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第16章 大使就任とアルトレリア健康計画編
第434話 アルトラの身体に異変!? その1(七つの大罪『暴食』ボーナスの消失?)
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健康診断が終わって一ヶ月ほど経った九月のある日――
よし! 今日も日課の散歩兼パトロールだ!
と意気揚々と町に出たものの……何だか最近町民の目が冷たい気がする……
私何かしたかしら?
何かしたにしても、全員にそんな目で見られるのはおかしい。
「こんにちは、フリアマギアさん」
今日もゼロ距離ドアの解析に勤しんでいる。
「ああ、こんにちはアルトラ殿」
と、態度が以前と変わらないのは彼女くらい。と言うかドア調べてる時はドアにしか興味が無い。
◇
ナナトスと遭遇。
「あ、アルトラ様こんにちわッス! 今日も太っ腹ッスね!」
太っ腹? 最近ナナトスに何かおごった覚えは無いけど……
「何で太っ腹?」
「? そんなの見れば分かるじゃないッスか!」
何言ってるか分からない……
しかし、それに対する答えを聞こうと考えを巡らせてるうちに離れて行ってしまった。
◇
今度はフレアハルトと遭遇。
何となく険しい顔で話しかけられた。
「……アルトラ……お主最近何か感じぬか? 身体が重いとか」
「身体が? いや別に……」
重い? 最近空飛んでないから分からないな……
「…………アリサ、何か言ってやれ」
「わたくしですか!? い、いえ、人それぞれですので……それにこの町も豊かになってきましたし、少しくらいは……」
「………………じゃあレイア、何か言ってやれ」
「アルトラ様、初めて会った時と比べると随分丸くなったよねぇ……」
「丸く?」
私はずっと自分的には (性格が)丸いつもりだったけど。そんなに尖ってたかしら?
みんな一様に何か言いたそうに口を濁す。
何でこんなによそよそしいの?
一体何の不評を買ったのかしら? 心当たりが無い……
◇
そして家でもリディアとネッココからそんな目で見られるようになった気がする……
翌朝――
「アルトラ……起きたばかりなのにもうお菓子食べてるのカ? 最近いつも何か食ってんナ!」
「え? そうかしら? 私そんなに頻繁に何か食べてる?」
「明らかに昔より食べる量増えたゾ!」
『そうよ! 私には頻繁にオレンジジュース飲むなって言うくせに!』
まあ、私、元『暴食』の大罪だから太らないし~。
「アルトラ様……」
「なに?」
「最近ちょっと太り過ぎなのではないですか?」
「太り過ぎ? 私が? そんなバカな、私は元『暴食』の大罪よ?」
「………………」
それを聞いたカイベルが紙に何か書き出した。
無言でそれを見せられる。
┌─────────────────────────┐
ぼうしょく
【暴食】
《名・ス自》無茶苦茶に食べること。
度を越してむやみに食べること。
活用「暴飲―」
└─────────────────────────┘
「暴食の大罪だからと言って、それが太らない理由にはなりません」
「リディアも最近そう思ってタ。アルトラ、明らかに以前より太っタ!」
『私もそう思ってたわ! アルトラ最近常に何か口にしてるもの!』
「フフッ……三人とも消費を抑えようとしているんじゃない? 最近はアルトレリアでも食料生産が多くなってきたから問題無いよ。私もある程度お金持ちになったし」
「いえ、明らかに身体の大きさに対して食べ過ぎです」
「え~、嘘でしょ? ご飯だって最近はあなたたちが文句言うから一食で三杯しか食べてないし!」
「その小さい身体で、一食三杯、それもどんぶり飯三杯は食べ過ぎです」
最近この二人のお小言が多くなってきた……何かにつけて食べ過ぎてる食べ過ぎてるって言われるのよね……
「アルトラが食べ過ぎるト、リディアとクリューの分が無くなるんだからナ!」
クリューの分は別にええやろ……この家の居候でもないし。
「何でそんなにご飯が少なくなったの?」
「アルトラ様がどんどんお太りになられていくので、その分減らして調整していたのですよ。それでもあなたは外で食べてくるので……」
え? 最近我が家のご飯の量が減ったのって、私の所為なの?
「この間なんテ、『今日ご飯無いんですか!?』ってクリュー嘆いてたんだゾ?」
何で当然のように我が家で食べる気でいるのよ!
