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第18章 発展のアルトラルサンズとその影編
第528話 vs悪巨人強盗団幹部 その1
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「カーデュアルさん、アルトラです。強盗団員の様子はどうですか?」
『えっ!? アルトラ殿!? ど、どういうことですか? こ、こちらにもアルトラ殿が居るのですが……』
アリサが私に扮していることを知らせていないため、かなり動揺しているようだ。
「そっちに居るのは私の影武者です」
『か、『影武者』とは何ですか?』
あ、そうか、魔界には武者なんか居ないから伝わらないか。
「え~と、別の言葉にするなら『身代わり』ですかね」
『み、身代わり!? アルトラ殿の!?』
私と顔合わせした時は涼しい顔をしてたが、この口調は大分動揺しているみたいだな。
そりゃ、目の前に今通信してる私と同じ顔 (中身アリサ)の人物が居るんだから動揺もするか。
『あ、あなたは本物のアルトラ殿ですか? 失礼ながら目の前にアルトラ殿が居るのでどうにも信じられません』
「うん、じゃあ本人がそこに行くんでそれを証拠としてください」
『は?』
通信を切らずに【ゲート】で、現在カーデュアルの居る正門前ドアに転移。
「本物の私です」
「そ、そんなバカな!?」
「『そんなバカな』?」
突然のご本人登場に思わず本音が漏れたか?
「い、いえ……で、では本物のアルトラ殿は銀石の粉を浴びてないのですか!?」
一応浴びてるかどうか確認するわけね。
「はい、浴びてません。カーデュアルさんが担当するドア付近で、『強盗団が私の能力を無効化する撹乱作戦を企てている」という情報がありましたので、念のため影武者に行ってもらいました」
実際はカイベルから聞いたから情報のタレコミがあったわけではないが。
「そそ、そうですか……」
「銀石の粉はレア物だって聞いてますし、強盗団だけで揃えるのは中々に難しいそうなので、今後入手経路は強盗団側への尋問で明らかになっていくんでしょうね」
「そ、そうですね……」
「では、私は頭目を確保に向かいます」
「お、お待ちください! わ、わざわざ我が国のいざこざに貴国が首を突っ込まなくて良いのではないでしょうか?」
何だ? 私が頭目を確保しないように時間稼ぎ? 妨害工作か?
動揺し過ぎて今自分で何言ってるか分かってないんだろうか? 盗まれたのは我が国の魔道具だぞ? 我が国が関係無いわけがないだろ。
もしかして、これによって頭目にも『アルトラの空間魔法を封じたはずなのに追跡して来た! 封印に成功したと報告があったのに追跡できてるってことは……カーデュアルのヤツ裏切りやがったな!?』とか思われるのを危惧しているのかもしれない。
守護志士たちに背任行為がバレるのと、強盗団たちに裏切り者と見られるのじゃ、命の危険度はまるで違う。どうしても私の魔力が健在だということは強盗団側にバレたくはないだろう。
そう考えると動揺を通り越して混乱の域にまで達しているのかも?
