449 / 591
第16章 大使就任とアルトレリア健康計画編
第440話 深度計を携えて穴掘り再開!
しおりを挟む
一週間後――
「ヘパイトスさん!」
「おっ、来たか。深度計できてるぞ」
渡されたのは手のひらに乗るくらいの大きさで、土星のような形をした円盤型の何か。形だけ見ればひと昔前のUFOみたいに見える。
てっきり手で持って使う計器のように、メーターとか数字カウンターとかが付いてる機械を渡されると思ってたから呆気にとられた。
「何か変わった形ですね。どうやって使うんですか? こんな形でも手に持って使うものですか?」
「いや、手に持って使うのは面倒だろ。片手塞がるから穴掘るにも不便だろうし。だから手で持たずに使えるようにした。まずは電源を入れる。その後に深度を測りたい穴のてっぺんから投げ落としてくれ、それだけで測れる」
「投げ落とす? 穴が深かったら底に激突した時に壊れませんか?」
「スイッチが入ってれば激突せずに壁面や突起を自動で避けて落ちて行く。穴の底付近まで落ちたら地面から二十センチ程度のところで浮かんで空中に停止する」
「え!? 凄いですね! それで測るにはどうすれば?」
「ここに表示モニターがあって投げ落としたところから地面までの距離を表示してくれる。実演してみるか?」
そう言うとヘパイトスさんは、深度計のスイッチを入れ、自身の手から落下させる。
説明通り、落とされた深度計は地面ギリギリでホバリングして停止。
「おお! それで!?」
「ここに深さが表示されている。え~と……今の高さで五十四センチだな。これを穴の一番上からやれば底に着いた時に深度が分かる」
「へぇ~、なるほど~。どういう仕組みなんですか?」
「落下し始めた地点から穴の底までの距離をレーザーで検出する。同じく、周囲十八か所へレーザーを放ってその反射によって物体の有無を検出し、最初に落とした位置からの距離を計算して算出する」
「あ~、うん……なるほど……」
「もっと詳しく説明した方が良いか?」
「いえいえ! 使い方だけで十分です!」
聞いておいてなんだけど、説明されても分からんし……
「でも気圧とかで算出するんじゃないんですね」
「お、そっちの方が良かったか? 先にそっちを作ってたんだが、不具合があるのに気付いてやめたんだ」
「どういった不具合が?」
「気圧で算出すると、大きい気圧の変化があった時に正確に測れなくなる。例えば嵐が来た場合とかな。その他にも地中に溜まった気体の圧力によっては気圧が変わる場所があるから、そういった場所でも上手く測れない」
「その場その場で調整できないんですか?」
「まあ、ある程度は可能だよ。だがいつも同じ規模の嵐が来るわけではないし、いつも同じ気体が溜まっていたり、同じ濃度ってわけでもない。そういうところで誤差が出てしまう。それなら落下地点からの計測の方が正確だろう思ってな」
「なるほど」
「一応持って行くか? 機能としての不具合は無いと思うが」
「いや、根本的な不具合があるものを持って行っても……」
「そりゃそうか。ああそうだった、毒ガスを検出する機能も付けておいたぞ」
至れり尽くせりだな。
「地中深くに古代遺跡を作ってるってことは、“いずれは古代遺跡が発見されないといけない”んだろ? まあ毒に強い種族とかもいるからどの種族を基準にするか悩んだんだが、あまり毒に強くないワシらドワーフを基準にすることにした。そこにドワーフに効くような毒が出てたら、安全に発掘なんてできんからな」
穴掘るってことは毒ガスとか出てくる可能性もあるのか。そこには全く気付かなかった。
もし毒ガスが出てても、私の身体は毒を無効化するから気付けないしね。
「だとしたら人間を基準にしたらどうですか? 人間はかなり脆弱ですよ? 少しの細菌で腹痛や食中毒を起こしますし」
「その人間がどこにいるんだ? ワシは妻以外に人間を見たことがない」
「あっ……」
魔界にいる“人間らしき”生物は、大抵亡者だった。
そういえば死なずに魔界に来る人間って稀なんだっけ。
「じゃあ息子さんやヤポーニャさんは? 彼女らはハーフですよね?」
「あれらはドワーフの血が強い。もしかしたらワシより丈夫かもしれんぞ? 二人ともワシよりでかいし。そういうわけで、毒に対する基準はドワーフで問題無いだろ」
そういえば以前フィンツさんたちが食中毒起こしてたし、実はドワーフの免疫力って人間と大差無いのかしら? (第375話から第378話参照)
