建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~

ヒロノF

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第12章 臨時会談編

第295話 臨時会談の結果報告と病気知らずのトロル族

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【修正のお知らせ】
 大使館建設について、少々勉強不足だったのもあり、建築部の行動に少し変更を加えました。
 具体的には各国大使館を建設するのが、修正前はアルトレリアの作業員だったのに対し、修正後は派遣元の国の作業員ということになっています。
 ちょこっと調べたところ、大使館の建設はその派遣先の国が費用・作業員ともに用意するのが普通のようです。
 ですので、ダイクーたちは建設には関わらず、整地だけをするという行動に変更しました。
 変更した話数は第233話から第234話、第238話、第293話の4エピソードです。第293話は後半辺りの文章に加筆しました。

 ご迷惑おかけして申し訳ありません。


   ◆◇◆


 臨時会談を終えたその日の午後――

 役所会議室にて結果報告。

 リーヴァント、副リーダー四人 (イチトス、ルーク、クリスティン、キャンフィールド)、レッドトロル代表・ジュゼルマリオ、建築部門のダイクー、カペンタ、農林部門のメイフィー、ジュライヤ、ドワーフのアドバイザー・フィンツさん、レッドドラゴン・アリサ、商業的なアドバイザーのリナさんとヤポーニャさん、あと町の門を守ってるマークと潤いの木管理のかたわら武術指南してもらってるトーマスに集まってもらった。

「自分が集められたのはどういうわけですか?」
「私もあまり会議には呼ばれたことはないと思いますが……」

 と、マークとトーマス。

「今後自衛が必要になることがあるかもしれないと考えて、自警団の団長やってるマークと武術指南のトーマスにも来てもらった」
「そんなに物騒な結果だったんですか!?」
「ううん、上々の結果だったよ。まあ話の流れで説明するから」

   ◇

「では、まず結果からお話しします。今回会談をもって、この地は国として他国との交流が開始されます! 今後は他国からの行商人や移住者などが訪れるかもしれません」

「「「おおぉ~~!!」」」

「ただ……その過程でもしかしたら治安悪化も懸念されるから、それらの治安維持をマークたち自警団にお願いしたいと思います。それと自警団を国の機関に格上げして、警察に改称します」
「なるほど、そういうことで自分がここに呼ばれたんですね!」
「トーマスは従来通り剣術・武術の指南をお願い」
「そのことなんですが、指南役になるとなると、今後は潤いの木管理を別の者にやってもらって、私は武術指南に専念した方が良いのではないかと思いますが……」

 確かに今までは言ってみれば平和そのものだったから片手間でも良かったわけで、この地が開かれたからには自衛力強化のために異動してもらった方が良いかもしれない。

「そうだね、じゃあ潤いの木管理は別の者に変わってもらって、トーマスには武術指南に専念してもらおうと思う。もう一人の管理者のイクジューロも大分慣れてきてるだろうから、新人を入れても大丈夫でしょう」
「あと、学校や医療についても話して来たので、近々学校や病院が出来るかもしれません」

 ……
 …………
 ………………

 出た、理解できない事柄を話すとシーンとするこの空気……
 もう大分慣れたわ。

「あの……学校とか病院って何ですか?」

 だよね~、今まで一度も話題に出したことなかったものね……

「クリスティンは分かってるかな?」

 彼女はそこそこ勉強しているし、外国で学びたいと前々から言ってた。外部から来たリナさんやヤポーニャさんに話を聞いていたりするかもしれない。

「聞いたことくらいしかないですが、学校は何かを学ぶところ、病院は病気の人が治療に行くところ……ですよね?」
「そもそも病気って何なんだ?」

 病気を知らないってことは、このトロルひとたち、ホントに病気に罹らないのかしら?

「病気ってのは、あそこが痛い、ここが痛いって感じることだけど」
「怪我とか傷とは違うんですか?」
「それは病気とは言わないかな。基本的には身体の中の表面上は見えないところが痛くなるのが病気かな。頭痛くなったりお腹痛くなったりとかない?」

「「「う~ん……」」」

 マジか……!! このトロルひとたち頭痛や腹痛すら無いのか?