食費払ってるのかしら?
「太ってる太ってるって、食生活だって今までと大して変わらないんだから、太るわけないんだけど……?」
「いえ、最近は他国の関係者の方々との会食も増えましたし、それに付け加えて家でも食べるのでは明らかに食べ過ぎです。会食で会う方々も愛想笑いしていたりしませんでしたか?」
「さ、さあ?」
思い返してみれば、一部のヒトは目の奥が笑ってなかった気も……
「その体型をご覧ください」
そう言いながら、カイベルが物質魔法で姿見を作り出す。
そこに映っていたのは、身体がかなりふっくらしてしまった私……いや、ふっくらと言うよりデ……
「うわっ! ホンマやっ!」
いやいや……ハハハ……
「カ、カイベル……こ、この鏡、横に伸びるように映る鏡なんじゃないの? またまた~私を担ごうとして~」
「…………はぁ……少々思考回路がおかしくなってますね。思考が太った人のソレになってきてますよ? ではご自分で鏡を作って確認してみてはいかがですか?」
そう言われては自分で確認するしかない。
物質魔法で姿見を生成する。
そんなわけない……そんなわけが……
生前だってあんなに大食いだったのに、標準体型を外れたことはない! むしろちょっと痩せてたくらいだ!
恐る恐る自分で作った姿見を覗き込むと――
え?
これがホントに私!?
何だこのパジャマからはみ出した下っ腹は……?
ムニッ
手で掴めてしまう……
「な……何でこんな姿なの!? いつから!?」
「ここ最近急にお太りになられましたね……」
町民の冷めた目はこれのことだったのか!?
そういえば……無意識に洗面所の鏡を見ないようにしてたような気も……しっかり自分の顔を見たのはいつだっただろう……?
でも、よくよく考えてみれば、最近は確かに屈んだ時にお腹の辺りが邪魔で苦しかった覚えも……
あ、でも太ったお蔭か、ちょっとだけ胸があるわ。
死んでから久しぶりに見る多少大きくなった胸。久しぶりだからと揉んでみる。う~ん懐かしい……
生前も細身だったからそこまで大きくはなかったけど、転生した身体は『虚しい乳』と書いて虚乳も良いところだし。
当分の間このままでも良いかな……
と、少しの間モミモミしていると――
「…………アルトラ……何やってんダ?」
『…………バカじゃないの?』
リディアとネッココにすっげぇ冷たい目で見られた……
と言うか揉めるようになったのは胸だけじゃない!! むしろ胸より腹肉の方が出っ張ってる気がする!!
何でこんなことに!?
今まではどれだけ食べても太らなかったのに……
あ!
「まま、まさか……これが『暴食』の大罪との繋がりが薄れてきている兆候!?」
「そのようですね」
「じゃあ、もしかして健康診断の時に、自分が予想してた体重より少し重かったのも……?」
「あの辺りから太ってきていたのでしょう」
終わった……私の大食いライフが終わった……
「遊びに行ってくるヨ………………アルトラはもっと痩せてた方が好きだナ……」
『庭で日向ぼっこしてるわ……私がこの家来た時はそんなだらしない体型じゃなかったのにね……』
ガーン!!
二人とも捨て台詞を吐くように家を出て行った……
「ダイエットしましょう! 主人がこんな状態では私も恥ずかしいです!」
あれ~? おかしいな……恥の機能なんて付けてないはずなのに……
「でも、私ちょっと動いたくらいじゃ疲れないよ?」
「そうでしょうか? その体型でそう言えますか? 最近激しく動いたのはいつだったでしょうか?」
「う……う~ん……確か……火の国の砂賊の時は私は手を出してないから……え~と……樹の国で森賊と戦ったのが四月中旬ぐらいだから五ヶ月くらい前?」
「全然激しい運動はしてませんね。体重を測ってみましょうか」
そう言うと、体重計を引っ張り出してきた。
「そんなのうちにあったの?」
「そろそろ必要になるかと思い、昨日部品を揃えて作っておきました」
何でだ?
