建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~

ヒロノF

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第7章 川完成編

第170話 村の新しい名前について

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 村へ戻り、スライムが増えてきた時の対処方法として、食べることを推奨してみた。

「食べられるんですか?」
「うん、調理方法によっては美味しくなると思う」

 甘かったり、酸っぱかったり。
 ああ、まだ酢はこの村に無いから酸っぱいは出来ないかもしれないけど、近い将来には可能になるかもしれない。

 以前捕まえて実験に使ったスライムが何匹かに分裂しているから、これをリーヴァントと四人の副リーダー、ヘパイトスさん同伴の元、浄水処理場、下水処理場、ため池各所、あと潤いの木の周囲の水路へ一匹ずつ放した。もちろんアクアリヴィア地下水路と同じく作り変えをおこなってから。

「これで水を綺麗にしてくれるのですか?」
「うん、すでに実験済みだから確かなことよ。一応試しておく?」

 スライムを大きめの水槽に入れ、泥水を流し込む。
 早い段階で水が透明味を帯びてきた。

「おぉ、これほど早く!?」
「水ってこんな速度で綺麗になるんですね」
「スライムの浄水能力って凄いんですね」

「じゃあ、リーヴァントと副リーダーの四人に、この施設の管理者の希望者募ってその中から選定をお願い。村の重要施設だし、報酬は多めで」
「わかりました」
「あと、潤いの木の管理者のトーマスとイクジューロにも報酬多めで」
「はい」





 その後、村へ戻るとリーヴァントからこんな提案があった。

「川も無事完成しましたし、村もそれなりに大きくなってきたので、この村に名前を付けるのはいかがでしょうか?」
「トロル村で良いんじゃないの?」
「それは、アルトラ様の言葉から我々が勝手に呼んでいた名前ですから」
「そういえば、前々から聞きたかったことだけど、あなたたちってホントは何て種族なの?」
「さあ? トロルではないのですか?」
「それは私があなたたちの見た目からそう名付けただけだから」
「じゃあトロルで問題無いのではないでしょうか? 他に知りませんから」

 最初にリーヴァントに遭遇した時、ゴブリンにしては大きい、かと言ってオークのように豚の顔ってわけじゃない。オーガのようにツノも無い。『そうだ! 多分トロルだ!』ってことでトロルって呼んじゃったけど……
 ゴブリンにしては大きいと思った理由も、私の身長が前世と同じ百六十センチあると思ってたからなのよね……だから初遭遇時、リーヴァントは二メートルを超えてると思ってた……
 実際のところは、多分もっと小さい……私の身長が推測で百四十センチ程度なんじゃないかと思われるから、リーヴァントも多分百八十センチくらいしかないと思う……
 後々考えると、人間やゴブリンの少し大きいのと大して変わらない体型だったわ。

 それを知ってたら、『ゴブリン』って名付けたかもしれない。
 でも、私が読んだことある本では、トロルには大きな特徴があった。それは……
 『再生能力が異常に高い』ということ。
 リーヴァントの右肩がちぎれるほどの瀕死の重傷から生還したって話を聞いてると、『トロル』という名前でもあながち間違いではなかったかもしれない。

「ところで、新しい村の名前って私が考えるの? 私ネーミングセンスそれほど良いわけじゃないけど……」

 先日メイフィーに「カッコ悪い」って言われたしね……

「では、みなに提案してもらうのはどうでしょう?」
「いいね、それ! そうだ! 投票してもらってその中から良いのを選ぼう!」

 というわけで、役所前と村内の四か所の、計五か所に投票箱とその近くに紙を用意し、名前を考えてもらうことにした。
 投票用紙は、新しく付けたい村の名前を書く欄と、備考欄を設け、投票を受け付けてる旨を回覧板にて村中に周知。
 役所の受付にも投票の呼びかけを張り出した。
 期間は一週間。





 三日後。
 ヘパイトスさんへの川工事の施工料の支払いに行った。
 三日前にアクアリヴィアへ行って、およそ二千万エレノルあるうちから、千六百万ウォル分を換金する手続きをしてきた。
 流石に額が大きいということで、三日待たされた。
 あとおよそ四百万エレノルしかないから、慎重に使わないとな。

「格安で引き受けてくださり、ありがとうございました。本当に各五百万ウォルとヤポーニャさんに百万ウォルで良いんですか? しかもヘパイトスさんは受け取らないなんて」
「まあ、川の工事に使った資材は全部あんたが用意したものだし、孫を助けてもらった恩があるからな。それに工期も随分短かったしな。ああ、そうそう工期が短すぎて不安かもしれないが、ワシらが関わったからには欠陥はあり得ないから安心しろ」

 期間があまりにも短すぎて少々不安に感じていたから、ドワーフがそう言うなら安心だ。

「これほどの長い距離をたった三ヶ月でやれるとは思ってもいなかったよ。むしろ格安で請け負うって言っておきながら、三ヶ月で千六百万はこちらが貰い過ぎてる感じがするよ」
「いえ!! 全然全然!! 安すぎると思います!」

 いくら資材は私が用意したって言ったって……この長距離を千六百万なら安いどころの話じゃないと思う。この距離を工事してもらうと考えると、普通に考えるなら個人では到底払えるような金額ではないはずだ。

「一応参考に聞いておきたいんですけど、もし資材まで用意してもらったらどれくらいかかってたんですか?」
「そりゃ、数百億から数千億だろうな。ちゃんと計算もしてないからわからんが、百億を下ることは絶対にあり得ない。しかもアクアリヴィアからここまでの運搬費用もかかるから天文学的な数字だったかもな」

 ヒェ~~、魔力量多く転生されてて良かった!
 七十キロもの長距離の工事だものね。
 『格安』なんて言葉には収まらない! もうタダみたいな価格で請け負わせてしまったみたいだ……

「それじゃあ俺はもう少ししたらトリトナに帰るよ」
「“俺は”って他の方々は帰らないんですか?」
「孫弟子たち三人はこの村であちこち手を出してるから、それが落ち着いたら帰るそうだ」

 ああ、工房に鍛冶場に製紙業にってやつか。

「ヤポーニャさんは?」
「さあ? 適当に生活して、適当に帰るって言ってた。しばらくはこの村で田舎生活を楽しみたいそうだ」
「娘さんが村に残るって、心配は無いんですか?」
「まあアイツは静かそうに見えて、腕っぷしは強いからな。孫弟子も置いて行くし問題無いだろ。それに残るのがこの村だから、それほど心配しておらんよ。帰るって言った時にはゲートで送って来てくれ」

 え? じゃあ突然帰るとか言いだすことがあるってことなのかな……?
 でも、しばらくはドワーフさんがこの村に滞在してくれるってことか!

「じゃあ、あと四日でこの村の名前が正式に決まるらしいし、それを見届けてから帰るとするかな」
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