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第17章 風の国ストムゼブブ『暴食』の大罪騒乱編
第468話 赤アリを倒すために
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「アスタロト殿はあの赤アリの目的は何だとお考えですか?」
「アルトラ殿の話を聞く限りは……恐らく風の国の戦力を削ぐことではないかと。風の国の魔王代理である私がここに居るのはヤツにとっては好都合でしょう。魔王代理と風の国の精鋭・準精鋭を一網打尽にできる。ここで我々が全員消滅すれば精鋭のほとんどと国のトップを消し去れるのですから、風の国の国防力は大きく減衰します」
「魔王代理のお主がここへ来ることを予想して、自爆要員を配置したと思うか?」
「そこまでは分かりません。恐らくそんなことは考えなかったというのが私の見解です。しかし、ここへ各国の兵士を集めるよう仕向けられたのは事実ですのでこの予想、そして『ヤツの自爆の可能性』は理由としてあり得る話なのではないかと」
「だとするなら、この司令本部を消滅させれば目的が達せられるわけか。カゼハナ部隊隊長殿、巣穴から本部までどれくらいの距離がある?」
風の国本国軍が来るまでカゼハナの巣穴攻略を担っていた部隊隊長に訊ねる。
「五キロほどではないかと」
「あの様子だと、五キロなら三十分もあれば本部までの範囲を消滅させるのに事足りそうだな」
「つまり、タイムリミットはあと三十分以下というわけですか……」
「もう悩んでいる時間は無いな、フレイムハルト!」
「はい、兄上」
「我らでアレを消滅させるぞ!」
「はい」
「どういった作戦を行うのかお聞かせ願えますか?」
「作戦などない。我とフレイムハルトで最強のブレスを叩き込む」
「先ほどあのアリと同等の魔力だと言った例のブレスですか?」
「ああ。今まであまりに広範囲に影響があり過ぎると考えていたためにやったことが無かったがその最強のブレスを二人がかりでやる。あれは我一人のブレスで倒せるような相手ではなさそうだ」
「しかし兄上、大丈夫なのですか? 先日も【インフェルノ・ブレス】を使って喉に怪我を負ったと聞きましたが?」
「さあな、元々違和感すらない。あまり使わない方が良いと思ったのも、医者のアスクに言われたからそうなのだと思っただけだしな。それに仮に痛みがあってもこの状況ではやむを得まい。ここでやらねば我らは全員死ぬのだからな。ああ、そうだお前たち――」
と言いながらレッドドラゴンたちの方を向くフレアハルト。
「――我とフレイムハルト以外に【インフェルノ・ブレス】を使える者はこの中に居るか?」
八人のレッドドラゴンに聞くもみな一様に首を横に振る。誰一人として使える者はおらず。
「そうか、仕方ないな。もう一人くらい居てくれれば確実性があったのだが……」
「二人で【インフェルノ・ブレス】を叩き込むというと、その作戦はお二人が爆心地に身を置くことになるのではないのですか? 大丈夫なのですか?」
「それは……」
「我らにも分からぬな。何せ我ら自身で【インフェルノ・ブレス】を受けたことがないからな」
「直接喰らえば死は免れないと思いますが、着弾した時の爆発・爆風であれば、直接的ではない分ある程度ダメージも軽減されるでしょう。私たちが死ぬことが無いように祈っててください」
そのフレイムハルトの一言に、レッドドラゴンの一人が反応する。
「冗談はやめてください! 継承権のある王子が二人もいなくなっては、族長にどう説明すれば良いか分かりません」
二人とレッドドラゴンたちの話を聞いていたアスタロトが話に割って入る。
「そこまで危険なことを客将のお二人にさせるのは……あちらはたった一匹ですし、まずは我らの部隊が何とか倒せないか試してみるのはどうでしょう?」
「お勧めはしません、と言うよりやめておいた方が良いと思います。様子を見るに、あの赤黒色のアリ……今は光ってしまって既に色の判別は付かなくなりましたが、ヤツが居る場所、その周囲までも地面がドロドロに溶けて溶岩のようになっています。今やあの身体の温度は鉄ですら溶かす温度に達しているとみられます。この騎士団の持つ剣や槍程度ではアリの身体に届く前に溶け落ちる可能性が高いでしょう。そう考えれば火に耐性の無い亜人では恐らく十メートル以内に近付いただけで火傷するレベルです。はっきり言ってしまえば無駄死にします」