「盗まれたのは我が国で発掘された魔道具ですし、関係無いとは言えません。あれは非常に高価なものですし、すぐに追跡を開始します」
「……チッ…………ゴホンッ……こ、ここからは我々に任せてもらえませんか?」
今……何か舌打ちみたいなの聞こえたな……しかもこの期に及んで訳の分からないことを言い出したし……
コイツ……混乱してるかと思ったが冷静だ。この問答が頭目が逃げおおせるまでの時間稼ぎに思える。
共同で作戦に当たってるのだから、今更『我が国だけで捜査するから任せておけ』は通らないだろ。しかも被害受けてる現地国なのに。
ここで『お任せします』なんて答えれば、妨害に妨害を重ねて頭目が逃げる手助けをされる可能性が高い。逃げられたことの責任は上官であるエールデさんに丸被せしてしまえば、副官であるカーデュアルはある程度の責任逃れできるし。
これは、ゼロ距離ドア売った金のかなりの取り分を約束されていると見た。
これ以上話してても内通者のこの男からは建設的な意見は出ないだろう。はっきり言ってしまえば時間の無駄だ。
ここから大森林のある樹の国まで逃げるのは距離があるから流石に難しいと思うが、入り組んだりして見つけ難い地形へ逃げ込まれてしまったら面倒なことになるのは変わりない。頭目を早々に確保しないと。
とりあえずフリアマギアさんと合流するか。二日前にエールデさんと一緒にマーキングしておいたからそこへ飛ぼう。
「いえ! 私が対処に当たるのが最も効率的ですので。では急ぐので失礼しますね」
そう言い残して【ゲート】でフリアマギアさんのところへ移動した。
「あ、待って…………クソがッ!! これがバレたらまずいことになる! 何とかしないと……」
◇
【ゲート】で着いたのは川の流れる渓谷だった。
私たちが一生懸命作った川の下流域だ。
町からは結構南下した場所のようだ。
「フリアマギアさん!」
「あ、アルトラ殿、ナ、ナイスなタイミングです」
と言われて、彼女の目線の先を見ると複数人の亜人が通せんぼするように立ち塞がっている。
周囲を見回すものの、彼女以外に守護志士らしきヒトが居ない。
「あれ? フリアマギアさん一人ですか?」
「ええ、頭目に逃げられないようにやむを得ず単身で追跡してましたが……結局逃げられてしまいました……他の者も後で追って来てくれると思いますが……」
「それで、彼らどちら様ですか?」
レッドオーガとウロコのあるヤツ、トラのような体毛を持つヤツ、鳥の羽を持つ獣人 (?)、小型の巨人。全部で五人。あと、姿は見えないが私たちの後ろに二人隠れてるな。
『暴食』を継承した私の魔力感知からは隠れていても丸見えだ。
「先ほど捕まえられなかった強盗団の一員です。彼らの対処をしてたうちの隊員は大怪我してたんで多分幹部連中かと」
大怪我? アルトレリアの未熟な警察官じゃなくて、樹の国の熟達した兵士が大怪我したほどの実力者なのか……
ここでフリアマギアさんを待ち伏せしてたってことは、頭目がここから離れるまで時間稼ぎするつもりか、もしくは守護志士の隊長格を始末してしまおうって魂胆か。
そんな風に思考を巡らせていると、強盗団の一人に声をかけられた。
「久しぶりだな、アルトラ!」
あ、アイツ、レッドオーガのオルガナか。エールデさんに写真を見せられなければ、多分顔すら思い出さなかっただろう相手だが……
オルガナが私の名前を呼んだことにより、幹部と思われる連中が口々に疑問を呈する。
「アルトラ!? アイツが空間魔法のアルトラなのか!? 何でここに現れた? 無効化したんじゃないのか!?」
「カーデュアルから『想定通りに魔力無効化に成功した』と報告を受けていた……あの野郎裏切りやがったのか?」
「おい! それを守護志士であるフリアマギアの居る前で言ったらダメだろ! アイツの立場が悪くなる」
「やっちまった……すまねぇ…………だがまあ、ここで口封じしてしまえば問題無いだろ。カーデュアルには後で問い詰めるとして、俺たちの勘違いならまだまだ働いてもらわにゃならんからな」
オルガナ以外の幹部連中がカーデュアルに疑念を持ったようだが、どうやら頭から裏切り者と決めつけはせず、問い詰めようという頭はあるらしい。
「フリアマギアさん、今の発言は?」
「はい、録音しました。カーデュアルさんを追い詰める時の証拠になりますね」
「用意が良いですね」
「研究者はいつ何があるか分からないので、常に記録してるんですよ」
「おいおい! 録音までされちまったらしいぞ?」
「仕方ないな……適当に追跡を妨害して退散する予定だったが、口を滑らせた所為でコイツらを始末しにゃならんくなったな……」
カーデュアルの秘密を知ってしまったからには始末しようって話にもなるか……
ここでオルガナが他の四人に対して注意喚起。
「おい、お前たち! 特にアルトラの動向には注意しておけ。お頭に追いつかれると逃げおおせるのが相当難しくなる。アイツは俺の元お頭、ブルーソーンの居場所を何らかの方法で守護志士に伝えたらしく、その所為で元お頭は捕まってしまった。多分アイツには追跡する能力があると考えられる!」
あれ? オルガナは私がブルーソーンを倒した張本人だってのを知らないのか?
