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第14章 アルトラルサンズ本格始動編
第374話 アルトレリアに念願の卵が来た!
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遂に……遂に、我が町にも卵を産む鳥がキターーーー!!
遡ること数時間前。
◇
「アルトラ様! 馬車でアリトレリアの外から訪れた方がいますよ! 今役所にてお待ちいただいてます」
「え? 馬車?」
遂に我が国始まって以来の外国から訪れたお客さんか! (空間転移魔法除く)
「アルトラ殿!」
「フレデリックさん! 遥々ご足労くださってありがとうございます! 遂に頼んでおいたアレを届けてくださったんですね!」
「はい、町の壁の外に停泊しているので、ご確認ください」
第一壁外に停泊された馬車を見に行く。
◇
「みなさん、アルトレリアへようこそ! ここまで運んでいただき感謝致します!!」
フレデリック商隊のみなさんに感謝の意を示す。
「フレデリカさんもありがとう!」
「いえ……」
隊商は十人。エルフ族だけで構成されているわけではなく、獣人や精霊が混在したパーティーのようだ。
馬車を引いていたのはバイコーンという、二本のツノを持った馬。これはユニコーンの亜種らしいが、ユニコーンのように特別清らかなものを好むというわけではなく、魔界の環境に適応した種類。
ユニコーンのように回復や癒しの能力を持っているわけではなく、逆に闇属性の魔法を使う。気性が少々荒いが、商隊の連れているものはよく躾けられていて大人しめ。
地球の物語ではバイコーンは不浄を司るとされているらしいが、不浄と言うほど汚くはない。
馬車の後ろに付けられた荷馬車にて、私の希望したソレは確認できた。
「おぉー! これがニワトリス!」
樹の国のフレデリックさんが持ち込んでくれた『ニワトリス』。これが卵を産んでくれるらしい。
計百羽。このうち雄鶏が二十羽、雌鶏が八十羽。
死んでるのは何度か食べたことがあるけど、生きてるのは初めて見る。日本のニワトリに蛇の尻尾がくっ付いたような容姿をした鳥。日本のニワトリよりも体格が大きく、産む卵も少し大きいらしい。
一日に、なんと二個卵を産むのが通常らしいので、単純計算では一日に百六十個の卵を収穫できることになる。
ほぼニワトリと言って良い容姿のニワトリスに対し、コレの原種である『コカトリス』は更に体格が良く、ウロコの割合がもっと多くなり、鳥と爬虫類が融合したような見た目をしているそうだ。そして眼球と上顎の間に特殊な毒腺をを持っており、石化毒を吐く。
ニワトリスはコカトリスの毒を、交配によって薄めに薄めて誕生した種類。そのため毒腺は退化して石化の息を使えなくなっているらしい。
「大きい鳥が沢山いると壮観ですね!」
「大きい? そこまで大きい種類ではないですが……」
「私の出身地のニワトリは、この三分の二程度の大きさしかないんですよ。ところでこの鳥、性格の方はどうなんですか? 気性が荒いと育てる者が傷だらけになりそうですけど……」
簡単に扱えるかどうかは結構大事だよね。
鳥の爪は小さいものでも結構鋭いし。
「それもご心配無く。交配させる過程で、大人しい性格のものを代々重ねてきたため、それほど暴れることはないと思います」
そんなに大人しいのか。
敵を石化させるような気性の先祖を持つのに、大人しい性格同士を交配させ続けると、どんどん牙をもがれていくのね。鳥だから牙は無いけど……
まあ問題無いそうだし、次へ。
「乳牛の方はどこに居ますか?」
「その後ろの荷馬車です」
更に後ろの荷馬車を見ると、二頭の乳牛と一頭の牡牛。
これがミルクの川を作った伝説のある『アウズンブラ』か。 (第264話参照)
聞いていた通り…………もう何か……垂れ流しに近い……馬車の後ろに文字通り“ミルクの川”もとい“ミルクの水たまり”が点々と出来ている。
「ぎゅ、牛乳は垂れ流しなんですね……」
「すみません、途中何度も搾乳したんですが、この種類はずっと出続けるので全部取り切るのは中々難しく……」
「ずっとですか!? 一切途切れることなく!?」
「いえ、搾乳した後、少しの間止まってる時間があるのですが……それも短い時間ですので」
“垂れ流したミルクが川になる”というほど大袈裟ではないが、これは大変な乳牛をリクエストしてしまったかもしれないな……
二頭連れてきてくれたけど、一頭でも十分だったかも。
まあ、加工品にしたり、乾かして粉にしたりと用途は色々考えられるから良いか。
「それで、道中搾った牛乳はどうしたんですか?」
「我々では処理し切れなかったので、申し訳ないですが途中途中の町々で一リットル十ツリン (※)ほどでお売りしました。それ以上に出たものはチーズに加工したり、ミルクアイスに加工したり。それでも食べきれない時は泣く泣く廃棄処分に……」
「十ツリン? タダみたいな価格じゃないですか!」
「まあ大量に持っていても持て余しますので、無料に近い価格でも買ってもらおうかと。我が隊には氷属性の魔法を使える者はいますが、流石に大量にストックもしておけないということで。あ、そうだ搾乳機はサービスします。牛がいない以上、持って帰っても仕方ないので」
「それはありがとうございます! 助かります!」
(※一ツリン:日本円で九.五円ほど。十円にも満たない)
とは言え、これで牛乳も困らなくなりそうだ。
これで安定的にスイーツが店先に並ぶ。
あとは――
「スパイスの方はどうですか?」
「ええ、カレーが作れそうなスパイスをご用意しました」
先頭馬車の荷台に、二十にも及ぶ壷に入った大量のスパイス。
「ありがとうございます!!」
これで念願だったカレーも食べられる。
すぐにハンバームちゃんに伝えて、メニューに加えてもらおう!
