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第3章
(63)レッツトライだよ!
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「さて、ここが今回の依頼された場所だよ」
王都の門を出てオーヴィ達が住む森とは違った森に来たよ。あの森は“大狼の森”って呼ばれてるんだって!今回の依頼はゴブリンさんの駆除10体だって。
「何だか大狼の森より暗い雰囲気ですね……」
「ここはゴブリンがよく現れるんだ。あいつら地味に賢いから、ハイレベルのやつだとミスリルランクの冒険者が必要になってくる。ここは基本低レベルしかいないし、新人冒険者の討伐場所として人気が高いんだ」
すると、その言葉にフォルンが反応する。
「ゴブリンは本来、人間に甚大な被害をもたらす魔物として名を馳せており、人間から嫌われているはず。新人冒険者なら尚更不人気なのでは?」
「それは随分昔の話だね。当時は魔王が玉座に君臨していたから、魔物や魔族が血気盛んに活動していたんだ。しかし、そこに勇者が現れて魔王軍を壊滅させたんだ」
「それじゃあ、今魔王はいないんですか?」
「おそらくはね」
昔は魔王がいたんだって!今も生きていたらこんな平和は訪れていなかったかもしれないね。勇者すごーい!
「じゃあ今回は僕保護者役だから、危なくなるまでは入らないよ?」
「はい、分かりました!」
フォルンも頷く。今日は私の許可がなくても話に入ってる。珍しいけど、ちょっと安心。
「フォルンは魔法と物理、どっちが行ける?」
「どっちも大丈夫」
さすがだね……私はリミッターを外さないで戦ったことないけど、今の実力試してみようかな?
「じゃあ私が物理にするからフォルンは魔法でお願いね!」
「分かった」
じゃあ何使おうかな……?投擲もどれくらい投げられるか分からないし、剣も試してみたいし……よし、両方にしよう!
「ハンネ、カズマが何かしてる」
「ん……んん??」
フォルンが指さしてカズマさんの方を見ると、布に書いた魔法陣を広げてたの。
「カズマさん、それは?」
「ああ、避難場所だよ。一時的なものだけど魔物避けの陣がかいてあるから、危険になったらここに来るといいよ」
「ありがとうございます!」
「……ます」
すると、草陰から魔物の気配があったよ。
「あれは……本命のゴブリンだね。数は3匹かな」
「じゃあ私左側と真ん中を相手するから、残りお願いね!」
と言うと、持っていた護身用の剣を1本を左側のゴブリンに向かって投げた。
「ギ?」
剣はゴブリンの頭に刺さる。他の2体とも、まだ気づいてないようなので、続けてその隣を狙う。ソフィアが投げた剣はゴブリンの首に刺さった。
「ギッ、ァ……」
「あ、ちょっとずれちゃった」
「僕が仕留める」
逃げようとする2体をしっかり目で捉えたフォルンは手を前に出すと、
「アイスショット」
すると氷の弾がいくつも現れて、全てゴブリンの頭を直撃したの。
「(うわぁ……)」
言葉で表すのは……やめとこ。
「じゃあ、剣を取ってくるね」
ソフィアはゴブリンの骸に駆け寄って、剣をひっこ抜いた。
「あ、証明するものがいるんだっけ」
そしてゴブリンの耳を切り取って、なるべく血抜きをしてから獲物を入れる袋に入れた。
「……ごめんね、ゴブリンさん」
ソフィアは一言呟き、フォルンと一緒にカズマの元へ戻った。そしてゴブリンの骸はいつの間にか消えていた。
「ごめんねフォルン、待たせちゃって」
「全然、問題ないよ」
残りは2体。あまり深入りしないようにあたりを見回していると、
「ハンネ、あれ」
フォルンが指さす先に、ブラックパンサーに乗ったゴブリンにしては少し大きい魔物がいた。あたりを警戒しているのか、ブラックパンサーに乗りながらその場でウロウロしている。
「あれって、普通のゴブリンさんとは違うね」
「あれは……ライダーゴブリン。下級魔物に乗りながら戦う中級ゴブリンだよ」
「えっ、ここって確か低ランクしかいないって、カズマさんが言ってたよね?」
念のためにカズマさんに言った方がいいよね……
「グギャ……ギギ!!」
ば、ばれちゃった!!