……
…………
………………
…………そうか、私がブルーソーンと戦ってた時にはオルガナはもうその場から逃走した後だったから、倒したその張本人とは思っていないのか。
魔界の世間一般的な常識で考えれば一介の亜人がブルードラゴンを単身で倒せるなどとは思わない。ドラゴンと亜人では埋められないくらい大きい能力差があるし。
それに、コイツと戦った前回、私はこの鋼の身体で武器を弾いたりはせず敵の攻撃を全部躱しながら戦っていた。この特性を直に味わったのは牙四本を折ったライオン獣人くらいなものだ。 (第323話参照)
つまり、私の身体特性を知らないオルガナからは『 (強盗団複数人数くらいなら倒せる)素早くてちょっと強い小柄の亜人』程度に思われてると考えられる。
そのためオルガナは私が樹の国の機関に通報して、守護志士がブルーソーンを捕まえたと思ってるわけだ。
そして、オルガナの言葉を受けてか、フリアマギアさんが質問してきた。
「あのレッドオーガ、アルトラ殿のことを知っているようですが、お知り合いなんですか?」
「そんなわけないですよ。我が国への強盗団イベントなんて無ければ頭の片隅にすら存在してなかったくらいで。見せられた写真の中に顔があったんで思い出したってだけです」
「あ! あのヒト写真の中に居た要注意人物の一人なんですか?」
「……先日私と一緒に写真見られてませんでしたっけ?」
エールデさんが持ってきた写真を、私の横で一緒に覗き込んでたと思うんだけど…… (第520話参照)
「恥ずかしながら他人の顔覚えるのは苦手なので……そういうのは部下に任せてるんです」
ああ、その覚える役がクリストさんとパトリックさんってわけね。
「頭目の顔くらいは作戦の要なんで流石に覚えますけど、小物覚えるのにいちいち脳のリソース使いたくないですし」
ナチュラルにディスったな。これは彼らも黙っていないんじゃないか?
う~ん……覚え易そうなゴツイ顔はしているが……まあ、オーガがその場に二人居たら見分けるのは難しいかもしれない。
現にさっきリーヴァントの家の前で倒した強盗団の中のゴブリンたちの集団は、誰が誰やら全く見分け付かなかったし。
私自身も、最初はトロルの中で見分け付かないヒトが居たからな……種族単位で何人も居たら分かりにくいかもしれない。
「小物だと!? 俺たちを無視するな!」
「はいはい、どうでも良いです。私は早く頭目を追いたいので」
「貴様……この俺を舐めてるなぁ? この間はその子供のような姿に油断したが、今度は最初から本気で行く。お前を痛めつけた後に逃げなきゃならんからな」
本気出せば勝てると思ってる時点で、それがもう油断してるのと同じだと思うけど……
誰にも言えやしないけど、今や私は魔王様よ?
