510 / 591
第18章 発展のアルトラルサンズとその影編
第501話 魔王回帰の能力を検証 その2
しおりを挟む
「じゃあ、こっちから魔法は使えないから、カイベルから使ってみてもらえる? 魔王回帰前とどの程度感覚が違うか確認しておきたい」
「では行きます」
その言葉の直後に放たれたのは、水のレーザー。
ダイエット作戦で、私に最初のアウトを与えたあの忌まわしい能力だ。 (第436話参照)
忌まわしい能力……そのはずだったが、何だか随分遅く感じる。
難無く水を回避した。
その後も四、五発の水のレーザーを撃たれたが、全て当たることなく回避。
「カイベル、それってダイエットの時と同じ魔法?」
「はい。寸分違わぬ水のレーザーです」
「ホントに? じゃあ別の魔法でももう何発か攻撃してみて」
炎の球の連射、影から飛び出るトゲ、風の刃の二重重ね、落雷攻撃など、全てあの時に経験した魔法だが、あの時とは比べ物にならないくらい回避が容易だった。
あの時にこの動きができてれば……一週間も自炊する必要無かったのに……
でも――
「この魔王回帰って凄いわ。変身前と比べると比較にならない。じゃあ【悪食たちの晩餐会】の能力も一応確認しておくから、何か巨大な魔法を放ってもらえる?」
「了解しました」
カイベルの右手に炎が集まり巨大な火球になる。
かに思えたが、放つ前にカイベルの右手ごと狼の幻影が喰いちぎってしまった!
「カイベル!! な、何で!?」
な……何てことだ……右手が……
私は何をしたんだ……? 自動発動の能力なのか? いや、自動発動ではなかったはずだ。私の中の“理解”からすると半自動発動だったはず。
「問題ありません。私は痛みを感じませんので、創成魔法で直していただければ」
「あ、ああ、そうね……い、痛みが無くて良かったわ」
もし生物だったら、ジャイアントアントの女帝蟻の時に私が味わった激痛を与えてしまっていたところだ……
創成魔法で右手を修復。
「この【悪食たちの晩餐会】って、半自動発動に近い性能みたいだから、余程意識して使わないと魔力濃度が高いところを喰らいに行っちゃうらしい。無差別に周囲を食べないように気を付けないと」
「隔離結界をかじられなくて良かったですね」
「た、確かに……」
隔離結界の方を喰われてたら、魔王回帰した魔王の強烈な魔力が流れ出るところだった……
「じゃあ、次、クリュー、手合わせお願いできる?」
「良いけど、お手柔らかにね」
【悪食たちの晩餐会】は使わないようにしないとな……クリューには痛覚があるから万が一腕とか食べてしまったら大惨事だ。
「じゃあこっちから行くね」
「いつでもどうぞ」
瞬足でクリューの目の前まで移動。
「えっ!?」
というクリューの声もよそに続けざまに蹴りを繰り出す。
が、一瞬驚きはしたものの、すぐにいつもの穏やかな表情に戻り、それを簡単に避けられてしまった。
そのお返しにとばかりに、鎌による一振り。以前は全く余裕無く冷や汗をかきながら必死に避けていたが、あの当時と比べれば随分遅く見える。
そしてばら撒かれる闇のつぶて。
これも以前は為す術無く身体中にぶち当たり随分痛い目を見たが、今回は強化された風能力で飛んでくる闇のつぶての方向を変えて受け流す。 (第435話参照)
そして二人とも一旦距離を離した。
「アルトラ、移動速度が物凄く上がってるね! 一瞬視界に捉えきれなくて驚いたよ」
「そうでしょうそうでしょう! 私も自分の動きに驚いてるわ!」
まあ、魔王回帰の効果だから私の地力というわけではないが。
それでも限定的な能力とは言え、強力な防衛手段を得たのは大きい。
再び二人同時の接近し、体術と斬撃の応酬。
こちらから二度三度と、蹴り、手刀を繰り出すも、どれもクリーンヒットにはならず。
一般の亜人には到底見えないであろう速度での二人の攻防は続く。
