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第3章 水の国アクアリヴィア探訪編
第84話 泊めてもらった部屋を壊してしまった……
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わざわざ食事の用意までしてもらってありがたいな……
今回も三人で食べられるように手配してくれた。
しかし、メイド間でリディアの話題で持ち切りみたいだ。
部屋に入らずに、廊下の影からこちらを見ている。
「あれがクラーケンなの?」
「あの最近たまに海岸を騒がしてたっていう?」
「亜人にしか見えないけど?」
「あんなにちっちゃいのね。子供くらいの大きさしかないよ?」
「あ、こっち見た! カワイイ!」
「アルトラ~、何か騒がしいゾ?」
「みんなあなたに興味津々なのよ」
「見られてたらご飯食べにくイ! 文句言ってくル!」
「キャッ、こっち来た!」
「お前たチ、今からワタシたちはご飯を食べるかラ、邪魔をするナ」
「可愛い! お菓子食べる?」
「貰ウ~!」
早速餌付けされとるし……
「リディアちゃんってイカなの?」
「イカの中でも最強のイカだゾ!」
「クラーケンに戻ることってできる?」
「できるゾ!」
「今見せてもらえる?」
「良いゾ!」
え゛?
部屋の中から聞き耳立てててゾッとした。次の瞬間に口を突いて出ていた。
「ダメだよ!!!」
あぶな……家の中で変身解くなんて……体高、脚を除いても5mくらいあるから、天井突き破ってたかもしれない。
静止してなければ大惨事だ……
「ここで変身解いたら、色々壊しちゃうでしょ! リディアの近くにいるメイドさんたちも無事じゃ済まないかもしれないよ?」
「う……ごめン……」
「メイドさんたちも無闇に変身解こうとしないでね。変身解くと全長が10mくらいあるから、この家壊しちゃうよ。見たければ外へ連れてってやって。それなら大丈夫だと思うから」
「も、申し訳ありません……ナタリーがリディアちゃんがお風呂で寝っ転がってる姿が可愛かったと言っていたもので、是非とも見てみたくて……」
「……ちょっと見てみたかっただけなのに……あんな剣幕で怒るなんて……」
ナタリーさんってのはさっきお風呂に様子を見に来たメイドか。彼女が見たのは、私の魔法で十分の一に縮んだリディアだから、他の人はなぜ私が今咄嗟に制止したのか理解できてないのかもしれない。不満げな表情をしているメイドさんが二人いる。
この手のものは実際の状況を見せた方がむしろ危険さが理解できて良いかもしれないな。
「じゃあリディア、庭に行って変身解いたところを見せてあげて」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
その後、庭に出て変身を解いたリディアを見て、その巨大さにメイドさんたち絶句。
そのまま変身を解いていたら、一階の天井部分を突き破っていたであろうことを理解したのか、全員胸に手を当てて、屋敷内で変身が解かれなかったことを心底安堵していた。
その後、つつがなく食事をいただき、部屋へ戻った。
ちやほやされなくなったリディアがちょっと寂しそうにしていたが……
「リディアー! 明日水族館だから早めに寝ようか」
「そうすル……」
こっちが促さなくても、すでに目がシパシパしている、かなり眠そうだ。
時間を見ると22時。お子様はもう眠くなる時間帯。
早々にベッドに入って眠ってしまった。
私も寝るか。
しかし……その夜事件が起こってしまう。
ドーーーン!!!
「な、なに? 襲撃!?」
気付いたら寝ていたベッドから大分離れたところに放り出されていた。
リディアは大丈夫か!?
薄暗くてよく見えないけど……何か白くて大きいものが部屋を塞いでいる。何かツルツルしてるけど……
「なにこれ!? リディアいる!!?」
すぐさま電気を着けようとするが、暗くてスイッチがどこかわからない。
光魔法で空中に光を浮かべる。
まだ深夜の時間帯みたいだから弱めの光にしておこう。
白くて大きいもの……どこから来たんだこれ?
見回してみると室内に外に通じるような穴は無い。外から来たわけではないのか……?
少し右下を向くと……吸盤の付いた触手?
