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第14章 アルトラルサンズ本格始動編
第367話 『沢山集めるくん』の盲点
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「この丸いの何ですか? 何か蓋が開きますけど……あ、この構造どこかで……これって魔道具ですよね?」
ん? あれは確か……
あ、しまった! 誰にも使わせないようにと放り込んでおいた『沢山集めるくん』に気付かれた!
「何に使うものなんですか?」
「う~ん……あまり使わせたくないのよね、それ」
「危ないものってことですか?」
「いや、それ使うと楽できちゃうものだから、私がいなくなった時のことを考えて使ってほしくないな、と」
「何で使っちゃダメなんですか!?」
「それは私にしか作れないから、壊れたら修理が出来ない。もし私が死んだりしてこの場にいなくなった時、その魔道具を使うのに慣れてしまっている場合、あなたたちは収穫作業を自分たちで行わなければならないから、より面倒だと感じてしまう可能性があるから、かな?」
「確かに……それはそうですけど……でも今はアルトラ様はここに居られますし、使ってみたいです!」
目がキラッキラしている……
多分、楽とか面倒とか以前に、どういう機能のアイテムなのか見てみたいってことなんだろうな……
「まあ……バレてしまったんなら仕方ないか……」
で、どういう使い方をするのかを聞かせてしまった。
「ふ~ん……」
という一言の後、『ニヤリ』と笑った。
「ちょうど今大量に収穫したいと思ってたんですよ! 試しに使わせてもらって良いですか?」
◇
早速我が家を出て、トマト畑にやってきた。
「じゃあ、ヘタを取って、トマトを入れますね。それで、これを上空に投げて頂点に達する前にこのリモコンのスイッチを入れる、でしたよね?」
「そうだよ。そんですぐその場から退避。落下してくるからその場にいると危ない」
「よーし! それ!」
『沢山集めるくん』を勢い良く少しだけ前方の上空へ投げる。
「スイッチオン!」
ピッ
手元のリモコンでスイッチを入れると『沢山集めるくん』が起動。周囲のトマトがワサワサと揺れ出した。
しかし、直後にフッと何か嫌な予感がした。
「メイフィー、待って! すぐ止めて!」
「え? すぐスイッチを切るんですか?」
止めろと言った時には時すでに遅し……『沢山集めるくん』に向かってトマトが集まり始めていた。
「ああ……遅かった……」
「どうしたんですか? スイッチ切るんですか?」
「いや、もう切っても無駄かも。とりあえずこの場から退避!」
その会話の直後――
半径五十メートル以内にあるトマトが“勢いよく”収穫される。
ブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュッ……
というおびただしい数のトマトの潰れる音。
魔道具の吸引効果により、『沢山集めるくん』を中心に“勢いよく”収穫され、トマト同士が衝突してどんどんグチャグチャになっていく。
少し間を置いて、赤い雨が私たちへと降り注ぐ。
「キャアァッ!!」
「………………」
急いで退避したものの、赤い雨の降る範囲が思った以上に広範囲で、全身で浴びてしまった……
もうその時点で退避を諦め、全身が真っ赤に染まったまま立ち尽くす。
見た目はスプラッター映画のような状態。
この状態で夜出歩いてたら、確実に悲鳴を上げて逃げられることだろう。
「ど、どういうことですか、コレ? 収穫するのが楽になるものなんじゃ……?」
「そう思って作ったはずだったけど、どうやら収穫しようとするモノによるらしいね……綿花集めた時 (第199話参照)は問題無かったけど、食べ物でやったらダメらしい……私も気付いてなかった……」
その直後――
トマト汁を被った身体については、このまま血まみれのような見た目か……と思ったのも束の間、一瞬で私とメイフィーに付いた、私たちが被ったトマト汁が『沢山集めるくん』にほぼ全て回収され、身体の大部分が綺麗になる。
私は闇のドレスを纏っていて服を着てないから、完全に身体から回収されている。髪の毛にも残っていない。
「な、何ですかこれ!? 一瞬でトマトの汁が魔道具に集まって行きましたけど!?」
そして、驚くメイフィーを横目に、巨大なトマト汁ボールになった『沢山集めるくん』が上空から落下してきた。
