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8.サプライズデート
サプライズデート①
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「ふぁぁ……」
ベッドの上で莉桜は大きく伸びをする。
ベッドから降りた莉桜はてくてくっと窓際に向かって歩き、しゃっと音をさせて大きくカーテンを開いた。
外は突き抜けるようなアメリカらしい青空だ。せっかくのデートの日なので晴天なのはとても嬉しい。
五十里との待ち合わせはお昼なので、昨日テイクアウトしたのとは別のカフェで朝ごはんを食べることにする。
ホテルから歩いて五分くらいのところに素敵なカフェがあると以前他のクルーに聞いており、行ってみたいと思っていたその店へ行くことにしたのだ。
教えてもらったカフェはウッディなインテリアの落ち着いた雰囲気で、レジ横に置かれているパンがとても美味しそうな店だった。
莉桜はカフェラテとアーモンドクロワッサンを選び、席でゆっくりと頂く。
街並みはいかにも海外らしく、オープンテラスでモーニングしていてもとても気分がよかった。
席でくつろぎながらスマートフォンの画面を開いた莉桜は五十里のホテルを確認する。
五十里が宿泊しているのは街の中心街にある五つ星のホテルだった。
シカゴには世界最大の航空機器開発製造会社がある。
五十里はおそらく五十里重工の役員としてその会社との打ち合わせに出向いているのだろう。
(すごい人なのよね)
名前からして当然の如く御曹司なのだ。
一緒にいて五十里が連れて行ってくれる場所は、莉桜ではとても行けないような会員制のクラブラウンジや予約の取れないレストランなどだった。
立場も地位も全く違う人なのに、いつも莉桜のことを気にかけてくれて大事にしてくれる。
(優しい人なんだよなぁ)
そう思うととても会いたくなってきてしまった。
莉桜はカフェでゆっくりして、次のフライトの予習や今勉強中のソムリエ資格の資料を読み直す。
そして、腕時計を見た。
時間的には五十里がシカゴの空港からホテルに到着する頃合いだろう。
勉強に使っていたタブレットや手帳をしまって、莉桜は徒歩ですぐのホテルの部屋へ置きにいった。
五十里の宿泊するホテルへ行ってしまうことにしたのだ。
到着した五十里を捕まえられれば早く会うことができるし、捕まえられなくてもそのホテルにはラウンジがあるので、そこで待てばいい。
(うん! そうしよう!)
莉桜の宿泊するホテルから五十里のホテルまでは歩いて二十分ほどなので、莉桜は歩くことにした。
ステイ先で観光に行く時はかなりの距離歩くことも多いので、それくらいは気にならない。
莉桜はシカゴの街並みを堪能しながら、ゆっくりとホテルへ向かって歩いていく。
宿泊している地区はセントラルと呼ばれている商業地区だ。
たくさんの高層ビルが並ぶ地区でもある。新旧のいろんな建物があって、歩きながら建物を見ているだけでもとても楽しい。美術館を超えて、気づいたらホテルの前まで来ていた。
五十里が宿泊しているのはミシガン湖を望む場所にあり、千を超える部屋数を誇る歴史のあるホテルだ。名前は聞いたことがあっても宿泊の機会もなく足を踏み入れたことのない莉桜はわくわくした。
歴史を感じる回転ドアを通り、ロビーに足を踏み入れるとその豪華さにため息が出そうだ。
古くてもしっかりと手入れされたインテリア、重厚感を感じるファブリック。
ロビーの突き当りにある階段は赤い絨毯が敷かれていて、踊り場に置かれているピアノが自動演奏で来客を楽しませていた。
(本当に素敵……)
ほうっとため息をついて、莉桜はロビーに置かれたソファで座ろうと足を向けると、正面から一際目立つ男性が歩いてくるのが見えた。五十里だ。
莉桜を見つけた五十里は軽く目を見開いて、一瞬驚いたあと笑顔になった。
その笑顔に嬉しくなった莉桜は速足で五十里に向かって歩く。
「莉桜、早かったんだな」
腕を大きく広げられたので、くすぐったい気持ちになりながらその腕の中に入ると軽くハグされる。
