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第4章 アルトラの受難編
第108話 暗殺の実行
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その数日後――
今日も川の工事現場に資材を卸す。
たまには川沿いをパトロールしておくか。
最近の現場になっているこの辺りは渓谷のようになってて、落石とかあってもおかしくない。
と、そんなことを考えていると――
ガララッ
ドオォォォン!!
という音と共に、突然目の前が真っ暗になった。
気付かぬうちに巨石の下敷きになってしまったらしい。
痛みは無い。上の方に硬いものがある……これは、多分落ちてきた巨石ね。私は今仰向けの状態で地面に埋まるっぽいな。
『いしのなかにいる』ってところか。いや、『いしのしたにいる』か。
左右にあった渓谷めいたところから落下してきたのかな?
他の作業員がいなくて幸いだった。予めパトロールしてたのは正解だったかも。まあ巨石を避けられなかったところは大不正解だけど……
最初は『ただ石が落下してきただけ』、そう思っていたが……
巨石を壊して脱出しようとしたところ、上から声が聞こえてきた。
「はっはっは! やったぞ! ざまあみろアルトラァ! 亜人の力の何百倍、何千倍もの重さの石だ!! いくら貴様の身体が頑丈でも、これほどでかい石に潰されれば生きてはいまい!」
この声、リッチか?
私の上に乗ってるこの巨石、自然に落ちてきたのかと思ったけど、意図的に落とされたものだったのか……水魔法かなんかで無理矢理落とした感じか。
完全に私を殺しに来たのね……
この間のカエルの仕返しってやつかしら。懲りたように見えてたけど、そうではなかったか……残念……
村人に矛先が向かなかっただけまだマシか……
「このこのこの!! この私をコケにしやがって!!」
私が下敷きにされている巨石の上に乗って足で何度も踏んづけてるのか、ガシガシ音がする。
「ふぅ……スッとした!! さて、あの女が血まみれのミンチになってるか確かめておくかな」
それを聞いた後、土魔法で巨石を壊して、下敷きから脱出する。
「あ~、ビックリした」
「ア、アル……トラ……様……」
「はぁ……私この程度じゃ死なないのよ。しかし一度ならず二度も私を殺そうとするとはね」
「うぅ……」
「あなた元々騎士団という人を守る立場よね? 何でそれとは真逆のことをしようとしたの?」
「き、貴様が! 貴様が私をカエルなんかに変えて辱めたからだ!!」
「それはあなたがあまりにも他人のことを思いやれないから、罰を与えたに過ぎません。カエルに変えると何度も言ってましたよね? これほど巨大な石を落としたら普通の生物がどうなるかくらいわかっていますよね? 亜人として越えてはいけない一線があることすらわからないほど愚かなの?」
「うるさいうるさい!! 私は称えられなければならないんだ! それなのに、貴様が来た所為で!」
これは聞く耳持たんな……もう暗殺を実行した時点で人としてダメだが……こんな巨石の下敷きになったら普通の亜人だったら潰れて骨すら拾えなかったかもしれない。
「再度こんなことをやられて黙っているわけにはいきません。最後通牒です。今後ここに残るなら、住民と仲良くするように努めなさい。幸いここには今私しかいません。今後ここで住民と仲良く生活するというなら今暗殺を実行したことを内密にします。そうでないならアクアリヴィアに送り返し、しかるべき処罰を与えてもらいます」
「…………ふっ、ふふふ、やはり貴様は甘いな。普通の亜人なら二度も死んでいるはずの攻撃を受けていて、それでもまだ許そうとするとは……しかしな、おしおきと称して、亜人をカエルに変えるような女がいるような村にはいられない。私はここを出て行く!」
「……そう……それは残念だわ」
「私をこんな環境に堕とした貴様を絶対許さない! いつか必ず後悔させてやる!」