「あ~、時間も惜しいし、面倒だから全員一斉にかかってきてくれる?」
「「「何だとッ!?」」」
物凄く舐めた態度を取った私に、幹部連中全員が憤慨。みんな幹部に居座ってるだけあって戦闘力には自信があるのかもしれない。
「アルトラ殿、挑発しますね~。でも大丈夫なんですか? 『悪巨人強盗団』の上位陣は剛腕揃いで知られてますよ? 一応私も作戦では隊長に推挙されることが多いですけど、戦力としては弱い部類なんで彼らに勝てるかどうかって言うと……」
「問題無いです。私、ドラゴンより強いので」
「そういえば……そうでしたね」
「ちょっと離れて耳を塞いでてください。できれば五十メートルくらい」
「そんなに遠くへ? 何をするつもりですか?」
「フリアマギアさんに被害が行かないように念のためです。あ~、ちょっと待ってください」
先に十メートルくらい後ろの岩陰に居る亜人を何とかしよう。隠れてこちらの動向を窺っているようだが敵意のようなものまで伝わってくるから多分強盗団の仲間だろう。
七つの大罪『暴食』を取り込んでから、魔力感知した時に全てではないものの時折敵意のようなものまで感じるようになった。どうやら相手が強い敵意を持っていると感知できるらしい。
敵二人の真上上空に風魔法で大気の塊を二つ作り出し――
「よっ!」
――という掛け声と手の仕草で真下に落として重圧をかける。
すると、後ろから――
「「ギャアッ!」」
――という二つの叫び声。
「何をしたんですか?」
「十メートルくらい後ろに二人隠れてるヤツがいたので、風魔法で作った大気の塊を落下させて圧し潰しました。一瞬重さを加えただけなので二人とも気絶しただけですが、これで後方まで下がれると思います」
「流石アルトラ殿、仕事が早い! 頭目を追跡してた時も後ろから刺すような視線感じててどうしようかと思ってました」
魔力感知に関してはエルフは相当なものだから、フリアマギアさんも気付いていたみたいだ。
「チッ、気付かれちまったか……合図で挟み撃ちしようと思っていたんだが。おいお前たち! コイツはこんな見た目だが回避能力が高く油断ならん! 最初から全力だ!」
オルガナのその合図で、全員が戦闘形態に変わる。
オルガナは自身を肉体を強化、筋肉が膨張し、大きめの身体が更に一回り大きくなった。
トラのような体毛の男は、口が延びて耳が上に移動し獣人の姿に変わる。見た目から判断すれば多分虎の獣人。
一番目を引いたのは五人の中のウロコのある男だった。
「恐竜!? 初めて見た!」
地球ではとっくの昔に絶滅しているティラノサウルスそっくりの恐竜に変身した。
常時恐竜そのものの姿をしていないということは、コイツも多分恐竜の獣人というところか。
この世界には古代の鳥エイビスが居たり、恐竜が居たり、変身する生物が居たりと興味が尽きないな。
それに何やら精霊と同種の魔力を感じる者が居る。
「フリアマギアさん、何だか精霊のような魔力持ってるのが居ますけど、アレって何て種族なんですか?」
「風鳥族ですね。鳥の獣人で風の精霊王シルフィの加護を受けたとされている種族です。風を操ることに関しては巨鳥で知られるルフ族をも上回るかもしれません」
火の国の案内をしてくれた火トカゲ族のレドナルドさんと同じように、精霊から加護を受けた種族か。 (第387話参照)
しかも風の能力は、ルフ族であるティナリスをも超えると。
「じゃあ、あっちのは……?」
小型の巨人かと思ってたら、顔が牛面に変化した。
「ミノタウロス!?」
「いえ、あれはただの牛獣人ですね。ミノタウロスは完全な獣人型です」
「ミノタウロスって『ミノス王の牛』って意味なんじゃ……? 魔界にもミノス王って居るんですか?」
「彼は冥府の審判者と考えられていますね。ミノタウロスは地獄の極卒として有名です。ですので、魔界でもそれにちなんで牛獣人の中で最も巨体を誇る種族がミノタウロスと呼ばれてます」
「なるほど」
じゃあここでミノタウロスって呼ばれててもおかしくないのか。
三人は私の背丈の三倍以上高い。二人は小柄な魔法タイプと速度特化タイプってところかな。小柄と言っても、トラ獣人の方は一.五倍ほどの背丈があるが。
「貴様らぁ~! どれだけ俺たちを無視すれば気が済むんだ!!」
そ、そうだ! 私も種族特性聞いてるような時間は無いんだ! コイツら倒して早く頭目を追いかけないと!
「ああ、ごめんごめん。じゃあフリアマギアさん少し離れててください」
「お任せしても大丈夫なんですか?」
「問題ありません」
その返事でフリアマギアさんが私から離れ、岩陰に身を潜めた。
「さあ、やりましょうか」
『えっ!? アルトラ殿!? ど、どういうことですか? こ、こちらにもアルトラ殿が居るのですが……』
アリサが私に扮していることを知らせていないため、かなり動揺しているようだ。
「そっちに居るのは私の影武者です」
『か、『影武者』とは何ですか?』
あ、そうか、魔界には武者なんか居ないから伝わらないか。
「え~と、別の言葉にするなら『身代わり』ですかね」
『み、身代わり!? アルトラ殿の!?』
私と顔合わせした時は涼しい顔をしてたが、この口調は大分動揺しているみたいだな。
そりゃ、目の前に今通信してる私と同じ顔 (中身アリサ)の人物が居るんだから動揺もするか。
『あ、あなたは本物のアルトラ殿ですか? 失礼ながら目の前にアルトラ殿が居るのでどうにも信じられません』
「うん、じゃあ本人がそこに行くんでそれを証拠としてください」
『は?』
通信を切らずに【ゲート】で、現在カーデュアルの居る正門前ドアに転移。
「本物の私です」
「そ、そんなバカな!?」
「『そんなバカな』?」
突然のご本人登場に思わず本音が漏れたか?
