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第13章 樹の国ユグドマンモン探検偏
第357話 樹の国首都・ユグドグランに到着!
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「やっと着いた~~!!」
第二首都を出発して十二日目。
遂に樹の国の首都・ユグドグランに着いた!
ユグドグランは、獣やモンスター、森賊を侵入させないように街全体を壁で囲んであるらしいが、付近の木々の繁殖力が凄いのか、外壁はツタで生い茂っている。
ここに来る途中でトリニアさんから聞いた話によると、木の幹が移動してくるようなことがある場合、そのまま放置しておくと木が外壁を登ったり、壊してしまうことがあるため、完全に移動する前に木を伐採、根を掘り起こして、外壁が壊されるのを未然に防ぐらしい。
それらは主に守護志士の下部組織が担っており、その方々が外壁の東西南北の配置されて、不審者の侵入から街を守っている。
「街へ入る前に入国手続きとボディチェックがあります」
外壁の門内で入国手続きをするらしい。守衛やボディチェックも守護志士の下部組織の方が担当してるとか。
樹の国への入国手続きは、ユグドフロントでトリニアさんがやってくれているのだが、第一首都と第二首都で大分距離があるということで、二回目のチェックをされる。
門下に入ると二人の女性の守護志士から検査を受けた。一人は頭に花が咲いてるから多分木の精霊の一種、もう一人は耳が尖ってて端正な顔立ちをしているから、恐らくエルフだろう。二人居る門衛は身体の大きい筋骨隆々な獣人。兜被ってて顔は分からないが縞々の黄色の尻尾とふさふさの尻尾があるから多分獣人だろう。
「大森林を歩いて来た割りには……随分と軽装ですね」
「黒い服に裸足? リュックサックすら持っていないって……正気を疑う格好です……普通、ここに来るまでに死にますよ!?」
場所が場所だけに物凄く疑われた!
雷の国と比べると、ここまでの道程が険しいから、疑われるのもおかしくないとしか言えないな……
すぐにトリニアさんが間を取り持ってくれた。
「トリニア様、お帰りになられたのですね」
「その方が今回お呼びした外国の要人です」
「この方が!? それは失礼致しました!! しかしお言葉ですが、こんな格好で森林を歩いて来たとなると怪しさしかないのですが……」
「その格好も彼女だからこその格好なのです。この方は剣で斬っても傷一つつかないので、このような格好でも大丈夫なのです」
「剣で傷もつかない……ですか……だからユグドフロントから歩いて来ても傷一つ無いと?」
エルフらしい方に『何言ってるんだろう』という顔でこちらをチラリと見られた……
まあ良いけどね! もう慣れた!
「確かに物凄く硬い生物はいます。我が国でもソリッドノームの方は身体が硬いことで有名です。その他にもダイヤトータスに代表される硬質亀の種類、またドラゴン種の多くは刃物で傷を付け辛い生態をしています。しかしそれらはそれ相応の肌の質感や鱗を所持しているわけです。失礼ながらその方はどう見ても人間か亡者、または我々エルフに近い肌質。とても剣で斬って傷すらつかないとは思えません」
「怪しいところは無いとわたしくが保証します!」
「私から見れば怪しさ満点ですが……国でお呼びした要人ともなると通さないわけにはいきませんね……どうぞお通りください」
「あの! じゃ、じゃあ証拠を見せてもらえますか! 剣で斬られて傷すら付かないなんて、是非見てみたいです! 見せていただけませんか!?」
木の精霊と思われる方は食いついたらしい。
そういうわけで、通算四回目の斬撃パフォーマンス!
