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第4章 アルトラの受難編
第95話 文字を読めない集団の中にひとすじの光
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「リザいる?」
「はい? どうしましたか?」
ここはまだ予定地だからいないことが多いんだけど、今日は掃除しに来ていたみたいだ。
「やっと鍛冶場製造のアテが出来たよ!」
「本当ですか!」
「鍛冶場を作ってくれるってドワーフを連れて来た。川の建設作業が終わったら対応してもらえる。それから少しの間鍛冶について教えてもらえることになった」
「やっと私の鉄魔法も村の役に立てるんですね!」
「そう、遂に我が集落にも金属製の道具が出来るよ!」
その時奥から男性が歩いて来た。
「こんにちは、アルトラ様」
「あの、その人は?」
「あ、えと……」
何だ? 見た目イケメンのリザが珍しくもじもじしている。
「その……旦那のリランドです」
「あなた結婚してるの!?」
「はい……つい最近ですけど。同じ物質魔法の鉄属性持ちってことで仲良くなりました」
ホントについ最近なんだな……
「それで二人で鍛冶師をやってくってこと?」
「そうなると思います」
ちょっと朗報かも。リザに鍛冶でもやってみないかって言った後、女性だけでは不安だと思ってたから。旦那もいるならある程度安心かも。前世も今生も絶賛独り身の私としては少し羨ましいが……
と言うか旦那でかい。自由参加だから文句言えないけど、川の掘削の方に参加してくれればきっと戦力になっただろう。
「とりあえず今日はドワーフが来てくれたって報告だけになってしまうけど、近いうちに作ってもらえると思うから。じゃあこれを」
「これが噂の“おみやげ”というものですか?」
「もう知ってるの?」
「貰った人から徐々に広がってますよ」
「人数が多いから村中には配れないのが残念だけど」
「ありがとうございます! いただきます!」
「ところで……あなたたち、文字は読める?」
「「読めません」」
ホントに誰も読める人おらんな、この村。
まあ、今より超極貧の時にどこかに文字が書いてあるのを一回も見たことが無いから、きっと読める人は皆無だろうな……
「近々勉強会を催すので、体調が悪いなど不都合が無ければ参加してください」
次は建築部だ。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「おう、アルトラ様、おかえり!」
「アルトラ様、おかえりなさい」
「おかえり」
「ただいま」
今挨拶してくれたのは、村の建築を担当している『トーリョ』とその従業員。まだ給料という制度できていないから『取り巻き』とも言えるかもしれない。
川作りに行っている『ダイクー』、『カペンタ』の替わりに現在の村の再建を一手に担っている。
「あなたたちにも役に立ちそうなものを買って来た」
金槌、釘、ノコギリ、鉋、ハシゴ、脚立などなど建築に使えそうなもの。
「こりゃあ、ありがたい!」
「ちょうどこんな感じの道具が欲しかったんですよ!」
「ところで、あなたたち文字は読 (以下略)」
「「「読 (以下略)」」」
これで、今ある主要機関は全部回ったかな。
しかし、識字に関しては、主要機関は全滅か……これは識字を徹底するのは骨が折れそうだ。
「あ、アルトラ様、おかえりなさい」
「あ、クリスティン、ただいま」
久しぶりに偶然出くわした。
「あなたって普段どこにいるの?」
「避難所で雑務をやってますよ。いろんなところへ駆り出されます、主に環境美化を中心に行ってますね。そこの花とか活けたの私なんですよ」
なるほど、避難所行っても会わないはずだ。
「突然だけど、あなた文字は読める?」
「読めますよ、少しだけなら」
そうだよね……ここまで誰も読めなかったもの、クリスティンだって……
「え? 何だって?」
「読めますよ、文字。ほんの少しですけど」
「ホントに!?」
少しだろうが何だろうが、初めて読める人がいた!!