この白いのってまさか……
「アルトラ様! リディア様! 大丈夫ですか!?」
「今の音は何ですか!?」
「何があったのですか!?」
メイドさんたちが集まって来た。
「アルトラ様、今の大きい音は何ですか?」
リナさんも到着。白いものを見て――
「何ですかこれ?」
「なんカ、騒がしいナ。みんなどうかしたカ?」
大きくて白いものが起き上がりだした。
「リ……ディア?」
「ン?」
「その姿は……?」
「あ……変身解けてタ……ごめン……」
あの白くて大きいものは、リディアの巨体だった。
部屋の大きさがほぼ上半身の分しか足りず、触手が部屋中に散らばって張り巡らされている。
私が床に投げ出されていたのは、変身が解けた時の、身体が巨大化する時の反動で吹き飛ばされたからだった。
こんなことになるとは……
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「ごめんなさい、リナさん! この弁償は必ずするので少し待ってください!」
「いえ、大丈夫ですよ、ベッドと壁が少し壊れただけですから、こちらで修復しておきます。それにリディアもわざとやったわけではないようですし」
「でも、それだと私の気が済まない! じゃあこれを修理代にでも充ててください」
亜空間収納ポケットから、金塊を出した……フリをする。実は出すフリをしながら物質魔法で今即席で作った。
『鉛の錬金術師』って漫画で、黄金を作ると価値が暴落して経済が混乱するからダメって言ってたけど、秘密裏に密造する。この世界のルールに「金を作ってはいけない」というルールは多分無い。
「本物ですか!?」
「う、うん……本物には間違いない。わ、私の住んでいる村で産出されたものなの」
嘘である。私が知る限り、今のところトロル村で金が産出されたことなんて無い。
「これを売れば、水の国のお金にも換金できますよ?」
「そ、そうね……でも、村で産出されるものの中でも貴重なものだから売るわけには……」
「そんな貴重なものをここで弁償代替わりに出すんですか? 矛盾してませんか?」
「う……壊してしまったものを弁償するのにはこれを出すくらしかないと言うか……背に腹は代えられないって言うか……」
すっげぇ疑いの目で見られてる……これがジト目ってやつかぁー……
変な汗が出て思わず目を反らす。
「………………嘘ですよね?」
「ななな、何が?」
「アルトラ様、きっと嘘が下手な部類の人なんでしょうね。狼狽えてるのが手に取るようにわかります」
「う……」
「それで、どの部分が嘘なんですか?」
「え~と……『私の住んでいる村で産出されたもの』ってところだけが嘘……」
「え!? じゃあ、この金塊は本物なんですか!?」
「流石に偽物を弁償代として渡さないよ。それは正真正銘の純金……今私が即席で作ったものなんだけど……調べてもらえば証明されると思う」
「金を作れるんですか!? その技術使えば大金持ちじゃないですか!?」
「でも、金の価値が下がるから、本当はやっちゃダメなことなんだと思う」
まあ、それを言うなら、私はMPさえ十分な状態なら何でも無から作り出せてしまう創成魔法というものがあるから、全部ダメって理屈になっちゃいそうだけど……
「今のところそんな法律無いですし、やったもん勝ちですけど? と言うか魔法でそこまで純度の高い金を作れる術士なんかいませんから、今ならアルトラ様の独壇場ですよ?」
「泥棒や悪いことをして得たものではないけど、魔法で簡単に作って量産するのは、モラル的なところを考えるとダメかなと自分では思っている……」
「じゃあ、これもお返しします」
「でも部屋壊したまんまじゃ……!」
「あなたはお優しいので、私のためを思って作ってくださったのはわかります。しかし自らのモラルに反しているなら、こちらもそれを受け取るわけにはいきません。もし部屋を壊してしまったことで気が咎めるなら、お金が出来た時にでもお返しください」
「………………わかりました」
「はい、じゃあこの話はここで終わりです、普段通りにしましょう!」
リディアの方を見るとシュンとしている。
いつの間にか人の姿になっている。
「リディアの所為……ごめン……」
「大丈夫、今後は同じことが起きないようにするから」
「さて、まだ朝まで時間ありますし、我々はもうひと眠りしましょう。メイドのみなさんもお疲れ様です。もう大丈夫だと思いますので、各々寝るなり、業務に就くなりしてください」
私ももうひと眠りするか。申し訳なさで眠れないかもしれないが……
リディアもまだ眠そうだ。
「リディア、身体小さくするけど良いね?」
「うん……」
リディアを『縮小魔法』で小さくし、創成魔法で小さいベッドと縦70cmほどの長さのある囲いを作って、そこに寝てもらった。
これでイカ状態になっても大丈夫。
私の『縮小魔法』の効果時間は、一日以上あるから寝ている間に元の大きさに戻ることもないと思う。
「ふわぁぁ……」
私も寝られそうだから、もう一度寝るか……
今回も三人で食べられるように手配してくれた。
しかし、メイド間でリディアの話題で持ち切りみたいだ。
部屋に入らずに、廊下の影からこちらを見ている。
「あれがクラーケンなの?」
「あの最近たまに海岸を騒がしてたっていう?」
「亜人にしか見えないけど?」
「あんなにちっちゃいのね。子供くらいの大きさしかないよ?」
「あ、こっち見た! カワイイ!」
「アルトラ~、何か騒がしいゾ?」
「みんなあなたに興味津々なのよ」
「見られてたらご飯食べにくイ! 文句言ってくル!」
「キャッ、こっち来た!」
「お前たチ、今からワタシたちはご飯を食べるかラ、邪魔をするナ」
「可愛い! お菓子食べる?」
「貰ウ~!」
早速餌付けされとるし……
「リディアちゃんってイカなの?」
「イカの中でも最強のイカだゾ!」
「クラーケンに戻ることってできる?」
「できるゾ!」
「今見せてもらえる?」
「良いゾ!」
え゛?