「「おぉ~~!!」」
これには疑っていたエルフの守護志士も驚きを隠せない。
「まさか金属音がするとは……!」
「剣が効かないのも本当でしたね!」
「では、その強靭な肉体をしているため、食料や身を守る装備を持たずに歩いて来たということですか?」
亜空間収納ポケットの中を披露するのはちょっと面倒だな……入ってるものが多過ぎるし。
ここは――
「連れの者が持っていたり、森林内部で獣を狩ったり、果実やキノコを収穫したりして食料にしました。身を守る装備についてはほぼ仰る通りです」
自分で作れることは黙っておこう。
「そうでしたか。それはお疲れ様でした」
「では、最後にボディチェックをさせていただきます」
あちこち触れられる。
「腕柔らかい……脚柔らかい……お腹も柔らかいです。改めて考えても、何でこの肌で金属音がするのか……」
斬撃パフォーマンスを披露しても、まだまだ信じられないといった様子。
多分真面目な性格だから、理屈に合わないことに納得できないタイプなんだろう。
「しかし、特に武器のような危ない物の携帯も無いようですね」
「はい、通って大丈夫ですよ。良き滞在を」
木の精霊と思われる女守護志士が、優しそうで穏やかな笑顔で、エルフの方は真面目な顔で通してくれた。
他の者も武器を持ってはいたが、サバイバルの範囲内として全員が問題無く外壁を通過。
外壁内部のユグドグランの様子はというと。
森の中にあるということで、高いビルなどはほとんど無い。
石畳で舗装された道、光を咲かせる花が植えられていることに加え、電気も使われていて、第二首都よりは明るい。
建物の多くは石造りと木のハイブリットと言ったところ。外側は石で武骨でも、中は木で温かみがある構造をしている。
路上にはエルフヴィレッジでは見なかった石で出来たゴーレムがいる。その他にもところどころに石のゴーレムが作業に従事しており、建築や道路の舗装を手伝っている。地球では重機が必要なほどの力仕事をゴーレムが担っているらしい。
「ん? あ、よく見たらストーンゴーレムじゃないじゃん」
脚の途中までは石で出来ているが、そこから下は土で出来ている。土と石のハイブリットってところか。全部ストーンだと重すぎて石畳を踏み割ってしまうから、足元を土にしてクッション性を高めているのではないかと予想。
また、同じように樹人もところどころに居て、道のゴミを拾ったり、清掃したり、街路樹を整理したり、人々の交通を助けたりと、細々とした公共事業をしているらしい。街に配属されている樹人ということで、大森林に居た樹人よりもより人型に近い容姿をしている。目が真っ黒いことを除けば肌の色が多少茶色いくらいでほぼ人間と変わらない姿。街にいるためか服も着せられている。
街路樹も目立つけど、この街に植えてある街路樹は大森林にある木とは違って幹が移動することがないのかしらね? 植えてある場所から根っこが移動すると石畳とかも壊しそうで大分厄介なことになるような気がするけど……
「くぁーーー! ここまで長かったッスね!」
ナナトスが大きく伸びをしながらここまでの感想を述べる。
「……初めて国を出て、目的地に着くまで一週間以上かかるなんて思わなかったな……デスキラービー騒動で一週間足止め喰らったからか……」
「あの足止めが無かったら五日ほどで着いてたということですね……」
ロクトス、ルイスさんは少々げんなりしている。
ただでさえ、森を歩くだけで大変だったのに、更に大変な事態に巻き込まれたのだから無理もない。
「アルトラ様、僕ちょっと痩せたんじゃないですか?」
「た、確かに……」
ルイスさん……出発前に比べて少し頬がこけた気がする……本人的には相当大変だったんだな……
「五日くらいずっと歩き通しでしたからね」
「僕は普段運動もあまりしないので、もう疲労困憊ですよ……手も足もマメだらけで……脚を中心に擦り傷だらけですし。虫刺されはトリニアさんのお蔭であまりありませんが」
「でも、頑張って歩いて来た甲斐あって、エルフヴィレッジとユグドグランの空間魔法座標は取得できましたね」
「そうですね。しかし……サリー従姉……もとい、サリーさんがこれを元に簡単に座標取得できるのは……納得行かないです……」
空間魔術師は一度行けばそこへ行けるようになる。その特性から今度はルイスさんがサリーさんをここへ連れて来れば、もうそれだけで彼女はユグドグランの空間魔法座標が取得できるわけだ。
『自分はこんなに歩いて苦労して座標取得したのに、サリーさんはパッと行って即取得できる』。そのことに不満があるのだろう。
直後に、トリニアさんから声がかかった。
「みなさん、無事にボディチェックは通過できたようですね。では、今日泊まる宿泊施設にご案内致します。馬車を用意致しましたので、ご乗車ください」