「さあ、乗ってみてください。ちなみにお太りになられる前は四十五キロ程度、少しだけ標準体重を外れますが健康的な体重でした」
「そんなのに乗らなくたって、あなたが口頭で言えば良いだけなんじゃない? 私の体重だって把握してるでしょ?」
「実際に数字で見て、『ショックを受けて』、現実として受け止めるのが大事なのです」
ショック!? 今ショックって言った!? そんなにショックを受けるほどの重さなの!?
そ、そんなに変わってない、変わってないはずだ!
心の中で言い聞かせながら、右足、左足と順番に乗せていく。
「さんじゅういち……! アルトラ様……ほんの少しだけ宙に浮いて体重を減らそうとするのはおやめください」
ちっ、バレたか……
観念して全体重をかける。
「ななじゅう――」
七十!?
「――きゅうキロ」
七十九キロ!? もう八十キロ目前じゃないの!? 倍近く太ったってこと!?
人間だった頃含めて、そんな体重になったの初めてだよ!?
百四十二センチで八十キロって、もしかして私、他のヒトから見たら物凄く太く見えてるんじゃ……?
「な……何でこんな重く……?」
現実を突きつけられ、膝から崩れ落ちた。
「ど、どうしたら良い!?」
「でしたら、私と模擬戦でもしましょうか」
「模擬戦って……魔法無しの?」
「いえ、魔法はカロリーも沢山消費するのでバンバン放ちましょう」
「でも、私たちが本気で魔法の打ち合いしたら、町が荒野に成りかねないけど……」
「赤龍峰の北約四十キロほど離れたところに誰も住んでない無人島がありますので、そこへ行きましょう。フレアハルト様とクリュー様にもお手伝いをお願いして」
◇
と言うわけで、カイベルを抱えて、フレアハルト、クリューと共にアルトレリアから四十キロほど離れた無人島にやってきた。
ここへ来る前にリーヴァントに事情と出かける旨を話したところ――
『ああ……はい……了解しました……』
と、半ば呆れた顔で了承してくれた。
その時『だんだん太っていってるのを』言いたくても言えなかったというような辛そうな表情をしていて、ちょっと申し訳ない気持ちになった……
そして、無人島に来るまでの行程がまたちょっと苦労した、飛行高度が中々上がらず、速度も以前より遅かった。
太ったことをちょっとだけ実感……
◇
「さてとりあえず、お三方ともこれに着替えてください」
「何これ?」
「スポーツウェアです。私のアドバイスでエルフィーレ様のお店で売り出すようになりました」
おぉ……ジャージだ! 遂にアルトレリアに運動の概念が入ってきたか!
「私たちのもあるんですか? 用意が良いですね」
「運動するための服だと? 地球ではそんな服もあるのか? それは我も着替えねばならぬのか?」
「雰囲気も大事ですので」
と言うわけで、みんなジャージに。
「地球務めで死んだ人の魂をあの世へ導く役目をしている時に、学生がこういう服を着ているのを見てちょっと憧れがあったから着られて嬉しいですよ」
「しかし、この服を着せられるとドラゴン形態に変身はできんな。破れてしまう」
私も着替えてみたものの……
何でこんなにお腹出てるの……?
「わはははは! 何だその格好は?」
「あはは、ちょっと太り過ぎちゃったね」
「カイベル……このスポーツウェア、生地が全然足りてないんだけど……」
「申し訳ありません、痩せていた頃のデータで作成を依頼してしまいまして……うっかりしていました」
絶対わざとやったな?
カイベルがこんなケアレスミスするわけがない。
「カイベル……わざとやったね?」
「…………申し訳ありません、その生地の長さが痩せていた時にちょうど良い大きさでしたので」
ちょうど良い大きさ?
ああ……このスポーツウェアは、私が“痩せていた時の体型にちょうど合う”生地の量ってわけか。つまり『このスポーツウェアがちょうど良くなるまで痩せろ』と、そう言いたいわけね。
「わかったよ……ちゃんと痩せます……私もこのままではみっともないし」
「こちらの意図を汲み取っていただき、ありがとうございます」
よし! 今日も日課の散歩兼パトロールだ!
と意気揚々と町に出たものの……何だか最近町民の目が冷たい気がする……
私何かしたかしら?
