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第3章 水の国アクアリヴィア探訪編
第72話 vs巨大スライム
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「あ、アルトラ様、用事はお済みになられましたか?」
外で待機していたリナさんが声をかけてくれた。
「うん、ドワーフについて話を聞けた。明日行ってみようかと思う」
「今日はもうホテルに帰られますか?」
「そうね、もう遅いし」
「ゲートで帰られますか?」
「う~ん……どうせだから夜の街も見つつ歩きながら帰るよ。こんな街でゆっくり時間を潰せることも、今後中々無いだろうし」
「では、わたくしがご案内致しますね」
「ありがとう、お願いね」
まだ街の道を把握してないから、ホテルまで連れてってくれるのはありがたい。
ホテルまでの帰路の道中、三人の街人の話し声が耳に入って来た。
「子供達が帰って来てない? いつから?」
「今日の昼からだ」
「そういえば午後3時くらいに、地下水路を探険に行くって言ってたから、危ないから止めろとキツく叱ったぞ。まさか勝手に地下へ潜ったんじゃ……」
「昨日、水路が変だって話を聞いたぞ? 水が黒ずんできてるって……」
「まさか……地下水路で何かあったのか!?」
「アルトラ様、申し訳ありませんが騎士団の仕事が入ってしまったようです」
「うん、聞こえてた! 私も手伝うよ!」
「あ、ありがとうございます!」
今聞こえた街人たちのところへ事情を聴きに行く。
「今聞こえてしまったのですが、子供達に何かあったのですか?」
「あ、リナさん、実は子供達が昼間見たきり帰ってきていないのです」
「帰ってこない子は何人ですか?」
「男児三人、女児二人です。いなくなる前に地下水路の探険に行くと聞いたので、手がかりはそれしかないのですが……」
「アルトラ様、そういえば先程水路の方を見て何か思うところがあったように見えましたが……」
「うん、気のせいかと思ったけど、何か黒いものが見えてたのよね。もしかしたらこの件と関係あるのかもしれない」
「その水路へ行ってみましょう」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
異常を感じた水路へ到着した。
「やっぱり気のせいじゃないみたい、昼間見た時より黒いのが濃くなってる」
「私には何も見えませんが……しかし、何か少し……臭いますね……ドブ臭いというよりは……汚物のような……」
「あの……我々はどうすれば?」
「私が先行して様子を見てきます。危険があるかもしれません、あなた方は入らないで、騎士団への連絡をお願いします」
「あの……お連れの方がもう先へ行ってしまいましたが……あの方子供みたいに見えましたが、大丈夫ですか?」
「え!? あ、アルトラ様!! あ、あなた方は入らないように! 騎士団への連絡をお願いしますね!」
「アルトラ様! 困ります! あなたは要人ですので、ここから先はわたくしたち騎士団がやりますから!」
「大丈夫! トラブルには慣れてるから!」
「しかし……」
「こんな見た目だけど結構役に立つかもよ?」
水路の入り口へ立つ。
スキル『エコーロケーション』を発動。
いなくなったのは五人だってわかってるから、この地下水路内にいるなら五人分の人影が感知できるはず。
超音波の反射が帰ってくる。水路の構造もほぼ理解した。
五人分の形は存在しない。が、輪郭がボケてしまって何かよくわからない形のものが五つまとまってある。
近くに何個かあるこれは……頭蓋骨? まさか……食べられた?