やってきた頭に二本のツノを持つ馬が引く馬車。
多分一角獣を祖に持つ二角獣ってやつだ。ユニコーンとは違い気性が荒いと聞いたことがあるが、中々訓練されているらしい。
◇
「「「「おおぉーーー!!」」」」
案内されたのは高級そうな旅館。
「こんなところに泊まって良いんスか!?」
「はい、VIP待遇でおもてなしするようにとの言伝ですので。宿泊手続きしてきますので少々お待ちください」
トリニアさんが宿泊手続きをしてくれる。
こういう場面では自分で手続きしなくていいから楽だ。
「お待たせ致しました。四部屋分の鍵になります」
「僕も!? 僕は呼ばれて来たわけではないですけど、良いんですか?」
「ルイスさんもデスキラービーの対処など大いに貢献していただきましたから、ご心配なさらずに」
「ありがとうございます!」
「初めて鍵を使うッス! 今だけは俺っち専用の部屋ってことッスね!」
「まあ、そうだね。存分に堪能すると良いよ」
「さて、皆様、わたくしはユグドフロントへ無事着いた旨を報告しなければならないので、席を外させていただきます。今後の予定については追って報告致します」
「はい、よろしくお願いします」
トリニアさんはユグドフロントへ連絡に行った。
「アルトラ様、今日一日泊まったら、早々に国に帰らせてもらって良いですか?」
「えっ!? 急ですね!」
ルイスさんの突然の帰国宣言。
まあ、確かにルイスさんの目的は、樹の国の王様に謁見することではないし、第一首都に来た時点で目的を達成してることになるから、もうここに居る必要は無いのか。
「疲れと心労も大分蓄積してるので、早いとこ自国に帰って自室のベッドでリラックスしたいです……」
「そうですね。ちょっと寂しいですが、それが良いかもしれません。ゆっくり休んでください」
全員分かれて借りてもらった部屋に入る。
連日歩き通しだったため、この日はこれ以降誰も自室から出てくることはなかった。
騒がしいナナトスですら、全く声が聞こえなかったくらいだ。多分全員疲れて寝てしまったのだろう。
久しぶりのきちんとした寝床。
私も連日の疲労感や精神的な疲れから、ベッドに倒れ込みそのまま寝てしまった。
◇
コンコンコン
少し時間が経った後に、ドアのノック音で目が覚めた。
ガチャ
「ふぁい……どちら様……?」
眠い目をこすりながらがのドア対応。
ドアを開けるとトリニアさんが立っていた。
「アルトラ様、『疑似太陽』について国民への周知など少々お時間が必要ですので、一日置いて王との謁見は明後日の十時に決まりました。つきましてはフォーマルな装いでお願いします」
「はい……あの、では明日は?」
「ご自由にお過ごしください。ご希望ならガイドをお付けしますが、いかが致しますか?」
一日フリーな日ができたわけか。この国の名所でも見て回ろうか。
「じゃあお願いします」
トリニアさんが帰った後は、誰も部屋を訪れることはなく、ベッドに入るや否や私は泥のように深い眠りに着いた。
第二首都を出発して十二日目。
遂に樹の国の首都・ユグドグランに着いた!
ユグドグランは、獣やモンスター、森賊を侵入させないように街全体を壁で囲んであるらしいが、付近の木々の繁殖力が凄いのか、外壁はツタで生い茂っている。
ここに来る途中でトリニアさんから聞いた話によると、木の幹が移動してくるようなことがある場合、そのまま放置しておくと木が外壁を登ったり、壊してしまうことがあるため、完全に移動する前に木を伐採、根を掘り起こして、外壁が壊されるのを未然に防ぐらしい。
それらは主に守護志士の下部組織が担っており、その方々が外壁の東西南北の配置されて、不審者の侵入から街を守っている。
「街へ入る前に入国手続きとボディチェックがあります」
外壁の門内で入国手続きをするらしい。守衛やボディチェックも守護志士の下部組織の方が担当してるとか。
樹の国への入国手続きは、ユグドフロントでトリニアさんがやってくれているのだが、第一首都と第二首都で大分距離があるということで、二回目のチェックをされる。
門下に入ると二人の女性の守護志士から検査を受けた。一人は頭に花が咲いてるから多分木の精霊の一種、もう一人は耳が尖ってて端正な顔立ちをしているから、恐らくエルフだろう。二人居る門衛は身体の大きい筋骨隆々な獣人。兜被ってて顔は分からないが縞々の黄色の尻尾とふさふさの尻尾があるから多分獣人だろう。
「大森林を歩いて来た割りには……随分と軽装ですね」
「黒い服に裸足? リュックサックすら持っていないって……正気を疑う格好です……普通、ここに来るまでに死にますよ!?」
場所が場所だけに物凄く疑われた!