「………………」
その言葉を残して、村を出ていずこかへ行ってしまった……
「リッチは……村を出たんですか?」
「トーマス、居たのね……」
「すみません、偶然後ろを歩いていたようで……突然大きな音がしたので駆けつけてみたら既にあの状態でしたので、途中から隠れて話を聞いていました。あの音の大きさですので、作業員ももうすぐ駆けつけると思います。彼はもうあの性格なので仕方ないんです。あれはもう周りではどうしようもありませんから、彼自身の考えが変わらないのでは仕方がない。いくら身元引き受け人になっていたとしても、アルトラ様が責任を感じることはありません」
「うん……ありがとう……」
仕方ない……か……
一応ルーファスさんに、リッチが村を出て行ったことを報告しておいた方が良いか。
ゲートでアクアリヴィアの宮殿へ移動後、ルーファスさんのいる兵舎へ。
「――ということがあって、リッチは村から出てどこかへ行ってしまいました」
「……そうですか……それは我が部下が迷惑をかけてしまったようで、申し訳ありません」
深々と頭を下げられた。
「いえ、こちらこそ身元を引き受けると言っておいて、こんなことになり申し訳ありません。」
「彼は家柄が強い影響力を持っている分、騎士団内でも扱い辛い者として有名でした。私自身は家柄が良いわけではなく、武芸と真面目さで騎士団に抜擢されたため、騎士団長という立場ではあったものの、彼は命令を渋ることが多かったように思います。身元を引き受けるとおっしゃられた時も、最悪こういう結果になるであろうことも想定していましたが、やはりそうなってしまいましたね……」
私も彼の性格をなんとか少しでも良い方に傾けられれば良いなとは思っていたけど、ここまで分からず屋の亜人っているものなのね……
最後に吐き捨てて言った言葉は気になるけど、もう会うことは無いでしょう。
「先に言ったように、こうなることはある程度想定していたので、お気になさらずに。ただ……そうなるともしこちらに戻って来た時には死罪は免れないかもしれませんね。一応アルトラ様が身元を引き受けてくれるという条件の下での比較的軽い処分でしたので」
「それはもうそちらにお任せします。ご迷惑おかけしてしまうと思いますが、もし後始末になってしまった場合はよろしくお願いいたします。トーマスについては引き続きこちらにて身柄を預かります」
リッチが村を出たことで、多少の影響があった。
ある者は喜び、ある者はせっかく村の仲間になったのにと寂しく思う。
とは言え、あの協調性の無い性格から、厄介者と思っていた村民も多いらしく、喜ぶ者が多かった。
私は、と言うと――
やはり自分が引き入れた責任からか、少々気落ちしている。
もっと良い解決法があれば良かったが……
今日も川の工事現場に資材を卸す。
たまには川沿いをパトロールしておくか。
最近の現場になっているこの辺りは渓谷のようになってて、落石とかあってもおかしくない。
と、そんなことを考えていると――
ガララッ
ドオォォォン!!
という音と共に、突然目の前が真っ暗になった。
気付かぬうちに巨石の下敷きになってしまったらしい。
痛みは無い。上の方に硬いものがある……これは、多分落ちてきた巨石ね。私は今仰向けの状態で地面に埋まるっぽいな。
『いしのなかにいる』ってところか。いや、『いしのしたにいる』か。
左右にあった渓谷めいたところから落下してきたのかな?
他の作業員がいなくて幸いだった。予めパトロールしてたのは正解だったかも。まあ巨石を避けられなかったところは大不正解だけど……
最初は『ただ石が落下してきただけ』、そう思っていたが……
巨石を壊して脱出しようとしたところ、上から声が聞こえてきた。
「はっはっは! やったぞ! ざまあみろアルトラァ! 亜人の力の何百倍、何千倍もの重さの石だ!! いくら貴様の身体が頑丈でも、これほどでかい石に潰されれば生きてはいまい!」
この声、リッチか?