「い、いえ……で、では本物のアルトラ殿は銀石の粉を浴びてないのですか!?」
一応浴びてるかどうか確認するわけね。
「はい、浴びてません。カーデュアルさんが担当するドア付近で、『強盗団が私の能力を無効化する撹乱作戦を企てている」という情報がありましたので、念のため影武者に行ってもらいました」
実際はカイベルから聞いたから情報のタレコミがあったわけではないが。
「そそ、そうですか……」
「銀石の粉はレア物だって聞いてますし、強盗団だけで揃えるのは中々に難しいそうなので、今後入手経路は強盗団側への尋問で明らかになっていくんでしょうね」
「そ、そうですね……」
「では、私は頭目を確保に向かいます」
「お、お待ちください! わ、わざわざ我が国のいざこざに貴国が首を突っ込まなくて良いのではないでしょうか?」
何だ? 私が頭目を確保しないように時間稼ぎ? 妨害工作か?
動揺し過ぎて今自分で何言ってるか分かってないんだろうか? 盗まれたのは我が国の魔道具だぞ? 我が国が関係無いわけがないだろ。
もしかして、これによって頭目にも『アルトラの空間魔法を封じたはずなのに追跡して来た! 封印に成功したと報告があったのに追跡できてるってことは……カーデュアルのヤツ裏切りやがったな!?』とか思われるのを危惧しているのかもしれない。
守護志士たちに背任行為がバレるのと、強盗団たちに裏切り者と見られるのじゃ、命の危険度はまるで違う。どうしても私の魔力が健在だということは強盗団側にバレたくはないだろう。
そう考えると動揺を通り越して混乱の域にまで達しているのかも?
「盗まれたのは我が国で発掘された魔道具ですし、関係無いとは言えません。あれは非常に高価なものですし、すぐに追跡を開始します」
「……チッ…………ゴホンッ……こ、ここからは我々に任せてもらえませんか?」
今……何か舌打ちみたいなの聞こえたな……しかもこの期に及んで訳の分からないことを言い出したし……
コイツ……混乱してるかと思ったが冷静だ。この問答が頭目が逃げおおせるまでの時間稼ぎに思える。
共同で作戦に当たってるのだから、今更『我が国だけで捜査するから任せておけ』は通らないだろ。しかも被害受けてる現地国なのに。
ここで『お任せします』なんて答えれば、妨害に妨害を重ねて頭目が逃げる手助けをされる可能性が高い。逃げられたことの責任は上官であるエールデさんに丸被せしてしまえば、副官であるカーデュアルはある程度の責任逃れできるし。
これは、ゼロ距離ドア売った金のかなりの取り分を約束されていると見た。
これ以上話してても内通者のこの男からは建設的な意見は出ないだろう。はっきり言ってしまえば時間の無駄だ。
ここから大森林のある樹の国まで逃げるのは距離があるから流石に難しいと思うが、入り組んだりして見つけ難い地形へ逃げ込まれてしまったら面倒なことになるのは変わりない。頭目を早々に確保しないと。
とりあえずフリアマギアさんと合流するか。二日前にエールデさんと一緒にマーキングしておいたからそこへ飛ぼう。
「いえ! 私が対処に当たるのが最も効率的ですので。では急ぐので失礼しますね」
そう言い残して【ゲート】でフリアマギアさんのところへ移動した。
「あ、待って…………クソがッ!! これがバレたらまずいことになる! 何とかしないと……」
◇
【ゲート】で着いたのは川の流れる渓谷だった。