「もし毒ガスが出てた場合はどうすれば?」
「ワシが中和装置を作ってやるから安心しろ。そういうシステムがあってこそ古代遺跡だろ?」
それはむしろ最新のシステムな気がするけど……
「ああ、もし毒の検出を確認したら深度計を持って来てくれ。何の毒を検出したのか分かるようにしてある」
「分かりました。ところで、この深度計の動力源は何ですか?」
「電気だよ。しかし魔力動力変換にしておいたから、お前さんが魔力の補充をしてやれば魔力切れになるまでは使い続けられる」
じゃあ充電とかは必要無いってことか。
「そうそうそれと、顔認証しておけばお前さんの後を追って付いて来てくれるようにしておいたぞ」
おお! 自動追尾のドローンみたいだ。
「そのまま下へ下へ掘り進んで行けば、こいつも自動的に深さを更新していってくれる。一度中断しても直前まで作業していた地形を記憶するから、前回中断したところから始めれば深度はそこから更新するようになっている。あと、認証者と距離が離れると警告音を出す。大体五メートルくらいだな。例えばお前さんか深度計のどちらかがどこか深い穴とかに落下して離れてしまったとか」
「なるほど」
「それと、ラジオ機能を付けた。聞きながら作業できるぞ。何か聞きながらの方が楽しく穴掘れるだろ」
オプションまで!?
「でも、地下で電波が届くんですか?」
「届かんよ」
「じゃあ何でその機能付けたんですか!」
冗談のようなやり取りに少しニヤけながら聞いてみると――
「紋章術符を貼り付けて魔道具に仕立てた。まあ貼り付けた術符は近くの店で売られてる市販品の安物だからそれほど精度は良くないがな。それとこいつも持って行け」
と渡されたのは同じく紋章術が貼り付けられたアンテナ?
「そのアンテナと深度計の紋章は一対になっていて、アンテナ側の紋章が入力、深度計側が出力になっている」
「う~ん……ん?」
「つまり、アンテナをどこか電波を拾えるところに立てておけば、貼り付けた紋章を通して拾った電波の音が深度計に届く」
「おお、凄い! こんな電波の通し方もあるんですね」
電波が届かないところへ届かせるとは、この世界ならではの機能だ。
「それとこれも持ってけ」
手渡されたのは、深度計と同じような形の機械。ただし、表面の上部分に太陽のような放射状の印が描かれている。
「こっちは何ですか?」
「光源だよ。地下だと暗いだろ? 掘るのに明かりがあった方が良いと思ってな」
明かりのことまで考えてくれたのか!
光魔法があるからそれほど必要というわけでもないが、ご厚意はありがたくいただいておこう。
「こっちはどうやって使うんですか?」
「深度計の方にそいつのスイッチも付けてある。そいつは深度計の動きにリンクして動く。あと深度計同様に壁面や突起を自動で避ける」
あ、これか。魔界文字で書かれた『L』と『H』に似た字の隣にボリュームのようなつまみがある。
『L』と『H』は、多分『明るさ』と『高さ』の頭文字かな?
「その『L』のつまみで光量を調整できる。左に寄せるほど暗くなり、右に寄せるほど明るくなる。左の端へ寄せれば完全に明かりを消せる」
「おぉ、なるほど」
「高さ調整はその下の『H』文字のつまみで調整してくれ。そのつまみを左に寄せるほど深度計と近いところを飛び、右に寄せるほど高くまで上昇する」
「穴の中で右に寄せ過ぎると天井にぶつかったりしませんか?」
「心配するな。そこもちゃんと考えてある。深度計と逆で天井から二十センチ下くらいをホバリングするように設定してある。それにプロペラで動いてるわけではないから多少ぶつかったくらいなら墜落することはない」
これが高低の調整つまみか。どれくらい高いところまで行くんだろう。試しに目いっぱい右に寄せてみるか。
「ああ、つまみを目いっぱい右に寄せると際限無く上昇する。天井が無いところでは多分成層圏付近まで行ってしまうから注意してくれ」
「えっ!?」
あっぶねぇ……試そうとスイッチに手をかけたところだった……
「今試そうとしただろ?」
見透かしてるようにニヤニヤしている。
「ま、まさかぁ……流石にそんなにお転婆じゃないですよ……」
まあやろうとしたんだけどね。
「目いっぱい右に寄せたところで、つまみを左に戻せば降りてくるから問題無いけどな」
それもそうか。何も超高速で上昇するってわけじゃないし、降りてくるように仕向ければ良いだけの話か。
「何から何までありがとうございます!」
毒ガスや光のこと、更には退屈しのぎまで考えてくれてる!
