深紅の愛「Crimson of love」~モブキャラ喪女&超美形ヴァンパイアの戀物語~

大和撫子

文字の大きさ
46 / 49
第十二話

まさかまさかの三角関係???・その六

しおりを挟む
「先生、温かい飲み物になりますけど、ココア、紅茶、緑茶、コーヒー、どれが良いですか?」
(あれ? 志門先……志門さんの時と違って思ったより緊張しないや)

「有難う。お構いなく、と言いたいところだけれど、せっかくだから紅茶を頂こうかな」 
(何だ? 緊張してガチガチになると思ったのに、結構落ち着いてるな、この子)

 アドニスは甘やかな笑顔を浮かべて応じながら、予想に反する薔子の言動に内心で首を傾《かし》げる。彼女の心がけて読み取れないらしい。

「ミルクとお砂糖はおつけしますか?」
「いや、ストレートで」
「はい、分かりました。あ、Tパックですけど」
「うん、全く構わないよ。有難う」

 テキパキと紅茶を淹れる薔子。感情がピクリとも動揺しない自分に驚きながら。

(こんなに近くに居るのに、この子の感情が読めない。心にバリアが……)
「有難う。頂くよ」

 アドニスは内心では狼狽しつつ、淹れて貰った紅茶をゆっくりと口に運んだ。そしてすぐに気付いた。

(……なるほど、使い魔とやらの仕業か……)

 彼の視線は、薔子の後ろの出窓付近に注がれた。

(やはりお前か)

 彼の視線の先に、ケージの中で牧草を食べているモグがいた。モグは円らな瞳で無邪気にアドニスを見つめる。

『ソンナコトサイショカラワカリヤソウナモンダガ……イマゴロキヅクナンテオッソーイ。セッカクサッキアルジトコノコノヤリトリミセタノニ』

 小馬鹿にしたように、テレパシーで彼に伝えるモグ。アドニスはムッときたようだ。

「アドニス先生?」

 薔子は不思議そうに声をかけた。

「あ、いやいや。モルモット、飼ってたんだね」

 アドニスは慌てて取り繕う。

「はい、最近飼い始めたんです」

 薔子は嬉しそうにこたえた。

(忌々しい獣め)
「そうなんだ、可愛いね」

 口元を綻ばせるアドニス。

「有難うございます」

 嬉しそうな薔子。

『ウワッ、チョーダブスタ』

 からかうようにアドニスにテレパシーを送るモグ。薔子とアドニスはしばらくモグを見つめた。

(超ダブスタ? ……ダブル・スタンダードの略か。今時の若者の真似なんかして無理すんな。痛々しいぞ。お前実年齢は志門のヤツと殆ど変わらんだろ)
「名前はなんて言うのかな?」

「モグ、てつけました」

「可愛い名前だね」

「有難うございます。モグモグ食べる姿が可愛くてつけました」

「なるほど」
(……志門が使い魔の真《まこと》の名を教える筈は……無いよな、さすがに)

 モグはプルプルと体を震わせて無邪気な表情でアドニスを見つめる。

『イマドキノワカモノ? ボクハマダヨウジナセッテイダモーン。アルジガソンナショホテキナミス、スルワケナイダロ、コノドアホウガ。マコトノナヲシッテボクヲシハイシヨウナンテアマイアマイ』

(何て小生意気な使い魔だ!)

 アドニスはムカムカと怒りが込み上げてきた。

『サァサァ、サッサトヨウケンヲスマセテカエッタカエッタ』
(どうあっても邪魔をするつもりだな?)
『ソリャア、アルジカラソウメイジラレテルカラネ。タイメンヲユルシタダケアリガタクオモイタマエ』

(もう頭に来た!)
「薔子ちゃん」

 アドニスは笑みを浮かべたまま、真っ直ぐに薔子を見つめる。

「あのね、突然こんな事言ってびっくりしちゃうだろうけど、僕は初めて君を見た時から惹かれてるんだ」

「はい?」

 突然の告白に、頭がついていかない。何を言っているのか訳が分からす、薔子はキョトンとして彼の緑色の瞳を見つめ返した。


『(フフ、カカッタナ。タンジュンナヤツ)』

 モグは秘かにほくそ笑む。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

【完】経理部の女王様が落ちた先には

Bu-cha
恋愛
エブリスタにて恋愛トレンドランキング4位 高級なスーツ、高級な腕時計を身に付け ピンヒールの音を響かせ歩く “経理部の女王様” そんな女王様が落ちた先にいたのは 虫1匹も殺せないような男だった・・・。 ベリーズカフェ総合ランキング4位 2022年上半期ベリーズカフェ総合ランキング53位 2022年下半期ベリーズカフェ総合ランキング44位 関連物語 『ソレは、脱がさないで』 ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高4位 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高2位 『大きなアナタと小さなわたしのちっぽけなプライド』 ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高13位 『初めてのベッドの上で珈琲を』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高9位 『“こだま”の森~FUJIメゾン・ビビ』 ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高 17位 私の物語は全てがシリーズになっておりますが、どれを先に読んでも楽しめるかと思います。 伏線のようなものを回収していく物語ばかりなので、途中まではよく分からない内容となっております。 物語が進むにつれてその意味が分かっていくかと思います。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

処理中です...