アスタロトの提案に、フレイムハルトがすぐさまそれを否定した。
「そ、そこまでの状態なのですか……?」
「いずれにしても火に強い我らがやらなければ全滅だ。今飛んで逃げたところでヤツの自爆からは逃れられんだろうしな。他に選択肢もあるまい。それに……この怪我人の数では逃げることもままならん」
「分かりました……ではこの司令本部の命運はお二人方に託します。よろしくお願いします」
「ふぅ……面倒だがやらなければ我らも死ぬからやらんわけにもいくまい」
そこでアスタロトがフッとした疑問を口にする。
「ところで、なぜ地面がドロドロの溶岩状になっているのにあのアリは沈まないのでしょう?」
「さあ? そこまでは私には分かりません。脚が溶岩に沈まないような構造で出来ている……とかでしょうか? それにどうやら溶岩からも魔力を吸収しているようですね。さっき刺さっていた地面が溶けて副脚が溶岩に沈んでいます」
「もしかしたら、あの副脚が攻略の鍵になるかもしれぬな。まずはあの脚を攻撃して、魔力の供給を強制的に止めさせよう。自爆までの時間を引き延ばせるかもしれん」
今まで黙って話を聞いていたレッドドラゴンたちが、作戦の間に何をすれば良いか役目を問う。
「我々はどうしたら良いですか?」
「お前たちは、私と兄上のブレスの影響から司令本部を守る役目をしてください」
「守る役目と言いますと……?」
「二つの【インフェルノ・ブレス】となるとその爆発力も凄まじいものになるでしょうから、司令本部が焼失しないように全員の【ストーンウォール】で岩壁を作って熱を遮り、更に【火属性軽減】で本部を囲って守ってください」
溶岩の魔力に溢れた場所で生を受け、住処とし、その魔力を糧としているため、“レッド”という色を冠するドラゴンでありながら土魔法の素養も高い。
「しかし我々ではお二人の【インフェルノ・ブレス】を抑えるには至らないと思いますが……」
「ここから司令本部まで五キロほどあるのは聞いていましたね? それだけ離れていれば防御魔法さえしっかりしておけば直ちに焼失は免れるのではないかと思います」
「な、なるほど……わ、わかりました……」
不安を抱きながらも八人のレッドドラゴンはこれを了承。
「アスタロト殿も動ける者全員で司令本部に防御魔法を張り巡らせ、防御に専念してください。もし防御魔法が半端な場合は……ここにいる全員が死亡もあり得るでしょう。生存できるかどうかは、我々がアレを倒せるかどうかと、防御魔法をしっかりかけられているかの二つにかかっています」
「さて、最後にアスタロト殿に了承してもらおう、我々の作戦を受け入れるかどうか」
「是非もありません。いずれにせよ、このままにしておけばあの赤アリの自爆で全員終わりですから」
「了解した。では作戦を開始する。その前にエアリアとやら」
「は、はい! 何でしょう!?」
突然のフレアハルトの名指しに、焦りながら返事をする風の国・空間魔術師見習いエアリア。
「【強制転移】は習得済みか?」
――【強制転移】――
その場に居る者を強制的に別の場所へ転移するアルトラ考案の空間転移魔法。 (第341話参照)
アルトラが直伝したのは、水の国ルイス、樹の国ジョアンニャ、そして風の国イルリースの三人のみで、そこから先は各々の国の空間魔術師が伝授している。
通常の空間転移魔法は、空間に開けた穴へゾロゾロと歩いて入って行かなければならないため、大人数を移動させるためにはそれなりの時間がかかる。そのタイムロスを無くして術者の意志で強制的に転移可能にしたのが【強制転移】である。
「いえ……まだ存じていません」
「そうか……では仕方ないな。今思いつきで【強制転移】でどこか別のところへヤツを飛ばしてしまえばと思ったのだが……」
「しかし、その転移先で爆発されたらここと同じなのでは?」
「まあ、そうだが、海上とかに落とせば鎮火できる可能性があったかと思ってな」
「周囲の海水が大規模に蒸発して大惨事になる可能性もありますが……」
「う、うむ、そうか……まあただの思い付きだからな。本題はもう一つの方だ。エアリア殿、通常の空間転移魔法でも良い、至急我とフレイムハルトを除いたレッドドラゴンを含む全員をこの場所から司令本部へ空間転移させてくれ! 四十人くらいであれば転移可能だろう?」