雷の国と比べると、ここまでの道程が険しいから、疑われるのもおかしくないとしか言えないな……
すぐにトリニアさんが間を取り持ってくれた。
「トリニア様、お帰りになられたのですね」
「その方が今回お呼びした外国の要人です」
「この方が!? それは失礼致しました!! しかしお言葉ですが、こんな格好で森林を歩いて来たとなると怪しさしかないのですが……」
「その格好も彼女だからこその格好なのです。この方は剣で斬っても傷一つつかないので、このような格好でも大丈夫なのです」
「剣で傷もつかない……ですか……だからユグドフロントから歩いて来ても傷一つ無いと?」
エルフらしい方に『何言ってるんだろう』という顔でこちらをチラリと見られた……
まあ良いけどね! もう慣れた!
「確かに物凄く硬い生物はいます。我が国でもソリッドノームの方は身体が硬いことで有名です。その他にもダイヤトータスに代表される硬質亀の種類、またドラゴン種の多くは刃物で傷を付け辛い生態をしています。しかしそれらはそれ相応の肌の質感や鱗を所持しているわけです。失礼ながらその方はどう見ても人間か亡者、または我々エルフに近い肌質。とても剣で斬って傷すらつかないとは思えません」
「怪しいところは無いとわたしくが保証します!」
「私から見れば怪しさ満点ですが……国でお呼びした要人ともなると通さないわけにはいきませんね……どうぞお通りください」
「あの! じゃ、じゃあ証拠を見せてもらえますか! 剣で斬られて傷すら付かないなんて、是非見てみたいです! 見せていただけませんか!?」
木の精霊と思われる方は食いついたらしい。
そういうわけで、通算四回目の斬撃パフォーマンス!
「「おぉ~~!!」」
これには疑っていたエルフの守護志士も驚きを隠せない。
「まさか金属音がするとは……!」
「剣が効かないのも本当でしたね!」
「では、その強靭な肉体をしているため、食料や身を守る装備を持たずに歩いて来たということですか?」
亜空間収納ポケットの中を披露するのはちょっと面倒だな……入ってるものが多過ぎるし。
ここは――
「連れの者が持っていたり、森林内部で獣を狩ったり、果実やキノコを収穫したりして食料にしました。身を守る装備についてはほぼ仰る通りです」
自分で作れることは黙っておこう。
「そうでしたか。それはお疲れ様でした」
「では、最後にボディチェックをさせていただきます」
あちこち触れられる。
「腕柔らかい……脚柔らかい……お腹も柔らかいです。改めて考えても、何でこの肌で金属音がするのか……」
斬撃パフォーマンスを披露しても、まだまだ信じられないといった様子。
多分真面目な性格だから、理屈に合わないことに納得できないタイプなんだろう。
「しかし、特に武器のような危ない物の携帯も無いようですね」
「はい、通って大丈夫ですよ。良き滞在を」
木の精霊と思われる女守護志士が、優しそうで穏やかな笑顔で、エルフの方は真面目な顔で通してくれた。
他の者も武器を持ってはいたが、サバイバルの範囲内として全員が問題無く外壁を通過。
外壁内部のユグドグランの様子はというと。
森の中にあるということで、高いビルなどはほとんど無い。
石畳で舗装された道、光を咲かせる花が植えられていることに加え、電気も使われていて、第二首都よりは明るい。
建物の多くは石造りと木のハイブリットと言ったところ。外側は石で武骨でも、中は木で温かみがある構造をしている。
路上にはエルフヴィレッジでは見なかった石で出来たゴーレムがいる。その他にもところどころに石のゴーレムが作業に従事しており、建築や道路の舗装を手伝っている。地球では重機が必要なほどの力仕事をゴーレムが担っているらしい。
「ん? あ、よく見たらストーンゴーレムじゃないじゃん」
脚の途中までは石で出来ているが、そこから下は土で出来ている。土と石のハイブリットってところか。全部ストーンだと重すぎて石畳を踏み割ってしまうから、足元を土にしてクッション性を高めているのではないかと予想。
また、同じように樹人もところどころに居て、道のゴミを拾ったり、清掃したり、街路樹を整理したり、人々の交通を助けたりと、細々とした公共事業をしているらしい。街に配属されている樹人ということで、大森林に居た樹人よりもより人型に近い容姿をしている。目が真っ黒いことを除けば肌の色が多少茶色いくらいでほぼ人間と変わらない姿。街にいるためか服も着せられている。
街路樹も目立つけど、この街に植えてある街路樹は大森林にある木とは違って幹が移動することがないのかしらね? 植えてある場所から根っこが移動すると石畳とかも壊しそうで大分厄介なことになるような気がするけど……