そのまま自然に軽く頬にキスまでされてしまった。
ベッドの上で莉桜は大きく伸びをする。
ベッドから降りた莉桜はてくてくっと窓際に向かって歩き、しゃっと音をさせて大きくカーテンを開いた。
外は突き抜けるようなアメリカらしい青空だ。せっかくのデートの日なので晴天なのはとても嬉しい。
五十里との待ち合わせはお昼なので、昨日テイクアウトしたのとは別のカフェで朝ごはんを食べることにする。
ホテルから歩いて五分くらいのところに素敵なカフェがあると以前他のクルーに聞いており、行ってみたいと思っていたその店へ行くことにしたのだ。
教えてもらったカフェはウッディなインテリアの落ち着いた雰囲気で、レジ横に置かれているパンがとても美味しそうな店だった。
莉桜はカフェラテとアーモンドクロワッサンを選び、席でゆっくりと頂く。
街並みはいかにも海外らしく、オープンテラスでモーニングしていてもとても気分がよかった。
席でくつろぎながらスマートフォンの画面を開いた莉桜は五十里のホテルを確認する。
五十里が宿泊しているのは街の中心街にある五つ星のホテルだった。
シカゴには世界最大の航空機器開発製造会社がある。
五十里はおそらく五十里重工の役員としてその会社との打ち合わせに出向いているのだろう。
(すごい人なのよね)
名前からして当然の如く御曹司なのだ。
一緒にいて五十里が連れて行ってくれる場所は、莉桜ではとても行けないような会員制のクラブラウンジや予約の取れないレストランなどだった。
立場も地位も全く違う人なのに、いつも莉桜のことを気にかけてくれて大事にしてくれる。
(優しい人なんだよなぁ)
そう思うととても会いたくなってきてしまった。
莉桜はカフェでゆっくりして、次のフライトの予習や今勉強中のソムリエ資格の資料を読み直す。
そして、腕時計を見た。
時間的には五十里がシカゴの空港からホテルに到着する頃合いだろう。
勉強に使っていたタブレットや手帳をしまって、莉桜は徒歩ですぐのホテルの部屋へ置きにいった。
五十里の宿泊するホテルへ行ってしまうことにしたのだ。
到着した五十里を捕まえられれば早く会うことができるし、捕まえられなくてもそのホテルにはラウンジがあるので、そこで待てばいい。
(うん! そうしよう!)
莉桜の宿泊するホテルから五十里のホテルまでは歩いて二十分ほどなので、莉桜は歩くことにした。
ステイ先で観光に行く時はかなりの距離歩くことも多いので、それくらいは気にならない。
莉桜はシカゴの街並みを堪能しながら、ゆっくりとホテルへ向かって歩いていく。
宿泊している地区はセントラルと呼ばれている商業地区だ。
たくさんの高層ビルが並ぶ地区でもある。新旧のいろんな建物があって、歩きながら建物を見ているだけでもとても楽しい。美術館を超えて、気づいたらホテルの前まで来ていた。
五十里が宿泊しているのはミシガン湖を望む場所にあり、千を超える部屋数を誇る歴史のあるホテルだ。名前は聞いたことがあっても宿泊の機会もなく足を踏み入れたことのない莉桜はわくわくした。
歴史を感じる回転ドアを通り、ロビーに足を踏み入れるとその豪華さにため息が出そうだ。
古くてもしっかりと手入れされたインテリア、重厚感を感じるファブリック。
ロビーの突き当りにある階段は赤い絨毯が敷かれていて、踊り場に置かれているピアノが自動演奏で来客を楽しませていた。
(本当に素敵……)
ほうっとため息をついて、莉桜はロビーに置かれたソファで座ろうと足を向けると、正面から一際目立つ男性が歩いてくるのが見えた。五十里だ。
莉桜を見つけた五十里は軽く目を見開いて、一瞬驚いたあと笑顔になった。
その笑顔に嬉しくなった莉桜は速足で五十里に向かって歩く。
「莉桜、早かったんだな」
腕を大きく広げられたので、くすぐったい気持ちになりながらその腕の中に入ると軽くハグされる。
そのまま自然に軽く頬にキスまでされてしまった。
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