地面に激突した瞬間、魔道具周りに吸い付いていたトマト汁が再び飛び散り、私たちがその汁をしこたま浴び、そして飛び散った汁や大量に浴びた汁も即座に再回収される。
「どどど、どういうことですか!? 被ったトマト汁が全部回収されましたよ!? 凄い魔道具ですよ、これ!!」
「魔道具の中に入れたものと同じ魔力を持つものを引き付ける性質があるから、トマトの汁も『トマトの一部』と考えられて回収されたんでしょう」
「あ、でも服に染み込んだ分はそのままですね……これは流石に回収できなかったのかな?」
これは多分、私の家で使った時の埃と同じく、何らかが障害となって、回収されるための経路を塞がれたため回収できなかったのだと思われる。この場合は、多分服の繊維に絡みついてしまったからってことかな。
「ちょっと揉んでみたらどう?」
「染み込んだ部分をですか? そんなことしたら余計に染み込んでしまうと思いますけど……」
「軽くやって」
物は試しでちょっと揉んでもらった。
「あ、トマト汁が空中に浮かんで……」
効果音にすると「ヒュンッ」という音を立てそうな速度で、『沢山集めるくん』の方に吸い込まれて行った。
「ちょっと揉んだだけってことは……はたいたら、出て行ってくれますかね?」
「汁が繊維から外れれば良いわけだから、はたいても回収されるかもしれないね」
というわけで、身体中をパンパンはたいて、トマト汁を追い出した。
「でも……トマトは潰れてしまいましたね……」
「……ご、ごめんね……もっと早く気付いていれば……」
「……いえ……楽しようとした私も悪かったです……」
ここで落下してきた『沢山集めるくん』を見て、奇妙な現象に気付いた。
液体になったはずのトマトが魔道具から離れず、『沢山集めるくん』の周りに纏わりついたまま流動している!
「何ですかこの現象! 凄いですよ!」
何という意外な現象。液体になってすらスイッチをオフにしなければ離れないとは……
「それにしても、地面に激突した割には土が全く混じってなくて綺麗ですね。アルトラ様、この中に入ればトマトの海で泳げますよ」
「そ、そうね……でも食べ物だからやめておこうよ……」
「こんな状態でも食べるんですか?」
「上手い具合にトマトジュースになってるから、ジュースとして売ったら良いんじゃない?」
「あ、それ良いですね! ジュースにしようなんて考えてなかったので、このまま売ってもらいましょう!」
「あ……でも待って、多分無理だわ……コップに取り分けてもすぐ回収されちゃうと思うし……蓋がある入れ物でもあれば別だけど……」
ペットボトルでもあれば蓋をしてしまえば可能だろうけど……
「蓋ですか……確かハンバームさんにお願いすればあるかもしれませんよ?」
「何でハンバームちゃん?」
「以前料理でお酒使ってて、それの空ビンがあると思います。あれって確かアクアリヴィア産のガラス瓶でしたよね? 多分まだ処分されてないんじゃないでしょうか?」
確かにアレなら蓋も出来る。それにここから五十メートル離せば回収されないから、そこへ持っていって、別の容器に入れれば良い。
そういうわけで、少しの間トマトジュースが町の市場に流通することになった。
ハンバームちゃんにも渡してみたところ、ケチャップに加工してくれた。トマトジュース同様、ケチャップも流通することに。
「これ……柔らかいものはダメでしたけど、硬いものならどうなんですかね? 例えばジャガイモとか」
あの勢いよく吸引する様子からすると……
「多分、砕けたジャガイモだらけになるんじゃないかな……?」
「やっぱりそう思います? やらない方が無難ですかね?」
「地道に収穫しなきゃダメってことかな……」
「じゃ、じゃあお米なら……?」
「それも砕けたお米ばかりに……」
「………………使いにくい魔道具なんですね……」
「ハハ……期待させてごめんね……」
収穫は“丁寧に”やらないといけないことが分かった。
後々よく考えたら、トマトを収穫するのに魔道具を上空へ投げるのもおかしい話だった。
もし収穫時の衝突で潰れなかったとしても、落下してきた時に潰れる可能性が高いじゃないか……綿花の収穫とは違うんだから、もうちょっとよく考えて発言しないといけなかったな……
ん? あれは確か……
あ、しまった! 誰にも使わせないようにと放り込んでおいた『沢山集めるくん』に気付かれた!