「それでおいくらになりますか?」
「二十万ウォルだな。期待感を込めて十万ウォルに負けておくよ」
「いやいやいや、半額って」
「まだまだアルトレリアの財政そんなに潤ってないはずだろ?」
「いや、これはアルトレリア関係無く、私個人のことなので……」
「気にするな。期待感を込めてだから」
そうなるとむしろ期待に応えられるかどうかっていうプレッシャーが……
「ま、まあそう言ってくれるならお言葉に甘えて」
「じゃあ古代遺跡の土台が出来たら招き入れてくれ」
「わかりました! ありがとうございます!」
◇
早速、古代遺跡 (予定)に掘った穴の入り口に来た。まずは近くにラジオ用のアンテナを設置。その後穴掘りへ。
「そうだ、せっかくだからこの二機に名前を付けておこう。何が良いかしら……? 深度だから……『ディープくん』、光源の方は『ライトくん』で良いか」
安易な名前だが、これ以上的確な名前も無いだろう。
「え~と、確かスイッチを入れて落とすだけだったよね」
ディープくんのスイッチをオンにし、掘り進めている穴の一番上から落下させた。
ライトくんの方も続けて落とす。
……
…………
………………
「………………何も音はしないな。壁面を避けて落ちて行くって言ってたし、そろそろ底に着いた頃かしら?」
確認はできないが自身も穴の中へ飛び下りる。
うっかり深度計たちを踏んでしまわないように、羽を出現させ、浮力を維持しながら徐々に降下。
……
…………
………………
底に着くと、二機ともホバリングして待っててくれた。
早速ライトくんの光量つまみを動かして明かりを点け、ディープくんの表示モニターを覗き込む。
「さて、ここまでの深度は……五十七メートルか。普通に穴掘ったら半日で十メートル行けるかどうかだろうし、八時間でこれなら結構掘れてる方かも。微細振動スコップのお蔭かな?」
私が来たためか、ソイルワンとソイルツーが起動。
「おはよう二人とも。今日もお願いね」
二体ともコクッと頷く。
ラジオを付けながら作業しようとしたところ、早速歌が聞こえてきた。
『……穴掘りえんやこ~ら~♪ 畑をえんやこ~ら~♪……』
「フフッ……何だこの歌……」
『この場に似合いすぎだろ!』と思い失笑してしまった。
どうやら樹の国近辺で大分昔に流行った『おイモ掘りのうた』という歌らしい。
その後、ラジオから聞こえてきたことによると――
『……国内情報です。水の国との技術提携によりテレビのカラー化が早まることが予想され……』
『……本日未明、トールズ繁華街にて殺人事件が起こり、犯人は現在も逃走しております……目撃者によると犯人の特徴は……』
『……本日の雷予報です。本日の落雷は少なく、列車の遅延は少ないと考えられます……』
あ、これ……樹の国のラジオかと思ったけど、雷の国のラジオっぽいな。
『……国外ニュースです。氷の国のクーデターによる混乱は、依然残っているものの、先日行われた新たな氷の魔王のお披露目式により、ある程度は沈静化されてきたと見られ……』
『……先日、風の国属国のヴイントルで、ジャイアントアントの集団が目撃され、近隣諸国に緊張が広まっており……』
『……樹の国ではブドウが豊作で今年のユグドグラン産のワイン『モジョレースーボー』は百年に一度の味わいと絶賛されています……』
『……速報です! たった今火の国東部の属国フランメラにて議会が占拠されたとの情報がありました。現在治安部隊と反政府組織『宵の明星』との間で争いが勃発しており……』
ラジオって世界情勢とか、色んな国の情報を得られて中々有用ね。これ付けてくれたヘパイトスさんには感謝だわ。
平和な話題もあるものの、魔界はいまだ物騒な話題が多そうだ。
『……終わりに、本日の通貨レートの情報です。
水の国通貨:0.95
雷の国通貨:1.08
風の国通貨:1.01
火の国通貨:1.40
氷の国通貨:1.29
土の国通貨:1.12
樹の国通貨:1.00