「何で!? どうして!?」
「私、人に教えるような仕事をしたいと思ってまして、最近村に来たフレハルさんたちとお話してみたところ、アリサさんが文字を書けると言うので、ここ数日夜の間勉強させてもらってます。まだ一週間くらいなので読める域とは言えませんけど……書き取りもしてました」
そう言いながら文字を掘った木の板を何枚も見せてくれた。
魔界で使われている文字は二種類。
46文字と濁音半濁音で使われる第一魔界文字と、26文字で使われる第二魔界文字。
ちょうど、ひらがなとアルファベットのようなもの。それに数字の0~9がある。
第一魔界文字をメインとして使い、第二魔界文字は補助的な用途で使われてるのをアクアリヴィアではよく見た。
使い方も日本のものと大して変わらないので、文法を除けば覚えてしまえば使うのはそれほど難しくはない。
クリスティンには今後子供達に教える役を担ってもらうことになりそうだ。
「じゃあ、そのままもっともっと精進してください。これ、役に立つと思うから勉強に使って!」
紙とペンを沢山渡した。
「えっ! 良いんですか!? これって噂の紙っていうものですよね? まだこの村では貴重なのでは?」
「あなたは将来有望だと判断したので、それを使って沢山勉強してください! この村全体の知力増強にはあなたが鍵になると言っても過言ではありません」
「そ、それは言い過ぎですよ……」
苦笑いしてるな……いきなり言われたらそりゃそういう表情になるか。
これはリーダーにも聞いておかないといけないな。
「リーヴァント!」
「おや? 珍しいですね、私のところに二回来るなんて」
「ちょっと聞いておくことができた。あなた文字って読める?」
「少しなら読めますよ。クリスティンに『リーダーなら覚えておかないといけない』って言われたので、彼女と一緒にアリサさんに師事して学んでおりました」
やっぱり彼女は人に教える職業に就きたいって言うだけあって、人をちゃんと見ている。
「それなら話が早い! 今後徐々に文字を覚えてもらおうと思うから、各機関に伝えておいて。それと勉強会の日にちも組んでおいてもらえる?」
「わかりました」
後日、各機関トップを対象とした勉強会を開き、簡単な文字と計算を覚えてもらった。
文字は魔界文字とひらがな、アルファベット。計算は和差積商と、あと小数点以下の計算を覚えてもらった。
とりあえず、これだけでも覚えておけば、今後それほど困ることもない。
欲を言えば漢字まで覚えてもらえると、お知らせ出すのも楽なのだけど……
そういう思惑から、後日希望するものには簡単な漢字も教えることとなった。
そんなこんなで、この村の標準文字は漢字とひらがなとした。
だって漢字混ざってた方が私が読みやすいからね! 魔界文字は全部ひらがなで書いてるようなもんだから、かなり冗長になってしまうし。
この勉強会後、少し経った後から、村に急激にひらがな文字が増えるようになる。
トップの人たちに教えたものが、下の者にまで伝わって行った結果だろう。
また、ここ以降、避難所に掲示板が設えられ、『避難所』は正式に『役所』という名称に変わった。
「はい? どうしましたか?」
ここはまだ予定地だからいないことが多いんだけど、今日は掃除しに来ていたみたいだ。
「やっと鍛冶場製造のアテが出来たよ!」
「本当ですか!」
「鍛冶場を作ってくれるってドワーフを連れて来た。川の建設作業が終わったら対応してもらえる。それから少しの間鍛冶について教えてもらえることになった」
「やっと私の鉄魔法も村の役に立てるんですね!」
「そう、遂に我が集落にも金属製の道具が出来るよ!」
その時奥から男性が歩いて来た。
「こんにちは、アルトラ様」
「あの、その人は?」
「あ、えと……」
何だ? 見た目イケメンのリザが珍しくもじもじしている。
「その……旦那のリランドです」
「あなた結婚してるの!?」
「はい……つい最近ですけど。同じ物質魔法の鉄属性持ちってことで仲良くなりました」
ホントについ最近なんだな……
「それで二人で鍛冶師をやってくってこと?」
「そうなると思います」
ちょっと朗報かも。リザに鍛冶でもやってみないかって言った後、女性だけでは不安だと思ってたから。旦那もいるならある程度安心かも。前世も今生も絶賛独り身の私としては少し羨ましいが……
と言うか旦那でかい。自由参加だから文句言えないけど、川の掘削の方に参加してくれればきっと戦力になっただろう。
「とりあえず今日はドワーフが来てくれたって報告だけになってしまうけど、近いうちに作ってもらえると思うから。じゃあこれを」
「これが噂の“おみやげ”というものですか?」
「もう知ってるの?」
「貰った人から徐々に広がってますよ」
「人数が多いから村中には配れないのが残念だけど」
「ありがとうございます! いただきます!」
「ところで……あなたたち、文字は読める?」
「「読めません」」
ホントに誰も読める人おらんな、この村。