鎌を仕掛けられ、それを素手で受け流し、こちらから手刀を入れれば避けれら、蹴りを入れれば掴んでぶん投げられて着地。
そんなことが数分続いて、カイベルから声がかけられる。
「アルトラ様、魔法もお試しになってはいかがでしょうか? 軽いものであれば私が隔離結界のサポートをして壊れないようにします」
「OK! じゃあ軽いやつを使う! 【風の刃・交差刃】」
二つの風の刃を重ねた風魔法。
それを大量に発動させる。
「うりゃうりゃうりゃうりゃうりゃりゃりゃーーー!!」
しかし、クリューは涼しげな表情で、全て闇で薙ぎ払ってかき消した。
「凄い! クリューってこんなに強かったんだ! じゃあこれならどう? 【風の刃・騒嵐刃!】」
風の魔力を溜め風の刃を幾重にも重ねて撃ち出す。非常に重い風の刃。速度は多少落ちるが着弾した瞬間に刃の嵐となる。
しかし、それを放った瞬間、カイベルから大声が発せられる。
「アルトラ様! それはダメです! 私のサポートでは耐え切れません! 隔離結界が破壊されてしまいます!」
「えっ!?」
嘘……やっちまったか……
私の考えで“軽め”の魔法と考えていたものが、カイベルの想定する“軽め”と乖離していたようだ……
これで私が魔王であることが全世界にバレてしまう……とそう思った矢先。
「相手が私ですから、問題無いですよ」
鎌に溜めた闇の刃で着弾する前に風の球を一閃。その瞬間に闇が風の球を包み込み、徐々に小さくなり圧し潰れるように消滅した。
「た、助かった……でも、クリュー強すぎない? 魔王回帰した私と同等って……」
「いやいや、キミまだ全然本気じゃないでしょ? “軽めの魔法”だから対処できただけだよ」
そう謙遜しているが、魔王回帰してない、通常の魔王より強いのは明らかだ……
今使った魔法だって、大罪継承前の私では放つのに相当な魔力充填時間が必要なものだった。
少年のような顔して、まさかホントに魔王より強かったとは……私は一時とは言えこんなヒトと戦おうとしてたわけか…… (第256話参照)
そりゃ何やってもノーダメージで向かってくるはずだよ……あの時だって相当手加減されてたわけだね……
下級の神を自称してはいたけど、これが死神って種族か……じゃあ上級の神様はどれほどの強いのよ……そりゃあ神様だから当然か。
「じゃ、じゃあある程度の確認も済んだし、元に戻るわ」
魔王回帰を解除し、通常状態に戻った。
そのまま隔離結界を出て、隔離結界を異空間に消滅させる。よし、これで魔王回帰で垂れ流された強烈な魔力も次元の彼方だ。
「あ~……何か凄くダルいわ……」
まるで長距離走った後のような疲れ方。
この能力は相当魔力を使うみたいだ。
「変身時に物凄い量の魔力を消費した気がするんだけど、私のMPって今どうなってる?」
「MPって何ですか?」
クリューが横から聞いて来た。
「地球のTVゲームで魔法使うために使う『マジックポイント』を頭文字を取ってMPって略すの。マジックポイントは『マジックパワー』と呼ばれることもある。魔界で呼ぶには『マジックパワー』が適切かもね」
「アルトラ様と私はこのゲームからの設定に因んで、この世界の消費魔力を便宜的に『MP』と呼んでいるのです」
「なるほど。ゲームの経験の無い私には分からない単語なわけだね」
と言うか、残り魔力を明確に理解できてるヒトは多分魔界中に居ないだろう。私の場合はカイベルが数値化してくれてるため、あとどの程度残ってるか知ることができているというだけ。
もちろん、この世界で他人に対して『MPの残りは大丈夫?』なんて言ったところで理解されることは無い。
「で、今の私の残りMPは?」
「はい、MAX時の四割程度まで減っています」
「この島に来た時はどれくらいあったの?」
「ほぼMAXの状態です」
「一時間かかってないのに、もう四割しかないの!?」
燃費悪っ!!
