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35 朝
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とくん、とくん、と少々のんびりした鼓動を俺は聞いたことがある。
あまりに重すぎて、まさかくっついたんじゃないかと一瞬疑った瞼を何とか持ち上げて見えたのは、朝日を浴びて輝く琥珀色。
「・・・ただいま。」
俺を見て大きく揺れる琥珀色の破壊力がもう・・・凄くてさ。
体が思い通りに動いてたら、俺、飛びついてたかもしれない。
「待たせ、すぎだ・・・このっ、寝坊助・・・」
「・・・ごめんって。」
眉間に深く寄った皺に、小刻みに揺れる口元。
イルは俺の体を大事に、大事に、抱えてくれていて、見覚えのある色とりどりの布がやっぱり目をチカチカさせた。
「約束守ってくれて、ありがと。」
眠る前に見たその立派な角がそのままの形で残っている。
イルが俺との約束を守ってくれた何よりの証拠だ。
角を撫でようとして、ハッと気づく。
俺の腕・・・ただでさえ細かった腕が・・・細い、細すぎる。
髪もえらく伸びてるし、こりゃ当分まともに動けないかも。
・・・何に時間がかかったかって?
あの魔人の呪いを体内で相殺するのにかかった時間。
人間の魔力じゃ自分にかかった呪いを解けないってだけで"俺"ができるかできないかは、やってみないとわからない賭けだった。
こうやって無事、呪いは相殺できたみたいだけど腕の細さからすると・・・かなり時間がかかってしまった。
やっぱりあの魔人しつこすぎ。
一体、どのくらいかかったんだろう────・・・
「に、に、二年?!」
「日に何度もお前の呼吸の確認をする羽目になった。」
「?!え?!ほ、本当に、二ね、ゴホッ、ゲホッ」
「・・・・・・」
咳き込む俺の背中をさするイルが徐ろに立ち上がる。
痩せ細った俺の体を抱え向かった先は未だに歪な形のままの窓枠。
宿舎ではなくイルの家に帰ってきていたことに気づいて、俺は酷く安堵感を覚えた。
部屋を見渡すと荒れていた床も綺麗に整い、壁には小さな花瓶が下げられていて花まで活けてある。
イルが・・・・・・やったのかな・・・?
「見ろ。」
「・・・?」
久しぶりに見た、現実の景色。
息が白く染まる肌寒さはあの夢の中では味わえなかったからなんか懐かしくて、胸いっぱい息を吸った。
空の方を見ているとイルはある一点を指差し、俺の視線を誘導する。
霞む目を何度か擦って見えた先。
ジェイスさんとイーライが、こちらを向いて立っていた。
「定期的にやってきてはお前の世話を焼こうとする。今日はあいつか、一番好かん。」
「・・・・・・っ、ふ、」
「仕方ないからあの女だけ部屋に入るのを許した。」
「っ、うう・・・っ」
「あいつらもうまく使えば役に立つ。」
「い・・・言い方ぁ・・・っ!」
涙でぼやける視界の中、俺に気づいたイーライは弾けたように飛び回り、大きな、大きな、火球を空に打ち上げた。
舞っていた雪は、ジュッと一瞬で溶けたに違いない。
続け様にジェイスさんも火球を放つ。
久しぶりに見た火球が、あの青色じゃなくてホッとする。
あの緊急時の火球はもう見たくない。
すぐにイーライに乗り、ジェイスさんが登場。
嫌な顔を隠しもせず犬を追い払うみたいにシッシッと手を動かすイルに頭突きをしてから、その失礼な手を押さえつけた。
「あっ、あの・・・、心配かけて、すみませんでした・・・!」
「無事目が覚めたのなら、それでいい。」
《 レヴィ!よかったなあ!そのうちレヴィにも翼が生えんのか? 》
「イーライも心配かけてごめ・・・、つ、ばさ・・・?」
「・・・?どうした、レヴィ。」
心配そうな顔で俺を見るジェイスさんには申し訳ないけど、イーライの言葉に俺は今、混乱中だ。
俺に翼が・・・?
なぜそんな発想に・・・?