私の上に乗ってるこの巨石、自然に落ちてきたのかと思ったけど、意図的に落とされたものだったのか……水魔法かなんかで無理矢理落とした感じか。
完全に私を殺しに来たのね……
この間のカエルの仕返しってやつかしら。懲りたように見えてたけど、そうではなかったか……残念……
村人に矛先が向かなかっただけまだマシか……
「このこのこの!! この私をコケにしやがって!!」
私が下敷きにされている巨石の上に乗って足で何度も踏んづけてるのか、ガシガシ音がする。
「ふぅ……スッとした!! さて、あの女が血まみれのミンチになってるか確かめておくかな」
それを聞いた後、土魔法で巨石を壊して、下敷きから脱出する。
「あ~、ビックリした」
「ア、アル……トラ……様……」
「はぁ……私この程度じゃ死なないのよ。しかし一度ならず二度も私を殺そうとするとはね」
「うぅ……」
「あなた元々騎士団という人を守る立場よね? 何でそれとは真逆のことをしようとしたの?」
「き、貴様が! 貴様が私をカエルなんかに変えて辱めたからだ!!」
「それはあなたがあまりにも他人のことを思いやれないから、罰を与えたに過ぎません。カエルに変えると何度も言ってましたよね? これほど巨大な石を落としたら普通の生物がどうなるかくらいわかっていますよね? 亜人として越えてはいけない一線があることすらわからないほど愚かなの?」
「うるさいうるさい!! 私は称えられなければならないんだ! それなのに、貴様が来た所為で!」
これは聞く耳持たんな……もう暗殺を実行した時点で人としてダメだが……こんな巨石の下敷きになったら普通の亜人だったら潰れて骨すら拾えなかったかもしれない。
「再度こんなことをやられて黙っているわけにはいきません。最後通牒です。今後ここに残るなら、住民と仲良くするように努めなさい。幸いここには今私しかいません。今後ここで住民と仲良く生活するというなら今暗殺を実行したことを内密にします。そうでないならアクアリヴィアに送り返し、しかるべき処罰を与えてもらいます」
「…………ふっ、ふふふ、やはり貴様は甘いな。普通の亜人なら二度も死んでいるはずの攻撃を受けていて、それでもまだ許そうとするとは……しかしな、おしおきと称して、亜人をカエルに変えるような女がいるような村にはいられない。私はここを出て行く!」
「……そう……それは残念だわ」
「私をこんな環境に堕とした貴様を絶対許さない! いつか必ず後悔させてやる!」
「………………」
その言葉を残して、村を出ていずこかへ行ってしまった……
「リッチは……村を出たんですか?」
「トーマス、居たのね……」
「すみません、偶然後ろを歩いていたようで……突然大きな音がしたので駆けつけてみたら既にあの状態でしたので、途中から隠れて話を聞いていました。あの音の大きさですので、作業員ももうすぐ駆けつけると思います。彼はもうあの性格なので仕方ないんです。あれはもう周りではどうしようもありませんから、彼自身の考えが変わらないのでは仕方がない。いくら身元引き受け人になっていたとしても、アルトラ様が責任を感じることはありません」
「うん……ありがとう……」
仕方ない……か……
一応ルーファスさんに、リッチが村を出て行ったことを報告しておいた方が良いか。
ゲートでアクアリヴィアの宮殿へ移動後、ルーファスさんのいる兵舎へ。
「――ということがあって、リッチは村から出てどこかへ行ってしまいました」
「……そうですか……それは我が部下が迷惑をかけてしまったようで、申し訳ありません」
深々と頭を下げられた。
「いえ、こちらこそ身元を引き受けると言っておいて、こんなことになり申し訳ありません。」
「彼は家柄が強い影響力を持っている分、騎士団内でも扱い辛い者として有名でした。私自身は家柄が良いわけではなく、武芸と真面目さで騎士団に抜擢されたため、騎士団長という立場ではあったものの、彼は命令を渋ることが多かったように思います。身元を引き受けるとおっしゃられた時も、最悪こういう結果になるであろうことも想定していましたが、やはりそうなってしまいましたね……」
私も彼の性格をなんとか少しでも良い方に傾けられれば良いなとは思っていたけど、ここまで分からず屋の亜人っているものなのね……
最後に吐き捨てて言った言葉は気になるけど、もう会うことは無いでしょう。
「先に言ったように、こうなることはある程度想定していたので、お気になさらずに。ただ……そうなるともしこちらに戻って来た時には死罪は免れないかもしれませんね。一応アルトラ様が身元を引き受けてくれるという条件の下での比較的軽い処分でしたので」
「それはもうそちらにお任せします。ご迷惑おかけしてしまうと思いますが、もし後始末になってしまった場合はよろしくお願いいたします。トーマスについては引き続きこちらにて身柄を預かります」
リッチが村を出たことで、多少の影響があった。
ある者は喜び、ある者はせっかく村の仲間になったのにと寂しく思う。
とは言え、あの協調性の無い性格から、厄介者と思っていた村民も多いらしく、喜ぶ者が多かった。
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やはり自分が引き入れた責任からか、少々気落ちしている。
もっと良い解決法があれば良かったが……
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