「へ、変身するのにどれくらい魔力を消費したの?」
「MAX時のちょうど半分です」
半分!? 変身するだけで半分も使うのか……そりゃ疲れるわけだ……
「それに加えて変身中は徐々に魔力を消費していきます」
「なるほど、MPが空になった時に強制的に変身解除されるわけね」
「はい」
「私のMPって確か健康診断の時に十七万くらいだったよね? それの半分だから魔王回帰使うには八万五千くらいのMPが必要になるってこと?」
「いえ、先日の風の国での魔王決戦時に他の魔王の方々を観察していましたが、その宿主の持つMPのうちMAX時の丁度半分を消費して変身する仕組みになっているようです」
「人それぞれ消費量が違うってこと? 不思議な能力ね」
「ですので、魔王回帰した後に僅かでも魔法を使えば、二回目の魔王回帰はできないことになりますね。魔王回帰したからには当然その状態で戦うでしょうから、実質一度の戦闘で一回こっきりの手段ということになります」
「以前MP不足でもSTM使って無理矢理魔法発動できるって言ってたよね? STMを使って変身することはできるの?」 (第7話参照)
「変身しようとすれば、身体が悲鳴を上げるので普通は不可能です。しかし、それでも過去の魔王の中には無理矢理二回目の変身をされた方が何人かいるようですが、その後三分ほど戦った後に死亡しています。死にたいのでなければお勧めしません」
「な、なるほど……やっぱり強力な手段である分、二回目の変身には耐えられないわけか。じゃあ、本当の意味で切り札ってわけね。使いどころは慎重に考えないといけない」
これ、もし聞いておかなかったら、ピンチが訪れた時に二回目の変身をしていた可能性があるな……聞いておいて良かった……
「私のMP回復速度ってどれくらいだっけ?」
「睡眠時間一時間につき五千ほどです。今の状態からの完全回復には二十時間ほどを要します」
私の睡眠時間は六、七時間だから、三日分以上寝ないと完全に回復しないわけか。
魔王の能力だけあって消費量が凄い……
万全じゃない状態でもう一度変身するには、『ひと眠り』というインターバルが必要なんだな……しかもそれは“一回目の変身で全く魔法を使わずに戦った”ということが前提のため、実際には『ひと眠り』で済むはずがない。
「じゃあ能力の検証も済んだし、家に帰りましょうか。クリューも付き合ってくれてありがとう」
「お役に立てて何よりです。じゃあ夕飯時にまたお邪魔しますね」
そういえばそういう約束だっけ……
こうして、各国に秘密裏に行われた魔王回帰の検証は終わり、【ゲート】にて忌まわしの地を去った。
カイベルの右手を食われた時にはヒヤリとしたが、なんとも無くて良かった。
「では行きます」
その言葉の直後に放たれたのは、水のレーザー。
ダイエット作戦で、私に最初のアウトを与えたあの忌まわしい能力だ。 (第436話参照)
忌まわしい能力……そのはずだったが、何だか随分遅く感じる。
難無く水を回避した。
その後も四、五発の水のレーザーを撃たれたが、全て当たることなく回避。
「カイベル、それってダイエットの時と同じ魔法?」
「はい。寸分違わぬ水のレーザーです」
「ホントに? じゃあ別の魔法でももう何発か攻撃してみて」
炎の球の連射、影から飛び出るトゲ、風の刃の二重重ね、落雷攻撃など、全てあの時に経験した魔法だが、あの時とは比べ物にならないくらい回避が容易だった。
あの時にこの動きができてれば……一週間も自炊する必要無かったのに……
でも――
「この魔王回帰って凄いわ。変身前と比べると比較にならない。じゃあ【悪食たちの晩餐会】の能力も一応確認しておくから、何か巨大な魔法を放ってもらえる?」
「了解しました」
カイベルの右手に炎が集まり巨大な火球になる。
かに思えたが、放つ前にカイベルの右手ごと狼の幻影が喰いちぎってしまった!