私たちが一生懸命作った川の下流域だ。
町からは結構南下した場所のようだ。
「フリアマギアさん!」
「あ、アルトラ殿、ナ、ナイスなタイミングです」
と言われて、彼女の目線の先を見ると複数人の亜人が通せんぼするように立ち塞がっている。
周囲を見回すものの、彼女以外に守護志士らしきヒトが居ない。
「あれ? フリアマギアさん一人ですか?」
「ええ、頭目に逃げられないようにやむを得ず単身で追跡してましたが……結局逃げられてしまいました……他の者も後で追って来てくれると思いますが……」
「それで、彼らどちら様ですか?」
レッドオーガとウロコのあるヤツ、トラのような体毛を持つヤツ、鳥の羽を持つ獣人 (?)、小型の巨人。全部で五人。あと、姿は見えないが私たちの後ろに二人隠れてるな。
『暴食』を継承した私の魔力感知からは隠れていても丸見えだ。
「先ほど捕まえられなかった強盗団の一員です。彼らの対処をしてたうちの隊員は大怪我してたんで多分幹部連中かと」
大怪我? アルトレリアの未熟な警察官じゃなくて、樹の国の熟達した兵士が大怪我したほどの実力者なのか……
ここでフリアマギアさんを待ち伏せしてたってことは、頭目がここから離れるまで時間稼ぎするつもりか、もしくは守護志士の隊長格を始末してしまおうって魂胆か。
そんな風に思考を巡らせていると、強盗団の一人に声をかけられた。
「久しぶりだな、アルトラ!」
あ、アイツ、レッドオーガのオルガナか。エールデさんに写真を見せられなければ、多分顔すら思い出さなかっただろう相手だが……
オルガナが私の名前を呼んだことにより、幹部と思われる連中が口々に疑問を呈する。
「アルトラ!? アイツが空間魔法のアルトラなのか!? 何でここに現れた? 無効化したんじゃないのか!?」
「カーデュアルから『想定通りに魔力無効化に成功した』と報告を受けていた……あの野郎裏切りやがったのか?」
「おい! それを守護志士であるフリアマギアの居る前で言ったらダメだろ! アイツの立場が悪くなる」
「やっちまった……すまねぇ…………だがまあ、ここで口封じしてしまえば問題無いだろ。カーデュアルには後で問い詰めるとして、俺たちの勘違いならまだまだ働いてもらわにゃならんからな」
オルガナ以外の幹部連中がカーデュアルに疑念を持ったようだが、どうやら頭から裏切り者と決めつけはせず、問い詰めようという頭はあるらしい。
「フリアマギアさん、今の発言は?」
「はい、録音しました。カーデュアルさんを追い詰める時の証拠になりますね」
「用意が良いですね」
「研究者はいつ何があるか分からないので、常に記録してるんですよ」
「おいおい! 録音までされちまったらしいぞ?」
「仕方ないな……適当に追跡を妨害して退散する予定だったが、口を滑らせた所為でコイツらを始末しにゃならんくなったな……」
カーデュアルの秘密を知ってしまったからには始末しようって話にもなるか……
ここでオルガナが他の四人に対して注意喚起。
「おい、お前たち! 特にアルトラの動向には注意しておけ。お頭に追いつかれると逃げおおせるのが相当難しくなる。アイツは俺の元お頭、ブルーソーンの居場所を何らかの方法で守護志士に伝えたらしく、その所為で元お頭は捕まってしまった。多分アイツには追跡する能力があると考えられる!」
あれ? オルガナは私がブルーソーンを倒した張本人だってのを知らないのか?