何かしたにしても、全員にそんな目で見られるのはおかしい。
「こんにちは、フリアマギアさん」
今日もゼロ距離ドアの解析に勤しんでいる。
「ああ、こんにちはアルトラ殿」
と、態度が以前と変わらないのは彼女くらい。と言うかドア調べてる時はドアにしか興味が無い。
◇
ナナトスと遭遇。
「あ、アルトラ様こんにちわッス! 今日も太っ腹ッスね!」
太っ腹? 最近ナナトスに何かおごった覚えは無いけど……
「何で太っ腹?」
「? そんなの見れば分かるじゃないッスか!」
何言ってるか分からない……
しかし、それに対する答えを聞こうと考えを巡らせてるうちに離れて行ってしまった。
◇
今度はフレアハルトと遭遇。
何となく険しい顔で話しかけられた。
「……アルトラ……お主最近何か感じぬか? 身体が重いとか」
「身体が? いや別に……」
重い? 最近空飛んでないから分からないな……
「…………アリサ、何か言ってやれ」
「わたくしですか!? い、いえ、人それぞれですので……それにこの町も豊かになってきましたし、少しくらいは……」
「………………じゃあレイア、何か言ってやれ」
「アルトラ様、初めて会った時と比べると随分丸くなったよねぇ……」
「丸く?」
私はずっと自分的には (性格が)丸いつもりだったけど。そんなに尖ってたかしら?
みんな一様に何か言いたそうに口を濁す。
何でこんなによそよそしいの?
一体何の不評を買ったのかしら? 心当たりが無い……
◇
そして家でもリディアとネッココからそんな目で見られるようになった気がする……
翌朝――
「アルトラ……起きたばかりなのにもうお菓子食べてるのカ? 最近いつも何か食ってんナ!」
「え? そうかしら? 私そんなに頻繁に何か食べてる?」
「明らかに昔より食べる量増えたゾ!」
『そうよ! 私には頻繁にオレンジジュース飲むなって言うくせに!』
まあ、私、元『暴食』の大罪だから太らないし~。
「アルトラ様……」
「なに?」
「最近ちょっと太り過ぎなのではないですか?」
「太り過ぎ? 私が? そんなバカな、私は元『暴食』の大罪よ?」
「………………」
それを聞いたカイベルが紙に何か書き出した。
無言でそれを見せられる。
┌─────────────────────────┐
ぼうしょく
【暴食】
《名・ス自》無茶苦茶に食べること。
度を越してむやみに食べること。
活用「暴飲―」
└─────────────────────────┘
「暴食の大罪だからと言って、それが太らない理由にはなりません」
「リディアも最近そう思ってタ。アルトラ、明らかに以前より太っタ!」
『私もそう思ってたわ! アルトラ最近常に何か口にしてるもの!』
「フフッ……三人とも消費を抑えようとしているんじゃない? 最近はアルトレリアでも食料生産が多くなってきたから問題無いよ。私もある程度お金持ちになったし」
「いえ、明らかに身体の大きさに対して食べ過ぎです」
「え~、嘘でしょ? ご飯だって最近はあなたたちが文句言うから一食で三杯しか食べてないし!」
「その小さい身体で、一食三杯、それもどんぶり飯三杯は食べ過ぎです」
最近この二人のお小言が多くなってきた……何かにつけて食べ過ぎてる食べ過ぎてるって言われるのよね……
「アルトラが食べ過ぎるト、リディアとクリューの分が無くなるんだからナ!」
クリューの分は別にええやろ……この家の居候でもないし。
「何でそんなにご飯が少なくなったの?」
「アルトラ様がどんどんお太りになられていくので、その分減らして調整していたのですよ。それでもあなたは外で食べてくるので……」
え? 最近我が家のご飯の量が減ったのって、私の所為なの?
「この間なんテ、『今日ご飯無いんですか!?』ってクリュー嘆いてたんだゾ?」
何で当然のように我が家で食べる気でいるのよ!
食費払ってるのかしら?