「カイベル!! な、何で!?」
な……何てことだ……右手が……
私は何をしたんだ……? 自動発動の能力なのか? いや、自動発動ではなかったはずだ。私の中の“理解”からすると半自動発動だったはず。
「問題ありません。私は痛みを感じませんので、創成魔法で直していただければ」
「あ、ああ、そうね……い、痛みが無くて良かったわ」
もし生物だったら、ジャイアントアントの女帝蟻の時に私が味わった激痛を与えてしまっていたところだ……
創成魔法で右手を修復。
「この【悪食たちの晩餐会】って、半自動発動に近い性能みたいだから、余程意識して使わないと魔力濃度が高いところを喰らいに行っちゃうらしい。無差別に周囲を食べないように気を付けないと」
「隔離結界をかじられなくて良かったですね」
「た、確かに……」
隔離結界の方を喰われてたら、魔王回帰した魔王の強烈な魔力が流れ出るところだった……
「じゃあ、次、クリュー、手合わせお願いできる?」
「良いけど、お手柔らかにね」
【悪食たちの晩餐会】は使わないようにしないとな……クリューには痛覚があるから万が一腕とか食べてしまったら大惨事だ。
「じゃあこっちから行くね」
「いつでもどうぞ」
瞬足でクリューの目の前まで移動。
「えっ!?」
というクリューの声もよそに続けざまに蹴りを繰り出す。
が、一瞬驚きはしたものの、すぐにいつもの穏やかな表情に戻り、それを簡単に避けられてしまった。
そのお返しにとばかりに、鎌による一振り。以前は全く余裕無く冷や汗をかきながら必死に避けていたが、あの当時と比べれば随分遅く見える。
そしてばら撒かれる闇のつぶて。
これも以前は為す術無く身体中にぶち当たり随分痛い目を見たが、今回は強化された風能力で飛んでくる闇のつぶての方向を変えて受け流す。 (第435話参照)
そして二人とも一旦距離を離した。
「アルトラ、移動速度が物凄く上がってるね! 一瞬視界に捉えきれなくて驚いたよ」
「そうでしょうそうでしょう! 私も自分の動きに驚いてるわ!」
まあ、魔王回帰の効果だから私の地力というわけではないが。
それでも限定的な能力とは言え、強力な防衛手段を得たのは大きい。
再び二人同時の接近し、体術と斬撃の応酬。
こちらから二度三度と、蹴り、手刀を繰り出すも、どれもクリーンヒットにはならず。
一般の亜人には到底見えないであろう速度での二人の攻防は続く。
鎌を仕掛けられ、それを素手で受け流し、こちらから手刀を入れれば避けれら、蹴りを入れれば掴んでぶん投げられて着地。
そんなことが数分続いて、カイベルから声がかけられる。
「アルトラ様、魔法もお試しになってはいかがでしょうか? 軽いものであれば私が隔離結界のサポートをして壊れないようにします」
「OK! じゃあ軽いやつを使う! 【風の刃・交差刃】」
二つの風の刃を重ねた風魔法。
それを大量に発動させる。
「うりゃうりゃうりゃうりゃうりゃりゃりゃーーー!!」
しかし、クリューは涼しげな表情で、全て闇で薙ぎ払ってかき消した。
「凄い! クリューってこんなに強かったんだ! じゃあこれならどう? 【風の刃・騒嵐刃!】」
風の魔力を溜め風の刃を幾重にも重ねて撃ち出す。非常に重い風の刃。速度は多少落ちるが着弾した瞬間に刃の嵐となる。
しかし、それを放った瞬間、カイベルから大声が発せられる。
「アルトラ様! それはダメです! 私のサポートでは耐え切れません! 隔離結界が破壊されてしまいます!」
「えっ!?」
嘘……やっちまったか……
私の考えで“軽め”の魔法と考えていたものが、カイベルの想定する“軽め”と乖離していたようだ……
これで私が魔王であることが全世界にバレてしまう……とそう思った矢先。
「相手が私ですから、問題無いですよ」
鎌に溜めた闇の刃で着弾する前に風の球を一閃。その瞬間に闇が風の球を包み込み、徐々に小さくなり圧し潰れるように消滅した。
「た、助かった……でも、クリュー強すぎない? 魔王回帰した私と同等って……」
「いやいや、キミまだ全然本気じゃないでしょ? “軽めの魔法”だから対処できただけだよ」
そう謙遜しているが、魔王回帰してない、通常の魔王より強いのは明らかだ……
今使った魔法だって、大罪継承前の私では放つのに相当な魔力充填時間が必要なものだった。
少年のような顔して、まさかホントに魔王より強かったとは……私は一時とは言えこんなヒトと戦おうとしてたわけか…… (第256話参照)
そりゃ何やってもノーダメージで向かってくるはずだよ……あの時だって相当手加減されてたわけだね……
下級の神を自称してはいたけど、これが死神って種族か……じゃあ上級の神様はどれほどの強いのよ……そりゃあ神様だから当然か。
「じゃ、じゃあある程度の確認も済んだし、元に戻るわ」