「そ、そこまでの人数はまだ経験がありませんが……や、やってみます!」
「今から行う作戦は、この辺りに残ればほとんどの亜人や魔人、精霊すらも爆風と放射熱で焼け死ぬでしょう。爆発を直接浴びなくても、レッドドラゴン以外は即死か重度の熱傷にかかると予想されます。一人でも残せばその者は死んでしまいます。無理をしてでも全員の避難をお願いします」
「は、はい……」
「こんがり焼かれたければこの限りではないがな」
「それは冗談が過ぎます兄上!」
「それとアスタロト殿!」
「はい」
「近くに……五十キロ圏内に既にヒトはいないと言ったな? では町などは存在するか?」
「あ、ありますが、それが何か?」
「アルトラから聞いた話では、砂漠で我が【インフェルノ・ブレス】を使った際、大量の砂埃や石つぶてが飛んできたという話を聞いた。ここだと木の破片や岩石、他にも石片や岩石の欠片のような刺さるものまで飛んでいくかもしれん。五十キロは大袈裟かもしれんが、町の建物や施設を大きく壊してしまうと予想されるが構わぬな?」
「半径五十キロの範囲をですか!? …………し、仕方ないでしょう……あ、あの赤アリを倒さなければもっと大きな被害が予想されます。世界の命運には代えられません……」
「よしわかった、事後処理は頼むぞ?」
「しかしお二人だけで本当に大丈夫なのですか?」
「他にヤツに近寄って戦える者がおらんし我ら二人で戦う他あるまい。心配するな、我ら二人はレッドドラゴンの中でも特別製だ。お主らは我らとヤツの戦いによる放射熱で死なぬように協力して生き延びてくれ」
「では出撃する! フレイムハルト、その前に【火属性軽減】を纏え。アレを相手にしたら我々でも焼け死ぬかもしれぬ。予め火を軽減させる防御魔法をかけておく」
「火に強い我々が、よもやこのような魔法を自身に対して使うことになるとは思いませんでしたね」
「確かにな……溶岩にすら耐えられる我らが火を恐れる時が来るとはな……さあ、もう時間も無い、往くぞフレイムハルト!」
「はい! 兄上!」
二人はレッドドラゴン形態へと戻り、飛び立つ。
「一刻でも時間が惜しい、ブースト飛行で行くぞ!」
火魔法を使いロケットエンジンのように加速。自爆のために魔力を蓄えるアリの下へと猛スピードで急ぐ!
「アルトラ殿の話を聞く限りは……恐らく風の国の戦力を削ぐことではないかと。風の国の魔王代理である私がここに居るのはヤツにとっては好都合でしょう。魔王代理と風の国の精鋭・準精鋭を一網打尽にできる。ここで我々が全員消滅すれば精鋭のほとんどと国のトップを消し去れるのですから、風の国の国防力は大きく減衰します」
「魔王代理のお主がここへ来ることを予想して、自爆要員を配置したと思うか?」
「そこまでは分かりません。恐らくそんなことは考えなかったというのが私の見解です。しかし、ここへ各国の兵士を集めるよう仕向けられたのは事実ですのでこの予想、そして『ヤツの自爆の可能性』は理由としてあり得る話なのではないかと」
「だとするなら、この司令本部を消滅させれば目的が達せられるわけか。カゼハナ部隊隊長殿、巣穴から本部までどれくらいの距離がある?」
風の国本国軍が来るまでカゼハナの巣穴攻略を担っていた部隊隊長に訊ねる。
「五キロほどではないかと」
「あの様子だと、五キロなら三十分もあれば本部までの範囲を消滅させるのに事足りそうだな」
「つまり、タイムリミットはあと三十分以下というわけですか……」
「もう悩んでいる時間は無いな、フレイムハルト!」
「はい、兄上」
「我らでアレを消滅させるぞ!」
「はい」
「どういった作戦を行うのかお聞かせ願えますか?」
「作戦などない。我とフレイムハルトで最強のブレスを叩き込む」
「先ほどあのアリと同等の魔力だと言った例のブレスですか?」
「ああ。今まであまりに広範囲に影響があり過ぎると考えていたためにやったことが無かったがその最強のブレスを二人がかりでやる。あれは我一人のブレスで倒せるような相手ではなさそうだ」
「しかし兄上、大丈夫なのですか? 先日も【インフェルノ・ブレス】を使って喉に怪我を負ったと聞きましたが?」