いや、子供の頭蓋骨にしては少し大きい気もする……
「リナさん! もしかしてこの付近で最近行方不明になってる人が何人かいる?」
「います! 三人ほどだったと思いますが、数日前から見つかってません」
この頭蓋骨はその方々の可能性が高い。
だとするとこのよくわからない五つの形は……
「まずいかもしれない! 早く向かおう!」
「何かわかったのですか!?」
一刻も早い行動が要求される。走りながら説明する。
「予想でしかないんだけど、五人は多分この奥にいる。で、今まさに食べられてる最中だと思う」
「え!? そんな……じゃあ子供達はもう……」
水路は奥に行くほど濁っていく。臭いもきつくなってきた……
あのよくわからない五つの形は、何か水分の多いものに覆われているからだ。
「相手は多分――」
スライムだ。
「予想通り。随分肥大化してしまってるね、しかもこの臭い……」
水質汚染の原因はコイツか。それにしては……それほど汚くは見えないな、うっすら茶色く濁ってるけど。
きっとどこか別のところで廃棄物とかを食べて成長したんだろう。これだけ大きい街だ、廃棄物が無い方がおかしい。廃棄物って有害ではあるけど、ある種の栄養が豊富って聞いたことあるし。体調を崩す器官を持ち合わせていないスライムなら恰好の餌だろう。
五人はスライムに捕らえられていた。顔だけはまだ辛うじて表面に出いる。首から下は完全に取り込まれている。茶色く濁ってはいるが、身体の形がうっすら透けて見える。
エコーロケーションで何なのかわからなかったのは、予想通り五人がスライムの中に取り込まれているからだった。スライムは水分が多いから超音波が通り抜けてしまって形が捕らえ切れなかったんだろう。
「助けて!!」
「助けてください!」
「え~ん!」
あの様子からすると、衰弱してるとかは無さそうだ。痛みを訴えてないところを見るとまだ皮膚が溶ける段階まで進んでないんだろう。良かった間に合った。
「くっ、この、放しなさい!」
「あ、リナさん」
スライム相手に剣で斬りかかった。案の定捕まってしまった……
「アルトラ様~」
「大丈夫、すぐ助けるから」
リナさんは結構感情で突っ走るタイプかな。
シュッ!
こっちにまで触手を伸ばしてきた! 私も捕まえる気か!
一本目は避けた。
が、どこに目が付いているのかわからないが、それを見たスライムは全身から無数の触手を放出する。
ああ、これは避けられないな。
あっさり捕まってしまった……無数の触手でグルグル巻きだ。
「アルトラ様、大丈夫ですか!?」
「問題無い!」
自分の周りに巻き付いた触手を弱めの雷魔法で蒸発させる。
とは言え、これどうしようか? 水分が多いから雷魔法なら蒸発させられそうだけど……
子供達とリナさんが捕まってるから、それをやったら彼女らも感電死してしまう。
火で焼き払うか? これも結果は同じ、彼女らを焼死させてしまいそうだ。
そうこう考えている間にリナさんまで飲み込まれ始める。
いや、自分から子供達に近付いてる?
取り込まれてるうちの一人を中から押し出そうとしてるんだ!
「うう……うぁあああ!!」
リナさんの掛け声と共に、男の子が一人スライムから押し出され、落ちてきた。
急いで受け止める。
服が溶かされてるけど、まだ身体は大丈夫みたいだ。
「ううぁぁあああ!!」
もう一人女の子が助け出された。
こちらも急いで受け止める。
この子も服は溶けてるけど身体は大丈夫そうだ。
「う……もう……ダメです……アルトラ様……二人を連れて……お逃げください……」
まずい、リナさんの体力がもう限界だ、スライムの中を動くのは体力的にかなりキツイらしい。力尽きたのか徐々に取り込まれていってる。どうにか助け出す方法を考えないと。
顔が沈みかけてるから騎士団を待ってたら、子供達より先にリナさんが死んでしまうかもしれない。
あそこから救い出すには、どうにかスライムに触れられる状態、例えば身体を固くしたりしないといけない。
じゃあ氷魔法で……ダメだ、子供達とリナさんへのダメージが予想できない! 凍死させてしまう可能性もある。
……
…………
………………
そうだ、私この場面で最適なスキルを既に会得している。
こういう時にあのスキルが役に立つ。奪っておいて良かった。
発動しろ『カトブレパスの瞳』!
