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第13章 樹の国ユグドマンモン探検偏
第303話 パッと行って疑似太陽作って、パッと帰って来ようと思ったら……
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「トライアさん、それではすぐに行きましょうか。樹の国の空間魔術師はどちらですか?」
私以外の全員が苦笑いで顔を見合わせる。
「どうかしましたか?」
「ああ、今回は悪いんだけど空間魔術師は無しで」
「どういうこと!?」
「樹の国の魔王は老齢で病院運んだり、他の移動で使ったりと、いろいろ必要なもんだから……」
あ~、そういえば七大国会談の時も、トライアさんが樹の国の魔王代理として出席してたんだっけ。
(詳しくは第9章 七大国会談編を参照)
「元々空間魔術師は少ないから、王様のお世話に取られてしまっているのよ」
「我が国に空間魔術師は見習いを含めて二人しかいないので……すみません……」
「じゃあ歩いて行かないといけないってこと? レヴィのとこの魔術師は!?」
「ああ……ここ最近は樹の国に行ったことないから。え~と、どうだろう? 二人のどっちかは行ったことある?」
レヴィが連れている空間魔術師・サリーさんとルイスさんの二人に聞く。
ここでレヴィの連れてる空間魔術師の説明を少々。
ルイスさんは以前七大国会談の折りに私を迎えに来てくれたレヴィのお付きの空間魔術師の一人。 (第223話参照)
もう一人は彼の上司で同じく空間魔術師のサリーさん。ルイスさんの従姉で同じく人魚族。
後々聞いた話では、ルイスさんは昔から面倒を見てもらっており、三つ年上で頭が上がらない存在らしい。滅多に出現しない空間魔法使いが一族内でほぼ同時期に輩出されたということで、力が発現した当時は大いに盛り上がったとか。
「まだ行ったことがありません、あそこは少々……面倒ですから……」
「僕も首都まではちょっと……大森林手前まででしたら、行ったことがあります。あの辺りに迎賓館が設けられている第二首都のユグドフロントという街がありますので、最近の樹の国との外交は主にそこで行われていますしね」
聞いてるだけでもう面倒臭そうな単語が……
この“大森林”ってのが、以前カイベルから聞いた『ユグドの大森林』のことか……
「前代の女王付きだった空間魔術師でしたら行ったことがあると思いますが……」
「ホント!? じゃあその亜人にお願いできないかな?」
正直森歩きは勘弁願いたい。それも大森林なんて名前が付くとなると大変なことが目に見えている……
前代の空間魔術師さんが行ってくれてて良かったわ~。
「…………いません……」
「え?」
「数年前に亡くなられました……」
ああ……希望は潰えた……
「あなたたち、引き継ぎとかしないんですか? 空間転移座標の引ぎ継ぎなんて外交を行う上で重要事なんじゃ……?」
「残念ながら樹の国の首都は引き継ぎ前に、前代の空間魔術師が病気により身体を壊して、動けなくなってしまいましたので……」
くっ! 結局森の中を歩かないといけないのね……
と言うか、一番面倒そうな場所の引き継ぎしてないってどういうことなのよ!
レヴィの方に向き直って質問を投げかける。
「つまりここに樹の国の首都に行ける空間魔術師はいないと?」
「そうなるね……」
「じゃあ、レヴィはどこで樹の国の王様と顔を合わせてるの?」
「最近は七大国会談でしか顔を合わせたことないね。先日は王様も出席しなかったし、ここ最近は特別話し合わないといけないような事柄や事件も無かったしね。今回のお願いもこのドリアードたちからの又聞きなもんで」
テヘヘという感じに苦笑いしているけど、また面倒な案件を持って来たな……
「トライアさん、それじゃあ物資の調達とかどうしてるんですか? 全部大森林内で自給自足ですか?」
「樹人という私たちの下位精霊に外から運んでもらいます~」
「樹人?」
「木の姿で動く下位精霊の一種ですよ~。意思をあまり持たない下位精霊の割には頭が良くて力持ちなので彼らに何日もかけて首都へ届けてもらってます~」
あ! 樹人ってエレアースモの博物館の精霊展に居た歩く木みたいなやつか!