しかし私には何が何やら分からないから、後でカイベルに仕分けてもらおうかな。
「それでカカオとバニラもあるんですか!?」
「はい、それもその壷の中の一つに」
え? そうなの?
香辛料の匂いしかしなかった……もうちょっとよく嗅いでみるとほのかに甘い匂いがする。
「あ、この壷がバニラか。種小っさっ!」
バニラの種ってこんなに小さいのか。初めて見た。
カカオも壷の中に入っていたが、こっちは実が大きいから一目で分かった。
よし! これを生産すればアイスクリームやチョコレートが出来るかもしれない!
「フレデリックさん、ここまで運んでくださってありがとうございます!!」
「いえいえ、私としては感謝してもし切れませんので」
「それで金額はいかほどで?」
「請求額は国の方へ請求させていただきました」
国の方か。
イェンに価値が無いから、ここで直接請求してもらった方が良かったんだけど、まあ後で確認しておくか。
「分かりました。後で確認し次第送金致します」
「我々隊商は、少しの間アルトレリアに滞在させていただきます。ここで各地に売れそうな品物も購入していきたいと思いますので」
「あ、じゃあ簡易宿泊施設がありますんで、そちらへご案内します」
今後こんなこともあろうかと、大使館建設予定地の整地と並行して、宿泊施設を建ててもらって良かった。
◇
その少し後――
「マリリア、フレデリックさんから物資の請求が来てるって聞いたけど?」
「あ、はい、こちらですね」
「どれどれ」
ニワトリスが三十万、乳牛が八十五万、スパイスとカカオで八十万、占めて百九十五万ツリンか。
相場は分からないが、まあ樹の国から貰ったお金は十分にあるから大丈夫でしょう。
後々フレデリックさんの宿泊している施設へ支払いに行った。
遡ること数時間前。
◇
「アルトラ様! 馬車でアリトレリアの外から訪れた方がいますよ! 今役所にてお待ちいただいてます」
「え? 馬車?」
遂に我が国始まって以来の外国から訪れたお客さんか! (空間転移魔法除く)
「アルトラ殿!」
「フレデリックさん! 遥々ご足労くださってありがとうございます! 遂に頼んでおいたアレを届けてくださったんですね!」
「はい、町の壁の外に停泊しているので、ご確認ください」
第一壁外に停泊された馬車を見に行く。
◇
「みなさん、アルトレリアへようこそ! ここまで運んでいただき感謝致します!!」
フレデリック商隊のみなさんに感謝の意を示す。
「フレデリカさんもありがとう!」
「いえ……」
隊商は十人。エルフ族だけで構成されているわけではなく、獣人や精霊が混在したパーティーのようだ。
馬車を引いていたのはバイコーンという、二本のツノを持った馬。これはユニコーンの亜種らしいが、ユニコーンのように特別清らかなものを好むというわけではなく、魔界の環境に適応した種類。
ユニコーンのように回復や癒しの能力を持っているわけではなく、逆に闇属性の魔法を使う。気性が少々荒いが、商隊の連れているものはよく躾けられていて大人しめ。
地球の物語ではバイコーンは不浄を司るとされているらしいが、不浄と言うほど汚くはない。
馬車の後ろに付けられた荷馬車にて、私の希望したソレは確認できた。
「おぉー! これがニワトリス!」
樹の国のフレデリックさんが持ち込んでくれた『ニワトリス』。これが卵を産んでくれるらしい。
計百羽。このうち雄鶏が二十羽、雌鶏が八十羽。
死んでるのは何度か食べたことがあるけど、生きてるのは初めて見る。日本のニワトリに蛇の尻尾がくっ付いたような容姿をした鳥。日本のニワトリよりも体格が大きく、産む卵も少し大きいらしい。
一日に、なんと二個卵を産むのが通常らしいので、単純計算では一日に百六十個の卵を収穫できることになる。
ほぼニワトリと言って良い容姿のニワトリスに対し、コレの原種である『コカトリス』は更に体格が良く、ウロコの割合がもっと多くなり、鳥と爬虫類が融合したような見た目をしているそうだ。そして眼球と上顎の間に特殊な毒腺をを持っており、石化毒を吐く。
ニワトリスはコカトリスの毒を、交配によって薄めに薄めて誕生した種類。そのため毒腺は退化して石化の息を使えなくなっているらしい。
「大きい鳥が沢山いると壮観ですね!」
「大きい? そこまで大きい種類ではないですが……」
「私の出身地のニワトリは、この三分の二程度の大きさしかないんですよ。ところでこの鳥、性格の方はどうなんですか? 気性が荒いと育てる者が傷だらけになりそうですけど……」
簡単に扱えるかどうかは結構大事だよね。