部屋の中から聞き耳立てててゾッとした。次の瞬間に口を突いて出ていた。
「ダメだよ!!!」
あぶな……家の中で変身解くなんて……体高、脚を除いても5mくらいあるから、天井突き破ってたかもしれない。
静止してなければ大惨事だ……
「ここで変身解いたら、色々壊しちゃうでしょ! リディアの近くにいるメイドさんたちも無事じゃ済まないかもしれないよ?」
「う……ごめン……」
「メイドさんたちも無闇に変身解こうとしないでね。変身解くと全長が10mくらいあるから、この家壊しちゃうよ。見たければ外へ連れてってやって。それなら大丈夫だと思うから」
「も、申し訳ありません……ナタリーがリディアちゃんがお風呂で寝っ転がってる姿が可愛かったと言っていたもので、是非とも見てみたくて……」
「……ちょっと見てみたかっただけなのに……あんな剣幕で怒るなんて……」
ナタリーさんってのはさっきお風呂に様子を見に来たメイドか。彼女が見たのは、私の魔法で十分の一に縮んだリディアだから、他の人はなぜ私が今咄嗟に制止したのか理解できてないのかもしれない。不満げな表情をしているメイドさんが二人いる。
この手のものは実際の状況を見せた方がむしろ危険さが理解できて良いかもしれないな。
「じゃあリディア、庭に行って変身解いたところを見せてあげて」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
その後、庭に出て変身を解いたリディアを見て、その巨大さにメイドさんたち絶句。
そのまま変身を解いていたら、一階の天井部分を突き破っていたであろうことを理解したのか、全員胸に手を当てて、屋敷内で変身が解かれなかったことを心底安堵していた。
その後、つつがなく食事をいただき、部屋へ戻った。
ちやほやされなくなったリディアがちょっと寂しそうにしていたが……
「リディアー! 明日水族館だから早めに寝ようか」
「そうすル……」
こっちが促さなくても、すでに目がシパシパしている、かなり眠そうだ。
時間を見ると22時。お子様はもう眠くなる時間帯。
早々にベッドに入って眠ってしまった。
私も寝るか。
しかし……その夜事件が起こってしまう。
ドーーーン!!!
「な、なに? 襲撃!?」
気付いたら寝ていたベッドから大分離れたところに放り出されていた。
リディアは大丈夫か!?
薄暗くてよく見えないけど……何か白くて大きいものが部屋を塞いでいる。何かツルツルしてるけど……
「なにこれ!? リディアいる!!?」
すぐさま電気を着けようとするが、暗くてスイッチがどこかわからない。
光魔法で空中に光を浮かべる。
まだ深夜の時間帯みたいだから弱めの光にしておこう。
白くて大きいもの……どこから来たんだこれ?
見回してみると室内に外に通じるような穴は無い。外から来たわけではないのか……?
少し右下を向くと……吸盤の付いた触手?