アルトラルサンズ通貨:1.50』
おぉ!? この国の通貨もお報せされてたのか……各国に注目はしてもらえてるみたいだ。
その後もラジオを聞きながら、ご機嫌に掘り進める。
ソイルワンとソイルツーにもせっせせっせと土を運んでもらい――
「どれくらい掘れたかしら? …………百八メートルか。この分なら二十日くらいで目的の深度まで達しそうだ。さて、今日はここで終わりにしておくか。続きはまた明日」
しかし、その明日はしばらく訪れることはなかった……
この翌日、世界滅亡に陥る可能性を孕んだ自体が起こったのだ。
「ヘパイトスさん!」
「おっ、来たか。深度計できてるぞ」
渡されたのは手のひらに乗るくらいの大きさで、土星のような形をした円盤型の何か。形だけ見ればひと昔前のUFOみたいに見える。
てっきり手で持って使う計器のように、メーターとか数字カウンターとかが付いてる機械を渡されると思ってたから呆気にとられた。
「何か変わった形ですね。どうやって使うんですか? こんな形でも手に持って使うものですか?」
「いや、手に持って使うのは面倒だろ。片手塞がるから穴掘るにも不便だろうし。だから手で持たずに使えるようにした。まずは電源を入れる。その後に深度を測りたい穴のてっぺんから投げ落としてくれ、それだけで測れる」
「投げ落とす? 穴が深かったら底に激突した時に壊れませんか?」
「スイッチが入ってれば激突せずに壁面や突起を自動で避けて落ちて行く。穴の底付近まで落ちたら地面から二十センチ程度のところで浮かんで空中に停止する」
「え!? 凄いですね! それで測るにはどうすれば?」
「ここに表示モニターがあって投げ落としたところから地面までの距離を表示してくれる。実演してみるか?」
そう言うとヘパイトスさんは、深度計のスイッチを入れ、自身の手から落下させる。
説明通り、落とされた深度計は地面ギリギリでホバリングして停止。
「おお! それで!?」
「ここに深さが表示されている。え~と……今の高さで五十四センチだな。これを穴の一番上からやれば底に着いた時に深度が分かる」
「へぇ~、なるほど~。どういう仕組みなんですか?」
「落下し始めた地点から穴の底までの距離をレーザーで検出する。同じく、周囲十八か所へレーザーを放ってその反射によって物体の有無を検出し、最初に落とした位置からの距離を計算して算出する」
「あ~、うん……なるほど……」
「もっと詳しく説明した方が良いか?」
「いえいえ! 使い方だけで十分です!」
聞いておいてなんだけど、説明されても分からんし……
「でも気圧とかで算出するんじゃないんですね」
「お、そっちの方が良かったか? 先にそっちを作ってたんだが、不具合があるのに気付いてやめたんだ」
「どういった不具合が?」
「気圧で算出すると、大きい気圧の変化があった時に正確に測れなくなる。例えば嵐が来た場合とかな。その他にも地中に溜まった気体の圧力によっては気圧が変わる場所があるから、そういった場所でも上手く測れない」
「その場その場で調整できないんですか?」
「まあ、ある程度は可能だよ。だがいつも同じ規模の嵐が来るわけではないし、いつも同じ気体が溜まっていたり、同じ濃度ってわけでもない。そういうところで誤差が出てしまう。それなら落下地点からの計測の方が正確だろう思ってな」
「なるほど」
「一応持って行くか? 機能としての不具合は無いと思うが」
「いや、根本的な不具合があるものを持って行っても……」
「そりゃそうか。ああそうだった、毒ガスを検出する機能も付けておいたぞ」
至れり尽くせりだな。
「地中深くに古代遺跡を作ってるってことは、“いずれは古代遺跡が発見されないといけない”んだろ? まあ毒に強い種族とかもいるからどの種族を基準にするか悩んだんだが、あまり毒に強くないワシらドワーフを基準にすることにした。そこにドワーフに効くような毒が出てたら、安全に発掘なんてできんからな」