《 俺、あいつらにも目が覚めたこと知らせてくるわ。ミシャは泣くかもな~ 》
「なあ、さっきのはどういう意味で・・・」
「どうした、イーライ?!宿舎へ戻るのか?お、おい、」
《 ジェイスしっかり捕まっとけよ!じゃ、また後でな! 》
「・・・お、おう・・・また・・・?えええ・・・」
戸惑うジェイスさんもイーライが飛び立ってしまえば、それについて行くしかない。
「また今度!」と叫ぶジェイスさんに、俺は混乱状態で手をひらひら振るしかできなかった。
・・・そして。
俺の肩に頭を当て震えながら笑いを堪えるこの竜人。
俺は聞かなきゃならんことが山ほどありそうだ。
「イル、俺に何か言うことあるだろ。」
「はあ、笑った、笑った。」
「~~っ、言うことあるよな?!」
「ああ、あるな。とても大事なことだ。」
「じゃあ言ってみ!俺の頭が訳わかんなくなる・・・いや、もう、十分訳わかんないけど!手短に一番大事なことから!」
「わかった。」
イルは俺の体をひょいと持ち上げ反転させると自分の体に跨らせた。
向き合うとよくわかるイルの美しい顔。
俺はこんなに睨んでいるのになぜか綻ぶその顔。
つられて緩みそうになるのを必死に我慢して、イルの口が開くのを待った。
「生意気で口煩い。ひ弱で怖がり。」
「・・・いきなり悪口か。」
「そのくせ自分より他者をとる。馬鹿な小僧だ。」
「・・・・・・おい。」
「だが────」
急に近づいてきたイルの顔が、そのまま額にくっついて柔らかな感触を落とす。続いて、目尻、こめかみ、鼻の頭。
カサカサですっかり骨張った俺の手を取るとその甲に触れるだけのキスをして、まっすぐ俺の方を見た。
「お前が死ぬなら、俺も死のう。」
「・・・まだ、死なないし。」
「命尽きるまで、俺と共に生きろ。」
「・・・・・・そこは"生きてくれ"じゃねえのかよ。」
「煩い。」
「・・・ふはっ、」
立場逆転、笑い出す俺を見てむすっと不服そうなイルの顔。
俺の手を握るイルの手を自分の方へ引き、さっきイルがしとように手の甲にキスをした。
「俺が死ぬまで面倒みてやるよ。」
「・・・二言はないな?」
「もちろ・・・あ、でも俺の方が先に死ぬよな。人間だし。」
「安心しろ。」
「・・・何を根拠に安心し、おわっ、!?」
腰を引き寄せられ、顎を掴まれ顔が強制的にあがる。
再びゆっくりと近づいてきた琥珀色の瞳の中には、情けない顔をした俺がばっちり映っていた。
じわじわ耳が熱くなって恥ずか・・・・・・・・・・・・ん?
・・・あ、あれ・・・?
「なっ、な、何これ!?つ、つ、つ?」
「角だな。」
「角!?」
イルの瞳に映った自分に違和感を覚え、恥ずかしさなんか吹っ飛んだ。
慌てて手を伸ばし頭を触ると、俺の小指くらいの小さな二本の尖りを発見。
・・・触る。
ちょっと柔らかい。
わあ・・・小さな角って柔らかいんだあ・・・・・・・・・じゃなくて!!
「何で、な、なん?!しかもちっちゃ!!」
「・・・・・・くっ、」
「ああああああ!なんかっ、犬歯も鋭くな・・・って、何でイル笑ってんの!?」
「ふ、くはっ、ははっ、」
「爆笑かよ!笑い事じゃないんだけど!?なあ!」
「あはははははっ、」
「~~~~っ、ちゃんと!説明しろ!!」
笑いすぎてよろけたイルは窓枠から俺を抱きしめるようにして床に転げ落ちた。
痛くはないけど、イルは笑いすぎてそれどころじゃないし、俺は何が何だかわからなくてイルの胸元に頭突きをして抗議した。
しばらく笑っていたイルは大きく息を吐き、俺の顎をまたむぎゅっと固定して自分の方を向かせた。
起きたばかりに見たあの揺れる瞳は何処へやら。
この意地悪そうな竜人の顔ときたら、もう────
「目を覚まして逃げられては敵わんからな。」
「に、逃げませんけどお?!」
「逃げられんようにした。」
「?!どういうこと?!」
「だからそういうことだ。」
「はあああ?!」
意味わからん!と絶叫する俺を見て、大口を開けて笑い出すイル。
そのうち俺の腹がぐううう、と鳴って、訳がわからないまま俺は久しぶりの朝食を口にすることになった。
----------------
本編あと一話です!