魔王回帰を解除し、通常状態に戻った。
そのまま隔離結界を出て、隔離結界を異空間に消滅させる。よし、これで魔王回帰で垂れ流された強烈な魔力も次元の彼方だ。
「あ~……何か凄くダルいわ……」
まるで長距離走った後のような疲れ方。
この能力は相当魔力を使うみたいだ。
「変身時に物凄い量の魔力を消費した気がするんだけど、私のMPって今どうなってる?」
「MPって何ですか?」
クリューが横から聞いて来た。
「地球のTVゲームで魔法使うために使う『マジックポイント』を頭文字を取ってMPって略すの。マジックポイントは『マジックパワー』と呼ばれることもある。魔界で呼ぶには『マジックパワー』が適切かもね」
「アルトラ様と私はこのゲームからの設定に因んで、この世界の消費魔力を便宜的に『MP』と呼んでいるのです」
「なるほど。ゲームの経験の無い私には分からない単語なわけだね」
と言うか、残り魔力を明確に理解できてるヒトは多分魔界中に居ないだろう。私の場合はカイベルが数値化してくれてるため、あとどの程度残ってるか知ることができているというだけ。
もちろん、この世界で他人に対して『MPの残りは大丈夫?』なんて言ったところで理解されることは無い。
「で、今の私の残りMPは?」
「はい、MAX時の四割程度まで減っています」
「この島に来た時はどれくらいあったの?」
「ほぼMAXの状態です」
「一時間かかってないのに、もう四割しかないの!?」
燃費悪っ!!
「へ、変身するのにどれくらい魔力を消費したの?」
「MAX時のちょうど半分です」
半分!? 変身するだけで半分も使うのか……そりゃ疲れるわけだ……
「それに加えて変身中は徐々に魔力を消費していきます」
「なるほど、MPが空になった時に強制的に変身解除されるわけね」
「はい」
「私のMPって確か健康診断の時に十七万くらいだったよね? それの半分だから魔王回帰使うには八万五千くらいのMPが必要になるってこと?」
「いえ、先日の風の国での魔王決戦時に他の魔王の方々を観察していましたが、その宿主の持つMPのうちMAX時の丁度半分を消費して変身する仕組みになっているようです」
「人それぞれ消費量が違うってこと? 不思議な能力ね」
「ですので、魔王回帰した後に僅かでも魔法を使えば、二回目の魔王回帰はできないことになりますね。魔王回帰したからには当然その状態で戦うでしょうから、実質一度の戦闘で一回こっきりの手段ということになります」
「以前MP不足でもSTM使って無理矢理魔法発動できるって言ってたよね? STMを使って変身することはできるの?」 (第7話参照)
「変身しようとすれば、身体が悲鳴を上げるので普通は不可能です。しかし、それでも過去の魔王の中には無理矢理二回目の変身をされた方が何人かいるようですが、その後三分ほど戦った後に死亡しています。死にたいのでなければお勧めしません」
「な、なるほど……やっぱり強力な手段である分、二回目の変身には耐えられないわけか。じゃあ、本当の意味で切り札ってわけね。使いどころは慎重に考えないといけない」
これ、もし聞いておかなかったら、ピンチが訪れた時に二回目の変身をしていた可能性があるな……聞いておいて良かった……
「私のMP回復速度ってどれくらいだっけ?」
「睡眠時間一時間につき五千ほどです。今の状態からの完全回復には二十時間ほどを要します」
私の睡眠時間は六、七時間だから、三日分以上寝ないと完全に回復しないわけか。
魔王の能力だけあって消費量が凄い……
万全じゃない状態でもう一度変身するには、『ひと眠り』というインターバルが必要なんだな……しかもそれは“一回目の変身で全く魔法を使わずに戦った”ということが前提のため、実際には『ひと眠り』で済むはずがない。
「じゃあ能力の検証も済んだし、家に帰りましょうか。クリューも付き合ってくれてありがとう」
「お役に立てて何よりです。じゃあ夕飯時にまたお邪魔しますね」
そういえばそういう約束だっけ……
こうして、各国に秘密裏に行われた魔王回帰の検証は終わり、【ゲート】にて忌まわしの地を去った。
カイベルの右手を食われた時にはヒヤリとしたが、なんとも無くて良かった。
1
あなたにおすすめの小説
美化係の聖女様
しずもり
ファンタジー
毒親の仕打ち、親友と恋人の裏切り、人生最悪のどん底でやけ酒を煽り何を思ったのか深夜に突然掃除を始めたら床がドンドンって大きく鳴った。
ゴメン、五月蝿かった?
掃除は止めにしよう、そう思った瞬間、床に現れた円のようなものが光りだした。
気づいたらゴミと掃除道具と一緒に何故か森の中。
地面には気を失う前に見た円が直径3メートルぐらいの大きさで光ってる。
何コレ、どうすればいい?