鳥の爪は小さいものでも結構鋭いし。
「それもご心配無く。交配させる過程で、大人しい性格のものを代々重ねてきたため、それほど暴れることはないと思います」
そんなに大人しいのか。
敵を石化させるような気性の先祖を持つのに、大人しい性格同士を交配させ続けると、どんどん牙をもがれていくのね。鳥だから牙は無いけど……
まあ問題無いそうだし、次へ。
「乳牛の方はどこに居ますか?」
「その後ろの荷馬車です」
更に後ろの荷馬車を見ると、二頭の乳牛と一頭の牡牛。
これがミルクの川を作った伝説のある『アウズンブラ』か。 (第264話参照)
聞いていた通り…………もう何か……垂れ流しに近い……馬車の後ろに文字通り“ミルクの川”もとい“ミルクの水たまり”が点々と出来ている。
「ぎゅ、牛乳は垂れ流しなんですね……」
「すみません、途中何度も搾乳したんですが、この種類はずっと出続けるので全部取り切るのは中々難しく……」
「ずっとですか!? 一切途切れることなく!?」
「いえ、搾乳した後、少しの間止まってる時間があるのですが……それも短い時間ですので」
“垂れ流したミルクが川になる”というほど大袈裟ではないが、これは大変な乳牛をリクエストしてしまったかもしれないな……
二頭連れてきてくれたけど、一頭でも十分だったかも。
まあ、加工品にしたり、乾かして粉にしたりと用途は色々考えられるから良いか。
「それで、道中搾った牛乳はどうしたんですか?」
「我々では処理し切れなかったので、申し訳ないですが途中途中の町々で一リットル十ツリン (※)ほどでお売りしました。それ以上に出たものはチーズに加工したり、ミルクアイスに加工したり。それでも食べきれない時は泣く泣く廃棄処分に……」
「十ツリン? タダみたいな価格じゃないですか!」
「まあ大量に持っていても持て余しますので、無料に近い価格でも買ってもらおうかと。我が隊には氷属性の魔法を使える者はいますが、流石に大量にストックもしておけないということで。あ、そうだ搾乳機はサービスします。牛がいない以上、持って帰っても仕方ないので」
「それはありがとうございます! 助かります!」
(※一ツリン:日本円で九.五円ほど。十円にも満たない)
とは言え、これで牛乳も困らなくなりそうだ。
これで安定的にスイーツが店先に並ぶ。
あとは――
「スパイスの方はどうですか?」
「ええ、カレーが作れそうなスパイスをご用意しました」
先頭馬車の荷台に、二十にも及ぶ壷に入った大量のスパイス。
「ありがとうございます!!」
これで念願だったカレーも食べられる。
すぐにハンバームちゃんに伝えて、メニューに加えてもらおう!
しかし私には何が何やら分からないから、後でカイベルに仕分けてもらおうかな。
「それでカカオとバニラもあるんですか!?」
「はい、それもその壷の中の一つに」
え? そうなの?
香辛料の匂いしかしなかった……もうちょっとよく嗅いでみるとほのかに甘い匂いがする。
「あ、この壷がバニラか。種小っさっ!」
バニラの種ってこんなに小さいのか。初めて見た。
カカオも壷の中に入っていたが、こっちは実が大きいから一目で分かった。
よし! これを生産すればアイスクリームやチョコレートが出来るかもしれない!
「フレデリックさん、ここまで運んでくださってありがとうございます!!」
「いえいえ、私としては感謝してもし切れませんので」
「それで金額はいかほどで?」
「請求額は国の方へ請求させていただきました」
国の方か。
イェンに価値が無いから、ここで直接請求してもらった方が良かったんだけど、まあ後で確認しておくか。
「分かりました。後で確認し次第送金致します」
「我々隊商は、少しの間アルトレリアに滞在させていただきます。ここで各地に売れそうな品物も購入していきたいと思いますので」
「あ、じゃあ簡易宿泊施設がありますんで、そちらへご案内します」
今後こんなこともあろうかと、大使館建設予定地の整地と並行して、宿泊施設を建ててもらって良かった。
◇
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「マリリア、フレデリックさんから物資の請求が来てるって聞いたけど?」
「あ、はい、こちらですね」
「どれどれ」
ニワトリスが三十万、乳牛が八十五万、スパイスとカカオで八十万、占めて百九十五万ツリンか。
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