あまりに重すぎて、まさかくっついたんじゃないかと一瞬疑った瞼を何とか持ち上げて見えたのは、朝日を浴びて輝く琥珀色。
「・・・ただいま。」
俺を見て大きく揺れる琥珀色の破壊力がもう・・・凄くてさ。
体が思い通りに動いてたら、俺、飛びついてたかもしれない。
「待たせ、すぎだ・・・このっ、寝坊助・・・」
「・・・ごめんって。」
眉間に深く寄った皺に、小刻みに揺れる口元。
イルは俺の体を大事に、大事に、抱えてくれていて、見覚えのある色とりどりの布がやっぱり目をチカチカさせた。
「約束守ってくれて、ありがと。」
眠る前に見たその立派な角がそのままの形で残っている。
イルが俺との約束を守ってくれた何よりの証拠だ。
角を撫でようとして、ハッと気づく。
俺の腕・・・ただでさえ細かった腕が・・・細い、細すぎる。
髪もえらく伸びてるし、こりゃ当分まともに動けないかも。
・・・何に時間がかかったかって?
あの魔人の呪いを体内で相殺するのにかかった時間。
人間の魔力じゃ自分にかかった呪いを解けないってだけで"俺"ができるかできないかは、やってみないとわからない賭けだった。
こうやって無事、呪いは相殺できたみたいだけど腕の細さからすると・・・かなり時間がかかってしまった。
やっぱりあの魔人しつこすぎ。
一体、どのくらいかかったんだろう────・・・
「に、に、二年?!」
「日に何度もお前の呼吸の確認をする羽目になった。」
「?!え?!ほ、本当に、二ね、ゴホッ、ゲホッ」
「・・・・・・」
咳き込む俺の背中をさするイルが徐ろに立ち上がる。
痩せ細った俺の体を抱え向かった先は未だに歪な形のままの窓枠。
宿舎ではなくイルの家に帰ってきていたことに気づいて、俺は酷く安堵感を覚えた。
部屋を見渡すと荒れていた床も綺麗に整い、壁には小さな花瓶が下げられていて花まで活けてある。
イルが・・・・・・やったのかな・・・?
「見ろ。」
「・・・?」
久しぶりに見た、現実の景色。
息が白く染まる肌寒さはあの夢の中では味わえなかったからなんか懐かしくて、胸いっぱい息を吸った。
空の方を見ているとイルはある一点を指差し、俺の視線を誘導する。
霞む目を何度か擦って見えた先。
ジェイスさんとイーライが、こちらを向いて立っていた。
「定期的にやってきてはお前の世話を焼こうとする。今日はあいつか、一番好かん。」
「・・・・・・っ、ふ、」
「仕方ないからあの女だけ部屋に入るのを許した。」
「っ、うう・・・っ」
「あいつらもうまく使えば役に立つ。」
「い・・・言い方ぁ・・・っ!」
涙でぼやける視界の中、俺に気づいたイーライは弾けたように飛び回り、大きな、大きな、火球を空に打ち上げた。
舞っていた雪は、ジュッと一瞬で溶けたに違いない。
続け様にジェイスさんも火球を放つ。
久しぶりに見た火球が、あの青色じゃなくてホッとする。
あの緊急時の火球はもう見たくない。
すぐにイーライに乗り、ジェイスさんが登場。
嫌な顔を隠しもせず犬を追い払うみたいにシッシッと手を動かすイルに頭突きをしてから、その失礼な手を押さえつけた。
「あっ、あの・・・、心配かけて、すみませんでした・・・!」
「無事目が覚めたのなら、それでいい。」
《 レヴィ!よかったなあ!そのうちレヴィにも翼が生えんのか? 》
「イーライも心配かけてごめ・・・、つ、ばさ・・・?」
「・・・?どうした、レヴィ。」
心配そうな顔で俺を見るジェイスさんには申し訳ないけど、イーライの言葉に俺は今、混乱中だ。
俺に翼が・・・?
なぜそんな発想に・・・?