まあ、今より超極貧の時にどこかに文字が書いてあるのを一回も見たことが無いから、きっと読める人は皆無だろうな……
「近々勉強会を催すので、体調が悪いなど不都合が無ければ参加してください」
次は建築部だ。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「おう、アルトラ様、おかえり!」
「アルトラ様、おかえりなさい」
「おかえり」
「ただいま」
今挨拶してくれたのは、村の建築を担当している『トーリョ』とその従業員。まだ給料という制度できていないから『取り巻き』とも言えるかもしれない。
川作りに行っている『ダイクー』、『カペンタ』の替わりに現在の村の再建を一手に担っている。
「あなたたちにも役に立ちそうなものを買って来た」
金槌、釘、ノコギリ、鉋、ハシゴ、脚立などなど建築に使えそうなもの。
「こりゃあ、ありがたい!」
「ちょうどこんな感じの道具が欲しかったんですよ!」
「ところで、あなたたち文字は読 (以下略)」
「「「読 (以下略)」」」
これで、今ある主要機関は全部回ったかな。
しかし、識字に関しては、主要機関は全滅か……これは識字を徹底するのは骨が折れそうだ。
「あ、アルトラ様、おかえりなさい」
「あ、クリスティン、ただいま」
久しぶりに偶然出くわした。
「あなたって普段どこにいるの?」
「避難所で雑務をやってますよ。いろんなところへ駆り出されます、主に環境美化を中心に行ってますね。そこの花とか活けたの私なんですよ」
なるほど、避難所行っても会わないはずだ。
「突然だけど、あなた文字は読める?」
「読めますよ、少しだけなら」
そうだよね……ここまで誰も読めなかったもの、クリスティンだって……
「え? 何だって?」
「読めますよ、文字。ほんの少しですけど」
「ホントに!?」
少しだろうが何だろうが、初めて読める人がいた!!
「何で!? どうして!?」
「私、人に教えるような仕事をしたいと思ってまして、最近村に来たフレハルさんたちとお話してみたところ、アリサさんが文字を書けると言うので、ここ数日夜の間勉強させてもらってます。まだ一週間くらいなので読める域とは言えませんけど……書き取りもしてました」
そう言いながら文字を掘った木の板を何枚も見せてくれた。
魔界で使われている文字は二種類。
46文字と濁音半濁音で使われる第一魔界文字と、26文字で使われる第二魔界文字。
ちょうど、ひらがなとアルファベットのようなもの。それに数字の0~9がある。
第一魔界文字をメインとして使い、第二魔界文字は補助的な用途で使われてるのをアクアリヴィアではよく見た。
使い方も日本のものと大して変わらないので、文法を除けば覚えてしまえば使うのはそれほど難しくはない。
クリスティンには今後子供達に教える役を担ってもらうことになりそうだ。
「じゃあ、そのままもっともっと精進してください。これ、役に立つと思うから勉強に使って!」
紙とペンを沢山渡した。
「えっ! 良いんですか!? これって噂の紙っていうものですよね? まだこの村では貴重なのでは?」
「あなたは将来有望だと判断したので、それを使って沢山勉強してください! この村全体の知力増強にはあなたが鍵になると言っても過言ではありません」
「そ、それは言い過ぎですよ……」
苦笑いしてるな……いきなり言われたらそりゃそういう表情になるか。
これはリーダーにも聞いておかないといけないな。
「リーヴァント!」
「おや? 珍しいですね、私のところに二回来るなんて」
「ちょっと聞いておくことができた。あなた文字って読める?」
「少しなら読めますよ。クリスティンに『リーダーなら覚えておかないといけない』って言われたので、彼女と一緒にアリサさんに師事して学んでおりました」
やっぱり彼女は人に教える職業に就きたいって言うだけあって、人をちゃんと見ている。
「それなら話が早い! 今後徐々に文字を覚えてもらおうと思うから、各機関に伝えておいて。それと勉強会の日にちも組んでおいてもらえる?」
「わかりました」
後日、各機関トップを対象とした勉強会を開き、簡単な文字と計算を覚えてもらった。
文字は魔界文字とひらがな、アルファベット。計算は和差積商と、あと小数点以下の計算を覚えてもらった。
とりあえず、これだけでも覚えておけば、今後それほど困ることもない。
欲を言えば漢字まで覚えてもらえると、お知らせ出すのも楽なのだけど……
そういう思惑から、後日希望するものには簡単な漢字も教えることとなった。
そんなこんなで、この村の標準文字は漢字とひらがなとした。
だって漢字混ざってた方が私が読みやすいからね! 魔界文字は全部ひらがなで書いてるようなもんだから、かなり冗長になってしまうし。
この勉強会後、少し経った後から、村に急激にひらがな文字が増えるようになる。
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