そういえば閉館後には、博物館員のお手伝いをしているって聞いた気がする! (第275話参照)
「それって誰かに盗まれたりとか強奪されたりとか、そういうことは起こらないんですか?」
「たまにはありますよ~。でも樹人は命令したことを忠実に実行してくれるので、例えば『物資を運んで』って命令した樹人を『運搬役を守って』って命令した樹人に守らせるとかですかね~。そうすれば余程強い強盗でなければ滅多に盗まれることはないですね~」
下位精霊って命令のしかた次第では臨機応変に動いてくれるのね。
「じゃ、じゃあ空からはどうなんですか? 空から首都へ行くことは出来ないんですか?」
「…………行けないことはないとは思いますが……真っ暗な上に樹が生い茂っているので、上空から見てもどこが首都なのか判断付かないのではないかと。首都を上から見たことがないので飛ぶことのできないわたくしたちには分かりかねることですが……」
現在の樹の国は太陽の光すら無い真っ暗な森である。大森林は広いため上空からではどこに人々の暮らす集落があるのか判断すら付かないのではないかというトリニアさんの予想。
空から行くにしても見てみないと行けるかどうかの判断すら付けられないってわけね……
ましてや私はこの場所に一度も行ったことが無いし、更にレッドトロル村を探した時のように平地ってわけではないから、探し当てるのは一苦労どころではないかも……
「あ、ベルゼ、ちょうど良いから、ついでに私の国の空間魔術師を連れてって、位置情報を得て来てもらえる?」
「「えっ!?」」
レヴィのお付きの空間魔術師二人が同時に驚きの声を上げた。
「わ、我々も行くんですか!?」
「どっちかだけで良いんだけど、外交するにも首都に行けないのは困り物でしょ? 今までは大森林手前の町で外交してたけど、ベルゼが樹の国の魔王に会いに行くならちょうど良い機会だから」
「それはそうですが……今まで十数年間行かなかったのですから、別にこのままで良いのでは……? もしくはあちらの空間魔術師の手が空いた時にでもこちらを訪問していただけば……」
ルイスさん……行くのを物凄く嫌がってるのが分かるわ……そりゃ何がいるかわからない森の中歩きたくないものね。
しかし、その発言を聞いたレヴィの表情が途端に険しくなった。
「…………ルイス……それは今代の樹の国の魔王が死ぬのを待てってこと……?」
「ハッ!」
ルイスさんは『しまった!』という表情で、慌ててトライアさんたちの方を見た。
「し、失礼しました! 失言です! お許しください! 決して死ぬのを待ってるとかそういうことでは……!」
トライアさんたちに平謝り。
「い、いえ! そこまで必死に謝らなくても大丈夫です。そんな意図が無いことくらいはわかりますので……」
大ごとにはならなくて良かった……
「そういうわけで、どっちか行って来て。よろしくね」
話の流れを見るに、今、なぜか私も大森林に同行しなければならないことが決定したらしい……空から行けるなら、そのつもりだったのに……
「じゃあ、ルイスくん、よろしく頼むよ」
「え!? 僕が行くんですか!?」
「どっちか一人で良い」と聞いて、これ幸いにと体よく面倒事をルイスさんに押し付けようとするサリーさん。
「そりゃあどっちかはレヴィアタン様に付いてなきゃいけないんだから、階級的にも年齢的にも私が行くわけにはいかないでしょ? 森歩くって言うと虫だっているでしょ? 私だって女の子だから虫刺されとかしたくないし~。それに今の失言を挽回するチャンスよ!」
失言は樹の国に向けたものだったから、レヴィへの挽回は関係ないと思うけど……
「まさかあの大森林に行くことになるなんて……従姉ちゃんはいつもいつも僕に厄介事押し付けて……」
と、ルイスさんは大分落胆気味。