「(も、もう……やっつけちゃおう!)」
「フォルン、目くらまし出来る?」
フォルンは頷いて唱えだした。
「水よ、きめ細かな粒となって周りを隠せ……ミスト」
すると濃い霧が発生して、ソフィア達を含めた全ての視界を隠した。ライダーゴブリンは霧によって何も見えなくなったが、ソフィアは魂の可視化を使ってライダーゴブリンの居場所を把握出来た。
「──行くよ」
ソフィアはガンドルさんから貰った剣1本を持ってライダーゴブリンの元へ走った。
「ギギッ!ギィ!!」
ライダーゴブリンもソフィアの気配を察知してうっすら見えた姿に斬りかかった。
「グギャッギャッ!!」
ソフィアを倒したと勘違いしたライダーゴブリンは大笑いしていたところに──
「グギャ……ァ……」
後から現れたソフィアがライダーゴブリンの背後をとり、背中から心臓あたりに一突きした。人型に近い魔物は構造上、人間とほぼ同じ構造をしている。ゴブリンも胸を刺せば最悪心停止、もしくは運良く外れても治療しない限り出血多量で死亡するのだ。
「……この剣、すごく斬れるよ」
刃こぼれ一つしていない剣は血が付いている所を除いて相変わらず輝いていた。
「(でも、まだ弱いなあ……ファクトリーだったらもっと出来たのに)」
……僕はとんでもない子ども達に出会ったのかもしれない。
「ハンネ、どうだった?」
……フォルン、だったかな。あの少年はまだ幼いのに上級魔法をいとも容易く使いこなしていた。魔法の構造もしっかりしている。僕も曲がりなりにも魔法使いとして冒険者になったけど、上級魔法は僕も使えるまで大分時間がかかった。将来は確実に僕を超えるだろうね。でも、それをはるかに超えたのが──
「ふう、なんとか倒せたよ~」
ハンネ・フラーデ。本当はソフィア様なんだけど、彼女は多分ここにいる誰よりも力があると思う……僕の思念体を見つけてくれたのも、その根拠だろうね。僕が3年前に倒れた後で、無意識的に思念体を作っていた。それから暫くして意識が肉体から離れつつあることが分かり、本当に“死”がやって来るのも時間の問題だと思っていた。走馬灯らしきものが見えてきて本格的に思念体が肉体から離れて来ていた時にソフィア様が魔力で繋げてくれたおかげで肉体に戻ることができた。
「本当にすごいなぁ、ソフィア様は」
彼女はフェアリーデイだった。住み着いた精霊達が楽しそうに騒いでいたし、僕も“こちらの世界”に来て随分と努力したけど……あの剣さばきと身のこなし方は、同世代の子ども達には中々出来ない。そう言えば精霊達はこうも言っていたな……
【ソフィア、カズマト似テル!】
「ということはソフィア様も……?」
いけない、いけない。他人の詮索はあまりしないように原始神に言われているんだった。それでも、気になってしまうのは彼女の持つ魅力なんだろう。
「まだまだ、運動しないとダメだね!」
カズマは口元を綻ばせて、
「あの子には、敵わないな」
「カズマさん!戻りました!」
ゴブリンライダーを倒した後もいくつかのゴブリンを倒して、戻ってきたソフィアとフォルン。
「お疲れ様。お腹空いてない?」
カズマさんはそう言うと、鞄からリンゴのようなものを取り出して私達に渡したの。
「カズマさん、これは“リンゴ”……ですか?」
「いや、アルルの実って言うんだ」
「そうなんですか?ありがとうございます!」
ソフィアはアルルの実にかじりついた……がこのとき、カズマがソフィアの一言に驚いたことに気づいていなかった。
「ご馳走様でした!」
「……でした」
私が礼をするとフォルンも頭を下げる。
「さあ、戻ろうか」
「はい!」
「ハンネ……いや、ソフィア様」
「えっ、はい……?」
カズマさんは何か言いたげだったけど元の表情になって、
「いや、僕もやっぱり一緒に行こうかな」
「えっ!だっ、ダメですよ!?この依頼を受けたときもその話しただけでダグラスさんがすごい勢いで止めてましたし」
「そうなんだよね……本当に残念」
カズマさんのあの表情が気になって尋ねようかと思ったけど、ちょっと無粋かなと思って聞かなかったの。
「そう……分かったわ、報告ありがとう。ハンネちゃん」
ソフィア達は、依頼の報告がてらゴブリンライダーの出現をリーリエに報告した。