「何に使うものなんですか?」
「う~ん……あまり使わせたくないのよね、それ」
「危ないものってことですか?」
「いや、それ使うと楽できちゃうものだから、私がいなくなった時のことを考えて使ってほしくないな、と」
「何で使っちゃダメなんですか!?」
「それは私にしか作れないから、壊れたら修理が出来ない。もし私が死んだりしてこの場にいなくなった時、その魔道具を使うのに慣れてしまっている場合、あなたたちは収穫作業を自分たちで行わなければならないから、より面倒だと感じてしまう可能性があるから、かな?」
「確かに……それはそうですけど……でも今はアルトラ様はここに居られますし、使ってみたいです!」
目がキラッキラしている……
多分、楽とか面倒とか以前に、どういう機能のアイテムなのか見てみたいってことなんだろうな……
「まあ……バレてしまったんなら仕方ないか……」
で、どういう使い方をするのかを聞かせてしまった。
「ふ~ん……」
という一言の後、『ニヤリ』と笑った。
「ちょうど今大量に収穫したいと思ってたんですよ! 試しに使わせてもらって良いですか?」
◇
早速我が家を出て、トマト畑にやってきた。
「じゃあ、ヘタを取って、トマトを入れますね。それで、これを上空に投げて頂点に達する前にこのリモコンのスイッチを入れる、でしたよね?」
「そうだよ。そんですぐその場から退避。落下してくるからその場にいると危ない」
「よーし! それ!」
『沢山集めるくん』を勢い良く少しだけ前方の上空へ投げる。
「スイッチオン!」
ピッ
手元のリモコンでスイッチを入れると『沢山集めるくん』が起動。周囲のトマトがワサワサと揺れ出した。
しかし、直後にフッと何か嫌な予感がした。
「メイフィー、待って! すぐ止めて!」
「え? すぐスイッチを切るんですか?」
止めろと言った時には時すでに遅し……『沢山集めるくん』に向かってトマトが集まり始めていた。
「ああ……遅かった……」
「どうしたんですか? スイッチ切るんですか?」
「いや、もう切っても無駄かも。とりあえずこの場から退避!」
その会話の直後――
半径五十メートル以内にあるトマトが“勢いよく”収穫される。
ブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュブチュッ……
というおびただしい数のトマトの潰れる音。
魔道具の吸引効果により、『沢山集めるくん』を中心に“勢いよく”収穫され、トマト同士が衝突してどんどんグチャグチャになっていく。
少し間を置いて、赤い雨が私たちへと降り注ぐ。
「キャアァッ!!」
「………………」
急いで退避したものの、赤い雨の降る範囲が思った以上に広範囲で、全身で浴びてしまった……
もうその時点で退避を諦め、全身が真っ赤に染まったまま立ち尽くす。
見た目はスプラッター映画のような状態。
この状態で夜出歩いてたら、確実に悲鳴を上げて逃げられることだろう。
「ど、どういうことですか、コレ? 収穫するのが楽になるものなんじゃ……?」
「そう思って作ったはずだったけど、どうやら収穫しようとするモノによるらしいね……綿花集めた時 (第199話参照)は問題無かったけど、食べ物でやったらダメらしい……私も気付いてなかった……」
その直後――
トマト汁を被った身体については、このまま血まみれのような見た目か……と思ったのも束の間、一瞬で私とメイフィーに付いた、私たちが被ったトマト汁が『沢山集めるくん』にほぼ全て回収され、身体の大部分が綺麗になる。
私は闇のドレスを纏っていて服を着てないから、完全に身体から回収されている。髪の毛にも残っていない。
「な、何ですかこれ!? 一瞬でトマトの汁が魔道具に集まって行きましたけど!?」
そして、驚くメイフィーを横目に、巨大なトマト汁ボールになった『沢山集めるくん』が上空から落下してきた。
地面に激突した瞬間、魔道具周りに吸い付いていたトマト汁が再び飛び散り、私たちがその汁をしこたま浴び、そして飛び散った汁や大量に浴びた汁も即座に再回収される。