《 俺、あいつらにも目が覚めたこと知らせてくるわ。ミシャは泣くかもな~ 》
「なあ、さっきのはどういう意味で・・・」
「どうした、イーライ?!宿舎へ戻るのか?お、おい、」
《 ジェイスしっかり捕まっとけよ!じゃ、また後でな! 》
「・・・お、おう・・・また・・・?えええ・・・」
戸惑うジェイスさんもイーライが飛び立ってしまえば、それについて行くしかない。
「また今度!」と叫ぶジェイスさんに、俺は混乱状態で手をひらひら振るしかできなかった。
・・・そして。
俺の肩に頭を当て震えながら笑いを堪えるこの竜人。
俺は聞かなきゃならんことが山ほどありそうだ。
「イル、俺に何か言うことあるだろ。」
「はあ、笑った、笑った。」
「~~っ、言うことあるよな?!」
「ああ、あるな。とても大事なことだ。」
「じゃあ言ってみ!俺の頭が訳わかんなくなる・・・いや、もう、十分訳わかんないけど!手短に一番大事なことから!」
「わかった。」
イルは俺の体をひょいと持ち上げ反転させると自分の体に跨らせた。
向き合うとよくわかるイルの美しい顔。
俺はこんなに睨んでいるのになぜか綻ぶその顔。
つられて緩みそうになるのを必死に我慢して、イルの口が開くのを待った。
「生意気で口煩い。ひ弱で怖がり。」
「・・・いきなり悪口か。」
「そのくせ自分より他者をとる。馬鹿な小僧だ。」
「・・・・・・おい。」
「だが────」
急に近づいてきたイルの顔が、そのまま額にくっついて柔らかな感触を落とす。続いて、目尻、こめかみ、鼻の頭。
カサカサですっかり骨張った俺の手を取るとその甲に触れるだけのキスをして、まっすぐ俺の方を見た。
「お前が死ぬなら、俺も死のう。」
「・・・まだ、死なないし。」
「命尽きるまで、俺と共に生きろ。」
「・・・・・・そこは"生きてくれ"じゃねえのかよ。」
「煩い。」
「・・・ふはっ、」
立場逆転、笑い出す俺を見てむすっと不服そうなイルの顔。
俺の手を握るイルの手を自分の方へ引き、さっきイルがしとように手の甲にキスをした。
「俺が死ぬまで面倒みてやるよ。」
「・・・二言はないな?」
「もちろ・・・あ、でも俺の方が先に死ぬよな。人間だし。」
「安心しろ。」
「・・・何を根拠に安心し、おわっ、!?」
腰を引き寄せられ、顎を掴まれ顔が強制的にあがる。
再びゆっくりと近づいてきた琥珀色の瞳の中には、情けない顔をした俺がばっちり映っていた。
じわじわ耳が熱くなって恥ずか・・・・・・・・・・・・ん?
・・・あ、あれ・・・?
「なっ、な、何これ!?つ、つ、つ?」
「角だな。」
「角!?」
イルの瞳に映った自分に違和感を覚え、恥ずかしさなんか吹っ飛んだ。
慌てて手を伸ばし頭を触ると、俺の小指くらいの小さな二本の尖りを発見。
・・・触る。
ちょっと柔らかい。
わあ・・・小さな角って柔らかいんだあ・・・・・・・・・じゃなくて!!
「何で、な、なん?!しかもちっちゃ!!」
「・・・・・・くっ、」
「ああああああ!なんかっ、犬歯も鋭くな・・・って、何でイル笑ってんの!?」
「ふ、くはっ、ははっ、」
「爆笑かよ!笑い事じゃないんだけど!?なあ!」
「あはははははっ、」
「~~~~っ、ちゃんと!説明しろ!!」
笑いすぎてよろけたイルは窓枠から俺を抱きしめるようにして床に転げ落ちた。
痛くはないけど、イルは笑いすぎてそれどころじゃないし、俺は何が何だかわからなくてイルの胸元に頭突きをして抗議した。
しばらく笑っていたイルは大きく息を吐き、俺の顎をまたむぎゅっと固定して自分の方を向かせた。
起きたばかりに見たあの揺れる瞳は何処へやら。
この意地悪そうな竜人の顔ときたら、もう────
「目を覚まして逃げられては敵わんからな。」
「に、逃げませんけどお?!」
「逃げられんようにした。」
「?!どういうこと?!」
「だからそういうことだ。」
「はあああ?!」
意味わからん!と絶叫する俺を見て、大口を開けて笑い出すイル。
そのうち俺の腹がぐううう、と鳴って、訳がわからないまま俺は久しぶりの朝食を口にすることになった。
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本編あと一話です!
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