「皆さんお待たせしました!」
そこにマシューが今回の依頼の報酬金を持ってきた。
「こちらが報酬です。ゴブリン10体分が証明されましたので銀貨5枚ですね。それからゴブリンライダーの報告とブラックパンサーを含めた1組の討伐が証明されましたので金貨3枚になります!お疲れ様でした」
「ゴブリン10体で銀貨って結構高いんですね?私、銅貨あたりだと思ってました」
「ゴブリンは他の魔物とは違う所があるんです。何だと思いますか?」
「う~ん?」
ソフィアは考えていると、フォルンが答える。
「学習能力をそれぞれ持っている……こと」
「正解です!」
続いてリーリエさんが話す。
「他の魔物は進化を通してじゃないと知能は上がらないの」
「だからこそ、ゴブリンを早めに討伐しているんだ。それに、報酬金が普通の討伐依頼より高めなのも人気の要因になっているんだよ」
「好循環ですね!」
「そう、“ウィン・ウィンの関係”なんだ」
「はい!」
「「……ウィン・ウィン?」」
リーリエとマシューは2人の世界に入れないでいた。
「出会ったばかりなのに、もう会えないなんて……寂しいな」
シェラさんとベラさんが迎えに来てカズマさんとの別れる時間になったよ。
「まだまだ、お話したかったです」
「僕もだよ……あ、そうだ。これを渡しそびれてたよ」
と、カズマさんから貰ったのは肩掛けのバック。でも、なんかカズマさんの魔力を感じるけど……?
「これは、マジックバックだよ。僕のお手製だけど、他の商品より結構入るから」
「お手製ですか!すごい……ありがとうございます!大事にします!」
「それから、フォルンにはこれ」
カズマさんはフォルンに細身の剣を渡したよ。
「あって損はない護身用だよ。付与魔法も“防汚”、“防水”、“修復”とかを付けてるから粗末に扱っても全然大丈夫」
フォルンは首をブンブン横に振る。そして、しっかり剣を持ちながら頭を下げた。
「あ、ありが……とう……ございます」
「それじゃあ……行きますね」
「うん、明日のお見送りには必ず行くからね」
「はい……!」
そうして、王都で過ごす最後の日を終えたのだった。
◇◆◇◆◇
お久しぶりです!今回も見てくださった方々ありがとうございますぅ!!
登録数も210を超えて、もう驚いて言葉も出ないです……
これからも地道に書いていきますので、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)mm(_ _)m
王都の門を出てオーヴィ達が住む森とは違った森に来たよ。あの森は“大狼の森”って呼ばれてるんだって!今回の依頼はゴブリンさんの駆除10体だって。
「何だか大狼の森より暗い雰囲気ですね……」
「ここはゴブリンがよく現れるんだ。あいつら地味に賢いから、ハイレベルのやつだとミスリルランクの冒険者が必要になってくる。ここは基本低レベルしかいないし、新人冒険者の討伐場所として人気が高いんだ」
すると、その言葉にフォルンが反応する。
「ゴブリンは本来、人間に甚大な被害をもたらす魔物として名を馳せており、人間から嫌われているはず。新人冒険者なら尚更不人気なのでは?」
「それは随分昔の話だね。当時は魔王が玉座に君臨していたから、魔物や魔族が血気盛んに活動していたんだ。しかし、そこに勇者が現れて魔王軍を壊滅させたんだ」
「それじゃあ、今魔王はいないんですか?」
「おそらくはね」
昔は魔王がいたんだって!今も生きていたらこんな平和は訪れていなかったかもしれないね。勇者すごーい!
「じゃあ今回は僕保護者役だから、危なくなるまでは入らないよ?」
「はい、分かりました!」
フォルンも頷く。今日は私の許可がなくても話に入ってる。珍しいけど、ちょっと安心。
「フォルンは魔法と物理、どっちが行ける?」
「どっちも大丈夫」
さすがだね……私はリミッターを外さないで戦ったことないけど、今の実力試してみようかな?
「じゃあ私が物理にするからフォルンは魔法でお願いね!」
「分かった」
じゃあ何使おうかな……?投擲もどれくらい投げられるか分からないし、剣も試してみたいし……よし、両方にしよう!