穴掘るってことは毒ガスとか出てくる可能性もあるのか。そこには全く気付かなかった。
もし毒ガスが出てても、私の身体は毒を無効化するから気付けないしね。
「だとしたら人間を基準にしたらどうですか? 人間はかなり脆弱ですよ? 少しの細菌で腹痛や食中毒を起こしますし」
「その人間がどこにいるんだ? ワシは妻以外に人間を見たことがない」
「あっ……」
魔界にいる“人間らしき”生物は、大抵亡者だった。
そういえば死なずに魔界に来る人間って稀なんだっけ。
「じゃあ息子さんやヤポーニャさんは? 彼女らはハーフですよね?」
「あれらはドワーフの血が強い。もしかしたらワシより丈夫かもしれんぞ? 二人ともワシよりでかいし。そういうわけで、毒に対する基準はドワーフで問題無いだろ」
そういえば以前フィンツさんたちが食中毒起こしてたし、実はドワーフの免疫力って人間と大差無いのかしら? (第375話から第378話参照)
「もし毒ガスが出てた場合はどうすれば?」
「ワシが中和装置を作ってやるから安心しろ。そういうシステムがあってこそ古代遺跡だろ?」
それはむしろ最新のシステムな気がするけど……
「ああ、もし毒の検出を確認したら深度計を持って来てくれ。何の毒を検出したのか分かるようにしてある」
「分かりました。ところで、この深度計の動力源は何ですか?」
「電気だよ。しかし魔力動力変換にしておいたから、お前さんが魔力の補充をしてやれば魔力切れになるまでは使い続けられる」
じゃあ充電とかは必要無いってことか。
「そうそうそれと、顔認証しておけばお前さんの後を追って付いて来てくれるようにしておいたぞ」
おお! 自動追尾のドローンみたいだ。
「そのまま下へ下へ掘り進んで行けば、こいつも自動的に深さを更新していってくれる。一度中断しても直前まで作業していた地形を記憶するから、前回中断したところから始めれば深度はそこから更新するようになっている。あと、認証者と距離が離れると警告音を出す。大体五メートルくらいだな。例えばお前さんか深度計のどちらかがどこか深い穴とかに落下して離れてしまったとか」
「なるほど」
「それと、ラジオ機能を付けた。聞きながら作業できるぞ。何か聞きながらの方が楽しく穴掘れるだろ」
オプションまで!?
「でも、地下で電波が届くんですか?」
「届かんよ」
「じゃあ何でその機能付けたんですか!」
冗談のようなやり取りに少しニヤけながら聞いてみると――
「紋章術符を貼り付けて魔道具に仕立てた。まあ貼り付けた術符は近くの店で売られてる市販品の安物だからそれほど精度は良くないがな。それとこいつも持って行け」
と渡されたのは同じく紋章術が貼り付けられたアンテナ?
「そのアンテナと深度計の紋章は一対になっていて、アンテナ側の紋章が入力、深度計側が出力になっている」
「う~ん……ん?」
「つまり、アンテナをどこか電波を拾えるところに立てておけば、貼り付けた紋章を通して拾った電波の音が深度計に届く」
「おお、凄い! こんな電波の通し方もあるんですね」
電波が届かないところへ届かせるとは、この世界ならではの機能だ。
「それとこれも持ってけ」
手渡されたのは、深度計と同じような形の機械。ただし、表面の上部分に太陽のような放射状の印が描かれている。
「こっちは何ですか?」
「光源だよ。地下だと暗いだろ? 掘るのに明かりがあった方が良いと思ってな」
明かりのことまで考えてくれたのか!
光魔法があるからそれほど必要というわけでもないが、ご厚意はありがたくいただいておこう。
「こっちはどうやって使うんですか?」
「深度計の方にそいつのスイッチも付けてある。そいつは深度計の動きにリンクして動く。あと深度計同様に壁面や突起を自動で避ける」
あ、これか。魔界文字で書かれた『L』と『H』に似た字の隣にボリュームのようなつまみがある。
『L』と『H』は、多分『明るさ』と『高さ』の頭文字かな?