「くぁーーー! ここまで長かったッスね!」
ナナトスが大きく伸びをしながらここまでの感想を述べる。
「……初めて国を出て、目的地に着くまで一週間以上かかるなんて思わなかったな……デスキラービー騒動で一週間足止め喰らったからか……」
「あの足止めが無かったら五日ほどで着いてたということですね……」
ロクトス、ルイスさんは少々げんなりしている。
ただでさえ、森を歩くだけで大変だったのに、更に大変な事態に巻き込まれたのだから無理もない。
「アルトラ様、僕ちょっと痩せたんじゃないですか?」
「た、確かに……」
ルイスさん……出発前に比べて少し頬がこけた気がする……本人的には相当大変だったんだな……
「五日くらいずっと歩き通しでしたからね」
「僕は普段運動もあまりしないので、もう疲労困憊ですよ……手も足もマメだらけで……脚を中心に擦り傷だらけですし。虫刺されはトリニアさんのお蔭であまりありませんが」
「でも、頑張って歩いて来た甲斐あって、エルフヴィレッジとユグドグランの空間魔法座標は取得できましたね」
「そうですね。しかし……サリー従姉……もとい、サリーさんがこれを元に簡単に座標取得できるのは……納得行かないです……」
空間魔術師は一度行けばそこへ行けるようになる。その特性から今度はルイスさんがサリーさんをここへ連れて来れば、もうそれだけで彼女はユグドグランの空間魔法座標が取得できるわけだ。
『自分はこんなに歩いて苦労して座標取得したのに、サリーさんはパッと行って即取得できる』。そのことに不満があるのだろう。
直後に、トリニアさんから声がかかった。
「みなさん、無事にボディチェックは通過できたようですね。では、今日泊まる宿泊施設にご案内致します。馬車を用意致しましたので、ご乗車ください」
やってきた頭に二本のツノを持つ馬が引く馬車。
多分一角獣を祖に持つ二角獣ってやつだ。ユニコーンとは違い気性が荒いと聞いたことがあるが、中々訓練されているらしい。
◇
「「「「おおぉーーー!!」」」」
案内されたのは高級そうな旅館。
「こんなところに泊まって良いんスか!?」
「はい、VIP待遇でおもてなしするようにとの言伝ですので。宿泊手続きしてきますので少々お待ちください」
トリニアさんが宿泊手続きをしてくれる。
こういう場面では自分で手続きしなくていいから楽だ。
「お待たせ致しました。四部屋分の鍵になります」
「僕も!? 僕は呼ばれて来たわけではないですけど、良いんですか?」
「ルイスさんもデスキラービーの対処など大いに貢献していただきましたから、ご心配なさらずに」
「ありがとうございます!」
「初めて鍵を使うッス! 今だけは俺っち専用の部屋ってことッスね!」
「まあ、そうだね。存分に堪能すると良いよ」
「さて、皆様、わたくしはユグドフロントへ無事着いた旨を報告しなければならないので、席を外させていただきます。今後の予定については追って報告致します」
「はい、よろしくお願いします」
トリニアさんはユグドフロントへ連絡に行った。
「アルトラ様、今日一日泊まったら、早々に国に帰らせてもらって良いですか?」
「えっ!? 急ですね!」
ルイスさんの突然の帰国宣言。
まあ、確かにルイスさんの目的は、樹の国の王様に謁見することではないし、第一首都に来た時点で目的を達成してることになるから、もうここに居る必要は無いのか。
「疲れと心労も大分蓄積してるので、早いとこ自国に帰って自室のベッドでリラックスしたいです……」
「そうですね。ちょっと寂しいですが、それが良いかもしれません。ゆっくり休んでください」
全員分かれて借りてもらった部屋に入る。
連日歩き通しだったため、この日はこれ以降誰も自室から出てくることはなかった。
騒がしいナナトスですら、全く声が聞こえなかったくらいだ。多分全員疲れて寝てしまったのだろう。
久しぶりのきちんとした寝床。
私も連日の疲労感や精神的な疲れから、ベッドに倒れ込みそのまま寝てしまった。
◇
コンコンコン
少し時間が経った後に、ドアのノック音で目が覚めた。
ガチャ
「ふぁい……どちら様……?」
眠い目をこすりながらがのドア対応。
ドアを開けるとトリニアさんが立っていた。
「アルトラ様、『疑似太陽』について国民への周知など少々お時間が必要ですので、一日置いて王との謁見は明後日の十時に決まりました。つきましてはフォーマルな装いでお願いします」
「はい……あの、では明日は?」
「ご自由にお過ごしください。ご希望ならガイドをお付けしますが、いかが致しますか?」
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