この白いのってまさか……
「アルトラ様! リディア様! 大丈夫ですか!?」
「今の音は何ですか!?」
「何があったのですか!?」
メイドさんたちが集まって来た。
「アルトラ様、今の大きい音は何ですか?」
リナさんも到着。白いものを見て――
「何ですかこれ?」
「なんカ、騒がしいナ。みんなどうかしたカ?」
大きくて白いものが起き上がりだした。
「リ……ディア?」
「ン?」
「その姿は……?」
「あ……変身解けてタ……ごめン……」
あの白くて大きいものは、リディアの巨体だった。
部屋の大きさがほぼ上半身の分しか足りず、触手が部屋中に散らばって張り巡らされている。
私が床に投げ出されていたのは、変身が解けた時の、身体が巨大化する時の反動で吹き飛ばされたからだった。
こんなことになるとは……
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「ごめんなさい、リナさん! この弁償は必ずするので少し待ってください!」
「いえ、大丈夫ですよ、ベッドと壁が少し壊れただけですから、こちらで修復しておきます。それにリディアもわざとやったわけではないようですし」
「でも、それだと私の気が済まない! じゃあこれを修理代にでも充ててください」
亜空間収納ポケットから、金塊を出した……フリをする。実は出すフリをしながら物質魔法で今即席で作った。
『鉛の錬金術師』って漫画で、黄金を作ると価値が暴落して経済が混乱するからダメって言ってたけど、秘密裏に密造する。この世界のルールに「金を作ってはいけない」というルールは多分無い。
「本物ですか!?」
「う、うん……本物には間違いない。わ、私の住んでいる村で産出されたものなの」
嘘である。私が知る限り、今のところトロル村で金が産出されたことなんて無い。
「これを売れば、水の国のお金にも換金できますよ?」
「そ、そうね……でも、村で産出されるものの中でも貴重なものだから売るわけには……」
「そんな貴重なものをここで弁償代替わりに出すんですか? 矛盾してませんか?」
「う……壊してしまったものを弁償するのにはこれを出すくらしかないと言うか……背に腹は代えられないって言うか……」
すっげぇ疑いの目で見られてる……これがジト目ってやつかぁー……
変な汗が出て思わず目を反らす。
「………………嘘ですよね?」
「ななな、何が?」
「アルトラ様、きっと嘘が下手な部類の人なんでしょうね。狼狽えてるのが手に取るようにわかります」
「う……」
「それで、どの部分が嘘なんですか?」
「え~と……『私の住んでいる村で産出されたもの』ってところだけが嘘……」
「え!? じゃあ、この金塊は本物なんですか!?」
「流石に偽物を弁償代として渡さないよ。それは正真正銘の純金……今私が即席で作ったものなんだけど……調べてもらえば証明されると思う」
「金を作れるんですか!? その技術使えば大金持ちじゃないですか!?」
「でも、金の価値が下がるから、本当はやっちゃダメなことなんだと思う」
まあ、それを言うなら、私はMPさえ十分な状態なら何でも無から作り出せてしまう創成魔法というものがあるから、全部ダメって理屈になっちゃいそうだけど……
「今のところそんな法律無いですし、やったもん勝ちですけど? と言うか魔法でそこまで純度の高い金を作れる術士なんかいませんから、今ならアルトラ様の独壇場ですよ?」
「泥棒や悪いことをして得たものではないけど、魔法で簡単に作って量産するのは、モラル的なところを考えるとダメかなと自分では思っている……」
「じゃあ、これもお返しします」
「でも部屋壊したまんまじゃ……!」
「あなたはお優しいので、私のためを思って作ってくださったのはわかります。しかし自らのモラルに反しているなら、こちらもそれを受け取るわけにはいきません。もし部屋を壊してしまったことで気が咎めるなら、お金が出来た時にでもお返しください」
「………………わかりました」
「はい、じゃあこの話はここで終わりです、普段通りにしましょう!」
リディアの方を見るとシュンとしている。
いつの間にか人の姿になっている。
「リディアの所為……ごめン……」
「大丈夫、今後は同じことが起きないようにするから」
「さて、まだ朝まで時間ありますし、我々はもうひと眠りしましょう。メイドのみなさんもお疲れ様です。もう大丈夫だと思いますので、各々寝るなり、業務に就くなりしてください」
私ももうひと眠りするか。申し訳なさで眠れないかもしれないが……
リディアもまだ眠そうだ。
「リディア、身体小さくするけど良いね?」
「うん……」
リディアを『縮小魔法』で小さくし、創成魔法で小さいベッドと縦70cmほどの長さのある囲いを作って、そこに寝てもらった。
これでイカ状態になっても大丈夫。
私の『縮小魔法』の効果時間は、一日以上あるから寝ている間に元の大きさに戻ることもないと思う。
「ふわぁぁ……」
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