「その『L』のつまみで光量を調整できる。左に寄せるほど暗くなり、右に寄せるほど明るくなる。左の端へ寄せれば完全に明かりを消せる」
「おぉ、なるほど」
「高さ調整はその下の『H』文字のつまみで調整してくれ。そのつまみを左に寄せるほど深度計と近いところを飛び、右に寄せるほど高くまで上昇する」
「穴の中で右に寄せ過ぎると天井にぶつかったりしませんか?」
「心配するな。そこもちゃんと考えてある。深度計と逆で天井から二十センチ下くらいをホバリングするように設定してある。それにプロペラで動いてるわけではないから多少ぶつかったくらいなら墜落することはない」
これが高低の調整つまみか。どれくらい高いところまで行くんだろう。試しに目いっぱい右に寄せてみるか。
「ああ、つまみを目いっぱい右に寄せると際限無く上昇する。天井が無いところでは多分成層圏付近まで行ってしまうから注意してくれ」
「えっ!?」
あっぶねぇ……試そうとスイッチに手をかけたところだった……
「今試そうとしただろ?」
見透かしてるようにニヤニヤしている。
「ま、まさかぁ……流石にそんなにお転婆じゃないですよ……」
まあやろうとしたんだけどね。
「目いっぱい右に寄せたところで、つまみを左に戻せば降りてくるから問題無いけどな」
それもそうか。何も超高速で上昇するってわけじゃないし、降りてくるように仕向ければ良いだけの話か。
「何から何までありがとうございます!」
毒ガスや光のこと、更には退屈しのぎまで考えてくれてる!
「それでおいくらになりますか?」
「二十万ウォルだな。期待感を込めて十万ウォルに負けておくよ」
「いやいやいや、半額って」
「まだまだアルトレリアの財政そんなに潤ってないはずだろ?」
「いや、これはアルトレリア関係無く、私個人のことなので……」
「気にするな。期待感を込めてだから」
そうなるとむしろ期待に応えられるかどうかっていうプレッシャーが……
「ま、まあそう言ってくれるならお言葉に甘えて」
「じゃあ古代遺跡の土台が出来たら招き入れてくれ」
「わかりました! ありがとうございます!」
◇
早速、古代遺跡 (予定)に掘った穴の入り口に来た。まずは近くにラジオ用のアンテナを設置。その後穴掘りへ。
「そうだ、せっかくだからこの二機に名前を付けておこう。何が良いかしら……? 深度だから……『ディープくん』、光源の方は『ライトくん』で良いか」
安易な名前だが、これ以上的確な名前も無いだろう。
「え~と、確かスイッチを入れて落とすだけだったよね」
ディープくんのスイッチをオンにし、掘り進めている穴の一番上から落下させた。
ライトくんの方も続けて落とす。
……
…………
………………
「………………何も音はしないな。壁面を避けて落ちて行くって言ってたし、そろそろ底に着いた頃かしら?」
確認はできないが自身も穴の中へ飛び下りる。
うっかり深度計たちを踏んでしまわないように、羽を出現させ、浮力を維持しながら徐々に降下。
……
…………
………………
底に着くと、二機ともホバリングして待っててくれた。
早速ライトくんの光量つまみを動かして明かりを点け、ディープくんの表示モニターを覗き込む。
「さて、ここまでの深度は……五十七メートルか。普通に穴掘ったら半日で十メートル行けるかどうかだろうし、八時間でこれなら結構掘れてる方かも。微細振動スコップのお蔭かな?」
私が来たためか、ソイルワンとソイルツーが起動。
「おはよう二人とも。今日もお願いね」
二体ともコクッと頷く。
ラジオを付けながら作業しようとしたところ、早速歌が聞こえてきた。
『……穴掘りえんやこ~ら~♪ 畑をえんやこ~ら~♪……』
「フフッ……何だこの歌……」
『この場に似合いすぎだろ!』と思い失笑してしまった。
どうやら樹の国近辺で大分昔に流行った『おイモ掘りのうた』という歌らしい。
その後、ラジオから聞こえてきたことによると――
『……国内情報です。水の国との技術提携によりテレビのカラー化が早まることが予想され……』
『……本日未明、トールズ繁華街にて殺人事件が起こり、犯人は現在も逃走しております……目撃者によると犯人の特徴は……』
『……本日の雷予報です。本日の落雷は少なく、列車の遅延は少ないと考えられます……』
あ、これ……樹の国のラジオかと思ったけど、雷の国のラジオっぽいな。
『……国外ニュースです。氷の国のクーデターによる混乱は、依然残っているものの、先日行われた新たな氷の魔王のお披露目式により、ある程度は沈静化されてきたと見られ……』
『……先日、風の国属国のヴイントルで、ジャイアントアントの集団が目撃され、近隣諸国に緊張が広まっており……』
『……樹の国ではブドウが豊作で今年のユグドグラン産のワイン『モジョレースーボー』は百年に一度の味わいと絶賛されています……』
『……速報です! たった今火の国東部の属国フランメラにて議会が占拠されたとの情報がありました。現在治安部隊と反政府組織『宵の明星』との間で争いが勃発しており……』
ラジオって世界情勢とか、色んな国の情報を得られて中々有用ね。これ付けてくれたヘパイトスさんには感謝だわ。
平和な話題もあるものの、魔界はいまだ物騒な話題が多そうだ。
『……終わりに、本日の通貨レートの情報です。
水の国通貨:0.95
雷の国通貨:1.08
風の国通貨:1.01
火の国通貨:1.40
氷の国通貨:1.29
土の国通貨:1.12