などと口に出さず、心の中で叫んでみる。人間の頃から魔眼って憧れだったのよね。
危険過ぎて使う場面が無かったから、まさか使う機会が来るとは思わなかったけど。
スライムの表面が石化した。これ、自分で目視したところだけ石化するな。上手く使えば石化範囲を限定できる。結構便利かも。
子供達とリナさんに当たらないように、その周りだけ石化させた。
落下してきた子供達三人とリナさんを水魔法のクッションを出して受け止める。
また触手を伸ばしかねないし、全部石化させておくか。
ふぅ……何とか被害者を出さずに済んだか。
周りに三つある頭蓋骨の持ち主は、残念ながら助けてあげられなかったけど……
ご冥福をお祈りします……
手を合わせて拝んでおいた。
外で待機していたリナさんが声をかけてくれた。
「うん、ドワーフについて話を聞けた。明日行ってみようかと思う」
「今日はもうホテルに帰られますか?」
「そうね、もう遅いし」
「ゲートで帰られますか?」
「う~ん……どうせだから夜の街も見つつ歩きながら帰るよ。こんな街でゆっくり時間を潰せることも、今後中々無いだろうし」
「では、わたくしがご案内致しますね」
「ありがとう、お願いね」
まだ街の道を把握してないから、ホテルまで連れてってくれるのはありがたい。
ホテルまでの帰路の道中、三人の街人の話し声が耳に入って来た。
「子供達が帰って来てない? いつから?」
「今日の昼からだ」
「そういえば午後3時くらいに、地下水路を探険に行くって言ってたから、危ないから止めろとキツく叱ったぞ。まさか勝手に地下へ潜ったんじゃ……」
「昨日、水路が変だって話を聞いたぞ? 水が黒ずんできてるって……」
「まさか……地下水路で何かあったのか!?」
「アルトラ様、申し訳ありませんが騎士団の仕事が入ってしまったようです」
「うん、聞こえてた! 私も手伝うよ!」
「あ、ありがとうございます!」
今聞こえた街人たちのところへ事情を聴きに行く。
「今聞こえてしまったのですが、子供達に何かあったのですか?」
「あ、リナさん、実は子供達が昼間見たきり帰ってきていないのです」
「帰ってこない子は何人ですか?」
「男児三人、女児二人です。いなくなる前に地下水路の探険に行くと聞いたので、手がかりはそれしかないのですが……」
「アルトラ様、そういえば先程水路の方を見て何か思うところがあったように見えましたが……」
「うん、気のせいかと思ったけど、何か黒いものが見えてたのよね。もしかしたらこの件と関係あるのかもしれない」
「その水路へ行ってみましょう」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
異常を感じた水路へ到着した。
「やっぱり気のせいじゃないみたい、昼間見た時より黒いのが濃くなってる」
「私には何も見えませんが……しかし、何か少し……臭いますね……ドブ臭いというよりは……汚物のような……」
「あの……我々はどうすれば?」
「私が先行して様子を見てきます。危険があるかもしれません、あなた方は入らないで、騎士団への連絡をお願いします」
「あの……お連れの方がもう先へ行ってしまいましたが……あの方子供みたいに見えましたが、大丈夫ですか?」
「え!? あ、アルトラ様!! あ、あなた方は入らないように! 騎士団への連絡をお願いしますね!」
「アルトラ様! 困ります! あなたは要人ですので、ここから先はわたくしたち騎士団がやりますから!」
「大丈夫! トラブルには慣れてるから!」
「しかし……」
「こんな見た目だけど結構役に立つかもよ?」
水路の入り口へ立つ。
スキル『エコーロケーション』を発動。
いなくなったのは五人だってわかってるから、この地下水路内にいるなら五人分の人影が感知できるはず。
超音波の反射が帰ってくる。水路の構造もほぼ理解した。
五人分の形は存在しない。が、輪郭がボケてしまって何かよくわからない形のものが五つまとまってある。
近くに何個かあるこれは……頭蓋骨? まさか……食べられた?