「ぶつけて怪我したら痛いですけど」
「それは病気じゃないって」
「じゃあ無いです」
「い、一度も!?」
「記憶には無いですね。怪我しても軽いものは一日以内に治りますしね」

 マジか……なんて羨ましい身体。
 アスタロトが医者の派遣を提案してくれたけど、今更ながら必要無かったんじゃないかとさえ思うわ……

「じゃあ、まだこの地が熱かった時、お年を召した方が衰弱して死んでいくよね。それは身体のどこかが悪いんじゃないかとか思わなかったの?」
「う~ん……死ぬ人も数日前まではピンピンしてるのがほとんどなので、身体が悪いとかそういうことも思わなかったですよ――」

 つまり彼ら・彼女らは灼熱の土地だった頃はある程度の年齢に達すると、急に死んでたってことか。

「――むしろそれくらいの年になったら、そろそろお迎えかなとかそんな感じに思ってただけで。もちろん悲しいですけど、それが自然の摂理である限り仕方ないかなと。もしかしたらそれより早い年齢、例えば三十代くらいの若さで急に衰弱して死ぬようなことがあったなら『何かおかしい!』って思ってたかもしれませんけど……同じように十歳未満の子供も『まだ体力が無いから死に易い』くらいの常識でしかなかったです」

 なるほど、長年の積み重ねで、十歳未満と五十代以降が突然死ぬから、“そういう常識”でしかなかったわけか。

「私たちの常識からすると、最長老さん (五十七歳)が今までは死んでいたような年になってもいまだにピンピンしてることの方が不思議に映るくらいで……」
「まあ、とにかく、あなたたちは一度も健康診断したことが無いからお医者さんが来て診てくれるかもしれないってこと」

「「「はぁ……」」」

 病気分からん人たちが、医者来るって言ってわかるわけないよなぁ……
 この調子だと、健康診断終わった後も「アレ、何のための検査だったんだ?」とか言ってそうだ。
 検査しても「健康としか言えせん」と言われる未来しか思い浮かばない。

「学校については? 学校についても教えてくださいよ」
「学校は色んなことを学ぶところね」

 随分フワッとした言い方だが、彼らにはこう言うしかない。

「それって前にやった勉強会みたいなものですか?」 (第95話参照)
「そうだね。ただ勉強会は大人がやるのに対し、学校は子供が通うところだから意味合いはちょっと違ってくるかな」
「子供に勉強させるところってことですか?」
「そう、基本は読み書きと計算って感じだけど、それにプラスして社会情勢や、世界情勢、自国や世界の歴史を学んだり、理科・化学、あと運動とか音楽、図画工作、家庭一般の知識を教えるとかそんなことをやるところ」

「「「???」」」

 人魚さん達リナさんとかトーマスとかドワーフさん達フィンツさんとかヤポーニャさんとかアクアリヴィア組は理解しているけど、トロル組とアリサは何のことか分からず、聞きかじっているクリスティン含めて全員がハテナ顔。
 今まで読み書きと和差積商の計算の基本くらいしか教えてないから無理もない。もっとも……建築組は計算についてはもっとずっと高度なことを教わっているみたいだけど。
 しかし、その概念が無いところに理解させるのって簡単じゃないわね……学校の概念も医療の概念も初めて輸入されたようなもんだから……

「まあとにかく、子供達の学力向上はこのアルトレリアの未来を考える上で必要だと思うから学校施設を建てたいと思っているわけよ」

「「「はぁ……」」」

 まあこういう概念的なものは、実際見てみないと理解できないことも多い。
 季節の概念も冬が来るまで理解してくれなかったし。
 実際に学校や病院が出来てみれば、それが何のための施設なのか分かってくることでしょう、多分……

「ところでダイクー、外側の壁と大使館と大使公邸の予定地の整地の進捗しんちょく状況はどんな感じかしら? そろそろ五大国から建築作業員が来るって話だけど」
「整地……ああ、整地な……」

 何だか歯切れが悪いな。

「どうかした?」
「整地自体はもう粗方終わってる……が」
「なに?」
「前回の会談の結果報告の臨時会議の時に第二壁ってやつを作るって言ってたと思うが、それはいつ作るんだ? 畑とかとは違って作物がなってたり、食べ物が置いてあるわけじゃないから整地した場所を荒らされたりするのは稀だが、作業中に周りを野生生物がウロついていて気が散る。特に昼食時に増えるから気になってなかなか箸が進まん。やるなら早くやってくれ!」

 しまった! 第二壁作るの忘れてた!

「だだだだ第二壁ね、うんうん、作る! すぐ作るよ!」

 前回会談が終わった後、アルトレリアから離れたところに壁を作る予定だったことをすっかり忘れていた!
 と、とりあえず私が簡易壁を作って、それを建築部門に正式な強固な壁に補強してもらおう。
 は、早めに第二壁作って野生生物を追い出さなきゃ!

 整地についてはしっかりやってくれてたらしい。
 大使館が建てられる場所は、現在の主要地域からは多少離れてしまうが、土地が無い以上仕方ないだろう。
 今回賛同いただけなかった二大国の土地も、一応予定地として定めてある。今後ここが使われるような良い関係に発展できれば良いが……

 あと、第二壁を作った後は、その内部に河川の延長をし浄水施設を造らないとね。
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