「太ってる太ってるって、食生活だって今までと大して変わらないんだから、太るわけないんだけど……?」
「いえ、最近は他国の関係者の方々との会食も増えましたし、それに付け加えて家でも食べるのでは明らかに食べ過ぎです。会食で会う方々も愛想笑いしていたりしませんでしたか?」
「さ、さあ?」
思い返してみれば、一部のヒトは目の奥が笑ってなかった気も……
「その体型をご覧ください」
そう言いながら、カイベルが物質魔法で姿見を作り出す。
そこに映っていたのは、身体がかなりふっくらしてしまった私……いや、ふっくらと言うよりデ……
「うわっ! ホンマやっ!」
いやいや……ハハハ……
「カ、カイベル……こ、この鏡、横に伸びるように映る鏡なんじゃないの? またまた~私を担ごうとして~」
「…………はぁ……少々思考回路がおかしくなってますね。思考が太った人のソレになってきてますよ? ではご自分で鏡を作って確認してみてはいかがですか?」
そう言われては自分で確認するしかない。
物質魔法で姿見を生成する。
そんなわけない……そんなわけが……
生前だってあんなに大食いだったのに、標準体型を外れたことはない! むしろちょっと痩せてたくらいだ!
恐る恐る自分で作った姿見を覗き込むと――
え?
これがホントに私!?
何だこのパジャマからはみ出した下っ腹は……?
ムニッ
手で掴めてしまう……
「な……何でこんな姿なの!? いつから!?」
「ここ最近急にお太りになられましたね……」
町民の冷めた目はこれのことだったのか!?
そういえば……無意識に洗面所の鏡を見ないようにしてたような気も……しっかり自分の顔を見たのはいつだっただろう……?
でも、よくよく考えてみれば、最近は確かに屈んだ時にお腹の辺りが邪魔で苦しかった覚えも……
あ、でも太ったお蔭か、ちょっとだけ胸があるわ。
死んでから久しぶりに見る多少大きくなった胸。久しぶりだからと揉んでみる。う~ん懐かしい……
生前も細身だったからそこまで大きくはなかったけど、転生した身体は『虚しい乳』と書いて虚乳も良いところだし。
当分の間このままでも良いかな……
と、少しの間モミモミしていると――
「…………アルトラ……何やってんダ?」
『…………バカじゃないの?』
リディアとネッココにすっげぇ冷たい目で見られた……
と言うか揉めるようになったのは胸だけじゃない!! むしろ胸より腹肉の方が出っ張ってる気がする!!
何でこんなことに!?
今まではどれだけ食べても太らなかったのに……
あ!
「まま、まさか……これが『暴食』の大罪との繋がりが薄れてきている兆候!?」
「そのようですね」
「じゃあ、もしかして健康診断の時に、自分が予想してた体重より少し重かったのも……?」
「あの辺りから太ってきていたのでしょう」
終わった……私の大食いライフが終わった……
「遊びに行ってくるヨ………………アルトラはもっと痩せてた方が好きだナ……」
『庭で日向ぼっこしてるわ……私がこの家来た時はそんなだらしない体型じゃなかったのにね……』
ガーン!!
二人とも捨て台詞を吐くように家を出て行った……
「ダイエットしましょう! 主人がこんな状態では私も恥ずかしいです!」
あれ~? おかしいな……恥の機能なんて付けてないはずなのに……
「でも、私ちょっと動いたくらいじゃ疲れないよ?」
「そうでしょうか? その体型でそう言えますか? 最近激しく動いたのはいつだったでしょうか?」
「う……う~ん……確か……火の国の砂賊の時は私は手を出してないから……え~と……樹の国で森賊と戦ったのが四月中旬ぐらいだから五ヶ月くらい前?」
「全然激しい運動はしてませんね。体重を測ってみましょうか」
そう言うと、体重計を引っ張り出してきた。
「そんなのうちにあったの?」
「そろそろ必要になるかと思い、昨日部品を揃えて作っておきました」
何でだ?
「さあ、乗ってみてください。ちなみにお太りになられる前は四十五キロ程度、少しだけ標準体重を外れますが健康的な体重でした」
「そんなのに乗らなくたって、あなたが口頭で言えば良いだけなんじゃない? 私の体重だって把握してるでしょ?」
「実際に数字で見て、『ショックを受けて』、現実として受け止めるのが大事なのです」
ショック!? 今ショックって言った!? そんなにショックを受けるほどの重さなの!?
そ、そんなに変わってない、変わってないはずだ!
心の中で言い聞かせながら、右足、左足と順番に乗せていく。
「さんじゅういち……! アルトラ様……ほんの少しだけ宙に浮いて体重を減らそうとするのはおやめください」
ちっ、バレたか……
観念して全体重をかける。
「ななじゅう――」
七十!?
