【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。

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大抵、どの国でも竜への接近は禁じられている。
当たり前だけど、野生の竜は気性が荒い個体が多いからってのが理由。

特例として竜と契約を結んだ竜騎士、そして竜の生態を研究する研究者は接近・接触を認められているが、命の保証があるわけではない。
竜との契約を結ぶため縄張りに入り、そのまま帰ってこなかった騎士も多くいるんだとか。


そもそも基本的に竜は縄張りである山地から、理由もなく出てこない。
竜騎士のパートナーである竜たちは、異例中の異例。
人懐っこいのか、それとも竜騎士の能力が高いからなのかはわかんないけどさ。

そして縄張りを離れ、騎士団の敷地内で隔離されている竜なんかもっと異例だ。


「な・・・んですか、ここ・・・っ」


案内された場所は、森の中にある洞窟。
この森も騎士団所有らしく、入ってからは誰ともすれ違わなかった。
また竜に乗って移動するのかと思っていたけど、馬での移動。
竜に比べたら馬なんて楽勝だ。
でもジェイスさんと同乗ってのが、なんか子どもっぽくて嫌だったけど、一人で乗りこなす自信もないから黙っておいた。


「入るんですか?!この中に?」

「風魔法なら得意だ。」

「竜にあんま効果ねえけどな。」

「でしょうね?!!」


少し離れたところに馬は置いてきた。
空を隠すぐらい伸びていただろう大木がこの洞窟の周りだけバキバキに折れ、そこら中に倒れている。

何か、あったことは一目瞭然。
そして、それが只事ではなかったことも。

薄暗い洞窟の中から聞こえるのは、低く響く唸り声と何かと何かがぶつかる鈍い音。
肌にまとわりつく重くて、暗い空気が、その異様さを物語っていた。
もしこの辺りに子どもが住んでいようものなら、「あそこにはお化けが出る!」と噂になって、絶対近づかないだろう。


かく言う俺もこのまま見なかったことにして、ちょっと帰りたい。


「この中に・・・その・・・」

「数日前、突然ダートに現れた個体だ。」

「や、山に返せば、よかったんじゃ・・・」

「俺たちだってそう仕向けたぜ?でも結局途中で落ちたんだ。」

「お、落ちた・・・だからこんな・・・」

「それから出てこようともしない。迂闊に中へ入ろうとすると威嚇される。」

「・・・・・・」


で、俺に何をしろと・・・?と考え込む俺の方を振り返る二名の竜騎士。
あとは頼んだと言わんばかりに静かに頷くジェイスさんと、親指を立て、ほら行けよ、と洞窟を指すカルマ。


「えーっと・・・馬鹿なんですか?」


溢れた本音、でも俺は悪くない。
ギャーギャー言い返してくるカルマを無視して、ふと、洞窟の奥に視線を向けた時だった。


《 ──── 》


頭に響いた小さな声に俺は一つため息をついて頭をぐしゃぐしゃに掻きむしってから、赤い瞳を睨みつけた。


「・・・話をしろってことですね。」

「その通りだ。頼む。」

「は?!お前何言ってんだ?!竜と話ができる人間なんか聞いたこ、#€°☆$!?」

「死んだら呪いますから。」

「・・・死なせない。カルマもこう見えて強い。」

「#€°☆$%×」

「・・・嘘っぽい。」


俺に飛びかかろうとするカルマの頭にジェイスさんのゲンコツが綺麗に入ってのを見届けて、俺は一人洞窟の入り口へと足を進めた。
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