「どどど、どういうことですか!? 被ったトマト汁が全部回収されましたよ!? 凄い魔道具ですよ、これ!!」
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「あ、でも服に染み込んだ分はそのままですね……これは流石に回収できなかったのかな?」
これは多分、私の家で使った時の埃と同じく、何らかが障害となって、回収されるための経路を塞がれたため回収できなかったのだと思われる。この場合は、多分服の繊維に絡みついてしまったからってことかな。
「ちょっと揉んでみたらどう?」
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「軽くやって」
物は試しでちょっと揉んでもらった。
「あ、トマト汁が空中に浮かんで……」
効果音にすると「ヒュンッ」という音を立てそうな速度で、『沢山集めるくん』の方に吸い込まれて行った。
「ちょっと揉んだだけってことは……はたいたら、出て行ってくれますかね?」
「汁が繊維から外れれば良いわけだから、はたいても回収されるかもしれないね」
というわけで、身体中をパンパンはたいて、トマト汁を追い出した。
「でも……トマトは潰れてしまいましたね……」
「……ご、ごめんね……もっと早く気付いていれば……」
「……いえ……楽しようとした私も悪かったです……」
ここで落下してきた『沢山集めるくん』を見て、奇妙な現象に気付いた。
液体になったはずのトマトが魔道具から離れず、『沢山集めるくん』の周りに纏わりついたまま流動している!
「何ですかこの現象! 凄いですよ!」
何という意外な現象。液体になってすらスイッチをオフにしなければ離れないとは……
「それにしても、地面に激突した割には土が全く混じってなくて綺麗ですね。アルトラ様、この中に入ればトマトの海で泳げますよ」
「そ、そうね……でも食べ物だからやめておこうよ……」
「こんな状態でも食べるんですか?」
「上手い具合にトマトジュースになってるから、ジュースとして売ったら良いんじゃない?」
「あ、それ良いですね! ジュースにしようなんて考えてなかったので、このまま売ってもらいましょう!」
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ペットボトルでもあれば蓋をしてしまえば可能だろうけど……
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「何でハンバームちゃん?」
「以前料理でお酒使ってて、それの空ビンがあると思います。あれって確かアクアリヴィア産のガラス瓶でしたよね? 多分まだ処分されてないんじゃないでしょうか?」
確かにアレなら蓋も出来る。それにここから五十メートル離せば回収されないから、そこへ持っていって、別の容器に入れれば良い。
そういうわけで、少しの間トマトジュースが町の市場に流通することになった。
ハンバームちゃんにも渡してみたところ、ケチャップに加工してくれた。トマトジュース同様、ケチャップも流通することに。
「これ……柔らかいものはダメでしたけど、硬いものならどうなんですかね? 例えばジャガイモとか」
あの勢いよく吸引する様子からすると……
「多分、砕けたジャガイモだらけになるんじゃないかな……?」
「やっぱりそう思います? やらない方が無難ですかね?」
「地道に収穫しなきゃダメってことかな……」
「じゃ、じゃあお米なら……?」
「それも砕けたお米ばかりに……」
「………………使いにくい魔道具なんですね……」
「ハハ……期待させてごめんね……」
収穫は“丁寧に”やらないといけないことが分かった。
後々よく考えたら、トマトを収穫するのに魔道具を上空へ投げるのもおかしい話だった。
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