「さあな、元々違和感すらない。あまり使わない方が良いと思ったのも、医者のアスクに言われたからそうなのだと思っただけだしな。それに仮に痛みがあってもこの状況ではやむを得まい。ここでやらねば我らは全員死ぬのだからな。ああ、そうだお前たち――」
と言いながらレッドドラゴンたちの方を向くフレアハルト。
「――我とフレイムハルト以外に【インフェルノ・ブレス】を使える者はこの中に居るか?」
八人のレッドドラゴンに聞くもみな一様に首を横に振る。誰一人として使える者はおらず。
「そうか、仕方ないな。もう一人くらい居てくれれば確実性があったのだが……」
「二人で【インフェルノ・ブレス】を叩き込むというと、その作戦はお二人が爆心地に身を置くことになるのではないのですか? 大丈夫なのですか?」
「それは……」
「我らにも分からぬな。何せ我ら自身で【インフェルノ・ブレス】を受けたことがないからな」
「直接喰らえば死は免れないと思いますが、着弾した時の爆発・爆風であれば、直接的ではない分ある程度ダメージも軽減されるでしょう。私たちが死ぬことが無いように祈っててください」
そのフレイムハルトの一言に、レッドドラゴンの一人が反応する。
「冗談はやめてください! 継承権のある王子が二人もいなくなっては、族長にどう説明すれば良いか分かりません」
二人とレッドドラゴンたちの話を聞いていたアスタロトが話に割って入る。
「そこまで危険なことを客将のお二人にさせるのは……あちらはたった一匹ですし、まずは我らの部隊が何とか倒せないか試してみるのはどうでしょう?」
「お勧めはしません、と言うよりやめておいた方が良いと思います。様子を見るに、あの赤黒色のアリ……今は光ってしまって既に色の判別は付かなくなりましたが、ヤツが居る場所、その周囲までも地面がドロドロに溶けて溶岩のようになっています。今やあの身体の温度は鉄ですら溶かす温度に達しているとみられます。この騎士団の持つ剣や槍程度ではアリの身体に届く前に溶け落ちる可能性が高いでしょう。そう考えれば火に耐性の無い亜人では恐らく十メートル以内に近付いただけで火傷するレベルです。はっきり言ってしまえば無駄死にします」
アスタロトの提案に、フレイムハルトがすぐさまそれを否定した。
「そ、そこまでの状態なのですか……?」
「いずれにしても火に強い我らがやらなければ全滅だ。今飛んで逃げたところでヤツの自爆からは逃れられんだろうしな。他に選択肢もあるまい。それに……この怪我人の数では逃げることもままならん」
「分かりました……ではこの司令本部の命運はお二人方に託します。よろしくお願いします」
「ふぅ……面倒だがやらなければ我らも死ぬからやらんわけにもいくまい」
そこでアスタロトがフッとした疑問を口にする。
「ところで、なぜ地面がドロドロの溶岩状になっているのにあのアリは沈まないのでしょう?」
「さあ? そこまでは私には分かりません。脚が溶岩に沈まないような構造で出来ている……とかでしょうか? それにどうやら溶岩からも魔力を吸収しているようですね。さっき刺さっていた地面が溶けて副脚が溶岩に沈んでいます」
「もしかしたら、あの副脚が攻略の鍵になるかもしれぬな。まずはあの脚を攻撃して、魔力の供給を強制的に止めさせよう。自爆までの時間を引き延ばせるかもしれん」
今まで黙って話を聞いていたレッドドラゴンたちが、作戦の間に何をすれば良いか役目を問う。
「我々はどうしたら良いですか?」
「お前たちは、私と兄上のブレスの影響から司令本部を守る役目をしてください」
「守る役目と言いますと……?」
「二つの【インフェルノ・ブレス】となるとその爆発力も凄まじいものになるでしょうから、司令本部が焼失しないように全員の【ストーンウォール】で岩壁を作って熱を遮り、更に【火属性軽減】で本部を囲って守ってください」
溶岩の魔力に溢れた場所で生を受け、住処とし、その魔力を糧としているため、“レッド”という色を冠するドラゴンでありながら土魔法の素養も高い。
「しかし我々ではお二人の【インフェルノ・ブレス】を抑えるには至らないと思いますが……」
「ここから司令本部まで五キロほどあるのは聞いていましたね? それだけ離れていれば防御魔法さえしっかりしておけば直ちに焼失は免れるのではないかと思います」
「な、なるほど……わ、わかりました……」