「ハンネ、カズマが何かしてる」
「ん……んん??」
フォルンが指さしてカズマさんの方を見ると、布に書いた魔法陣を広げてたの。
「カズマさん、それは?」
「ああ、避難場所だよ。一時的なものだけど魔物避けの陣がかいてあるから、危険になったらここに来るといいよ」
「ありがとうございます!」
「……ます」
すると、草陰から魔物の気配があったよ。
「あれは……本命のゴブリンだね。数は3匹かな」
「じゃあ私左側と真ん中を相手するから、残りお願いね!」
と言うと、持っていた護身用の剣を1本を左側のゴブリンに向かって投げた。
「ギ?」
剣はゴブリンの頭に刺さる。他の2体とも、まだ気づいてないようなので、続けてその隣を狙う。ソフィアが投げた剣はゴブリンの首に刺さった。
「ギッ、ァ……」
「あ、ちょっとずれちゃった」
「僕が仕留める」
逃げようとする2体をしっかり目で捉えたフォルンは手を前に出すと、
「アイスショット」
すると氷の弾がいくつも現れて、全てゴブリンの頭を直撃したの。
「(うわぁ……)」
言葉で表すのは……やめとこ。
「じゃあ、剣を取ってくるね」
ソフィアはゴブリンの骸に駆け寄って、剣をひっこ抜いた。
「あ、証明するものがいるんだっけ」
そしてゴブリンの耳を切り取って、なるべく血抜きをしてから獲物を入れる袋に入れた。
「……ごめんね、ゴブリンさん」
ソフィアは一言呟き、フォルンと一緒にカズマの元へ戻った。そしてゴブリンの骸はいつの間にか消えていた。
「ごめんねフォルン、待たせちゃって」
「全然、問題ないよ」
残りは2体。あまり深入りしないようにあたりを見回していると、
「ハンネ、あれ」
フォルンが指さす先に、ブラックパンサーに乗ったゴブリンにしては少し大きい魔物がいた。あたりを警戒しているのか、ブラックパンサーに乗りながらその場でウロウロしている。
「あれって、普通のゴブリンさんとは違うね」
「あれは……ライダーゴブリン。下級魔物に乗りながら戦う中級ゴブリンだよ」
「えっ、ここって確か低ランクしかいないって、カズマさんが言ってたよね?」
念のためにカズマさんに言った方がいいよね……
「グギャ……ギギ!!」
ば、ばれちゃった!!
「(も、もう……やっつけちゃおう!)」
「フォルン、目くらまし出来る?」
フォルンは頷いて唱えだした。
「水よ、きめ細かな粒となって周りを隠せ……ミスト」
すると濃い霧が発生して、ソフィア達を含めた全ての視界を隠した。ライダーゴブリンは霧によって何も見えなくなったが、ソフィアは魂の可視化を使ってライダーゴブリンの居場所を把握出来た。
「──行くよ」
ソフィアはガンドルさんから貰った剣1本を持ってライダーゴブリンの元へ走った。
「ギギッ!ギィ!!」
ライダーゴブリンもソフィアの気配を察知してうっすら見えた姿に斬りかかった。
「グギャッギャッ!!」
ソフィアを倒したと勘違いしたライダーゴブリンは大笑いしていたところに──
「グギャ……ァ……」
後から現れたソフィアがライダーゴブリンの背後をとり、背中から心臓あたりに一突きした。人型に近い魔物は構造上、人間とほぼ同じ構造をしている。ゴブリンも胸を刺せば最悪心停止、もしくは運良く外れても治療しない限り出血多量で死亡するのだ。
「……この剣、すごく斬れるよ」
刃こぼれ一つしていない剣は血が付いている所を除いて相変わらず輝いていた。
「(でも、まだ弱いなあ……ファクトリーだったらもっと出来たのに)」
……僕はとんでもない子ども達に出会ったのかもしれない。
「ハンネ、どうだった?」
……フォルン、だったかな。あの少年はまだ幼いのに上級魔法をいとも容易く使いこなしていた。魔法の構造もしっかりしている。僕も曲がりなりにも魔法使いとして冒険者になったけど、上級魔法は僕も使えるまで大分時間がかかった。将来は確実に僕を超えるだろうね。でも、それをはるかに超えたのが──
「ふう、なんとか倒せたよ~」
ハンネ・フラーデ。本当はソフィア様なんだけど、彼女は多分ここにいる誰よりも力があると思う……僕の思念体を見つけてくれたのも、その根拠だろうね。僕が3年前に倒れた後で、無意識的に思念体を作っていた。それから暫くして意識が肉体から離れつつあることが分かり、本当に“死”がやって来るのも時間の問題だと思っていた。走馬灯らしきものが見えてきて本格的に思念体が肉体から離れて来ていた時にソフィア様が魔力で繋げてくれたおかげで肉体に戻ることができた。
「本当にすごいなぁ、ソフィア様は」