大森林を歩くとなると、少しでも情報を得ていた方が良い。色々聞いておくことにしよう。
私以外の全員が苦笑いで顔を見合わせる。
「どうかしましたか?」
「ああ、今回は悪いんだけど空間魔術師は無しで」
「どういうこと!?」
「樹の国の魔王は老齢で病院運んだり、他の移動で使ったりと、いろいろ必要なもんだから……」
あ~、そういえば七大国会談の時も、トライアさんが樹の国の魔王代理として出席してたんだっけ。
(詳しくは第9章 七大国会談編を参照)
「元々空間魔術師は少ないから、王様のお世話に取られてしまっているのよ」
「我が国に空間魔術師は見習いを含めて二人しかいないので……すみません……」
「じゃあ歩いて行かないといけないってこと? レヴィのとこの魔術師は!?」
「ああ……ここ最近は樹の国に行ったことないから。え~と、どうだろう? 二人のどっちかは行ったことある?」
レヴィが連れている空間魔術師・サリーさんとルイスさんの二人に聞く。
ここでレヴィの連れてる空間魔術師の説明を少々。
ルイスさんは以前七大国会談の折りに私を迎えに来てくれたレヴィのお付きの空間魔術師の一人。 (第223話参照)
もう一人は彼の上司で同じく空間魔術師のサリーさん。ルイスさんの従姉で同じく人魚族。
後々聞いた話では、ルイスさんは昔から面倒を見てもらっており、三つ年上で頭が上がらない存在らしい。滅多に出現しない空間魔法使いが一族内でほぼ同時期に輩出されたということで、力が発現した当時は大いに盛り上がったとか。
「まだ行ったことがありません、あそこは少々……面倒ですから……」
「僕も首都まではちょっと……大森林手前まででしたら、行ったことがあります。あの辺りに迎賓館が設けられている第二首都のユグドフロントという街がありますので、最近の樹の国との外交は主にそこで行われていますしね」
聞いてるだけでもう面倒臭そうな単語が……
この“大森林”ってのが、以前カイベルから聞いた『ユグドの大森林』のことか……
「前代の女王付きだった空間魔術師でしたら行ったことがあると思いますが……」
「ホント!? じゃあその亜人にお願いできないかな?」
正直森歩きは勘弁願いたい。それも大森林なんて名前が付くとなると大変なことが目に見えている……
前代の空間魔術師さんが行ってくれてて良かったわ~。
「…………いません……」
「え?」
「数年前に亡くなられました……」
ああ……希望は潰えた……
「あなたたち、引き継ぎとかしないんですか? 空間転移座標の引ぎ継ぎなんて外交を行う上で重要事なんじゃ……?」
「残念ながら樹の国の首都は引き継ぎ前に、前代の空間魔術師が病気により身体を壊して、動けなくなってしまいましたので……」
くっ! 結局森の中を歩かないといけないのね……
と言うか、一番面倒そうな場所の引き継ぎしてないってどういうことなのよ!
レヴィの方に向き直って質問を投げかける。
「つまりここに樹の国の首都に行ける空間魔術師はいないと?」
「そうなるね……」
「じゃあ、レヴィはどこで樹の国の王様と顔を合わせてるの?」
「最近は七大国会談でしか顔を合わせたことないね。先日は王様も出席しなかったし、ここ最近は特別話し合わないといけないような事柄や事件も無かったしね。今回のお願いもこのドリアードたちからの又聞きなもんで」
テヘヘという感じに苦笑いしているけど、また面倒な案件を持って来たな……
「トライアさん、それじゃあ物資の調達とかどうしてるんですか? 全部大森林内で自給自足ですか?」
「樹人という私たちの下位精霊に外から運んでもらいます~」
「樹人?」
「木の姿で動く下位精霊の一種ですよ~。意思をあまり持たない下位精霊の割には頭が良くて力持ちなので彼らに何日もかけて首都へ届けてもらってます~」
あ! 樹人ってエレアースモの博物館の精霊展に居た歩く木みたいなやつか!