不安を抱きながらも八人のレッドドラゴンはこれを了承。
「アスタロト殿も動ける者全員で司令本部に防御魔法を張り巡らせ、防御に専念してください。もし防御魔法が半端な場合は……ここにいる全員が死亡もあり得るでしょう。生存できるかどうかは、我々がアレを倒せるかどうかと、防御魔法をしっかりかけられているかの二つにかかっています」
「さて、最後にアスタロト殿に了承してもらおう、我々の作戦を受け入れるかどうか」
「是非もありません。いずれにせよ、このままにしておけばあの赤アリの自爆で全員終わりですから」
「了解した。では作戦を開始する。その前にエアリアとやら」
「は、はい! 何でしょう!?」
突然のフレアハルトの名指しに、焦りながら返事をする風の国・空間魔術師見習いエアリア。
「【強制転移】は習得済みか?」
――【強制転移】――
その場に居る者を強制的に別の場所へ転移するアルトラ考案の空間転移魔法。 (第341話参照)
アルトラが直伝したのは、水の国ルイス、樹の国ジョアンニャ、そして風の国イルリースの三人のみで、そこから先は各々の国の空間魔術師が伝授している。
通常の空間転移魔法は、空間に開けた穴へゾロゾロと歩いて入って行かなければならないため、大人数を移動させるためにはそれなりの時間がかかる。そのタイムロスを無くして術者の意志で強制的に転移可能にしたのが【強制転移】である。
「いえ……まだ存じていません」
「そうか……では仕方ないな。今思いつきで【強制転移】でどこか別のところへヤツを飛ばしてしまえばと思ったのだが……」
「しかし、その転移先で爆発されたらここと同じなのでは?」
「まあ、そうだが、海上とかに落とせば鎮火できる可能性があったかと思ってな」
「周囲の海水が大規模に蒸発して大惨事になる可能性もありますが……」
「う、うむ、そうか……まあただの思い付きだからな。本題はもう一つの方だ。エアリア殿、通常の空間転移魔法でも良い、至急我とフレイムハルトを除いたレッドドラゴンを含む全員をこの場所から司令本部へ空間転移させてくれ! 四十人くらいであれば転移可能だろう?」
「そ、そこまでの人数はまだ経験がありませんが……や、やってみます!」
「今から行う作戦は、この辺りに残ればほとんどの亜人や魔人、精霊すらも爆風と放射熱で焼け死ぬでしょう。爆発を直接浴びなくても、レッドドラゴン以外は即死か重度の熱傷にかかると予想されます。一人でも残せばその者は死んでしまいます。無理をしてでも全員の避難をお願いします」
「は、はい……」
「こんがり焼かれたければこの限りではないがな」
「それは冗談が過ぎます兄上!」
「それとアスタロト殿!」
「はい」
「近くに……五十キロ圏内に既にヒトはいないと言ったな? では町などは存在するか?」
「あ、ありますが、それが何か?」
「アルトラから聞いた話では、砂漠で我が【インフェルノ・ブレス】を使った際、大量の砂埃や石つぶてが飛んできたという話を聞いた。ここだと木の破片や岩石、他にも石片や岩石の欠片のような刺さるものまで飛んでいくかもしれん。五十キロは大袈裟かもしれんが、町の建物や施設を大きく壊してしまうと予想されるが構わぬな?」
「半径五十キロの範囲をですか!? …………し、仕方ないでしょう……あ、あの赤アリを倒さなければもっと大きな被害が予想されます。世界の命運には代えられません……」
「よしわかった、事後処理は頼むぞ?」
「しかしお二人だけで本当に大丈夫なのですか?」
「他にヤツに近寄って戦える者がおらんし我ら二人で戦う他あるまい。心配するな、我ら二人はレッドドラゴンの中でも特別製だ。お主らは我らとヤツの戦いによる放射熱で死なぬように協力して生き延びてくれ」
「では出撃する! フレイムハルト、その前に【火属性軽減】を纏え。アレを相手にしたら我々でも焼け死ぬかもしれぬ。予め火を軽減させる防御魔法をかけておく」
「火に強い我々が、よもやこのような魔法を自身に対して使うことになるとは思いませんでしたね」
「確かにな……溶岩にすら耐えられる我らが火を恐れる時が来るとはな……さあ、もう時間も無い、往くぞフレイムハルト!」
「はい! 兄上!」
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