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10.幸せなすれ違い
幸せなすれ違い⑤
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案内してくれる神代について香澄はバスルームに向かう。向かう途中でくるっと神代が振り返った。
「部屋の下見に来たのだからルームツアーしますか?」
首を傾げられて、香澄は「します!」と大きく頷いた。くすりと笑った神代が部屋を案内してくれる。
先ほどは入っていない部屋だ。
「ここは書斎、書斎っていうか仕事が持ち帰りになった時に仕事をする部屋ですね。リモートワークの時もここですることが多いです。作業内容によってはカフェに行ったりすることもありますが」
書斎はシンプルで大きなデスクがありその上にはモニターがたくさん置いてあった。
いかにも仕事をする部屋らしい。書斎と言うよりコンピュータールームのようだ。
そして続けてベッドがある部屋を案内してくれた。ここは客間らしい。
「お客さんが来ると泊める部屋です。友人とか家族とか」
そう言われて香澄はまだ神代の家族に直接挨拶していないことに思い至る。
「ご家族にもご挨拶行かなくてはいけませんね」
「あ、そうか。うちの家族は菜々美さんの写真を見てお見合いが進んでいると思っているかもしれません。訂正しておきます。見合いの時はいい年をした大人が親と一緒に同席するというのも恥ずかしくて断ったんですよ」
「そうだったんですね」
「母には怒られました。お見合いの常識から外れていると言って。けど、今にして思えば、親がいなくてよかったかもしれませんね」
常識という点で言えば、柚木の家も常識とは合わないことをしていたので香澄は返す言葉がない。
「そうでしょうか……そうしてみると叔父がやったことも常識からは外れていましたわね」
「けど、香澄さんと会えた。俺にはそれだけで十分です」
ふと香澄が横にいた神代を見ると、神代は機嫌良よさそうに微笑んでいた。廊下の先にはもう一つ部屋がある。
「あそこはもう知っていますね? 寝室です」
それはあれこれされたので覚えている。
「もうっ!」
香澄は赤くなることしかできなかった。
「一緒に住んだら、寝室は一緒ですからね」
からかっているのか本気なのか分からない。香澄は返事に困ってしまった。
「実はもう一部屋あるんですが、今はそこは使っていないんです」
空いているという部屋は今は神代のトレーニングルームになっているようで、マシンが少し置いてあるだけの部屋だった。
「ものすごくたくさん部屋があるんですね」
香澄に引っ越してきていいというはずだと納得する。
「もしも家族が増えたら、柚木トラストコーポレーションさんで不動産を購入しましょう」
「え? そんなのはいいですよ! お気にされなくて」
「義理の実家がせっかく不動産業をしているのですからそこで購入すればいいでしょう」
もしも家族が増えたら……。
そこにはまだ見ぬ子どもの姿もあるのだろうか?
結婚の先にあるものを意識させられたような気がして、香澄はどう反応すればいいのか分からなくなってしまった。
「部屋の下見に来たのだからルームツアーしますか?」
首を傾げられて、香澄は「します!」と大きく頷いた。くすりと笑った神代が部屋を案内してくれる。
先ほどは入っていない部屋だ。
「ここは書斎、書斎っていうか仕事が持ち帰りになった時に仕事をする部屋ですね。リモートワークの時もここですることが多いです。作業内容によってはカフェに行ったりすることもありますが」
書斎はシンプルで大きなデスクがありその上にはモニターがたくさん置いてあった。
いかにも仕事をする部屋らしい。書斎と言うよりコンピュータールームのようだ。
そして続けてベッドがある部屋を案内してくれた。ここは客間らしい。
「お客さんが来ると泊める部屋です。友人とか家族とか」
そう言われて香澄はまだ神代の家族に直接挨拶していないことに思い至る。
「ご家族にもご挨拶行かなくてはいけませんね」
「あ、そうか。うちの家族は菜々美さんの写真を見てお見合いが進んでいると思っているかもしれません。訂正しておきます。見合いの時はいい年をした大人が親と一緒に同席するというのも恥ずかしくて断ったんですよ」
「そうだったんですね」
「母には怒られました。お見合いの常識から外れていると言って。けど、今にして思えば、親がいなくてよかったかもしれませんね」
常識という点で言えば、柚木の家も常識とは合わないことをしていたので香澄は返す言葉がない。
「そうでしょうか……そうしてみると叔父がやったことも常識からは外れていましたわね」
「けど、香澄さんと会えた。俺にはそれだけで十分です」
ふと香澄が横にいた神代を見ると、神代は機嫌良よさそうに微笑んでいた。廊下の先にはもう一つ部屋がある。
「あそこはもう知っていますね? 寝室です」
それはあれこれされたので覚えている。
「もうっ!」
香澄は赤くなることしかできなかった。
「一緒に住んだら、寝室は一緒ですからね」
からかっているのか本気なのか分からない。香澄は返事に困ってしまった。
「実はもう一部屋あるんですが、今はそこは使っていないんです」
空いているという部屋は今は神代のトレーニングルームになっているようで、マシンが少し置いてあるだけの部屋だった。
「ものすごくたくさん部屋があるんですね」
香澄に引っ越してきていいというはずだと納得する。
「もしも家族が増えたら、柚木トラストコーポレーションさんで不動産を購入しましょう」
「え? そんなのはいいですよ! お気にされなくて」
「義理の実家がせっかく不動産業をしているのですからそこで購入すればいいでしょう」
もしも家族が増えたら……。
そこにはまだ見ぬ子どもの姿もあるのだろうか?
結婚の先にあるものを意識させられたような気がして、香澄はどう反応すればいいのか分からなくなってしまった。
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