一方、魔王復活の兆しに聖女を召喚した王城では召喚された筈の聖女の姿が見当たらない。
召喚した手応えはあったものの目の前の床に描かれた魔法陣には誰も居ない。
もしかして召喚先を間違えた?
魔力の残滓で聖女が召喚された場所に辿り着いてみれば聖女はおらず。
それでも魔王復活は待ってはくれない。
それならば聖女を探しながら魔王討伐の旅へ見切り発車で旅する第二王子一行。
「もしかしたら聖女様はいきなり召喚された事にお怒りなのかも知れない、、、、。」
「いや、もしかしたら健気な聖女様は我らの足手まといにならぬ様に一人で浄化の旅をしているのかも知れません。」
「己の使命を理解し果敢に試練に立ち向かう聖女様を早く見つけださねばなりません。」
「もしかして聖女様、自分が聖女って気づいて無いんじゃない?」
「「「・・・・・・・・。」」」
何だかよく分からない状況下で主人公が聖女の自覚が無いまま『異世界に来てしまった理由』を探してフラリと旅をする。
ここ、結構汚れていません?ちょっと掃除しますから待ってて下さいね。掃除好きの聖女は無自覚浄化の旅になっている事にいつ気付くのか?
そして聖女を追って旅する第二王子一行と果たして出会う事はあるのか!?
魔王はどこに?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
不定期更新になります。
主人公は自分が聖女だとは気づいていません。
恋愛要素薄めです。
なんちゃって異世界の独自設定になります。
誤字脱字は見つけ次第修正する予定です。
R指定は無しの予定です。
【完結】私の結婚支度金で借金を支払うそうですけど…?
まりぃべる
ファンタジー
私の両親は典型的貴族。見栄っ張り。
うちは伯爵領を賜っているけれど、借金がたまりにたまって…。その日暮らしていけるのが不思議な位。
私、マーガレットは、今年16歳。
この度、結婚の申し込みが舞い込みました。
私の結婚支度金でたまった借金を返すってウキウキしながら言うけれど…。
支度、はしなくてよろしいのでしょうか。
☆世界観は、小説の中での世界観となっています。現実とは違う所もありますので、よろしくお願いします。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~
雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。
左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。
この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。
しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。
彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。
その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。
遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。
様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
「天職なし。最高じゃないか」
しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。
天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。
【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!
胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。
主に5大国家から成り立つ大陸である。
この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。
この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。
かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。
※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!)
※1話当たり、1200~2000文字前後です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる