめんね、カズマさんじゃないんだ」

『ソフィア?』

『フィリーデイ?』

「“フィリーデイ”……?」

フェアリーデイじゃないの?

「ああ、“フィリーデイ”はフェアリーデイの元の語源よ。精霊達が言ってたの?」

「うん」

『ソフィア、カズマト似テル!』

『似テル!』

「ふふっ、ありがとう」

「さあ、カズマの所に行こうか」






2階に上がると部屋の空気が変わったの。なんて言うのかな……孤独?じゃなくて寄せ付けない感じに近いかも。

「どうしたの?ソフィアちゃん」

「何でもないよ((ねえエルブ……この部屋、何か感じない?))」

『((何も感じないわよ?))』

『((私も~))』

「((グライは?))」

《((ふむ……微々たるものだが、何かあるのう))》

カズマさんの部屋に近づくに連れて、ピリピリした感じが強くなってる気がする。

レジーヌさんが古い扉の前に立ち止まった。

「ここよ」

うん……ここが今までで1番強く感じる。

「じゃあ、入るわね」

と、レジーヌは扉を軽く叩いてドアノブを回して開いた。すると、今までの微々たる感覚だったのが、鋭く張り詰めたような空気となった。

「……っ」

《((カズマとやらが魔力を放っているようじゃ……))》

『放つって言うより、漏れてないかしら?』

『これ結構な魔力消費なんじゃないかしら?』

「「……!カズマ!!」」

2人は扉を開けてすぐにあるベッドに駆け寄ったの。私も中に入ろうとしたら……

『ママ…姉ちゃん…兄ちゃん……どこ…?』

部屋の隅に座り込んだ男の子がいたの。それに、その子の周りが靄だらけで表情は分からなかったんだけど、すすり泣く声が聴こえる。靄は黒っぽい青いかな?

「((ねえ、あそこに男の子がいるよ?))」

『((えっ?))』

『((見えないわ?))』

《((わしも見えぬぞ?))》

え……見えない?

「ソフィア、こっちだよ」

ミシェルさんに手招きされて私達もカズマさんの方へ向かったの。
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