そういえば閉館後には、博物館員のお手伝いをしているって聞いた気がする! (第275話参照)
「それって誰かに盗まれたりとか強奪されたりとか、そういうことは起こらないんですか?」
「たまにはありますよ~。でも樹人は命令したことを忠実に実行してくれるので、例えば『物資を運んで』って命令した樹人を『運搬役を守って』って命令した樹人に守らせるとかですかね~。そうすれば余程強い強盗でなければ滅多に盗まれることはないですね~」
下位精霊って命令のしかた次第では臨機応変に動いてくれるのね。
「じゃ、じゃあ空からはどうなんですか? 空から首都へ行くことは出来ないんですか?」
「…………行けないことはないとは思いますが……真っ暗な上に樹が生い茂っているので、上空から見てもどこが首都なのか判断付かないのではないかと。首都を上から見たことがないので飛ぶことのできないわたくしたちには分かりかねることですが……」
現在の樹の国は太陽の光すら無い真っ暗な森である。大森林は広いため上空からではどこに人々の暮らす集落があるのか判断すら付かないのではないかというトリニアさんの予想。
空から行くにしても見てみないと行けるかどうかの判断すら付けられないってわけね……
ましてや私はこの場所に一度も行ったことが無いし、更にレッドトロル村を探した時のように平地ってわけではないから、探し当てるのは一苦労どころではないかも……
「あ、ベルゼ、ちょうど良いから、ついでに私の国の空間魔術師を連れてって、位置情報を得て来てもらえる?」
「「えっ!?」」
レヴィのお付きの空間魔術師二人が同時に驚きの声を上げた。
「わ、我々も行くんですか!?」
「どっちかだけで良いんだけど、外交するにも首都に行けないのは困り物でしょ? 今までは大森林手前の町で外交してたけど、ベルゼが樹の国の魔王に会いに行くならちょうど良い機会だから」
「それはそうですが……今まで十数年間行かなかったのですから、別にこのままで良いのでは……? もしくはあちらの空間魔術師の手が空いた時にでもこちらを訪問していただけば……」
ルイスさん……行くのを物凄く嫌がってるのが分かるわ……そりゃ何がいるかわからない森の中歩きたくないものね。
しかし、その発言を聞いたレヴィの表情が途端に険しくなった。
「…………ルイス……それは今代の樹の国の魔王が死ぬのを待てってこと……?」
「ハッ!」
ルイスさんは『しまった!』という表情で、慌ててトライアさんたちの方を見た。
「し、失礼しました! 失言です! お許しください! 決して死ぬのを待ってるとかそういうことでは……!」
トライアさんたちに平謝り。
「い、いえ! そこまで必死に謝らなくても大丈夫です。そんな意図が無いことくらいはわかりますので……」
大ごとにはならなくて良かった……
「そういうわけで、どっちか行って来て。よろしくね」
話の流れを見るに、今、なぜか私も大森林に同行しなければならないことが決定したらしい……空から行けるなら、そのつもりだったのに……
「じゃあ、ルイスくん、よろしく頼むよ」
「え!? 僕が行くんですか!?」
「どっちか一人で良い」と聞いて、これ幸いにと体よく面倒事をルイスさんに押し付けようとするサリーさん。
「そりゃあどっちかはレヴィアタン様に付いてなきゃいけないんだから、階級的にも年齢的にも私が行くわけにはいかないでしょ? 森歩くって言うと虫だっているでしょ? 私だって女の子だから虫刺されとかしたくないし~。それに今の失言を挽回するチャンスよ!」
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