彼女はフェアリーデイだった。住み着いた精霊達が楽しそうに騒いでいたし、僕も“こちらの世界”に来て随分と努力したけど……あの剣さばきと身のこなし方は、同世代の子ども達には中々出来ない。そう言えば精霊達はこうも言っていたな……
【ソフィア、カズマト似テル!】
「ということはソフィア様も……?」
いけない、いけない。他人の詮索はあまりしないように原始神に言われているんだった。それでも、気になってしまうのは彼女の持つ魅力なんだろう。
「まだまだ、運動しないとダメだね!」
カズマは口元を綻ばせて、
「あの子には、敵わないな」
「カズマさん!戻りました!」
ゴブリンライダーを倒した後もいくつかのゴブリンを倒して、戻ってきたソフィアとフォルン。
「お疲れ様。お腹空いてない?」
カズマさんはそう言うと、鞄からリンゴのようなものを取り出して私達に渡したの。
「カズマさん、これは“リンゴ”……ですか?」
「いや、アルルの実って言うんだ」
「そうなんですか?ありがとうございます!」
ソフィアはアルルの実にかじりついた……がこのとき、カズマがソフィアの一言に驚いたことに気づいていなかった。
「ご馳走様でした!」
「……でした」
私が礼をするとフォルンも頭を下げる。
「さあ、戻ろうか」
「はい!」
「ハンネ……いや、ソフィア様」
「えっ、はい……?」
カズマさんは何か言いたげだったけど元の表情になって、
「いや、僕もやっぱり一緒に行こうかな」
「えっ!だっ、ダメですよ!?この依頼を受けたときもその話しただけでダグラスさんがすごい勢いで止めてましたし」
「そうなんだよね……本当に残念」
カズマさんのあの表情が気になって尋ねようかと思ったけど、ちょっと無粋かなと思って聞かなかったの。
「そう……分かったわ、報告ありがとう。ハンネちゃん」
ソフィア達は、依頼の報告がてらゴブリンライダーの出現をリーリエに報告した。
「皆さんお待たせしました!」
そこにマシューが今回の依頼の報酬金を持ってきた。
「こちらが報酬です。ゴブリン10体分が証明されましたので銀貨5枚ですね。それからゴブリンライダーの報告とブラックパンサーを含めた1組の討伐が証明されましたので金貨3枚になります!お疲れ様でした」
「ゴブリン10体で銀貨って結構高いんですね?私、銅貨あたりだと思ってました」
「ゴブリンは他の魔物とは違う所があるんです。何だと思いますか?」
「う~ん?」
ソフィアは考えていると、フォルンが答える。
「学習能力をそれぞれ持っている……こと」
「正解です!」
続いてリーリエさんが話す。
「他の魔物は進化を通してじゃないと知能は上がらないの」
「だからこそ、ゴブリンを早めに討伐しているんだ。それに、報酬金が普通の討伐依頼より高めなのも人気の要因になっているんだよ」
「好循環ですね!」
「そう、“ウィン・ウィンの関係”なんだ」
「はい!」
「「……ウィン・ウィン?」」
リーリエとマシューは2人の世界に入れないでいた。
「出会ったばかりなのに、もう会えないなんて……寂しいな」
シェラさんとベラさんが迎えに来てカズマさんとの別れる時間になったよ。
「まだまだ、お話したかったです」
「僕もだよ……あ、そうだ。これを渡しそびれてたよ」
と、カズマさんから貰ったのは肩掛けのバック。でも、なんかカズマさんの魔力を感じるけど……?
「これは、マジックバックだよ。僕のお手製だけど、他の商品より結構入るから」
「お手製ですか!すごい……ありがとうございます!大事にします!」
「それから、フォルンにはこれ」
カズマさんはフォルンに細身の剣を渡したよ。
「あって損はない護身用だよ。付与魔法も“防汚”、“防水”、“修復”とかを付けてるから粗末に扱っても全然大丈夫」
フォルンは首をブンブン横に振る。そして、しっかり剣を持ちながら頭を下げた。
「あ、ありが……とう……ございます」
「それじゃあ……行きますね」
「うん、明日のお見送りには必ず行くからね」
「はい……!」
そうして、王都で過ごす最後の日を終えたのだった。
◇◆◇◆◇
お久しぶりです!今回も見てくださった方々ありがとうございますぅ!!
登録数も210を超えて、もう驚いて言葉も出ないです……
これからも地道に書いていきますので、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)mm(_ _)m
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