「――きゅうキロ」
七十九キロ!? もう八十キロ目前じゃないの!? 倍近く太ったってこと!?
人間だった頃含めて、そんな体重になったの初めてだよ!?
百四十二センチで八十キロって、もしかして私、他のヒトから見たら物凄く太く見えてるんじゃ……?
「な……何でこんな重く……?」
現実を突きつけられ、膝から崩れ落ちた。
「ど、どうしたら良い!?」
「でしたら、私と模擬戦でもしましょうか」
「模擬戦って……魔法無しの?」
「いえ、魔法はカロリーも沢山消費するのでバンバン放ちましょう」
「でも、私たちが本気で魔法の打ち合いしたら、町が荒野に成りかねないけど……」
「赤龍峰の北約四十キロほど離れたところに誰も住んでない無人島がありますので、そこへ行きましょう。フレアハルト様とクリュー様にもお手伝いをお願いして」
◇
と言うわけで、カイベルを抱えて、フレアハルト、クリューと共にアルトレリアから四十キロほど離れた無人島にやってきた。
ここへ来る前にリーヴァントに事情と出かける旨を話したところ――
『ああ……はい……了解しました……』
と、半ば呆れた顔で了承してくれた。
その時『だんだん太っていってるのを』言いたくても言えなかったというような辛そうな表情をしていて、ちょっと申し訳ない気持ちになった……
そして、無人島に来るまでの行程がまたちょっと苦労した、飛行高度が中々上がらず、速度も以前より遅かった。
太ったことをちょっとだけ実感……
◇
「さてとりあえず、お三方ともこれに着替えてください」
「何これ?」
「スポーツウェアです。私のアドバイスでエルフィーレ様のお店で売り出すようになりました」
おぉ……ジャージだ! 遂にアルトレリアに運動の概念が入ってきたか!
「私たちのもあるんですか? 用意が良いですね」
「運動するための服だと? 地球ではそんな服もあるのか? それは我も着替えねばならぬのか?」
「雰囲気も大事ですので」
と言うわけで、みんなジャージに。
「地球務めで死んだ人の魂をあの世へ導く役目をしている時に、学生がこういう服を着ているのを見てちょっと憧れがあったから着られて嬉しいですよ」
「しかし、この服を着せられるとドラゴン形態に変身はできんな。破れてしまう」
私も着替えてみたものの……
何でこんなにお腹出てるの……?
「わはははは! 何だその格好は?」
「あはは、ちょっと太り過ぎちゃったね」
「カイベル……このスポーツウェア、生地が全然足りてないんだけど……」
「申し訳ありません、痩せていた頃のデータで作成を依頼してしまいまして……うっかりしていました」
絶対わざとやったな?
カイベルがこんなケアレスミスするわけがない。
「カイベル……わざとやったね?」
「…………申し訳ありません、その生地の長さが痩せていた時にちょうど良い大きさでしたので」
ちょうど良い大きさ?
ああ……このスポーツウェアは、私が“痩せていた時の体型にちょうど合う”生地の量ってわけか。つまり『このスポーツウェアがちょうど良くなるまで痩せろ』と、そう言いたいわけね。
「わかったよ……ちゃんと痩せます……私もこのままではみっともないし」
「こちらの意図を汲み取っていただき、ありがとうございます」
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悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。
一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。
病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~
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【短いあらすじ】
普通を勘違いした魔界育ちの少女が、王都に旅立ちうっかり無双してしまう話(前世は病院少女なので、本人は「超健康な身体すごい!!」と無邪気に喜んでます)
【まじめなあらすじ】
主人公のフィアナは、前世では一生を病院で過ごした病弱少女であったが……、
「健康な身体って凄い! 神さま、ありがとう!(ドラゴンをワンパンしながら)」
転生して、超健康な身体(最強!)を手に入れてしまう。
魔界で育ったフィアナには、この世界の普通が分からない。
友達を作るため、王都の学園へと旅立つことになるのだが……、
「なるほど! 王都では、ドラゴンを狩るには許可が必要なんですね!」
「「「違う、そうじゃない!!」」」
これは魔界で育った超健康な少女が、うっかり無双してしまうお話である。
※他サイトにも投稿中
※旧タイトル
病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
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