……
…………
………………
…………そうか、私がブルーソーンと戦ってた時にはオルガナはもうその場から逃走した後だったから、倒したその張本人とは思っていないのか。
魔界の世間一般的な常識で考えれば一介の亜人がブルードラゴンを単身で倒せるなどとは思わない。ドラゴンと亜人では埋められないくらい大きい能力差があるし。
それに、コイツと戦った前回、私はこの鋼の身体で武器を弾いたりはせず敵の攻撃を全部躱しながら戦っていた。この特性を直に味わったのは牙四本を折ったライオン獣人くらいなものだ。 (第323話参照)
つまり、私の身体特性を知らないオルガナからは『 (強盗団複数人数くらいなら倒せる)素早くてちょっと強い小柄の亜人』程度に思われてると考えられる。
そのためオルガナは私が樹の国の機関に通報して、守護志士がブルーソーンを捕まえたと思ってるわけだ。
そして、オルガナの言葉を受けてか、フリアマギアさんが質問してきた。
「あのレッドオーガ、アルトラ殿のことを知っているようですが、お知り合いなんですか?」
「そんなわけないですよ。我が国への強盗団イベントなんて無ければ頭の片隅にすら存在してなかったくらいで。見せられた写真の中に顔があったんで思い出したってだけです」
「あ! あのヒト写真の中に居た要注意人物の一人なんですか?」
「……先日私と一緒に写真見られてませんでしたっけ?」
エールデさんが持ってきた写真を、私の横で一緒に覗き込んでたと思うんだけど…… (第520話参照)
「恥ずかしながら他人の顔覚えるのは苦手なので……そういうのは部下に任せてるんです」
ああ、その覚える役がクリストさんとパトリックさんってわけね。
「頭目の顔くらいは作戦の要なんで流石に覚えますけど、小物覚えるのにいちいち脳のリソース使いたくないですし」
ナチュラルにディスったな。これは彼らも黙っていないんじゃないか?
う~ん……覚え易そうなゴツイ顔はしているが……まあ、オーガがその場に二人居たら見分けるのは難しいかもしれない。
現にさっきリーヴァントの家の前で倒した強盗団の中のゴブリンたちの集団は、誰が誰やら全く見分け付かなかったし。
私自身も、最初はトロルの中で見分け付かないヒトが居たからな……種族単位で何人も居たら分かりにくいかもしれない。
「小物だと!? 俺たちを無視するな!」
「はいはい、どうでも良いです。私は早く頭目を追いたいので」
「貴様……この俺を舐めてるなぁ? この間はその子供のような姿に油断したが、今度は最初から本気で行く。お前を痛めつけた後に逃げなきゃならんからな」
本気出せば勝てると思ってる時点で、それがもう油断してるのと同じだと思うけど……
誰にも言えやしないけど、今や私は魔王様よ?
「あ~、時間も惜しいし、面倒だから全員一斉にかかってきてくれる?」
「「「何だとッ!?」」」
物凄く舐めた態度を取った私に、幹部連中全員が憤慨。みんな幹部に居座ってるだけあって戦闘力には自信があるのかもしれない。
「アルトラ殿、挑発しますね~。でも大丈夫なんですか? 『悪巨人強盗団』の上位陣は剛腕揃いで知られてますよ? 一応私も作戦では隊長に推挙されることが多いですけど、戦力としては弱い部類なんで彼らに勝てるかどうかって言うと……」
「問題無いです。私、ドラゴンより強いので」
「そういえば……そうでしたね」
「ちょっと離れて耳を塞いでてください。できれば五十メートルくらい」
「そんなに遠くへ? 何をするつもりですか?」
「フリアマギアさんに被害が行かないように念のためです。あ~、ちょっと待ってください」
先に十メートルくらい後ろの岩陰に居る亜人を何とかしよう。隠れてこちらの動向を窺っているようだが敵意のようなものまで伝わってくるから多分強盗団の仲間だろう。
七つの大罪『暴食』を取り込んでから、魔力感知した時に全てではないものの時折敵意のようなものまで感じるようになった。どうやら相手が強い敵意を持っていると感知できるらしい。
敵二人の真上上空に風魔法で大気の塊を二つ作り出し――
「よっ!」
――という掛け声と手の仕草で真下に落として重圧をかける。
すると、後ろから――
「「ギャアッ!」」
――という二つの叫び声。
「何をしたんですか?」
「十メートルくらい後ろに二人隠れてるヤツがいたので、風魔法で作った大気の塊を落下させて圧し潰しました。一瞬重さを加えただけなので二人とも気絶しただけですが、これで後方まで下がれると思います」