樹の国通貨:1.00
アルトラルサンズ通貨:1.50』
おぉ!? この国の通貨もお報せされてたのか……各国に注目はしてもらえてるみたいだ。
その後もラジオを聞きながら、ご機嫌に掘り進める。
ソイルワンとソイルツーにもせっせせっせと土を運んでもらい――
「どれくらい掘れたかしら? …………百八メートルか。この分なら二十日くらいで目的の深度まで達しそうだ。さて、今日はここで終わりにしておくか。続きはまた明日」
しかし、その明日はしばらく訪れることはなかった……
この翌日、世界滅亡に陥る可能性を孕んだ自体が起こったのだ。
1
あなたにおすすめの小説
美化係の聖女様
しずもり
ファンタジー
毒親の仕打ち、親友と恋人の裏切り、人生最悪のどん底でやけ酒を煽り何を思ったのか深夜に突然掃除を始めたら床がドンドンって大きく鳴った。
ゴメン、五月蝿かった?
掃除は止めにしよう、そう思った瞬間、床に現れた円のようなものが光りだした。
気づいたらゴミと掃除道具と一緒に何故か森の中。
地面には気を失う前に見た円が直径3メートルぐらいの大きさで光ってる。
何コレ、どうすればいい?
一方、魔王復活の兆しに聖女を召喚した王城では召喚された筈の聖女の姿が見当たらない。
召喚した手応えはあったものの目の前の床に描かれた魔法陣には誰も居ない。
もしかして召喚先を間違えた?
魔力の残滓で聖女が召喚された場所に辿り着いてみれば聖女はおらず。
それでも魔王復活は待ってはくれない。
それならば聖女を探しながら魔王討伐の旅へ見切り発車で旅する第二王子一行。
「もしかしたら聖女様はいきなり召喚された事にお怒りなのかも知れない、、、、。」
「いや、もしかしたら健気な聖女様は我らの足手まといにならぬ様に一人で浄化の旅をしているのかも知れません。」
「己の使命を理解し果敢に試練に立ち向かう聖女様を早く見つけださねばなりません。」
「もしかして聖女様、自分が聖女って気づいて無いんじゃない?」
「「「・・・・・・・・。」」」
何だかよく分からない状況下で主人公が聖女の自覚が無いまま『異世界に来てしまった理由』を探してフラリと旅をする。
ここ、結構汚れていません?ちょっと掃除しますから待ってて下さいね。掃除好きの聖女は無自覚浄化の旅になっている事にいつ気付くのか?
そして聖女を追って旅する第二王子一行と果たして出会う事はあるのか!?
魔王はどこに?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
不定期更新になります。
主人公は自分が聖女だとは気づいていません。
恋愛要素薄めです。
なんちゃって異世界の独自設定になります。
誤字脱字は見つけ次第修正する予定です。
R指定は無しの予定です。
銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~
雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。
左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。
この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。
しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。
彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。
その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。
遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。
様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。
【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!
胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。
主に5大国家から成り立つ大陸である。
この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。
この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。
かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。
※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!)
※1話当たり、1200~2000文字前後です。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
精霊が俺の事を気に入ってくれているらしく過剰に尽くしてくれる!が、周囲には精霊が見えず俺の評価はよろしくない
よっしぃ
ファンタジー
俺には僅かながら魔力がある。この世界で魔力を持った人は少ないからそれだけで貴重な存在のはずなんだが、俺の場合そうじゃないらしい。
魔力があっても普通の魔法が使えない俺。
そんな俺が唯一使える魔法・・・・そんなのねーよ!