いや、子供の頭蓋骨にしては少し大きい気もする……
「リナさん! もしかしてこの付近で最近行方不明になってる人が何人かいる?」
「います! 三人ほどだったと思いますが、数日前から見つかってません」
この頭蓋骨はその方々の可能性が高い。
だとするとこのよくわからない五つの形は……
「まずいかもしれない! 早く向かおう!」
「何かわかったのですか!?」
一刻も早い行動が要求される。走りながら説明する。
「予想でしかないんだけど、五人は多分この奥にいる。で、今まさに食べられてる最中だと思う」
「え!? そんな……じゃあ子供達はもう……」
水路は奥に行くほど濁っていく。臭いもきつくなってきた……
あのよくわからない五つの形は、何か水分の多いものに覆われているからだ。
「相手は多分――」
スライムだ。
「予想通り。随分肥大化してしまってるね、しかもこの臭い……」
水質汚染の原因はコイツか。それにしては……それほど汚くは見えないな、うっすら茶色く濁ってるけど。
きっとどこか別のところで廃棄物とかを食べて成長したんだろう。これだけ大きい街だ、廃棄物が無い方がおかしい。廃棄物って有害ではあるけど、ある種の栄養が豊富って聞いたことあるし。体調を崩す器官を持ち合わせていないスライムなら恰好の餌だろう。
五人はスライムに捕らえられていた。顔だけはまだ辛うじて表面に出いる。首から下は完全に取り込まれている。茶色く濁ってはいるが、身体の形がうっすら透けて見える。
エコーロケーションで何なのかわからなかったのは、予想通り五人がスライムの中に取り込まれているからだった。スライムは水分が多いから超音波が通り抜けてしまって形が捕らえ切れなかったんだろう。
「助けて!!」
「助けてください!」
「え~ん!」
あの様子からすると、衰弱してるとかは無さそうだ。痛みを訴えてないところを見るとまだ皮膚が溶ける段階まで進んでないんだろう。良かった間に合った。
「くっ、この、放しなさい!」
「あ、リナさん」
スライム相手に剣で斬りかかった。案の定捕まってしまった……
「アルトラ様~」
「大丈夫、すぐ助けるから」
リナさんは結構感情で突っ走るタイプかな。
シュッ!
こっちにまで触手を伸ばしてきた! 私も捕まえる気か!
一本目は避けた。
が、どこに目が付いているのかわからないが、それを見たスライムは全身から無数の触手を放出する。
ああ、これは避けられないな。
あっさり捕まってしまった……無数の触手でグルグル巻きだ。
「アルトラ様、大丈夫ですか!?」
「問題無い!」
自分の周りに巻き付いた触手を弱めの雷魔法で蒸発させる。
とは言え、これどうしようか? 水分が多いから雷魔法なら蒸発させられそうだけど……
子供達とリナさんが捕まってるから、それをやったら彼女らも感電死してしまう。
火で焼き払うか? これも結果は同じ、彼女らを焼死させてしまいそうだ。
そうこう考えている間にリナさんまで飲み込まれ始める。
いや、自分から子供達に近付いてる?
取り込まれてるうちの一人を中から押し出そうとしてるんだ!
「うう……うぁあああ!!」
リナさんの掛け声と共に、男の子が一人スライムから押し出され、落ちてきた。
急いで受け止める。
服が溶かされてるけど、まだ身体は大丈夫みたいだ。
「ううぁぁあああ!!」
もう一人女の子が助け出された。
こちらも急いで受け止める。
この子も服は溶けてるけど身体は大丈夫そうだ。
「う……もう……ダメです……アルトラ様……二人を連れて……お逃げください……」
まずい、リナさんの体力がもう限界だ、スライムの中を動くのは体力的にかなりキツイらしい。力尽きたのか徐々に取り込まれていってる。どうにか助け出す方法を考えないと。
顔が沈みかけてるから騎士団を待ってたら、子供達より先にリナさんが死んでしまうかもしれない。
あそこから救い出すには、どうにかスライムに触れられる状態、例えば身体を固くしたりしないといけない。
じゃあ氷魔法で……ダメだ、子供達とリナさんへのダメージが予想できない! 凍死させてしまう可能性もある。
……
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………………
そうだ、私この場面で最適なスキルを既に会得している。
こういう時にあのスキルが役に立つ。奪っておいて良かった。
発動しろ『カトブレパスの瞳』!
などと口に出さず、心の中で叫んでみる。人間の頃から魔眼って憧れだったのよね。
危険過ぎて使う場面が無かったから、まさか使う機会が来るとは思わなかったけど。
スライムの表面が石化した。これ、自分で目視したところだけ石化するな。上手く使えば石化範囲を限定できる。結構便利かも。
子供達とリナさんに当たらないように、その周りだけ石化させた。
落下してきた子供達三人とリナさんを水魔法のクッションを出して受け止める。
また触手を伸ばしかねないし、全部石化させておくか。
ふぅ……何とか被害者を出さずに済んだか。
周りに三つある頭蓋骨の持ち主は、残念ながら助けてあげられなかったけど……
ご冥福をお祈りします……
手を合わせて拝んでおいた。
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