「流石アルトラ殿、仕事が早い! 頭目を追跡してた時も後ろから刺すような視線感じててどうしようかと思ってました」
魔力感知に関してはエルフは相当なものだから、フリアマギアさんも気付いていたみたいだ。
「チッ、気付かれちまったか……合図で挟み撃ちしようと思っていたんだが。おいお前たち! コイツはこんな見た目だが回避能力が高く油断ならん! 最初から全力だ!」
オルガナのその合図で、全員が戦闘形態に変わる。
オルガナは自身を肉体を強化、筋肉が膨張し、大きめの身体が更に一回り大きくなった。
トラのような体毛の男は、口が延びて耳が上に移動し獣人の姿に変わる。見た目から判断すれば多分虎の獣人。
一番目を引いたのは五人の中のウロコのある男だった。
「恐竜!? 初めて見た!」
地球ではとっくの昔に絶滅しているティラノサウルスそっくりの恐竜に変身した。
常時恐竜そのものの姿をしていないということは、コイツも多分恐竜の獣人というところか。
この世界には古代の鳥エイビスが居たり、恐竜が居たり、変身する生物が居たりと興味が尽きないな。
それに何やら精霊と同種の魔力を感じる者が居る。
「フリアマギアさん、何だか精霊のような魔力持ってるのが居ますけど、アレって何て種族なんですか?」
「風鳥族ですね。鳥の獣人で風の精霊王シルフィの加護を受けたとされている種族です。風を操ることに関しては巨鳥で知られるルフ族をも上回るかもしれません」
火の国の案内をしてくれた火トカゲ族のレドナルドさんと同じように、精霊から加護を受けた種族か。 (第387話参照)
しかも風の能力は、ルフ族であるティナリスをも超えると。
「じゃあ、あっちのは……?」
小型の巨人かと思ってたら、顔が牛面に変化した。
「ミノタウロス!?」
「いえ、あれはただの牛獣人ですね。ミノタウロスは完全な獣人型です」
「ミノタウロスって『ミノス王の牛』って意味なんじゃ……? 魔界にもミノス王って居るんですか?」
「彼は冥府の審判者と考えられていますね。ミノタウロスは地獄の極卒として有名です。ですので、魔界でもそれにちなんで牛獣人の中で最も巨体を誇る種族がミノタウロスと呼ばれてます」
「なるほど」
じゃあここでミノタウロスって呼ばれててもおかしくないのか。
三人は私の背丈の三倍以上高い。二人は小柄な魔法タイプと速度特化タイプってところかな。小柄と言っても、トラ獣人の方は一.五倍ほどの背丈があるが。
「貴様らぁ~! どれだけ俺たちを無視すれば気が済むんだ!!」
そ、そうだ! 私も種族特性聞いてるような時間は無いんだ! コイツら倒して早く頭目を追いかけないと!
「ああ、ごめんごめん。じゃあフリアマギアさん少し離れててください」
「お任せしても大丈夫なんですか?」
「問題ありません」
その返事でフリアマギアさんが私から離れ、岩陰に身を潜めた。
「さあ、やりましょうか」
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それならば聖女を探しながら魔王討伐の旅へ見切り発車で旅する第二王子一行。
「もしかしたら聖女様はいきなり召喚された事にお怒りなのかも知れない、、、、。」
「いや、もしかしたら健気な聖女様は我らの足手まといにならぬ様に一人で浄化の旅をしているのかも知れません。」
「己の使命を理解し果敢に試練に立ち向かう聖女様を早く見つけださねばなりません。」
「もしかして聖女様、自分が聖女って気づいて無いんじゃない?」
「「「・・・・・・・・。」」」
何だかよく分からない状況下で主人公が聖女の自覚が無いまま『異世界に来てしまった理由』を探してフラリと旅をする。
ここ、結構汚れていません?ちょっと掃除しますから待ってて下さいね。掃除好きの聖女は無自覚浄化の旅になっている事にいつ気付くのか?
そして聖女を追って旅する第二王子一行と果たして出会う事はあるのか!?
魔王はどこに?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
不定期更新になります。
主人公は自分が聖女だとは気づいていません。
恋愛要素薄めです。
なんちゃって異世界の独自設定になります。
誤字脱字は見つけ次第修正する予定です。
R指定は無しの予定です。
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