因みに俺の周囲には何故か精霊が頻繁にやってくる。
任意の精霊を召還するのは実はスキルなんだが、召喚した精霊をその場に留め使役するには魔力が必要だが、俺にスキルはないぞ。
極稀にスキルを所持している冒険者がいるが、引く手あまたでウラヤマ!
そうそう俺の総魔力量は少なく、精霊が俺の周囲で顕現化しても何かをさせる程の魔力がないから直ぐに姿が消えてしまう。
そんなある日転機が訪れる。
いつもの如く精霊が俺の魔力をねだって頂いちゃう訳だが、大抵俺はその場で気を失う。
昔ひょんな事から助けた精霊が俺の所に現れたんだが、この時俺はたまたまうつ伏せで倒れた。因みに顔面ダイブで鼻血が出たのは内緒だ。
そして当然ながら意識を失ったが、ふと目を覚ますと俺の周囲にはものすごい数の魔石やら素材があって驚いた。
精霊曰く御礼だってさ。
どうやら俺の魔力は非常に良いらしい。美味しいのか効果が高いのかは知らんが、精霊の好みらしい。
何故この日に限って精霊がずっと顕現化しているんだ?
どうやら俺がうつ伏せで地面に倒れたのが良かったらしい。
俺と地脈と繋がって、魔力が無限増殖状態だったようだ。
そしてこれが俺が冒険者として活動する時のスタイルになっていくんだが、理解しがたい体勢での活動に周囲の理解は得られなかった。
そんなある日、1人の女性が俺とパーティーを組みたいとやってきた。
ついでに精霊に彼女が呪われているのが分かったので解呪しておいた。
そんなある日、俺は所属しているパーティーから追放されてしまった。
そりゃあ戦闘中だろうがお構いなしに地面に寝そべってしまうんだから、あいつは一体何をしているんだ!となってしまうのは仕方がないが、これでも貢献していたんだぜ?
何せそうしている間は精霊達が勝手に魔物を仕留め、素材を集めてくれるし、俺の身をしっかり守ってくれているんだが、精霊が視えないメンバーには俺がただ寝ているだけにしか見えないらしい。
因みにダンジョンのボス部屋に1人放り込まれたんだが、俺と先にパーティーを組んでいたエレンは俺を助けにボス部屋へ突入してくれた。
流石にダンジョン中層でも深層のボス部屋、2人ではなあ。
俺はダンジョンの真っただ中に追放された訳だが、くしくも追放直後に俺の何かが変化した。
因みに寝そべっていなくてはいけない理由は顔面と心臓、そして掌を地面にくっつける事で地脈と繋がるらしい。地脈って何だ?
病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~
アトハ
ファンタジー
【短いあらすじ】
普通を勘違いした魔界育ちの少女が、王都に旅立ちうっかり無双してしまう話(前世は病院少女なので、本人は「超健康な身体すごい!!」と無邪気に喜んでます)
【まじめなあらすじ】
主人公のフィアナは、前世では一生を病院で過ごした病弱少女であったが……、
「健康な身体って凄い! 神さま、ありがとう!(ドラゴンをワンパンしながら)」
転生して、超健康な身体(最強!)を手に入れてしまう。
魔界で育ったフィアナには、この世界の普通が分からない。
友達を作るため、王都の学園へと旅立つことになるのだが……、
「なるほど! 王都では、ドラゴンを狩るには許可が必要なんですね!」
「「「違う、そうじゃない!!」」」
これは魔界で育った超健康な少女が、うっかり無双してしまうお話である。
※他サイトにも投稿中
※旧タイトル
病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~
ヒロイン? 玉の輿? 興味ありませんわ! お嬢様はお仕事がしたい様です。
彩世幻夜
ファンタジー
「働きもせずぐうたら三昧なんてつまんないわ!」
お嬢様はご不満の様です。
海に面した豊かな国。その港から船で一泊二日の距離にある少々大きな離島を領地に持つとある伯爵家。
名前こそ辺境伯だが、両親も現当主の祖父母夫妻も王都から戻って来ない。
使用人と領民しか居ない田舎の島ですくすく育った精霊姫に、『玉の輿』と羨まれる様な縁談が持ち込まれるが……。
王道中の王道の俺様王子様と地元民のイケメンと。そして隠された王子と。
乙女ゲームのヒロインとして生まれながら、その役を拒否するお嬢様が選ぶのは果たして誰だ?
※5/4完結しました。
新作
【あやかしたちのとまり木の日常】
連載開始しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる