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第十一話
まさかのモテ期突入か?!……ナンテネ・その一
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「あー良かったぁ。取りあえず、最初で最後のデート……にはならなくて。linerも個別に繋がれたし。次も誘ってくれるって。うふっ!」
薔子は上機嫌で、ベッドに勢いよく仰向けで寝転んだ。志門が消えた後、ハウスでひとしきりポーッとデートの余韻に浸っていた。気づいた時には一時間近く経過しており、時刻は午後四時半過ぎ。先に入浴を済ませたのだった。
いつもより念入りに髪や肌の手入れをしていたのだが、本人は全くの無意識のようだ。
突然、ガバッと身を起こす。
「いやいや、いい気になったらいけないぞ、私! 大体において、高額宝くじに当たったみたいなたまたま偶然の大ラッキー、そうそう続く訳はないのよ! 今は、珍獣を相手にしているような感覚で新鮮なだけ。直ぐに飽きられるに決まってるんだから!」
酷く興奮している様子だ。だが、すぐに目尻を下げる。
「……でも、まぁ、もう少しだけ良いよね。浸ってみても……」
と呟くと、再びベッドに横になった。そのまま眠りの世界より馬車が迎えにやってくる……。
規則正しく揺れる振動。金色の薔薇と蔦と葉が、楕円形の窓枠にお洒落に縁取られている。窓の外は薄闇に包まれ、18世紀あたりの西洋風の町並みが広がっていた。
驚いて自分の服装を見る。絵本に出てくる西洋のお姫様みたいなレースとフリルたっぷりのピンク色のドレスを身に着けていた。靴はパール色のヒールだ。肘あたりまでの白い絹の手袋をしている。そしてワインカラーのフカフカの椅子に座っていた。
(あぁ、夢だ……)
すぐに納得した。ドレス姿の自分が、クラシカルな馬車に乗っているのだ。
『やぁ、お目覚めかい?』
柔らかな声が左斜め前から響く。驚いて顔をあげると、
「あなたは……」
夢で見たあの亜麻色の髪の男が、微笑んでいた。
(うわぁ……なんだろ、軍服に近い正装というか、全身真っ白な服装が、深緑の瞳に映えるなぁ。『癒しの天使』、てイメージかな)
薔子は例によって夢だと自覚している為、あまり慌てた様子はない。それどころかかなり落ち着いて余裕があるようだ。
「会うのはこれで三度めかな」
「でも夢の中で、ですよね」
(声も甘さがあるというか、白馬の王子様タイプ、て感じ。さすがにこう立て続けに願望夢なんか見たら慣れるわぁ)
「どうして夢だと分かるんだい?」
「だって私、ピンクのこーんなヒラヒラしたフリルとレースたっぷりのドレスなんて絶対着ませんもの」
(まず、ないない。似合わないもん着る訳ないない)
「フフフフ、ハハハハ……」
彼は堪え切れずに笑い出す。不思議そうに見つめる薔子。
「君って本当に面白いね」
笑い過ぎて目尻に滲む涙を右手で拭う。
「面白い、ですか?」
薔子としては、普通に対応しただけなのでキョトンとして問いかける。
「ごめんごめん、からかってる訳じゃないんだ。反応が新鮮なんだよ。ま、可愛いって事さ」
「はぁ……」
(この人にも、珍獣に映るのかな。可愛いだなんて、やっぱり都合良い夢だなぁ)
「(ち、珍獣って……)フフッ。僕はアドニス。まこの間も言ったけど、近々会う事になるから。今日は夢のお城に招待しようと思ってね」
彼はとろけるような笑みを浮かべた。薔子は(……素敵)思わずうっとりと見つめる。
(お城、て事は舞踏会とか……)
だが、にわかに彼は何かに気づいたように空を見つめる。そして微かに寂しそうな視線を向けた。思わずドキッとする薔子。
「……と思ったんだけど、タイムリミットみたいだ」
「え? タイムリミット?」
「近々会おうね、じゃ、また」
「え? あ、あの……」
途端に、彼も馬車もドレスも消え、真っ白な空間上に浮かぶ。まるで雲の中にいるみいだ。服装は、裸足に風呂上りに来たグレーのスエット上下だ。
「……ちゃん、お姉ちゃん!」
聞きなれた可愛らしい声と共に肩を揺すられて目を覚ます。
「あ……蕾」
呆れ顔の妹の姿が目に映る。
「もう、こんな早い時間から寝惚けて! お夕飯だって」
「あ、そか。寝てたんだ」
「もう、爆睡してるんだもの。何度も叩いて声かけたのにさ」
プン、と膨れる妹は、美少女アニメのキャラみたいに本当に可愛らしい。
「ごめんごめん、さ、ご飯ご飯、と。今日は早かったんだね」
「うん。お姉ちゃんと二人だけだよ」
「そっか。でも久々だね」
「そだね」
薔子はベッドから起きあがると、妹と共に階下へおりていった。
薔子は上機嫌で、ベッドに勢いよく仰向けで寝転んだ。志門が消えた後、ハウスでひとしきりポーッとデートの余韻に浸っていた。気づいた時には一時間近く経過しており、時刻は午後四時半過ぎ。先に入浴を済ませたのだった。
いつもより念入りに髪や肌の手入れをしていたのだが、本人は全くの無意識のようだ。
突然、ガバッと身を起こす。
「いやいや、いい気になったらいけないぞ、私! 大体において、高額宝くじに当たったみたいなたまたま偶然の大ラッキー、そうそう続く訳はないのよ! 今は、珍獣を相手にしているような感覚で新鮮なだけ。直ぐに飽きられるに決まってるんだから!」
酷く興奮している様子だ。だが、すぐに目尻を下げる。
「……でも、まぁ、もう少しだけ良いよね。浸ってみても……」
と呟くと、再びベッドに横になった。そのまま眠りの世界より馬車が迎えにやってくる……。
規則正しく揺れる振動。金色の薔薇と蔦と葉が、楕円形の窓枠にお洒落に縁取られている。窓の外は薄闇に包まれ、18世紀あたりの西洋風の町並みが広がっていた。
驚いて自分の服装を見る。絵本に出てくる西洋のお姫様みたいなレースとフリルたっぷりのピンク色のドレスを身に着けていた。靴はパール色のヒールだ。肘あたりまでの白い絹の手袋をしている。そしてワインカラーのフカフカの椅子に座っていた。
(あぁ、夢だ……)
すぐに納得した。ドレス姿の自分が、クラシカルな馬車に乗っているのだ。
『やぁ、お目覚めかい?』
柔らかな声が左斜め前から響く。驚いて顔をあげると、
「あなたは……」
夢で見たあの亜麻色の髪の男が、微笑んでいた。
(うわぁ……なんだろ、軍服に近い正装というか、全身真っ白な服装が、深緑の瞳に映えるなぁ。『癒しの天使』、てイメージかな)
薔子は例によって夢だと自覚している為、あまり慌てた様子はない。それどころかかなり落ち着いて余裕があるようだ。
「会うのはこれで三度めかな」
「でも夢の中で、ですよね」
(声も甘さがあるというか、白馬の王子様タイプ、て感じ。さすがにこう立て続けに願望夢なんか見たら慣れるわぁ)
「どうして夢だと分かるんだい?」
「だって私、ピンクのこーんなヒラヒラしたフリルとレースたっぷりのドレスなんて絶対着ませんもの」
(まず、ないない。似合わないもん着る訳ないない)
「フフフフ、ハハハハ……」
彼は堪え切れずに笑い出す。不思議そうに見つめる薔子。
「君って本当に面白いね」
笑い過ぎて目尻に滲む涙を右手で拭う。
「面白い、ですか?」
薔子としては、普通に対応しただけなのでキョトンとして問いかける。
「ごめんごめん、からかってる訳じゃないんだ。反応が新鮮なんだよ。ま、可愛いって事さ」
「はぁ……」
(この人にも、珍獣に映るのかな。可愛いだなんて、やっぱり都合良い夢だなぁ)
「(ち、珍獣って……)フフッ。僕はアドニス。まこの間も言ったけど、近々会う事になるから。今日は夢のお城に招待しようと思ってね」
彼はとろけるような笑みを浮かべた。薔子は(……素敵)思わずうっとりと見つめる。
(お城、て事は舞踏会とか……)
だが、にわかに彼は何かに気づいたように空を見つめる。そして微かに寂しそうな視線を向けた。思わずドキッとする薔子。
「……と思ったんだけど、タイムリミットみたいだ」
「え? タイムリミット?」
「近々会おうね、じゃ、また」
「え? あ、あの……」
途端に、彼も馬車もドレスも消え、真っ白な空間上に浮かぶ。まるで雲の中にいるみいだ。服装は、裸足に風呂上りに来たグレーのスエット上下だ。
「……ちゃん、お姉ちゃん!」
聞きなれた可愛らしい声と共に肩を揺すられて目を覚ます。
「あ……蕾」
呆れ顔の妹の姿が目に映る。
「もう、こんな早い時間から寝惚けて! お夕飯だって」
「あ、そか。寝てたんだ」
「もう、爆睡してるんだもの。何度も叩いて声かけたのにさ」
プン、と膨れる妹は、美少女アニメのキャラみたいに本当に可愛らしい。
「ごめんごめん、さ、ご飯ご飯、と。今日は早かったんだね」
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